出久君の叔父さん(同学年)が、出久君の運命を変えるようです。Season2 作:SS_TAKERU
今回より、Season2の第7章 劇場版 ヒーローズ:ライジング編をお送りします。
また、少々思うところがあり、終盤の展開を大幅に改変する予定である事を事前にお伝えしておきます。
それではお楽しみいただければ、幸いです。
第63話:運ばれていた物
ロックロックside
小雪がちらつく夜半頃、俺を含む8人のヒーローは4台の乗用車に分乗し、曲がりくねった山道を爆走する1台のトラックを追跡していた。
そのトラックは武器の類こそ搭載されていないようだが、装甲板で補強された車体といい、そのカラーリングといい、とても堅気の商売で使うような見た目じゃない。
俺は車の速度を上げ、トラックに肉薄。その運転席に座る男の顔を確認する。
「
「やはり!
同乗していたヒーローが“個性”を発動。ガトリングガンに変形させた左手をトラックへ向け、攻撃しようとするが―
「ッ!?」
スピナーは咄嗟にトラックを操作。こっちへぶつけてきた。
「うっ、くぅ…」
法面とトラックに挟まれる形となった車体は、たちまち悲鳴をあげ…横転寸前で何とか抜け出す事が出来たが、大きく後れを取ってしまう。
別のヒーローが運転する車が、それをカバーしようと前に出るものの、トラックの体当たりを受けて横転。ガードレールを超えて崖下へと落下し…僅かな時間を置いて爆発する。
爆発する車内から、2人のヒーローが脱出するのは辛うじて確認出来たが…あそこからこっちに合流するのは、もはや不可能だろう。
「クソッ!」
同乗するヒーローが怒りの声を上げながらトラックへ発砲するが、その弾丸はトラックを補強している装甲板に弾かれちまった。
「硬ぇ!」
忌々しげな声を上げる同乗者に内心同意する。まったく、面倒な相手だぜ!
「接近するぞ!」
アクセルを思いっきり踏み込み、あちこち凹みだらけの車を加速させる。残る2台もこれに続く。
「うぉぉぉぉぉっ!」
トラックに少しでもダメージを与えようと発砲する同乗者。その弾丸は先程同様、装甲板に弾かれるが…
「………」
攻撃される事自体に苛立ったのだろう。窓から体を乗り出してきたのは…荼毘!
「ちぃっ!」
頭の中で鳴り響く警戒警報。俺は半ば反射的にトラックから距離を取り―
「『
“個性”を全開で発動した。後退の勢いそのままで固定された車は横転してしまうが、車体その物が防壁となり、荼毘の放った青白い炎を防ぐ。
そして、残る2台がこっちの脇を突っ切る形で、追跡を続行する。
「すまねぇ! あとは頼んだ!」
同乗者に肩を貸しながら、残った奴らが何とかしてくれる事を祈るが―
「………駄目だったか」
俺の祈りも空しく、残る2台に乗っていた4人のヒーローだけじゃ、トラックを止められず、振り切られちまった。
クソッ! 言い訳になっちまうが、情報を入手してから奴らが動くまでが早すぎた! 追跡するにも迎撃するにも、人手を揃える時間が足りなさすぎだ!
「追跡班、突破された! あとを―」
こうなったら、
エンデヴァーside
『追跡班、突破された! あとを―』
「皆まで言うな。俺に任せろ」
追跡班の1人、ロックロックからの通信にそう答え、俺は近づいてくるトラックに対し、構えを取る。
トラックに乗っている
「赫灼熱拳…ジェットバーン!!」
俺もジェットバーンを放ち、迎え撃つ。俺と荼毘が放った2つの炎は、互いの中間点でぶつかり合い…消滅。
「チッ!」
それを好機だと判断したのだろう。スピードを上げて突っ込んでくるトラック。舐められたものだ!
俺は己の力を最大まで高め…
「プロミネンス…バーン!」
そして俺が空中へ浮上した次の瞬間、コントロール不能となったトラックは炎に包まれたままガードレールを突き破り、崖下へと落下していった。
ホークスside
「ん? 来ていたのか…少しは手伝ったらどうだ、ホークス」
「今来たばかりですって、エンデヴァーさん」
スクラップとなったトラックを調べている最中、そんな声をかけてきたエンデヴァーさんへ向き直り、俺は笑顔でそう答える。
ここに来てからまだ2分も経っていないのは事実だし…ね。
「連合の連中は?」
「全員、トゥワイスの複製でしたよ」
数分後、遅れて崖下へと下りてきたエンデヴァーさんのサイドキックと合流した俺とエンデヴァーさんは、そんな事を話しながら、
「何だ、これは?」
荷台の中にあったのは様々な機械に繋がれたシート。落下の衝撃で完全に機能が停止しているが、こいつは…
「生命維持装置……ですかね?」
「推測ですが…新型の脳無を輸送していたとか…?」
「なんだと!?」
エンデヴァーさんの驚いた声を聞きながら、俺は考えを巡らせる。
死柄木達は一体、何を…
?side
トラックが落下した崖から数km離れた山中を1人の男が歩いていた。
舗装された林道とは違う獣道をゆっくりと、しかししっかりとした足取りで歩き、開けた場所へ出ると―
「待ちくたびれたぜ、ナイン」
そこには数台の車と3人の男女が、男を待ち構えていた。
「その甲斐はあった…実験は成功した」
「おぉ…」
ナインと呼ばれた男が呟いた言葉に、男女は一斉に歓喜の表情を浮かべ―
「………」
ナインはその瞳を黄金に輝かせながら、眼下に広がる市街地を見つめていた。
これが、雄英高校1年A組が遭遇する大事件の幕開けとなる訳だが…今はその事を誰も知らずにいた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。