出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

80 / 112
お待たせしました。
少し短いですが、お楽しみいただければ幸いです。


第56話:合同戦闘訓練第2試合‐その2‐

拳藤一佳(バトルフィスト)side

 

「ま、まだまだ…」

 

 そう言いながら、両足に力を込めて立ち上がったけど…この後どう動くべきなのか、まったくわからずにいる。

 簡易外装腕(あんなもの)を用意していた事から考えて、八百万(クリエティ)はこっちの作戦を()()()()()()()()()と見て間違いない。

 そうだとするならば、()()()()()()()()()()()()()()()? 私が不意打ちを仕掛ける事を? 黒色(ペンタブラック)常闇(ツクヨミ)黒影(ダークシャドウ)を操る事を? それとも…

 

「はい、了解しました。拳藤さん(バトルフィスト)。今、常闇さん(ツクヨミ)黒色さん(ペンタブラック)を撃破。『激カワ据置プリズン』へ投獄したそうです」

「なっ!?」

 

 悪い考えばかりが次々と浮かぶ中、八百万(クリエティ)から掛けられた声に、思わず息を呑む。間違いない。八百万(クリエティ)は、こっちの作戦を一から十まで読んでいる!

 

「だとしたら…」

 

 私の取るべき行動は、ただひとつ!

 

八百万(アンタ)を倒して、仲間と合流する!」

 

 “個性”を発動しながら、真正面から殴り掛かる。いくら八百万(クリエティ)でも、試合開始までの短時間で簡易外装腕(あんなもの)を幾つも用意は出来ない筈!

 トリックが品切れなら、格闘(とくい)分野に持ち込んだ私の方が有利! 速攻で片を付ける!  

 

「甘いですわ!」 

「ッ!?」 

  

 だけど、その考えは甘かった。()()()()八百万(クリエティ)は纏っていたマントを投げつけ、視界を塞ぐ事で私の一撃を回避。

 そして、私がマントを振り払った時には― 

 

「お覚悟を」

 

 その手には散弾銃(ショットガン)が握られていた。

 

「くぅっ!」

 

 咄嗟に防御を固めた直後、連続して火を噴く散弾銃(ショットガン)。私の防御は3発目で突破され、無防備となったボディに容赦無く散弾が撃ち込まれていく。

 

「げほっ…」

 

 腹部に連続で受ける強烈な衝撃。私は逆流した胃液を口から零しながら、地面を転がり…

 

「…弱くなりましたね。拳藤さん」

 

 八百万(クリエティ)から、まるでゴミを見るような視線を浴びながら、そう吐き捨てられた。

 

 

雷鳥side

 

「八百万もやるねぇ」

 

 拳藤を圧倒する八百万に心の中で拍手を送っていると―

 

「そんな、嘘だろ…拳藤が圧倒されるなんて…」

「誰だよ、八百万は接近戦が苦手なんて言った奴…」

 

 B組から聞こえてくるのは驚きの声。仕方ない、()()()()()()()()()

 

「おいおい、八百万はまだ()()()()()()()()()ぞ」

「なっ…!?」

「八百万が本気だったら、最初の拳銃(ハンドガン)乱射の時点で拳藤を戦闘不能にしてる。どうやら、八百万には何か考えがあるようだな」

 

 俺の言葉に顔を青くしながら黙り込むB組を尻目に、俺は観戦を再開する。

 おそらく、八百万は拳藤に発破を掛けるつもりなんだろう。上手くいけば良いんだが…

 

 

八百万(クリエティ)side

 

「…弱くなりましたね。拳藤さん」

 

 弾切れとなった散弾銃(ショットガン)*1を投げ捨て、新たな銃を創造しながら、そう口にすると…

 

「…弱くなった? 馬鹿な事を、言ってくれるね」

 

 震える脚へ必死に力を入れながら立ち上がった拳藤さん(バトルフィスト)が、口から零れた胃液を手で拭いながらそう反論してきました。

 

「残念ながら、事実だと考えております。貴女は…弱くなった」

「そ、そんな事! 私達だって、毎日厳しい鍛錬を重ねているんだ! 強くなりこそすれ、弱くなるなんて―」

「私が言っているのは、身体面(フィジカル)技術面(テクニック)の事ではありません。精神面(メンタル)の事です」

「ッ…」

 

 私の指摘に黙り込む拳藤さん(バトルフィスト)。その弱々しい姿に心が痛みますが、私は心を鬼にして言葉を紡いでいきます。

 

「拳藤さん、貴女と鉄哲さんは寮生活が始まって2日目の夜、轟さんを訪ねて来て…林間合宿での一件を土下座して謝られました。その時に、轟さんが何と言ったか覚えていますか?」

「それは…」

「轟さんはこう言いました―」

 

 -(ヴィラン)に拉致されたのは、俺が弱かったからでもある-

 -あの時、俺がもっと強ければ別の方法を取る事も出来た。だから、お前達だけが悪い訳じゃない-

 -お互い、良い教訓が出来たって事で、この話は終わりにしよう-

 

「被害者である轟さんが、こう言って前を向いているというのに、貴女も鉄哲さんも過ぎた事をいつまでもウジウジと!」

「挙句の果てには、仮免試験不合格。その後も精彩を欠き続ける始末…一体いつまでいじけているつもりですか!」

「貴女達が無様な姿を晒せば晒すほど、轟さんにも迷惑がかかる事をいい加減に自覚なさい!」

「そして……雄英体育祭や職場体験の時のような堂々とした貴女に、()()()()()()()()()()()()()貴女に戻ってください!」

 

 心の中に溜め込んでいた事を粗方叫んだところで、私は自分が泣いている事に気づきました。感情の高ぶりを抑えられないとは…わたくしもまだまだ未熟ですね。

 

「………悪かったね、八百万」

 

 私が自らの未熟を反省していると、拳藤さん(バトルフィスト)がそう言いながらゆっくりと立ち上がり、構えていました。

 

「アンタにそこまで言わせた事。心底反省してる。そのお詫びに…アンタに勝つよ」

「やれるものなら」

 

 その目は先程とは違っていて…どうやら、吹っ切れたみたいですわね。

 私は静かに笑みを浮かべながら、創造した拳銃(ハンドガン)2挺を両手に持ち…

 

「いくよ!」

「どこからでも!」

 

 向かって来る拳藤さん(バトルフィスト)を迎え撃ちます!

 

 

小森希乃子(シーメイジ)side

 

「うわー、きのこが、きのこが、はえてきたー!」

「シルエットみえちゃうー! はずかしー!」

 

 吹出(コミックマン)が作った擬音(オノマトペ)の壁。その向こうから聞こえてくるA組の焦った声に、笑いが止まらない。

 今頃、全身茸まみれになって動けなくなっているノコ!

 

「うわー、きのこが、きのこが、はえてきたー!」

「シルエットみえちゃうー! はずかしー!」

 

 ……ん?

 

「ねぇ、小森(シーメイジ)。気のせいかもしれないけど、A組…さっきから()()()()()()()()()()…よね?」

 

 ふと脳裏に浮かんだ嫌な予感。それは吹出(コミックマン)の言葉で確信に変わったノコ!

 

「この声は…()()()()()()()ノコ!」

吹出(コミックマン)! すぐに移動するノコ! A組が何か仕掛けてくるかも―」

「うわー、きのこが、きのこが、はえてきたー!」

「シルエットみえちゃうー! はずかしー!」

 

 私の声を遮るようにすぐ近くから聞こえてきた声。慌てて周囲を見回すと―

 

「うわー、きのこが、きのこが、はえてきたー!」

「シルエットみえちゃうー! はずかしー!」

 

 数m頭上を玩具サイズのロボット烏が飛び回っていた。その両足には玩具サイズのロボット猿が掴まっていて…ロボット猿(アイツ)が声を出していたノコ!

 

「茸まみれにして、撃ち落としてやるノコ!」

 

 すぐさま拳銃型の胞子噴霧器(サポートアイテム)をロボット烏に向け、発射しようとした瞬間―

 

Balle magique de lumière(光の魔弾)!」

 

 ()()()()()()()()()レーザーをまともに食らって、私は吹っ飛ばされてしまったノコ…

 気を失う寸前、攻撃の放たれた方向に目をやると、そこには下半分が十字に開いた機械が幾つも浮いていたノコ。

 あれがレーザーを反射して、壁の向こうからの曲射を可能にしたノコ?

 

「そんなの…反則、ノ、コ…」

 

 

吹出漫我(コミックマン)side

 

小森(シーメイジ)!」

 

 10mと離れていない所にいた小森(シーメイジ)が、レーザーに吹っ飛ばされる光景に、思わず叫びながら駆け寄っていく。

 倒れたまま動かない小森(シーメイジ)。だけど、大した怪我はしていないみたいで、気絶しているだけみたいだ。

 

「よかった…」

青山君(Can't stop twinkling)がそんなヘマする訳ないよ。ちゃんと出力調整してるんだから」

 

 安心したのも束の間。()()()()()()()()()()()に慌てて振り返り―

 

「んぐっ!?」

 

 ピンポン玉サイズの赤いボールを連続で顔面に食らってしまった。そして、ボールに充填されていたのは…トリモチ!

 

「むー! むむー!」

 

 顔面トリモチだらけになって…声が、声が出せない!

 

「ちょっと卑怯だけど、ごめんね!」

 

 そして葉隠(インビジブルガール)の声が聞こえた直後、俺はボコボコにされ…倒れてしまった。

 

「ブイ!」

 

 

常闇(ツクヨミ)side

 

 黒色(ペンタブラック)を『激カワ据置プリズン』へ投獄した俺は加勢の為、一番近くにいた八百万(クリエティ)の元へ馳せ参じた訳だが…  

 

「加勢は…必要なかったようだな」

 

 俺が到着した時、勝負は八百万(クリエティ)の勝利で終わっていた。

 

拳藤さん(バトルフィスト)が吹っ切れた後は苦戦しましたが、先にダメージを与えていた事が幸いしました」

 

 そう言って笑う八百万(クリエティ)は、ダメージを負いながらもまだまだ余力を残した状態。

 一方、敗北した拳藤(バトルフィスト)の方は…気絶しているが、こちらもどこか満足気だ。

 

「良い戦いが出来たようだな。戦いの中で築かれる絆…実に尊く、眩いものだ」

 

 俺がそう呟いている最中、青山(Can't stop twinkling)葉隠(インビジブルガール)から、それぞれ目標を撃破したとの連絡が入り―

 

「第2試合! ぐぬぬぬぬぬ…A組の勝利!」

 

 4人全員を投獄した我々が、勝利を手にするのだった。

*1
作動方式はポンプアクション。口径は12ゲージ。装弾数は7発




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
合同戦闘訓練の状況は以下のようになっております。

第1試合(終了) 〇A組(切島、口田、心操、蛙吹) 4-0 B組(宍田円場塩崎
第2試合(終了) 〇A組(青山、常闇、葉隠、八百万) 4-0 B組(黒色吹出拳藤小森
第3試合 A組(飯田、尾白、障子、轟)vsB組(回原、鉄哲、骨抜、角取)
第4試合 A組(砂藤、吸阪、瀬呂、耳郎)vsB組(泡瀬、鎌切、凡戸、取蔭)
第5試合 A組(緑谷、峰田、芦戸、麗日)vsB組(庄田、物間、小大、柳)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。