出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
お楽しみいただければ幸いです。
今回、物間寧人君にとってかなり厳しい展開となりますので、ファンの方はご了承ください。
オイラは念の為、鉄塔の頂上へ上がって様子を窺った訳だけど…
「こいつは、やべぇ…」
携帯していた単眼鏡越しに見ちまったのは、
「ストップ! 一時休戦!!」
「物間の奴が…やらかした!!」
雷鳥side
「……予想通り」
モニターへ映し出される光景に俺はそう呟きながら―
「ブラドキング先生、一言お願いします」
「あ、あぁ…ま、まさか、まさか物間が、ここまで配慮に欠けた発言をするとは……」
俺の問いかけに冷や汗をダラダラと流しながら、絞りだすように声を発するブラドキング先生。
その声が最後の一押しとなったのだろう。
「私の…私のせいだっ!」
突然、拳藤がそう言いながら崩れ落ち、ボロボロと涙を零し始めた。
「私が、私がスランプなんかになって、
「違う! 拳藤が悪いんじゃねぇ! 全部の切っ掛けは俺の短慮…だから悪いのは俺だ! 俺なんだっ! 皆…すまねぇ! 本当にすまねぇっ!!」
それを見た鉄哲も土下座し、頭を地面に何度も打ち付けながら俺達への謝罪を開始して…何とも悲惨な光景だ。
「拳藤さん! 気を確かに! 心を強く持ってください!」
「頭上げろ鉄哲! 誰もお前達のせいだなんて、考えてねぇよ!」
とりあえず拳藤は八百万に、鉄哲は切島に任せておくとして…
「物間は…どうするかなぁ…」
ワン・フォー・オールを100%で発動し、巨大化したボルトやナットの山を一発で吹き飛ばした出久の姿をモニター越しに見ながら、俺は物間への反撃を考えていく。
「まぁ、
「
頭から血を流しながらも、努めて冷静に言葉を紡ぐ
「生憎、冷静な君とは戦いたくないなぁ!」
僕はそう叫びながら周囲にあるドラム缶を片っ端から『ポルターガイスト』で操作! 弾幕の様に
ダメージは期待しない。ホンの一瞬で良いから、彼の視界を塞ぐ事が出来れば手の―
「
打ちようはある。そう続けたかった僕の心の声は、強制的に打ち切られた。何故って? 飛ばしたドラム缶の全てが彼の連打で打ち返され、しかも
「………器用な真似をしてくれるね。“個性”だけじゃなく技術も優れているとでも言いたいのかい?」
「そうだね。少なくとも君よりは優れているという自負はある」
皮肉交じりの呟きが正面から切って捨てられたところで、コピーした“個性”も時間切れとなった。最早
まぁ、
「仕方ない…」
次の
そう判断した僕が
「
「実に良いタイミングだ! 待っていたよ!」
満面の笑みと共に振り返った直後、僕の笑顔は
「な、何故…
今は試合中の筈! どうして
「その理由は簡単だ。僕達3人、
「そういう事」
「ん!」
「はぁ!?」
「わからないようだね
「…是非とも」
3人を代表して前に出た
「
「ぐへぁ!」
僕は顔面に
「君がヒーロー以前に、人として許されない事をしたからだよ。物間君…」
僕に殴られ、大の字で伸びている物間君にそう呟き、僕は緑谷君へと向き直ると―
「緑谷君。彼の本質を見誤り、増長の極みへ到達させてしまった事。クラスメートとして謝罪する。申し訳なかった!」
謝罪の言葉と共に深々と頭を下げる。
「え、あ、いや! 庄田君が謝るような事じゃないよ! あ、頭を上げて!」
この誠心誠意の謝罪が功を奏したのだろう。先程まで抜き身の刃のような雰囲気だった緑谷君も、いつもの雰囲気に戻ってくれた。あとは…
「先生方! 御覧の通り、僕達3名はA組に降参しました! 物間君も戦闘不能の為、判定をお願いします!」
先生方がどう判断するかだ。
「第5試合終了!!」
「投獄数0-0ながら、B組物間に著しい反則行為が確認出来た事、B組庄田、小大、柳の3名が降参した事を考慮し、A組の勝利とする!!」
出久side
「これにて、5試合全て終了です。全試合、みん…1人を除いて皆、敵を知り己を知りよく健闘しました!」
「第1試合、A組。第2試合、A組。第3試合、A組。第4試合、A組。第5試合、A組」
「よって、今回の対抗戦! A組の勝利です!!」
ミッドナイト先生のアナウンスに沸きあがる
「あー、講評に関してだけど…現在相澤君とブラド君が
相澤先生とブラドキング先生、そして物間君がいつの間にかいなくなっていた為、講評はオールマイトとミッドナイト先生が行う事となっていた。
「あー…だから相澤先生、シンミア*1を連れて行ったんだ」
その事に関して納得したような声を上げる葉隠さん。雷鳥兄ちゃんの発案で、葉隠さんのサポートアイテムであるロボット猿を、常闇君のサポートアイテムであるロボット烏を使って飛ばし、僕と物間君の一件を撮影、モニターへ中継していたらしいから、
「どんな処分が下るかわからないけど、これで物間君もまともになると良いね」
そんな事を呟き、僕は講評に耳を傾ける。あの一件は不愉快極まりなかったけど、今日の合同戦闘訓練その物は、僕達全員にとって良い刺激となった事だろう。
雷鳥side
本日の授業も無事に終了し、俺達は
「バカヤロー!」
共同スペースに響く威勢の良い声。調理の手を止めて何事かと見てみると…
「鉄哲! 弱音吐いてンじゃねー!」
「だが、切島…俺はお前に圧倒的な差をつけられているのは事実だ…」
「何言ってやがる! たかだか2ヶ月や3ヶ月のスランプで逆転不可能になる程の圧倒的な差なんて存在しねぇよ!」
「そもそも同じ硬くなる“個性”でも、俺と
「俺と
「きりしまぁぁぁ!!」
切島と鉄哲がなんとも熱いやり取りを交わしていた。そう、反省会と交流を兼ねて、今日はB組の面々もここで夕食を食べる事になったのだ。
「まったく、おかわりを想定して多めに下拵えしてはいたが…作り足さないといけないな」
主菜のビーフシチューに入れる野菜をカットしながら、静かに呟く…だが、こういう感じは悪くない。
「あ…皆。ブラド先生から連絡が来た」
拳藤のスマホにブラドキング先生から連絡が来たのはその時だ。すぐに全員が静かになり、内容を聞く態勢になる。
「それじゃあ、読むね…通告。1-B所属物間寧人を…
物間に下された処分に、B組の面々がどよめく中―
「停学ってことは…物間は寮に缶詰ってことか?」
代表して泡瀬が、処分の詳細を拳藤へと問う。
「いや、一旦実家に帰るみたい。何でも物間のご両親が―」
-準備が整い次第、
-ですから、どうか! どうか除籍だけは、ご勘弁を!!-
「って、ブラド先生や校長先生に土下座して頼んだみたい」
「そうか…寺で修業すれば、アイツもまともになるかもな…」
円場が呟いた言葉に、その場の誰もが『そうであってほしい』という思いを込めて頷き…それから夕食の準備が整うまで、誰も口を開く事なく静かな時間が流れるのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
合同戦闘訓練の最終結果は以下のようになっております。
第1試合(終了) 〇A組(切島、口田、心操、蛙吹) 4-0 B組(宍田、円場、鱗、塩崎)×
第2試合(終了) 〇A組(青山、常闇、葉隠、八百万) 4-0 B組(黒色、吹出、拳藤、小森)×
第3試合(終了) 〇A組(飯田、尾白、障子、轟) 4-1 B組(回原、鉄哲、骨抜、角取)×
第4試合(終了) 〇A組(砂藤、吸阪、瀬呂、耳郎) 4-0 B組(泡瀬、鎌切、凡戸、取蔭)×
第5試合(終了) 〇A組(緑谷、峰田、芦戸、麗日) 0-0 B組(庄田、物間、小大、柳)× ※B組の反則負け扱い
物間君に関しては、1ヶ月の停学と寺での修行を行う為、一時退場となります。
劇中時間での1ヶ月後、無事に戻って来れる事をご期待ください。
次回は短編を投下し、次々回より新章開幕となります。