出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
Season2第4話を投稿します。
お楽しみ頂ければ、幸いです。
尾白side
部屋王決定戦の翌朝。俺は朝食作り担当の一員として、いつものメンバー*1に混ざってキッチンに入った訳だけど…。
「尾白、早速だがこいつを頼む」
吸阪から渡されたのは、水を張ったボウルに入れられた大豆と
「吸阪…まさかとは思うけど…」
「おそらく、そのまさかが正解だ。木槌を使って、豆を潰していってくれ」
吸阪曰く、水につけておいた大豆を木槌で潰す事で、
打豆にすると、火の通りが早くなったり、旨味が出やすくなるんだとか。
「よくこんな事知ってるな…」
吸阪の、とても同い年とは思えない程豊富な料理知識に感心しながら、俺は大豆を木槌で叩き潰していく。
「尾白、打豆作りが終わったら、ヒジキを水で戻してくれ。
「わかった」
芽ヒジキが何なのかわからないが…後で聞いておこう。
雷鳥side
「よし、準備完了っと」
朝食の用意を一通り済ませ、エプロンを脱いだ俺達は、麦茶を飲みながら一息つく。
ちなみにメニューは―
・ご飯
・けんちん汁
・厚焼き玉子(鳥そぼろと葱入り)
・芽ヒジキと打豆の煮物
・大根の葉とジャコの炒め物
以上5品だ。なお、けんちん汁は大型のスープジャーに移し、他の料理は大皿に盛る事で、ちょっとした和食バイキング風にしてある。各自好きな量を盛って食べてもらう訳だ。
あと、自分で使った皿は自分で洗うよう、ルールを設定した。夏休み中の今ならともかく、授業が始まってからは食器を洗う時間を確保するのが難しくなるからな。
「おはよー!」
「うわぁ、良い匂いだね!」
そんな事を考えていると、芦戸と葉隠を先頭に皆が1階へ降りてきた。それぞれ茶碗や皿を手に取り、ご飯やおかずを盛っていく。
そして飯田が号令をかけようとしたその時―
「全員揃っているようだな」
相澤先生が姿を現した。慌てて立ち上がり挨拶をする俺達を、先生は手で制し―
「体調不良の者がいないかを確認しに来ただけだ。気にせず食事を始めろ。俺も
そう言うと、テーブルの隅に座り、視線で飯田に号令を促した。
「で、では! いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」
なんだかんだと始まった朝食。皆、それぞれに食べ始めていくが…俺は相澤先生の用意した朝食が気になっていた。果たして、どんな物を用意したのか…。
「…なるほど」
相澤先生が
「まぁ…ゼリー飲料じゃなくなっただけ、
俺は誰にも聞こえない小声で呟くと立ち上がり、予備のお椀と皿にけんちん汁とおかずを盛り、相澤先生へ差し出した。
「先生、おにぎりだけじゃ、色々と栄養素が足りていません。よろしければ、こちらをどうぞ」
「………済まんな」
「事前に連絡を頂ければ、先生の分も作っておきますけど…どうします?」
「………その時は頼む」
「了解です」
飯田side
朝食を終えた僕達は制服に着替え、1-Aの教室へと移動。相澤先生を待っていると―
「待たせたな」
5分程で相澤先生も入室し、そのまま今後についての説明が始まった。
「えー、昨日話した通り、当面の目標は『仮免』の取得となる」
「「「「「はい!」」」」」
「ヒーロー免許ってのは、人命に直接関わる責任重大な資格だ。当然、取得の為の試験はとても厳しい。仮免といえどその合格率は例年5割を切っている」
「仮免でそんなキツイのかよ…」
相澤先生の言葉に思わず弱気な呟きを漏らす峰田君。だが、皆も同じ気持ちだろう。
「入学してから今日まで、驚異的なレベルで実力を伸ばしたお前達でも、少しの油断で不合格に成り兼ねない」
「そこで君達には、試験までに
「夏休みの残りはその為の貴重な時間だ。死ぬほどキツイ事になるが、くれぐれも……死なないように」
相澤先生の言葉に、気合の入った声で答える僕達。先生もそれに満足げに頷いていると―
「気合の入った良い返事だわ! 好み!」
「我々教師一同モ全力デ君達ヲサポートシヨウ」
「合格を目指し、一致団結で頑張りましょう」
ミッドナイト先生、エクトプラズム先生、セメントス先生が入室し、先生達の全面協力を宣言してくれた。これは実に心強い!
「それでは、全員
相澤先生の指示の下、一斉に動き出す僕達だったが…。
「吸阪、緑谷。悪いがお前達には
吸阪君と緑谷君は、相澤先生に連れられて教室を出て行った。別件の用とは一体…。
出久side
相澤先生に連れられて、僕と雷鳥兄ちゃんが向かった先は会議室。そこで待っていたのは―
「おはよう! 吸阪少年! 緑谷少年!」
「やぁ、よく来てくれたね」
「遅くなりました」
更に
…この顔ぶれから見ても、別件の用というのが相当な大事なのは間違いない。
校長先生に促されて着席しながら、そんな事を考えていると―
「まず、仮免試験前の貴重な時間を割いて貰った事に、礼を言わせてほしい。ありがとう」
「
「あ、はい。出来る範囲内ではありますが、皆の“個性”や戦い方を分析し、ノートに纏めています」
「そして、出久の分析を基に特訓の内容などを考え、体育祭前から実践しています」
「その件に関しては、イレイザーにも確認を取っている。いや、流石はオールマイトさんの愛弟子。その若さで大したものだ」
「いえ、まだまだです」
「恐縮です」
…駄目だ。今の時点では単なる
「………単刀直入に言わせてもらう」
「はい!」
状況が動いたのは、その時だ。雰囲気の変わった
「君達2人の力を、B組に貸してほしい!!
直後放たれた
雷鳥side
「実は
顔を見合わせた俺と出久を見て、戸惑っていると思ったのか、事情を説明し始める
あの一件とは、言うまでもない。
あの時、B組男子の大部分は絶無に戦いを挑み、完全敗北。拳藤と鉄哲も
「1学期中についたA組との圧倒的な差に加え、林間合宿での挫折…B組は今、最大の危機の真っ只中、と言っても過言ではないだろう…」
「協調と団結を第一とする方針が、間違っていたとは思わない。だが、方針が正しかったとしても、結果を出せなかったのであれば、それは指導者として…俺の力量が不足していたという事だ」
「それで、俺達の力を借りたい…と?」
「…そうだ。恥知らずな事を言っているのは、百も承知。どうかB組生徒を救う為と思い、力を貸してほしい!」
そう言うと同時に立ち上がり、俺と出久に向けて土下座する
「雷鳥兄ちゃん…」
それを見た出久は、俺に視線で訴えかけ―
「………わかった、好きにしな」
俺は軽く溜息をつき、それを認めた。まったく、これで断ったら、俺達が
「相澤先生。10分だけ寮に戻らせてください」
「…10分だけだぞ」
「ありがとうございます!」
相澤先生に許可を貰った出久は、すぐさま会議室を飛び出し―
「お待たせしました」
20冊のノートを手に、10分ジャストで戻ってきた。
「これは、1-Bの皆の“個性”を観察し、その長所や短所、応用方法等を分析。僕と雷鳥兄ちゃんなりの意見を加えて纏めた物です。今後の指導に役立ててください」
「これは………なんと緻密な分析だ。よもやこれほどの物を作っていたとは……」
『明日の為に! 1-B研究ノートNo.01 泡瀬洋雪編』と書かれたノートを手に取り、その中身を読んだ途端、その緻密さに唸る
「冷たい事を言うようですが、俺達がお手伝いできるのは
「いや、これほどの物を使わせて貰うだけで十分だ。恩に着るぞ。吸阪君! 緑谷君!」
再度深々と頭を下げる
麗日side
「いきます!」
私も、セメントス先生に“個性”で人型のセメントを作ってもらい、それを使って
「まずは『
浮き上がった人型をそのまま重量挙げのように頭上に持ち上げ、棒術の要領で何度も回転!
ここまではきりもみシュートと同じだけど、違うのはここから!
「でぇぇぇいっ!」
相手諸共自分を浮かせ、一気に上昇。空中で体勢を入れ替えて―
「一気に…落とす!」
両手で相手の足と頭を掴み、背中を踏みつけたまま“個性”を解除して垂直落下!
「吸阪君直伝、三点ドロップ。少しは形になってきたかな」
「いやはや、何ともえげつない技を…」
セメントス先生が、どこか呆れたような目でこっちを見ている中、私はこの技を更に磨き上げる為―
「セメントス先生! もう1つお願いします!」
新しい人型を笑顔で注文する。仮免試験までに、この技を完璧にするんだ!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。