出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
お楽しみいただければ幸いです。


第58話:合同戦闘訓練第3試合‐その2‐

出久side

 

轟君(アブソリュート)…凄い!」

 

 第3試合開始と同時に竜装形態(ドラグーンフォーム)を発動した轟君(アブソリュート)

 そのまま間髪入れずに竜の咆哮(ドラゴンロアー)を放った訳だけど、その威力は今までのそれを大きく上回っていた。

 

竜装形態(ドラグーンフォーム)発動によって、高温及び低温の温度操作の幅が広がり、それが威力の上昇に繋がった? だとすると…」

「緑谷、声」

「緑谷君、声が漏れてるよ」

「えっ!?」

 

 耳郎さんと麗日さんからの指摘で、思考に夢中になる余り、声が出ていた事に気づく。あぁ、またやってしまった。

 なかなか直らない悪癖を反省していると―

 

「轟…あんなの、アリかよ…」

「て、鉄哲達は無事なのか!?」

「だ、大丈夫! 4人とも生きてる! 生きて…あぁっ! 4人が分断された!」

「鉄哲! 逃げろぉ! あんなの…あんなの相手に、()()()()()()()()()()!」

 

 B組の皆は半ばパニックを起こし、悲痛な声を上げていた。 

 ………気持ちは解らないでもないけど、冷静さを欠き過ぎじゃないかな? そんな風じゃ―

 

「皆、落ち着いて!」

 

 そんな僕の思考を打ち切ったのは、拳藤さんが発した声。その大声にB組の皆も たちまち黙り込んだ。

 

 

拳藤side

 

「皆、たしかに轟のアレは、ヤバイくらい恐ろしいと思う。私も…鳥肌が収まらない」

「だけど、鉄哲が前に進む為には…逃げちゃいけないんだ。もしも逃げたら…鉄哲は、ヒーローとしての資格を()()()()()()()()!」

「信じよう! 鉄哲を! 鉄哲なら絶対にこのピンチを乗り越えてくれる筈。“Plus Ultra(更に向こうへ)”だよ!」

 

 最初の大声で黙り込んだクラスメート達に、私は自分の思いを真正面からぶつけていく。すると…

 

「そう、そうだよな。ヤバイ相手だからって、何もせずに尻尾巻いて逃げるなんて、ヒーローを目指す者として失格だよな」

「ファイトですぞ! 鉄哲氏! 今こそ“Plus Ultra(更に向こうへ)”の時ですぞ!」

「鉄哲! 頑張るノコ!」

「鉄哲だけじゃねぇ! 回原! 骨抜! 角取! 全員ファイトだ!」

 

 さっきまでの悲痛な雰囲気から一変。皆が一斉に鉄哲達を応援し始めた。

 鉄哲(リアルスティール)回原(スパイラル)骨抜(マッドマン)ポニー(ロケッティ)。皆頑張れ! 私達がついてるよ!

 

 

回原(スパイラル)side

 

 尾白(テイルマン)によって仲間から離された俺は、一刻も早く仲間と合流する為―

 

「オラオラオラァッ!」

 

 “個性”全開で尾白(テイルマン)に攻撃を仕掛ける! 回転数MAXで放つドリルパンチやドリルキックは、まず防御不可能! 速攻で片を付けて―

 

「はぁぁぁっ!」

「ちぃっ!」

 

 やる筈だったけど、尾白(テイルマン)は両手に装備したトンファーを巧みに操って、俺の攻撃を捌き続ける。

 何なんだよ、そのトンファー! 俺の攻撃を防ぎ続けているのに、傷一つ付かない! それどころか、こっちの指先に装着した金属製サックの方がダメージを負って、ヒビが入る始末だ。

 

「仕方ない!」

 

 俺はわざとドリルキックを防がせ、その反動を使って尾白(テイルマン)から距離を取ると、金属製サックを予備の物に取り替える為、ポーチに手を伸ばす。

 

「させるか!」

 

 すると尾白(テイルマン)は、両手のトンファーを咄嗟に持ち替え、まるでブーメランの様に時間差で投げつけてきた。()()()()

 

「そう来る事はお見通し!」

 

 俺はドリルキックで飛んできたトンファーを明後日の方向に蹴り飛ばし、素早く金属製サックを予備の物と交換する。

 これで尾白(やつ)は武器を失った! そのうえこっちは装備交換完了。天秤はこっち有利に傾いたぜ!

 

「っ!」

 

 尾白(テイルマン)も己の不利を悟ったんだろう。()()()()()()()で、跳びかかってきた。

 いいぜ、そっちが覚悟を決めているなら、こっちも正面から受けて立つまでだ。

 

「はぁっ!」

 

 気合と共に回転し、その勢いを乗せた尻尾の一撃を放つ尾白(テイルマン)。恐らくアレが、今のアイツの放てる一番威力が高い攻撃。

 だが、今の俺なら十分に対応出来る。左のドリルパンチで尻尾の一撃を弾き、右のドリルパンチを叩き込んで勝負を決める!

 

「もらったぁ!」

 

 100%の確信を持って放った左右のドリルパンチ。これが決まって勝負あり。その筈だった。

 

「がはっ…」

 

 だけど、攻撃を受けたのは俺の方。なんで…尾白(テイルマン)()()()()()()()()()!?

 その疑問に尾白(テイルマン)が答える事は無く―

 

「尾白流格闘術! 回転三連撃!!」

 

 俺は連続攻撃を受け、吹っ飛ばされてしまう。

 

「テイルスピア…やっぱり、発動すると痛いなぁ」

 

 意識が途切れる瞬間…そんな声が聞こえた気がした。

 

 

角取ポニー(ロケッティ)side

 

障子クン(テンタコル)sorry(ごめんね)。私、aquarium(水族館)でいつもoctopus()見ない。Through(無視する)、苦手」

「…怖がられるのは慣れている」

「だから、一気にSend to prison(牢屋へ送る)。勝負ツケルネ!」

「望むところだ」

 

 障子クン(テンタコル)とソンナ会話を交わし、私ハ“個性”を発動。角を最大操作数ノ4本飛ばしテ…

 

「THNDER HORN!!」

  

 Broadside(一斉攻撃)! 4本の角はそれぞれ別ノ軌道を描キ、障子クン(テンタコル)へ襲いカカルネ!

 

「変幻自在の軌道…だが、()()()()()

 

 だけど、障子クン(テンタコル)も流石ネ。背負っていたshield()を左手ニ持ち、向かってくる角を時に弾き、時に往なして、凌ぎ続けテル。

 

「だけど…防ぐダケでは勝てないネ!」

 

 私は4本の角を一ヶ所に集結サセルと、盾で凌げナイよう一点集中攻撃! どんなに強固なshield()でも弾き飛ばしてミセルよ!

 

「それを待っていた」

 

 だけど、障子クン(テンタコル)は全く動じる事ナク…それどころカ、shield()を巨大なmace(鎚矛)に変形させるト、両腕ニ複製腕を組み合ワセタ巨大な2本の腕で持ち上ゲ…

 

海魔の鎚矛(クラーケンメイス)

 

 全力の振り下ろしで4本の角を一気に叩き落シ、その内3本を()()してミセタ…信じられないpower()ね…。

 

「だけど、まだ―」

 

 角は1本残ってると続けたかったケド…それは無理ダッタね。

 障子クン(テンタコル)war hammer(戦槌)の持ち方を変エテ、力を込めた途端…mace(鎚矛)は巨大なpliers(プライヤー)に変ワリ、動こうとした角を挟み込んで、()()()()()()()()()よ…

 

That's possible(そんなのあり)!?」

「あぁ、ありだ」

 

 この後、私ハ角が生え変ワルまでの時間を稼ぐ事ガ出来ず、障子クン(テンタコル)に捕まって、『激カワ据置プリズン』に投獄されてしまったネ…。

 

 

骨抜柔造(マッドマン)side

 

「くそっ、放せ! 放せよ! 飯田(インゲニウム)!」

「断固として断る!」

 

 タックルを仕掛けてきた飯田(インゲニウム)は、俺に組み付いたままどんどん加速。俺を鉄哲達から離していく。

 駄目だ! 両手が使えれば対処の仕様があるんだが、飯田(インゲニウム)もその辺りは考慮済み。両手はしっかりと掴まれていて、ビクともしない!

 そうしている間にも、飯田(インゲニウム)は更に加速し―

 

骨抜君(マッドマン)! 君の“個性”は、地上戦では厄介極まりない! だから、君と戦う時は時間的余裕も自由も与えない速攻勝負!」

「なおかつ! 地上ではなく、()()()()()()()!!」

「なっ!?」

 

 遂には背中の推進装置(スラスター)を使って、空中へと飛び上がった!

 

「噓、だろぉ!」

「インゲニウムは陸だけでなく、()()()()()()()()()()!」

 

 そう言いながら一気に50m近く上昇した飯田(インゲニウム)は―

 

「うぉぉぉぉぉっ!!」

 

 自分を起点に猛烈な勢いで大回転!

 

「ぬぁぁぁぁぁっ!」

 

 5回転、10回転…竜巻の様な勢いで振り回され続けた事で、平衡感覚を完全に奪われた俺は、その勢いのまま投げ飛ばされ…

 

「レシプロ! ストォォォムッ!」

 

 空中で不様にバタつきながら、飯田(インゲニウム)の必殺キックを叩き込まれた。

 

「ち、くしょ…」

 

 車に撥ねられた猫のように宙を舞い、地面へと落下していく途中で…飯田(インゲニウム)が俺を回収。そのまま『激カワ据置プリズン』へ連行されていくのを感じながら、俺は意識を失った。

 目を覚ました時、鉄哲(リアルスティール)回原(スパイラル)角取(ロケッティ)へどう謝ろうか考えながら…

 

 

鉄哲徹鐵(リアルスティール)side

 

「人が気にするなって言ってるのに、いつまでもウジウジしやがって…」

「お前…いつから()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

「な…」

「後悔させてやるよ…舐めた態度を取り続けた事をな」

 

 (ヴィラン)顔負けの殺気を撒き散らしながら、一歩また一歩と(アブソリュート)が近づいてい来る。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

 

 火傷しそうなほどの熱気がぶつけられているのに、冷や汗が止まらない。

 頭の中で『逃げろ』って言葉が何十、何百と浮かんでくる。出来る事なら今すぐ逃げ出したい。だけど…背中を見せたら、間違いなく…撃たれる!

 

「う、う…うわぁぁぁぁぁっ!」

 

 悲鳴じみた声を上げながら、俺は(アブソリュート)に殴りかかる。何か勝算があった訳じゃない。だけど…その場に留まっても、逃げてもやられる! だったら!

 

「ビビった挙句に自棄起こして突撃…ふざけんな!」

 

 だけど、その選択は(アブソリュート)の怒りに火を注ぐだけの…大間違いだった。

 

「攻撃が大振りで隙だらけ!」

「がはっ…」

「ただ硬いだけで、工夫が無い!」

「ごほっ…」

「“個性”頼りのつまらねぇ戦い方だ!」

「げぼっ…」

 

 一方的に殴られ、蹴られ、無様に地面を転がる…強ぇ…わかっていたつもりだったけど、こんなに…力の差があるのかよ。

 

「お前、雄英体育祭前に言ってたよな…」

 

 -A組だけがヒーロー科じゃねぇんだぞ! 俺達B組も忘れてもらっちゃあ困るぜ、おい!-

 

「デカイ口叩いておいてこの様か? お笑いだな」

 

 (アブソリュート)から嘲笑われても、何も言い返せない…ちくしょう…俺は、俺はこの程度なのかよ…

 

「お前…何の為にヒーロー目指してんだ?」

「な、んの為…」

「お前にだってあるんだろう! 自分の思い描く理想(ヒーロー)が! 理想(ヒーロー)像があるなら、いつまでもウジウジしてねぇで、全力で目指せよ!」

 

 自分の思い描く理想(ヒーロー)…俺は…

 

「鉄哲! 頑張れー!」

 

 …ん?

 

「鉄哲! 立て! 立つんだ!」

 

 微かに聞こえてくる…この声って…

 

「負けるなー! 鉄哲ぅ!」 

「B組の意地、見せてやろうぜ! 鉄哲!」

 

 間違いない! 皆だ!

 

「鉄哲! ファイト!」

「鉄哲さん!」

 

 B組の皆が、俺を応援している!

 

「ファイトですぞ! 鉄哲氏! 今こそ“Plus Ultra(更に向こうへ)”の時ですぞ!」

「鉄哲! 頑張るノコ!」

 

 マイクまで使って…こんな俺を!

 

「鉄哲! 私だって立ち直れたんだ。アンタだって絶対出来る!」

 

 拳藤! お前も…そう言ってくれるのか!

 

「鉄哲…B組の奴らがお前をこれだけ信じているのに…お前がお前を信じなくてどうする」

「そうか…()()()()()かよ。悪いな、轟。俺…馬鹿だからさ。ここまで御膳立てされないと、わかんなかったぜ…」

 

 徹底的にボコボコにされて、体中ボロボロ…正直、立ってるのがやっとだ。だから…

 

「この一発で…」

「この一発で…勝負だぁぁぁっ!!」

 

 残る力全てをこの一撃に籠める!

 

「…来い!」

「うぉぉぉぉぉっ!」

 

 

(アブソリュート)side

 

 俺の()()()とB組の声援で、ようやく立ち直った鉄哲(リアルスティール)

 その最後の力を振り絞った一撃を、俺は正面から受けて立ち―

 

「轟…お前、良い役者になれるぜ」

「俺がなるのはヒーローだ」

「だよな…」

 

 鉄哲(リアルスティール)が崩れ落ちた事で勝負がついた。

 

「20分経過! 第3試合終了!!」

「投獄数…3-0。A組の勝利!!」

 

 ブラドキング先生の声が響き、“個性”を解除した瞬間…強烈な眩暈(めまい)が襲ってきた。

 

「くそっ…」

 

 思わず膝を突きそうになったその時、背後から伸びた手が俺を支えてくれた。

 

「大丈夫か? 轟君」

「委員長…悪い、助かった」

「やはり相当な無理をしていたか…」

「あぁ…初手の竜の咆哮(ドラゴンロアー)で少々無理し過ぎた…それに鉄哲の一発が、結構効いた」

「まったく…委員長として、そんな無茶をした君を叱らなければならない! だが…鉄哲君は、立ち直れたのかい?」

「あぁ…もう大丈夫の筈だ」

「そうか…ならばその点を考慮して、叱るのは無しにしよう!」

「……随分と柔軟な思考だな」

「僕だって成長してる! いつまでも四角四面なだけじゃないさ!」

 

 飯田の肩を借りて歩きながら、そんな事を話していく。吸阪の言っていた完全勝利とはいかなくなったが…きっとこれで、良かった筈だ。 




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
合同戦闘訓練の状況は以下のようになっております。

第1試合(終了) 〇A組(切島、口田、心操、蛙吹) 4-0 B組(宍田円場塩崎
第2試合(終了) 〇A組(青山、常闇、葉隠、八百万) 4-0 B組(黒色吹出拳藤小森
第3試合(終了) 〇A組(飯田、尾白、障子、轟) 4-1 B組(回原、鉄哲、骨抜角取
第4試合 A組(砂藤、吸阪、瀬呂、耳郎)vsB組(泡瀬、鎌切、凡戸、取蔭)
第5試合 A組(緑谷、峰田、芦戸、麗日)vsB組(庄田、物間、小大、柳)
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