「さあ、死んでもらおうか…」
[Fury explosion phase two]
…そうか…これで死ぬのか…
そう悟った。結局仇は討てなかったな…みんな…すまない…
その時、僅か一瞬の隙に私の目の前で黒い影が私をを庇った。
アークバルカンは、何?と呟いた。
私の目の前には、アーサーがいた。アークバルカンに背を向けて大の字で私を庇うように立っていた。
攻撃が止んだ後、彼は地面に膝をつき、初期のアーサーの姿へと戻っていた。私は彼の身体を支えた。彼は大丈夫ですか…そう呟いた。
「お前…何をやっている!これは私が受けるべきだった。」
『そんなことはない…風香。』
その時、雪菜さんの声がしたような気がした…いや違う。これは本当に雪菜さんの…
彼女は無線を通じて私に話した、今庇ったアーサーが自分であるかのように…
『お前は、死んだ皆の為に復讐をすると言った。だが、死んだ者はそれを望んでいるのか…』
劔橋は、一言一言を噛み締めながら言った。彼女は昨日の夜の事を思い出した。
「町田、黒羽について聞き出せたか?」
「はい…やはり、アメリカでの奇襲が原因みたいです。」
「そうか…」
汚い手もしれない。それでも彼女は黒羽風香を復讐の闇から救いたかった…
『その為に、無為に死体を積み上げるのか…無駄に命を削るのか…』
「無駄なんかじゃ…無駄なんかじゃない。」
風香はそう答える。
『お前はあの時なんの為に戦ったんだ…赤空と…』
「…」
『人類を守る為に…そして彼らもその同志、死んでいた者はその意思を貴女に引き継いで欲しいと願っているはずだ…』
彼女の頬から涙が流れた…何故かは分からない…
『俺は生意気なお前に復讐の為の力を託したつもりはない、今どうすればいいかもう一度考え直せ!』
その時、憎くもその裏に優しさを感じる声がした。
『何故、フォースに選ばれたか、力に選ばれたか。その答えは分かっているんじゃないのか?』
更に、頼り甲斐のある男の声がした。
『黒羽風香、仮面ライダーフォース。答えが決まったのなら、今ここで立ち上がれ!!』
再び劔橋の声がした。
風香は、その足をゆっくりと立ち上がらせた。
その時、力が湧いてくるような気がした。
…いや違う。本当に回復している!
後ろを振り返ると、ホープが走ってやってきていた。
「風香さん…貴女は1人じゃない。僕や、みんながついています。」
「心…ありがとう。雪菜さんも…大誓も…」
「そんな茶番消しとばして!」
アークバルカンが再び銃から弾丸を放った。しかし、その攻撃は火縄が打ち消し、更に隙を作った。
「続きは後にしましょう。今は敵を倒す、それが人類を守る為だから。」
火縄の声にフォースは頷いた。
「アイツに目に物見せてやりましょうよ。黒羽さんの本当の力を。」
ザナイトに再び変身したアーサーがそう言った。
「ああ、最強のフォースの力を!」
フォースは再びユナイトドライバーを構えた。
[DASH mode!]
「大変身!」
[Force Unite HOPE!ForceⅢ’!]
白銀の光と共に、鎧が次々と装備されていく。胸アーマーには各ライダーのスートが描かれ、頭部は金の羽と青、橙、銀に輝く羽が装備され青き瞳が光り輝く。
翼のように白のマントが垂れ下がる最強のフォース、フォースⅢ’へと変身を遂げた。
フォース、アーサー、火縄、ホープが並び立った。姿形が違えど、彼女にとってこの並びはあの時の頃を思い出させた。
「雷霆万鈞の如くお前を倒す!」
4人は武器を構え、攻撃を開始する。
まず火縄は、アークバルカンの足元に次々と狙撃、動きの自由を奪う。
次にホープが懐に入り込み、刃で切り倒した後、武器を弓に変え矢を放つ。
その次にアーサーが、アークバルカンの身体を一刀両断するように剣を振り下ろす。
アークバルカンは、それらの攻撃に一気に形勢逆転されてしまう。
「はあっ!!」
既に疲労困憊している彼に次々とフォースは刃を振り下ろしていく。
「ぐっ…ここで…やられるのか!」
「ああ、これで全てを終わらせる…あの時止まった私の時間を動かす!!」
[Utopia crush!]
フォースは空へ飛び上がると、虹色の光を右脚に集中させ、超高速のライダーキックを放つ。
アークバルカンは抵抗すら出来ずに身体を貫かれた。
「ここで…死んでなるものか…」
やられてもなお明日登呂は息をしていた。
「しぶとい奴…お前にはたっぷり話を聞かせてもらう。お前達の目的について…」
風香が彼を掴み上げようとしたその時、突然明日登呂が苦しみ始めた。そして、身体の色が徐々に黒くなっていき、最期は砂のようになって消えてしまった。
その様子に一同困惑と驚愕の顔をしていた。
「彼に我々財団の話をされては困るのだよ。お疲れ様、Mr…いや、明日登呂君。」
「雪菜さん…今まで迷惑かけてすいませんでした。」
この事態が起きてから数日後、落ち着きを取り戻したジョーカーの本部で黒羽は劔橋に頭を下げた。本来ならすぐ行くべきだろうが、今まで放置していた仕事がありその片付けに追われたり、そもそも鉢合う機会がなかったりで今こうして謝罪していた。
「もう一つ言うことがあるんじゃないか?」
劔橋は、笑みを…それも普段はしないようなニヤついた顔で言った。
「ええっと…ありがとうございました。」
黒羽は照れながらそう言った。
「それにしても憎いですねー。自分の姿を大誓にわざとさせて自分が目の前にいるかの如く話して…大誓に謝った方がいいんじゃないですか?」
「アイツはあんな攻撃でへばる奴じゃないって分かっていたからな…まあ後で謝っておくか…」
「それに、わざわざ自分だけじゃなくて朔弥さんと壮介さんの声も用意してやるなんて…」
黒羽はそう言った…が、劔橋は首を傾げた。
「そんなことはやってないぞ。」
「そうなんですか…気のせいか。」
彼女は、それを気のせい、幻聴を聞いただけだと考えた。
「風香さん、立ち直ってくれて良かった。」
あの時、近くの物陰から彼女を覗く人物がいた。
紫色の戦士が……
「ヨーク、いよいよ試験段階へと移行しよう。」
「OK.Master.いつでもどうぞ。」