仮面伝説の終わり   作:津上幻夢

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第9話 烈火

「せっかくだし、君にあげるよ。」

 

 

「いいのか?人から貰った大切な力だろ?」

 

 

「君なら、その力を正しく使ってくれると信じているから…」

 

 

「ありがとう…ソウゴ。」

 

 

 

 

 

 

俺の目が再び開いた時、最初に見えたのは白い天井と心配そうに見守っている彼女の顔があった。

 

 

「よかった…目が覚めたんだね。」

 

安堵の声を上げた彼女は、大きく息をついた。

 

「一美にまで心配かけていたのか…すまない。」

 

「一美だけじゃないぞ。」

 

後ろから男の声が聞こえた。現れたのは道永だった。俺が目覚めたことを喜んでいる…様には見えない表情をしていたが。

 

「道永まで…」

 

「康介、お前は3日間死んだかの様に寝ていた。その間、世界は死の淵まで追い詰められていたんだぞ。」

 

道永の言葉がよく分からなかった。3日間寝ていた事より、その間に世界で何か起きていたという事だ。

 

「何があったんだ?」

 

「康介が倒れてから、別地点でホッパーの大量発生が起きていた。しかも、アークバルカンだけでなく新たな敵まで現れてな。」

 

「そんなことが…今はどうなっている?」

 

「それらについては、彼らを完全撃破…とまでは行かなかったがアメリカ支部からの援護もあってなんとか鎮圧できた。」

 

「アメリカ支部…彼女か?」

 

彼女…5年前ジョーカーの主力だったフォースの使い手黒羽風香。その彼女がわざわざ帰国してまで…

 

「ああ。だが、前に会った時とは性格も別人の様だった…」

 

道永は更に話を続けようと窓際に置いてあった椅子に座ろうとした。

 

「そこまでよ。これ以上病人に仕事の話は厳禁よ。」

 

仕事のことを気にせず話す彼を妹である一美は制止した。

 

確かに、寝起きでイマイチピンときていない。ある意味丁度いい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、姿形同じの彼は従っている男の元にいた。

 

「君がウォーズを陽動してくれたお陰で、いい素体が沢山手に入った。」

 

明日登呂と名乗ったその男は、上から物を言う態度で言った。しかし、康介はそれに異議を唱えようとはしない。それもそうだ、ウォーズの殺害をする代わりにある条件を持ちかけられているからだ。それに乗るしかない彼はただ黙々と指示に従わざるおえない。

 

「次こそは息を止めてやれ。そしてお前は、その代わりに大切な物を取り戻せる。」

 

「…分かりました。」

 

 

康介は、明日登呂について腹の内が読めない男だと思っている。それもそうだ。配下を使い、最強の仮面ライダーの誕生、異界の怪人とネガウォーズの力を使いウォーズやフォース達に戦闘を仕掛けた。しかし、どれも全て阻止されている。それなのに焦る様子は一切ないどころか、むしろ上の人間から褒美を受け取り、更なる計画を打ち立てている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから1ヶ月程経過した花曇りの日。入院していた康介は、怪我が完治し退院の準備をしていた。

 

「康介、いよいよ仕事に復帰だな。」

 

「ああ…」

 

道永の祝福の声に康介は生返事で答えた。彼にはずっと気掛かりなことがあった。

 

その正体に道永も気づいていた。

 

「道永…」

 

彼は、道永の方を向いた。

 

なんだ?と反応したのを見ると、再び口を開いた。

 

「サバイブバックル…あの後どうなった?」

 

やはりか…そう道永は顔に出さない様に思った。

 

ウォーズがネガウォーズに敗れた時、サバイブバックルは粉々に砕け散り、変身が不可能になってしまった。しかし、その修復に関する事は道永は一切伝えなかった…というより伝えれなかった。

 

「…すまない。手は尽くしたが…修復は不可能だった。」

 

「そうか…」

 

重い告白をした道永に康介は少し俯いた。

 

「新たにバックルを作ろうと考えたが、サバイブバックルの生成もとても容易ではない。特にウォーズ仕様のものは…」

 

サバイブバックルは、ウォーズともう1人のライダーが使う白夜総三が製作した完全品と、財団がそれらを量産化した量産品の2つがある。見た目や普通に使う分の性能は全く同じと言っていいが、他のバックルによる拡張性とウォーズへの変身が可能なのは完全品だけだ。

だからこそ、そう簡単におじゃんになってはならなかったのだが…

 

「ありがとう。とりあえず、その事はこれから考えよう。」

 

 

 

その矢先の事だった。道永の携帯にアラートが届く。現場はこの病院からも程近い大通りにある公園だった。

目を合わせた2人は互いに頷き、すぐ様向かった。

 

 

 

そこではホッパー達がネガウォーズを囲う様に唸っていた。

 

2人の到着に気がついたネガウォーズは、剣を突き出した。

 

「今日がお前の命日だ。」

 

その剣先を向けられた康介はこう返した。

 

「俺はまだ死ぬつもりはない。それと、お前と戦って分かったこともある。」

 

康介は前に少しずつ歩き出した。道永はそれを止めようと手を出すが、振り払われてしまった。

 

「お前は、根本的には俺と変わらない。ただ、『大切な人』が側にいるかいないか。それだけが違う。」

 

「…そうだ。俺は、お前の言う『大切な人』…一美を失った。もう10年も前だが。彼女は、最後の最後で俺を庇った。死ぬ間際に見せた笑顔は今でも忘れられない…」

 

「だったら、なんでそれらを奪う側の奴等につく。」

 

「俺はもう一度一美に会いたい…だからだ。」

 

ネガウォーズも、ホッパーを払い除け康介に近づく。

 

「そうなら…尚更止めてやる。お前のする事が本当に一美の為になるわけない…俺を殺せば、後戻り出来なくなる。そんな事絶対にさせない!」

 

康介は力を振り絞って言った。その瞳には、烈火の如く燃える想いが眠っている。

 

「俺は、そうまでしても一美を救いたいと望んでいる!」

 

ネガウォーズは、そういうと剣を天に向けた。そして康介の脳天目掛けて振り下ろした。

 

「康介!!」

 

既にローディに変身していた道永が叫ぶ。

 

 

 

 

 

その時、一筋の赤い光が剣を止め、ネガウォーズを吹き飛ばした。

 

その正体に2人の康介は驚愕した。

 

「「龍騎サバイブのライドウォッチ!?」」

 

片方の康介…ネガウォーズは、何故そんな物がここにあるのか検討つかなかった。一方、ウォッチを手にしたもう1人の康介は、まさかの救援に驚いた。

龍騎サバイブのウォッチ、それは康介がかつて一美と共に異界に迷い込んだ時、そこで出会ったジオウから受け取ったれっきとした本物のライドウォッチだった。

 

それが康介のネガウォーズを止めたいという想いに共鳴し再び現れたのだ。

 

「龍騎…ジオウ。力を貸してくれ!」

 

[龍騎サバイブ!]

 

康介は力強くウォッチのスイッチを押し込んだ。

 

すると、銀色のベルトVバックルと真紅の龍騎サバイブのカードデッキが装填された状態で現れた。

 

燃える様に康介の姿は真紅の烈火と龍の力を得た生き残る為の力龍騎サバイブへと変身した。

 

「そのウォッチ…俺は知らないぞ。」

 

「そうだろうな…俺とお前では15年分見てきた世界も違うからな。」

 

狼狽えるネガウォーズに龍騎サバイブはドラグバイザーツヴァイを構えた。

 

 

「お前の運命を、止めてみせる!」

 

 

 

 

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