出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
少し短いですが、お楽しみいただければ幸いです。


第54話:合同戦闘訓練第1試合‐その2‐

鱗飛竜(ロンウェイヅゥ)side

 

「私を囮に奇襲を仕掛けた上、失敗して投獄…!?」

「あぁ、なんて罪深き所業でしょう。鞭打ちの刑を受けてもらい、己(おの)が過ちを悔い改めて戴かなくては…」

 

 宍田(ジェボーダン)、円場(ツブラバ)の脱落と、その経緯を聞くや否や、口に手を当てながらそんな事を口走る塩崎(ヴァイン)。

 敬虔だったり、正攻法を好むのは塩崎(ヴァイン)の美徳だとは思うけど…今はそんな事を言っている場合じゃないだろう…。

 

「とりあえず、鞭打ちの件は置いておこう。今肝心なのは、この不利な戦況からどうやって逆転するか…だ」

「…そのとおりですね。今は勝利する事を最優先に考えなくては……」

 

 俺の言葉で気を取り直し、思考に没頭する塩崎(ヴァイン)。やがて―

 

「A組と比較して我々が勝っている点は…1つ、『広範囲かつタイムラグ無しの索敵が行える』。2つ、『広範囲攻撃が行える』。3つ、『相手の射程外からの射撃攻撃が行える』。この3つです」

「この3つを活かした戦術を考え、実行するべきかと」

 

 纏めた考えを発表してくれた。

 

「索敵自体は口田(アニマ)も行えるが、操った動物を介して行う以上、タイムラグが発生する。塩崎(ヴァイン)の『ツル』ならそれも無い…。よし、方向性は纏まった」

 

 俺達2人に出来る事、出来ない事を考慮に入れ、作戦を整えていく。見てろよ…逆襲はここからだ!

 

「教えてあげなくては…謀(はかりごと)は穢れに通ずる事、そして正しき道を歩む者だけに神は微笑むと言う事を…」

 

 ……大丈夫だよな?

 

 

心操side

 

 気絶した宍田(ジェボーダン)を『激カワ据置プリズン』に投獄した後、俺達4人は残る2人…鱗(ロンウェイヅゥ)と塩崎(ヴァイン)が、どう動くかを話し合い―

 

「…と、あの2人は考えている筈だ」

 

 俺は2(・)人(・)が(・)ど(・)う(・)考(・)え(・)て(・)い(・)る(・)か(・)、そして取るであろう作戦を予想し、皆に伝えていた。

 

「そうね。2人の出来る事、出来ない事、数的不利、残り時間…それら全てを考慮したら、そう動く確率が一番高いわね」

「すげぇな心操。そこまでの予想、俺にはとても無理だ!」

「心操君は立派な指揮官になれると思う」 

「コピーした緑谷の分析ノートを、穴が開くほど読み込んだ結果だ。この程度の予想、緑谷や吸阪なら文字通り朝飯前だよ」

 

 切島(烈怒頼雄斗)や口田(アニマ)の声にそう答えながら、俺は外套(クローク)のフードを深く被り、腰のベルトに備え付けたポーチからあ(・)る(・)物(・)を(・)取(・)り(・)出(・)し(・)、準備を整える。

 

「ッ!?」

「クルル…」

「感謝します」

 

 その時飛んでくる数羽の鳩。口田(アニマ)が偵察に飛ばしていた鳩が戻ってきたか。さぁ、敵はどう動いている?

 

「正面から塩崎さんと鱗君!!」

「ツルで広範囲を探りながら、こっちに向かってる。この子達が近づいたら、鱗君に攻撃されて追い払われたって!!」

「索敵の範囲は!?」

「半径90m弱! 今(・)の(・)塩(・)崎(・)さ(・)ん(・)が(・)出(・)来(・)る(・)最(・)大(・)範(・)囲(・)だよ!!」

 

 口田(アニマ)の言葉に俺は頷きつつ、薄く笑みを浮かべた。俺の予想通りに、あいつらは動いている。

 

「心操ちゃんの予想通りね。茨ちゃんの『ツル』で広範囲を索敵しつつ、最短距離を突撃。接近してきた目標を鱗ちゃんの遠距離攻撃で迎撃しつつ…」

「俺達が射(・)程(・)に(・)入(・)っ(・)た(・)ところで、塩崎(ヴァイン)が広範囲攻撃で一網打尽。効率的な作戦だよ」

 

 蛙吹(FROPPY)のそう答え、俺達は動き出す。吸阪風に言うなら…さあ、ショータイムだ。かな?

 

 

塩崎茨(ヴァイン)side

 

「結界内に侵入を確認。数4。1つに纏まり、こちらへ向けて接近中」

「来たな…塩崎(ヴァイン)! 打合せ通りに頼む!」

「かしこまりました!」

 

 鱗さん(ロンウェイヅゥ)の声に答え、私は己の“個性”である『ツル』の髪を全力で操作します。

 我が結界であるヴィア・ドロローサ。その間合いは最高で半径86m。この範囲内にいる限り、敵がどれだけ素早く、静かに近づこうとも即座に感知し、捕えてみせましょう! 

 

「そこです! 磔刑(クルセフィクション)!」

 

 そして発動する磔刑(クルセクフィクション)。完璧なタイミングで発動出来た為、4人全員を一網打尽に…

 

「これは…4人捕らえた筈、何故1人にっ!?」

 

 磔刑(クルセフィクション)の中、確かに4つあった反応が突然1つになった。その事に私は動揺を隠せず…同時に怒りの感情が湧きあがりました。

 

「原理はわかりませんが、卑劣な謀(はかりごと)をっ!」

 

 声を張り上げながら戒めを強める為、『ツル』を操作しようとしたその時!

 

「烈怒守吠羅流刃烈斗(レッドスパイラルバレット)!!」 

 

 磔刑(クルセフィクション)を一気に突き破り、こちらへ突っ込んできたのは切島さん(烈怒頼雄斗)!?

 

「どうなってんだよっ!?」

 

 予想外の事態に動揺しつつも、鱗さん(ロンウェイヅゥ)が私を庇う様に動き―

 

「芽鱗(がりん)!!」

 

 両手から鱗を弾丸のように連射して迎撃を試みますが、高速で回転する切島さん(烈怒頼雄斗)は、次々と命中する鱗を容易く弾き飛ばし、こちらへ向かってきます。

 

「ちぃっ!」

 

 間一髪! 鱗さん(ロンウェイヅゥ)が私を抱き抱えて移動した為、切島さん(烈怒頼雄斗)の突撃を回避する事が出来ましたが…

 

「のわぁっ!」

「は、鳩達よ! 操られてはなりません!」

 

 間髪入れず飛来した鳩の群れが私達へ殺到! 私達はその場へ釘付けとなってしまいました。

 1秒、いえ0.5秒でも鳩達の動きが治まれば“個性”が使えるのですが、この状況ではどうする事も!

 

「ぐはぁ!」

 

 その直後、苦悶の声をあげながら吹き飛ばされていく鱗さん(ロンウェイヅゥ)。

 鳩達が飛び去り、視界が開けたことで、その理由が口田さん(アニマ)の構えた銃によるものだとわかりましたが、今それが分かったところでどうにもなりません。

 

「2対1…いえ、3対1ですか」

 

 今、私の前には口田さん(アニマ)と蛙吹さん(FROPPY)。そして、少し離れていますが背後には切島さん(烈怒頼雄斗)。

 心操さんの姿は見えません…どこかに隠れているのでしょうか?

 

「悪い事は言わないわ。投降してちょうだい」

「ご冗談を、B組の一員として投降など―」

 

 その瞬間、私の意識は途切れ…次に目覚めた時には、A組側の『激カワ据置プリズン』に入っていました。いったい何が起きたと言うのでしょう…神よ、願わくば、私にこの状況を理解する知恵をお与え下さい…。

 

「第1試合! ぐぬぬぬぬぬ…A組の勝利!」

 

 

心操side

 

「ふぅ…」

 

 ブラドキング先生が悔しそうに発した試合終了のコール。それを聞きながら、俺は小さく息を吐いた。

 たしかに俺の予想が的中し、作戦も上手く嵌った。だが、それは蛙吹が宍田の不意打ちを読んでいたおかげであり、緑谷の分析ノートのおかげでもある。

 俺1人だったら、ここまで上手くやる事が出来ただろうか…多分、無理だ。

 

「俺もまだまだだな…」

 

 半ば自嘲するように呟き、更なる精進を心に決めていると―

 

「何言ってんだよ! 心操!」

 

 そう言われながら、切島に思いっきり背中を叩かれた。

 

「あのダミーバルーンだっけ? あんな囮を使って、塩崎の探知を欺くなんて事、俺にはとても思いつかねぇ! 凄い事やったって皆感心してる筈だぜ!」

「ペルソナコードで蛙吹さんの声を再現しただけじゃなく、その外套で透明化する念の入れよう。きっとB組は何が起きたのかもわからず、混乱しているよ」

「そうね。この試合の後半は、まさに心操ちゃんの独壇場。MVP間違いなしね」

 

 切島、口田、蛙吹から口々に賞賛され、俺は思わず上を向いた。そうしないと涙が零れそうだったから…。

 

 

ブラドキングside

 

 試合を終え、戻って来た4人の前に立った俺は―

 

「試合の反省点だが、もう自分達でわかっているな?」

 

 そう問いかけた。黙って頷く4人。

 

「宍田を軸にするか、塩崎を軸にするか、チーム内での統率が取れていれば、ここまで一方的な内容にはならなかった筈だぞ!」

「宍田、たしかに塩崎は人を欺くような行為を嫌う。だが、キチンと話をしていれば、受け入れていたかもしれない。間違った配慮は自分だけでなく、味方にも危機を招く事を自覚するように!」

「申し訳ありません! 私が心得違いをしておりました!」

「塩崎も、正々堂々を心掛ける姿勢は好ましいが、現場では時として策を弄する必要もある事を理解するように!」

「己が未熟を痛感しております…」

「円場と鱗、お前達はもっと積極性を出すべきだったな。宍田と塩崎、どちらかに付いて行くのではなく、2人の意見を擦り合わせる事も出来たはずだ」

「はい」

「すみませんでした」

「各自、今回の反省点を次回に活かすように!」

 

 一礼し、戻っていく4人を見送り、俺はマイクを掴む。

 

「それでは、第2試合を開始する! 出場チームは準備を!」

 

 

八百万(クリエティ)side

 

 とうとうこの時がやってきましたわ。B組委員長である拳藤さんとの直接対決。

 私…今の彼女に対し、一言、いえ二言…五言……十言ほど言いたい事が溜まっております。

 だから、この合同戦闘訓練の場を借りて…彼女に荒(・)療(・)治(・)を(・)施(・)し(・)ま(・)す(・)!

 必要ならば心を鬼にする覚悟。拳藤さん、お覚悟はよろしくて?




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
合同戦闘訓練。第2試合以降の組み合わせは以下のようになります。

第1試合(終了) 〇A組(切島、口田、心操、蛙吹) 4-0 B組(宍田、円場、鱗、塩崎)×
第2試合 A組(青山、常闇、葉隠、八百万)vsB組(黒色、吹出、拳藤、小森)
第3試合 A組(飯田、尾白、障子、轟)vsB組(回原、鉄哲、骨抜、角取)
第4試合 A組(砂藤、吸阪、瀬呂、耳郎)vsB組(泡瀬、鎌切、凡戸、取蔭)
第5試合 A組(緑谷、峰田、芦戸、麗日)vsB組(庄田、物間、小大、柳)
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