仮面伝説の終わり   作:津上幻夢

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第12話 炎の信念

「どうやら、落ち着いた様だな。」

 

仮眠室から、劔橋が現れた。

 

「劔橋さん…さっきのアレは。」

 

「私にもサッパリ分からない。」

 

仮眠室で寝ているのは黒羽風香。彼女は先程の戦いで別人の様に戦に身を委ねていた。その姿に長年共に戦ってきた劔橋と清野は理解出来なかった。

 

何故彼女がそうなってしまったのか、心当たりは全くない。

 

 

 

 

「風香さん、私が聞いた噂とは全く違う人物だった…まるで獣の様なその戦い方…」

 

一方、控室には真田昌巳と燕堂大誓の2人がいた。

 

「俺は過去に数回手合わせをした事があるが、黒羽さんはあそこまで凶暴な人ではなかった…」

 

 

 

 

誰もが皆、黒羽風香の豹変ぶりに驚きを隠さなかった。特に彼女を慕い、ここへやってきた町田春輝は…

 

「…」

 

町田は夜風吹く屋上で考え込んでいた。

 

あのフォースは別人なんじゃないかと…けど、あの時変身を解いたときに見せた顔も、声も、全て彼女と同じだ。

 

「何が…彼女をそうさせたのか。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

敵は彼らに落ち着く間を与えなかった。翌朝、一斉に鳴り響いたアラート、陽の光すら出ていない町に蔓延るホッパーの姿。

 

早朝から対応に追われる劔橋、彼女はスムーズに指令を次々と出した。ライダー達をそれぞれ別地点でホッパーの対応をする様に伝え、更なる強敵には警戒する。2年も総司令官をやっていれば嫌でも身につく。そんな風に彼女は考えている。

 

その指示の素早さのお陰で、ライダー達は効率よく敵を撃退できる、予測不能な事が起きない限り…

 

 

火縄に変身している真田は、ホッパー達を炎を纏った拳で次々と薙ぎ倒す。近距離の攻撃手段を持たない火縄は、近くまで攻め込まれることは非常に危険だ。だが、ホッパー程度の戦闘力なら充分対処できる。

 

「後、3体か…」

 

気がつけば、ホッパーの数も少なくなっていた。

 

火縄は、銃を構えた。距離を取り、炎の弾丸を確実に撃ち込んでいく。撃たれたホッパーは、黒の鮮血を流しながら消えていく。

 

 

 

ふぅと溜息をつきながら彼女は銃を下ろした。その彼女に、称賛の意味を持たない拍手が鳴り響いた。

 

「仮面ライダー火縄、炎の力を使いこなす。実に素晴らしい。」

 

アークバルカンだ。彼女はそう対象を判断し、目の前にいる彼に銃口を向けた。

 

「貴様もここで倒す。」

 

「君には無理だろうね。」

 

火縄は、銃の引き金を引く。その弾丸は、彼を捉え、突き抜けるはず…だが、彼は弾丸が通ったところを黒い泥の様な液体に変え、耐え凌いだ。

 

その身体にできた9mm程の穴はすぐに塞がった。

 

「言ったろ、君には無理だって。」

 

火縄は、援護を求める声をあげようとした。が、その願いは一瞬にして、叶ってしまった。

 

「ようやく見つけた…狼の男!」

 

火縄は、後ろを振り返った。そこには、昨日以上の狂気を帯びたフォースⅢフェニックスフォームの姿があった。

 

彼女は、大銃ノブナガジュウを構え、今にも引き金を引き抜かんとしていた。

 

「フォース、前会った時は私がゾディアーツだった頃か…」

 

「ふざけるのも、大概にしろ。今日こそその身体の息の根を止め、煉獄の炎で一生燃やしてやる…」

 

一生燃やしてやる、そう言った通り、彼女は何度も何度も銃口から火を吹かせた。

 

アークバルカンは、連続する攻撃に先程の様な液体化を使用する事が出来なくなっていた。だが、それでも持ち前の防御力で熱共々耐えている。

 

火縄は、その様子を見て、協力すればアークバルカンを倒せると判断した。

 

「風香さん、援護します。」

 

そう言って銃を構えた。しかし、彼女は想像とは違う答えを返した。

 

「駄目だ、お前は下がっていろ。」

 

「何故ですか?共闘すれば倒せます。」

 

 

 

 

 

「だとしてもだ…戦場に立つのは私1人でいい。」

 

私ーフォースは、そう紛れもない事実を述べた。私だけが戦えばいい…

 

「あの時のトラウマですか?」

 

アークバルカンの軽口に、私は、あの時の光景が蘇ってきた。あの時、この男が差し向けた兵によって…仲間が…みんな!

 

「許さん…お前だけは、絶対に!!」

 

[ULTIMATE crush!]

 

私は、背中の翼を展開し、右脚でアークバルカンのベルトを狙った。炎を纏った一撃はアークバルカンと一寸のところまで迫った。が、外野から現れた新たな敵によって防がれてしまった。

 

「駄目じゃないか、Mr.明日登呂。」

 

「ヨークさん…お手を煩わせて申し訳ございません。」

 

ヨーク、初めて聞く名だ。既にライダーに変身した状態で現れたその男は、ウォーズの様な姿をした素体に、獣の鎧を着込んでいた。腰の蛍光グリーンのベルトがその組織の命への概念の軽さを感じさせる様な気がした。

 

「心配いらない。私も久々にトレーニングしてみたいと思ってね。」

 

「戦いをトレーニングだと?笑わせるな。」

 

「フォース、君の運命はbad end。ただ一つさ。」

 

ヨークは、その見た目からは想像できない様なスピードで、私の懐へ入り込んだ。そして、両爪で私の身体を切り裂く。

 

後ろへ下がってしまった。私はすぐさま前に出ようとするも彼はそれを見越して蹴り上げた。

 

「前の君はパワフルだったのに、今じゃただのビーストじゃないか…」

 

ヨークは、私の喉元に右の爪を突きつけた。

 

その時だった。

 

ヨークやその後ろにいたアークバルカンの身体に文字通り火がついた。

 

後ろにいた火縄の攻撃だ。下がれと言ったのに…

 

「私は、総司令官以外の命令で戦場から身を引こうだなんて絶対にしない。私達を求める、助けの声がある限り!」

 

火縄は、ベルトに銃をスキャンした。

 

エクスプロージョンダイレクト、そう呼ばれる必殺技で、あたり一面火柱に包まれた。そして、その火柱によって動けない敵に、火縄は前方へと大きく飛ぶと、超高火力の後ろ回し蹴りを叩き込んだ。

 

 

 

炎が収まる頃には、敵は撤退していた。どうやら完全撃破とはならなかったらしい。

 

 

また、仇を取れなかった。

 

 

 

次こそは、この刃をあの男の元に突きつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

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