出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2   作:SS_TAKERU

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お待たせしました。
少し短いですが、お楽しみいただければ幸いです。


第60話:合同戦闘訓練第4試合‐その2‐

オールマイトside

 

「うーむ…」 

 

 モニターに映し出されている第4試合を見ながら、思わず声が漏れる。

 これまでの3試合もA組が圧倒していたが、この試合は文字通り()()()()

 

「というか、吸阪少年。いくら何でも()()()()じゃないかな?」

 

 言い方は悪いが、B組(相手)は格下。訓練に本気で取り組むのは当然の事とはいえ、()()()()()()()()()()()()()()()()のは…

 

「あの、オールマイト」

 

 そんな事を考えている私に、緑谷少年が遠慮がちに声をかけてきたのはその時だ。

 

「どうしたのかな? 緑谷少年」

「その…非常に言い難いのですが、雷鳥兄ちゃんが全力全開なのは…()()()()()()()()()()()

「え!?」

「第1試合が始まる前、オールマイトが言ってましたよね」

 

 -どうだろうね。これまでの実績や地力で考えるなら、A組が圧倒的に有利だ。しかし……仮免試験後から今日までの()()()()()はかなりの物だ。番狂わせも十分あり得るんじゃないかな?- 

 

「あぁ、言ったね。確かに言った」

 

 脳裏を過ぎる嫌な予感を必死に否定しながら、私は緑谷少年の問いにそう答えた。だが―

 

「…雷鳥兄ちゃん、その言葉で()()()()()()()()()()()()。だから、完全勝利を目指すって…」

 

 その嫌な予感は当たってしまった。まさか私の不用意な一言が、この状況を招いたなんて!

 

「何やってるんですか…」

「八木先生、貴方ねぇ…」

「師匠にそんな事言われたら、弟子は本気になるに決まってるじゃないですか」

 

 あぁ…相澤君達の視線と言葉が、地味に痛い!

 

 

泡瀬洋雪(ウェルダー)side

 

「早業着工! ウェルドクラフト!」

 

 取蔭(リザーティ)凡戸(プラモ)を連れて自陣の方へと逃げながら、俺は手持ちの鉄骨を壁と溶接―

 

「竣工! 凡戸(プラモ)!」

「よぉぉぉしっ!」

 

 凡戸(プラモ)の接着剤と合わせる事で、通路を塞いでいく。

 

「こうやって塞いでいけば、少しは足止めになるだろ…」

 

 手持ちの鉄骨、その殆どを使って何ヶ所も通路を塞ぎ、自陣の『激カワ据置プリズン』前に陣取る。

 

耳郎(イヤホン=ジャック)に加えて吸阪(ライコウ)まで索敵可能。私が分割して行う索敵は無効化されるし、下手な待ち伏せも無意味になる」

「それだったら、こうやって背水の陣で迎え撃った方が、まだマシってもんだぜ」

 

 取蔭(リザーティ)の呟きに答えながら、俺は残していた最後の鉄骨を自分の右手に溶接し、即席のハンマーを形作る。

 

()()()()()でどこまで抵抗出来るかわからないけど…な」

 

 自虐的にそう呟いた直後―

 

「ハートビートファズ!!」

 

 耳郎(イヤホン=ジャック)の声と共に、派手な破砕音が聞こえてきた。

 

「来たか…」

 

 だんだんとこっちに近づいて来る破砕音を聞きながら、俺達3人は迎撃態勢を整える。

 

「待てよ…」

 

 その時、嫌な予感が脳裏を過ぎった。あの吸阪(ライコウ)のことだ。俺達の考えなんてとうにお見通しだろう。だとすると!

 

「拙い! 取蔭(リザーティ)! すぐに周囲を索敵してくれ!」

「えっ、でも私の索敵はすぐに…」

「そう思わせるのが、吸阪(ライコウ)の策なんだよ! 正面から来てる耳郎(イヤホン=ジャック)は囮! 本命はきっと別方向から―」

 

 戸惑う取蔭(リザーティ)にそう叫んだ瞬間、視界の隅で()()()()()()

 

「ッ!」

 

 驚きと共に、その何かを視界の真ん中で捉えた直後、俺は()()()()。何故って?

 

「そんなの…アリかよ」

 

 自陣から見える範囲で()()()()クレーンの天辺。そこに陣取った吸阪(ライコウ)が必殺技の態勢に入っていたからだよ!

 

「トールハンマー…」

「に、逃げろぉ!」

「ブレイカァァァァァッ!!」

 

 その場から退避しようとした直後、一切の容赦無く降り注ぐ電撃。俺達は一瞬で意識を刈り取られ…次に目覚めた時は『激カワ据置プリズン』に投獄された後だった。

 

「ハハ、ハハハ…相手が悪すぎるだろ」

 

 乾いた笑いを響かせながら、ガックリと肩を落とす。悔しいけど完敗…いや、勝負にすらならなかった。

 これが、平和の象徴(オールマイト)の愛弟子にして、雄英1年最強の男、吸阪雷鳥の実力…。

 

「……あんな怪物に何度もちょっかい出し続ける物間って、実は凄い奴だったんだなぁ…」

「泡瀬落ち着いて。ちょっと深呼吸しよう。なんか、思考が変な方向に行ってるよ!?」

 

 『激カワ据置プリズン』から出た俺は、焦ったような取蔭の声を背中に聞きながら、講評を聞く為にブラド先生達が待つ集合場所へと戻っていく。

 良いところ全くなしだったからな…どんな講評になるのやら…

 

 

凡戸固次郎side

 

 良いところ全く無しでズタボロにやられた僕達は、講評でどんな厳しい事を言われるのか、ビクビクしていた訳だけど…

 

「お前達! よく無事に戻ってきた! 怪我無く帰って来てくれて、こんなに嬉しい事はない!」

「えぇ…」

 

 ブラド先生は泣きながら僕達を迎えてくれたし、他の皆も口々に『よく頑張った!』『無事で何よりだ!』と声をかけてくれる。

 状況がよくわからないけど…これは凄く怒られる事は無い…のかなぁ?

 

 

「相手との実力差、そして自分達に出来る事をよく考えた堅実な戦い方だった。が、相手が悪かった。()()()()としか言いようがない!」

「皆、ごめんね…私が指揮官としてもっと上手くやれてたら、こんなダサイ事ならなかったかもしれない…」

「いやぁ、ブラド先生も言ってたけど、相手が悪かったとしか言いようがねぇよ…穴なんかありゃしない…」

「この敗北を胸に刻もうぜェ…」

「そうだよぉ、次頑張ろう」

 

 ブラド先生からの講評を聞き、僕達に謝ってきた取蔭さんを3人で励ましていく。

 次戦う時は、ちゃんと勝負になるように頑張るぞぉ!

 

 

物間寧人side

 

「吸阪雷鳥…まぁ見事な暴れっぷりで、素晴らしいじゃないか…」

 

 蟀谷(こめかみ)がひくつくのを感じながら、努めて冷静に言葉を紡いでいく。まったく…彼を筆頭にA組は()()()()()()とばかりに派手な事をやってくれる! 

 

「物間~ごめんなァ、私達も負けちゃったよ…」

「何を謝るんだい、取蔭!」

 

 肩を落として、僕に謝罪してくる取蔭にそう答え乍ら、僕は芝居がかった動作と共に喋り始める。

 

「敬愛するクラスメートが、敗北を糧に成長していく。素晴らしい事じゃないか」

「たしかにB組は4連敗している。だが、まだ僕達がいる」

「僕はね。わかってほしいだけさ。挫折も敗北も知らず、派手に目立つ事しか知らない連中と、敗北と挫折で挫けそうになり乍らも己を奮い立たせ、成長しようと足掻く者達。そのどちらに将来性があるのか」

「誰もが他人の人生の脇役であり、自分の人生の主役なんだ」

「さぁ、作戦を練ろうじゃないか。A組をギャフンと言わせるような必殺の作戦をね!」

 

 見ていたまえよ、A組! 最後に笑うのはB組(僕達)だ!




最後までお読みいただき、ありがとうございました。
合同戦闘訓練の状況は以下のようになっております。

第1試合(終了) 〇A組(切島、口田、心操、蛙吹) 4-0 B組(宍田円場塩崎
第2試合(終了) 〇A組(青山、常闇、葉隠、八百万) 4-0 B組(黒色吹出拳藤小森
第3試合(終了) 〇A組(飯田、尾白、障子、轟) 4-1 B組(回原、鉄哲、骨抜角取
第4試合(終了) 〇A組(砂藤、吸阪、瀬呂、耳郎) 4-0 B組(泡瀬鎌切凡戸取蔭
第5試合 A組(緑谷、峰田、芦戸、麗日)vsB組(庄田、物間、小大、柳)
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