出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
お楽しみいただければ幸いです。



第6章 合同戦闘訓練編
第52話:B組との合同戦闘訓練


出久side

 

 夢の中で過去の光景を垣間見、歴代継承者の皆さんと話した事で『ワン・フォー・オール』の原点(オリジン)を再確認した僕は、(ハイツ・アライアンス)をそっと抜け出し、頭の中で情報を整理しながら、外を走り続けた。

 

「ふぅぅ…」

 

 大体20km程走ったところで、予め設定しておいたスマホのアラームが鳴り、時刻を告げる。

 

「5時20分か」

 

 あと25分で朝食作りが始まる。その前に汗を流しておこうと(ハイツ・アライアンス)へ戻ると―

 

「おう、お帰り」

 

 台所では既に、雷鳥兄ちゃんが調理を始めていた。

 

「雷鳥兄ちゃん、早いね」

「何となくだが、お前が外に出るのを感じて目が覚めたんでな。ちょっと手の込んだ朝飯を作ろうと思って、早めに降りてきた」

 

 そう言いながら雷鳥兄ちゃんは、手早く『バナナと小松菜のスムージー*1』を作り、コップに入れて僕に手渡してきた。

 

「ありがとう!」

「それ飲んだら、シャワー浴びてこい。汗だくで台所に入るのは、色々と問題だからな」

「うん!」

 

 僕はスムージーを一気に飲み干し、シャワーを浴びに浴室へ向かう。そして大急ぎで汗を流し―

 

「それじゃあ朝食作り、始めていこう」

 

 5時45分からの朝食作りへ、いつも通りに参加するのだった。

 

 

雷鳥side

 

 昼休み、俺は出久と共に仮眠室を訪れ―

 

「初代の記憶…! 見たか…!」

 

 出久が見たという『夢』の話をオールマイトへ報告していた。

 

「あれは、オール・フォー・ワンの記憶でもありました。()()()()()()()()()()()()()、オールマイトも若い時に見たんですよね?」

「あぁ、その後お師匠…7代目継承者から『面影』の存在を教わった。君達に成り立ちを伝えられたのも見たからこそさ」

「僕が見たのは、()()()()()()()()()()で…その後、初代が僕に話しかけてきました」

 

 -今の君は『ワン・フォー・オール』を60%近くまで扱える。この先もそう遠くない時期に見る事が出来るだろう-

 -君の中で未だ眠っている歴代継承者。その内2人はもう殆ど覚醒している。何か()()()()()()()()、すぐに目覚めるだろう-

 

「ふむ…歴代継承者の皆さんからの接触は、神野区の戦いに続いて2度目。私は経験しなかったし、お師匠にもそう教えられた」

「私の知る限りじゃ、緑谷少年だけに起きている現象だ。だから、この件に関して私からアドバイス出来る事は、殆ど無い…すまないね」

「いえ! こうやって話を聞いていただけて、情報を共有出来るだけでも、気持ちが楽になります!」

 

 出久の声に、オールマイトは優しく微笑み―

 

「その代わりと言っては何だが…お師匠の前に『ワン・フォー・オール』を継承した皆さんについて、私なりに()()()()()()使()()()調()()()()()んだ。もう少しである程度の形になると思うから、待っていてほしい」

 

 と、実に頼れる事を言ってくれた。()()()()()()()()()()()となった今、この先出久が覚醒する“個性”については、文字通り()()()()()()()()()()()

 オールマイトの調査が文字通りの命綱だな。

 

「午後から演習だったね。今日のところはこの辺にしておこうか」

「「はい!」」

 

 話が一段落したところで、オールマイトと共に仮眠室を出る俺と出久。

 

「おやおや、お三方。相変わらず仲のよろしい事で」

 

 そこへ声をかけてきたのは、俺達と同じタイミングで職員室を出た相澤先生。

 

「相澤君! 違うんだ、これは彼らから強引に!」

「浮気現場抑えられた。みたいなノリやめて下さい。サムいので」

「吸阪、緑谷、早めにアップを済ましとけよ。今日は忙しいぞ」

 

 オールマイトの慌てた演技をバッサリと切り捨てた相澤先生は、俺達にそう告げると早足で歩いて行った。今日は忙しいか…確かにその通りだな。

 

 

 さて、戦闘服(コスチューム)に着替え、ウォーミングアップを済ませた俺達は―

 

「ワクワクするねー」

「葉隠、寒くないの?」

「めっちゃ寒ーい!!」

「…根性だね」

「私冬仕様~。カッコイーでしょーが!」

 

 ある程度の緊張感を保ちつつも、そんな事を話しながら、集合場所へと向かっていた。

 

「入学時と比べると、だいぶ皆のコスチュームも様変わりしてきたな」

「飯田も、フルアーマータイプの戦闘服(それ)で夏耐え抜いたの凄いよな」

 

 飯田の言葉に対する砂藤の声に、内心頷いていると…

 

「おいおい、まー随分と(たる)んだ空気じゃないか」

「僕らをなめているのかい?」 

 

 風の音が聞こえた直後、まるでタイミングを狙っていたかのように、聞き覚えのある声が響いてきた。

 

「お! 来たなァ!! なめてねーよ! ワクワクしてんだ」

「フフ…そうかい。でも残念。波は今、確実に僕らに来てるんだよ…」

「さァA組!! 今日こそシロクロつけようか!?」

 

 切島の声に下種そのものな顔をしながら叫ぶ物間。だが、気づいているか? お前の周りにいるB組連中は、誰もが()()()()()()()()()()()()() って顔をしてるぞ。

 だが、物間はその視線に気づく事なく…

 

「見てよ、このアンケート。文化祭でとったんだけどさァーア!」

「A組ライブとB組超ハイクオリティ演劇、どちらが良かったか! 見える!?」

「二票差で僕らの勝利だったんだよねぇ!!」

 

 高笑いと共にアンケート用紙を見せてきた。そこにはたしかに2票差でB組の方が高評価を得ている。

 

「マジかよ! 見てねーから何とも言えねー!!」

 

 驚きの表情でアンケート用紙を見つめる切島や耳郎には悪いが…()()()()()()()()()だ。

 

「入学時から続くA組(君たち)の悪目立ちの状況が変わりつつあるのさ!!」

「そして今日!! AVS(バーサス)B!! 初めて合同戦闘訓練!! 僕らが―」

「黙れ」

 

 俺達を煽り続ける物間の首を、相澤先生が捕縛布で締め上げて黙らせたのを合図に、俺は皆よりも前に出る。

 

「奇遇だな物間。実は俺も()()()()()()()()()()()んだ」 

「…え?」

「メリッサさんに協力を依頼してな。A組(俺達)のライブとB組(お前達)の演劇。その()()()()()()()()()()()()()()にコンタクトを取ってみた。その結果が()()だ」

 

 そう言って差し出したのは、1-A及び1-Bを除く全校生徒のうち、条件に合致する171人全員から取ったアンケート。その結果は…

 

「A組121票、B組50票。B組の得票数が()()そっちと一致した訳だが…」

「物間、まさかとは思うが、自分に都合の良い結果が出たから…()()()()()()()()()()()()()()()()なんて、恥知らずな真似してないよな?」

「………」

「ま、いいか。()()()()()()()()()()()事が証明出来ればそれでいい」

 

 青い顔をして黙り込む物間にそう告げて、俺は先生方にその場を任せる為に後ろへ下がる。

 

「……あー…物間、思慮に欠けた行動は慎むように…いくら何でも、これ以上のやらかしは庇いきれん」

「…はい」

 

 ブラドキング先生からの叱責と、周囲からの何とも言えない視線に縮こまり、蚊の鳴くような声で答える物間。まったく、いい加減に学習してほしいものだ。

 

「では! 気を取り直して、戦闘訓練を開始する!」

「今回はA組とB組の対抗戦!! 舞台はここ、運動場γの一角!!」

「双方、4人組を作り一チームずつ戦ってもらう!!」

 

 ブラドキング先生の声が響き、説明が進んでいく。相澤先生は…黙って立っているだけか?

 

「今回の状況設定は、『“(ヴィラン)グループ”を包囲し、確保に動くヒーロー』! お互いがお互いを(ヴィラン)と認識しろ! 4人捕まえた方が勝利となる!」

(ヴィラン)も組織化してるっていうもんね」

「シンプルで分かりやすいぜ。なぁ? 鉄哲」

「あ、あぁ…そ、そうだな!」

 

 鎌切の問いかけに、そう答える鉄哲。どうやら、()()()()()()()()()ようだな。

 

「ヒーローであり、相手にとっては“(ヴィラン)”!? どちらに成り切ればいいのだ!?」

「ヒーローでよろしいかと!」

 

 生真面目であるが故に、悩みだした飯田にそう答える八百万。そうだな、その方が色々とやりやすい。

 

「双方の陣営には『激カワ据置プリズン』を設置。()()()()()()()時点で捕まえた判定になる」

「「「「「緊張感よ!!」」」」」

 

 『激カワ据置プリズン』のデザインに、その場の誰もがツッコミを入れたが、それも束の間。

 

「B組は今回、A組に()()()()()形となるが…格上だからと臆する事無く、Giant-killing(大物食い)を果たすくらいの気概でぶつかっていってほしい!!」

「A組は格上だからと油断する事無く、全力で臨むように」

「「「「「はい!!」」」」」

 

 双方の担任から活を入れられ、一気に気合を入れていく。

 

「じゃ」

「クジな」

 

 そのままチーム分けのくじ引きが行われ―

 

「それでは、全試合の組み合わせを発表する!」

 

 全5試合の組み合わせが決定した。

 

「第1試合! A組、切島、口田、心操、蛙吹。B組、宍田、円場、鱗、塩崎」

「第2試合! A組、青山、常闇、葉隠、八百万。B組、黒色、吹出、拳藤、小森」

「第3試合! A組、飯田、尾白、障子、轟。B組、回原、鉄哲、骨抜、角取」

「第4試合! A組、砂藤、吸阪、瀬呂、耳郎。B組、泡瀬、鎌切、凡戸、取蔭」

「第5試合! A組、緑谷、峰田、芦戸、麗日。B組、庄田、物間、小大、柳」

「スタートは双方共に自陣から。制限時間は20分。時間内に決着がつかない場合は、残り人数の多いほうが勝利とする」

「それでは、10分後に第1試合を開始する。全員準備に入れ」

 

 ブラドキング先生、そして相澤先生の声に答え、全員が動き出す。そこへ…

 

「オールマイトとミッドナイトが来たー!」

 

 オールマイトとミッドナイト先生が見学にやってきた。ミッドナイト先生は、芦戸からの熱愛? なんて問いかけを、年上は対象外とサラリと流し―

 

「どっちが勝つと思います?」

「どうだろうね。これまでの実績や地力で考えるなら、A組が圧倒的に有利だ。しかし……仮免試験後から今日までの()()()()()はかなりの物だ。番狂わせも十分あり得るんじゃないかな?」

 

 オールマイトとそんな会話を交わしていた。ふむ、()()()()()()()()()()()ね…。

 

「おーい、皆。集合」

 

 そんな事を言われちゃ、こっちとしても()()()()()()ってもんだ。

 

「今回の戦闘訓練。ブラドキング先生の言っていたように、俺達は胸を貸す側だ。油断は論外だとしても、それなりに()()()()()をするべきか? なんて考えたが…そう言うのは、やめにしようと思う」

「目指すは完全勝利。()()()()()()()()が、二度と俺達を煽ったり出来ないよう…徹底的にやろうじゃないか」

 

 俺の言葉に、皆も何かしら思うところがあったのだろう。再度気合を入れなおし、準備に取り掛かる。

 さぁ、完全勝利を目標に頑張ろうじゃないか。

*1
輪切りにしたバナナ(1本分)、2cm程度に切った小松菜(1/2束)、牛乳(200cc)、蜂蜜(適量)をミキサーに入れて撹拌




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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