仮面伝説の終わり   作:津上幻夢

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第17話 再び降臨する言操神/終末の怪物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、昨日までの大雨からは予想つかない快晴となった。

 

土曜日である今日は、生憎戦士達の数は少なく、会社には黒羽風香と山田康介しか居なかった。

 

「風香、わざわざ俺の仕事を手伝ってもらってありがとうな。」

 

一階のロビーに2人はいた。先程まで康介は、黒羽と共に今日までの仕事を終わらせていた。この後会う客人の為に。

 

「いえ、社長にも迷惑かけましたし。」恐らく自身が復讐に囚われていた頃の事を話しているのだろう。

 

「気にしなくてもいい。それよりも、今日くる客人はお前にとっても特別な人物だ。会議が終わったら彼とデートにでも行っていいんだぞ。」その康介の発言で黒羽はこの後会う人物が誰か分かり赤面した。

 

「で、デートだなんて…社長こそ、一美さんにプロポーズでもしたらいいじゃないですか。」

 

「か、一美は…別にそういう仲じゃ…」2人がふざけあっていると、自動ドアの開く音と共に2人の男女が入ってくるのが見えた。

 

男の方は若葉色のシャツを着ており、若々しい雰囲気を感じる。女の方は全身白いワンピースを着ており、清楚な雰囲気を感じる。

 

康介達は立ち上がると、その人物を招いた。

 

「久しぶりだな…ゴン、言葉さん。」

 

「社長!私だけ毎回さん付けするのやめて下さいって何回言わせるんですか?」先程の清楚なイメージとは裏腹にうるさい声を響かせたのは平方言葉だ。見た目だけなら彼女を超えるものは居ないだろう…

 

「言葉、社長に失礼じゃないか。」それを宥める彼は塾屋ゴン。そして、仮面ライダーワードだ。

 

「ごめん、以後善処する。」康介は平方にそう言った。

 

「別に、距離感近い方がいいじゃない!」そう言いながら彼女は塾屋の左腕に巻きついた。その様子を見ていられない黒羽は、つい先日のようにフォースの力を惜しみなく出そうとした。

 

「久しぶりだね。風香さん。」塾屋は康介の後ろにいた彼女に声をかけた。

 

「久しぶり、ゴン。」そのたった一声で彼女はフォースを使おうとした事を忘れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、君達を必要としたその訳を説明しよう。」先程の和やかな雰囲気は会議室に入ると厳しい雰囲気に変わった。

 

康介は、プロジャクターに昨日の戦闘の一部を見せた。

 

その映像の最後には、怪物が人に戻るシーンが映った。

 

「人が怪物に?」塾屋は聞く。

 

「そうだ。その為、人陰の可能性を考えた。しかし、怪物のデータをアーカイブのものと照らし合わせるとそれは全く違うことが分かった。」

 

そういうと、次に怪物から発せられる波長を表したものを出した。上の人陰はぐちゃぐちゃに折れ曲がった波長に対し、昨日の怪物は綺麗な正弦波となっている。

 

「これに近いものは、アーカイブから8つ見つけられた。それはEC、つまりエクストリームクリーチャーとほぼ一致したということだ。」

 

EC、それは人と生物を遺伝子レベルで結合させ強制的に進化させたものだ。かつてフォースが戦った相手でもある。

 

「しかし、ECは倒されても人に戻ることはない…つまり、この怪物は人陰の特徴を取り入れたECと思われる。」

 

「EC…」黒羽は呟く。

 

「それともう一つ、今回救出した人間は一月に行方不明届けが出されていた人物であることが分かった。そして、その日はフューチャの初戦闘を行った日…」康介の説明を遮るように平方は驚く。

 

「もしかして、他にも同じように行方不明になった人が?」康介はその通りと答える。

 

「恐らく、前の護送車に人を乗せていたのも同じことだろう。そのことから敵によって連れ去られ実験台にされたのだろう。そして、その人数は先程調べただけでも100人前後。恐らくそれよりも多いだろう…」

 

「一体…誰がそんな事を…?」

 

「恐らく…ここまで俺達の敵に詳しく、明確な目的がある…それはもう一つしか…」

 

その時、3人のスマホからアラートが鳴り響いた。

 

「タイミングが悪いな。話の続きは後だ。行くぞ!」康介は、戦闘のスイッチに切り替えた。

 

「「はい!!」」2人は返事をした。

 

 

 

 

 

 

 

3人はそれぞれ自身のバイクに乗り込んで現場へと到着した。湾岸沿いのツーリングによく使われる道だった。

 

そこには、ホッパーが10体ほど発生していた。しかし、全てのホッパーは様子がおかしかった。身体のあちこちからオレンジ色の何かが湧き出ている。空気を伝いそのオレンジ色の物体は周りの人に次々と接触、人々は何かに感染したかのようにうめき始める。

 

「これは…?」黒羽はそう訳もわからない様子を見ていた。

 

「バグスターウィルス…何故ここに?」康介の疑問はすぐに答えられた。

 

「それは私が今までこのホッパー達に培養してきたからですよ。」そう言って現れたのは黒人風の男、ヨークだった。彼の腰にはゲーマドライバーが付けられている。

 

「そのベルトは…まさか。」黒羽はそのベルトに見覚えがあった。前に自分を殺そうとした男と同じものだ。

 

「変身。」[レベルアップ!ウォーズ…クロニクル![ナイトオブ・サファリ!]ウォーズに酷似した姿に、サファリゲーマが装着された姿、仮面ライダーヨークサファリウォーズゲーマーは彼らの前に姿を現した。

 

「お前が俺の偽者か…丁度いい、ここで始末してやる。」

 

 

3人はそれぞれベルトを装着した。

 

「「「変身!!!」」」

 

[Masked warrior!KAMEN RIDER WAR-Z!]

 

[change!rider Force!]

 

[矛盾する運命…ワード、矛盾!]

 

ウォーズ、フォース、ワード…3人の仮面ライダーは、そこへ並び立った。

 

「お前の運命は俺達の手の上だ。」翠の仮面の戦士ウォーズは、剣を取り出してヨークに迫る。

 

「雷鳴の如くお前を倒す。」雷鳴の戦士、フォースはクローバークロッサーをバグスターホッパーへと突き出す。

 

「俺は俺の強さで救う…救ってみせる。」覚醒した言葉の戦士、ワードは矛を構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ潮時だろう…いけるよな?ドゥムズディ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はあっ!!」

 

 

「たあっ!!」

 

2人の戦士が武器を振るい、敵を薙ぎ倒していく。10体ほどのバクスターホッパー達はフォースとワードによって撃退された。そして彼らの亡骸からはまだ息のある人間達が現れる。

 

「この人達を早く病院に運びましょう。」ワードがそう催促する。

 

「既に連絡した。ジョーカーの救護班もすぐに到着する。」フォースはそう返した。その目線の先にはまだ戦いを続けるヨークとウォーズの姿があった…フォース達はここが危険であると言う趣旨を伝えて人々を逃した。

 

 

 

「偽者のくせして強いな…」ウォーズスペシャルへと変身し、より研ぎ澄まされた感覚でヨークの両爪の斬撃を防いでいく。

 

「ユーこそ、私を楽しませてくれる…パーフェクトな戦士さ!」

 

ヨークは感情の昂りを隠さず声にまで漏れている。

 

「でも、ここでエンドさ。」[キメワザ!]そう言いながら彼はサファリガシャットを左腰のスロットホルダーに装填した。

 

[ナイトオブ・クリティカルストライク!!]

 

「それはお前の方だ!」[WAR-Z drop SP!]ウォーズもキーを回転させ必殺技を発動させる。

 

翼を広げ天空へと舞うウォーズ、右脚をヨークの方へと突き出すと急降下を始めた。

それに対してヨークは両爪に翠色のエネルギーを充填させ構える。

 

ウォーズはヨークの元へ鉄球を落とした時の様に落下する。キックはヨークが突き出した右爪を砕き、胸部へと強烈なダメージを与える。

 

ヨークは残る左爪をウォーズへと向ける。しかしそれよりも早く彼は翼でヨークから離れ着地した。

 

「やるね…やはり最高だよ!」ウォーズが離れた反動でヨークはアスファルトの上を転がる。

 

彼が再び顔を上げると、ウォーズ、フォース、ワードの3人が並んでいる。

 

「でもそれも終わりだ…」そうウォーズが言い放ったその時、爆発音が鳴り響いた。それはヨークの背後に広がる海の方からだ。

 

「何?」フォースが上を見上げる。そこには太陽に反射して輝く何かが打ち上がる姿があった。

 

「ロケット…?」ワードはそう考察する。しかし、ヨークは違うさと返す。

 

「ならなんなんだ?」ウォーズはヨークに冷静さをギリギリに保ちながら聞く。

 

ドゥムズディ(終わりの日)さ…」

 

 

 

 

「仮面ライダーの終わりを告げる祝いの花火さ…せいぜい綺麗に散ってくれよ。」

 

革製の高級チェアに座る白スーツの男…レガシーはそう呟いた。彼は、ヨークのカメラから3人が無惨に殺される姿を観れると思うと胸が躍っていた。

 

 

 

 

 

ドゥムズディ…そう呼ばれたものはウォーズ達の目の前と参上した。

 

 

 

「なんなんだ…あれは…」絶句したウォーズはそれ以降の言葉が出ない。

 

最初に目立ったのは生物的な見た目であるにも関わらず左目だけは紅く機械的になっている…まさに明日登呂が変身したアークと同一のものだ。

生物的な、と一括りで表したとはいえ顔はバッタを模しておりホッパーを彷彿とさせる。

右腕はどの部位よりも太く胴体と殆ど同じであり、そこには強靭な鎧も身につけられている。

身体からは明らかに有害であると感じられる紫色のガスが吹き出し、不快な感覚へと陥れる。

それら全く別なものが混ざり合うその姿はデュアルクリーチャーそのもの。

それらが一つに混ざり合う怪物ドゥムズディ。伝説の終わりを告げるその存在は彼らにとって絶望感を与える他なかった。

 

「デュアルクリーチャー…ではなさそうね。」フォースは息を飲みながら言う。

 

「見ただけで、嫌気がさす。」ワードは、気味の悪さから一瞬意識が飛びそうになったのを抑えた。

 

 

「お前達の伝説もここで終わりさ…」ヨークは立ち上がるとドゥムズディの後ろへと回った。

 

 

 

「始めましょう。」レガシーはドゥムズディに指示を発した。その指令に合わせてドゥムズディは動き出す。

 

「終わりの日…そんなものは来させない!」ウォーズは剣をドゥムズディに向け振り下ろす。それを怪物は難なく右腕で受け止め、その剛腕で弾き返す。その威力は、投げつけたウォーズを受け止めた鉄製のフェンスが大きく歪むほど。

 

「これは強敵ね…Ⅲ’で!」フォースはユナイトドライバーを装着する。

 

それを察知したドゥムズディはその巨体からは想像できない速さで迫る。フォースはその攻撃に反応できず無抵抗で地面に転がる。

 

その光景を目の当たりにした者は普通は無鉄砲で突っ込みはしないだろう。ワードも盾を構えその裏では矛をいつでも反撃できるようにしていた。

 

ドゥムズディはゆっくりとその足を動かしワードに迫る。そして右腕を大きく振りかぶるとワードに向けて振り下ろした。

 

ワードはその攻撃を盾で凌ごうとした。

 

「何!!」しかし、そのような甘い考えは通用しなかった。盾は無惨にも打ち砕かれた。

 

そして怪物はワードを右脚で蹴り飛ばし、地面に転がさせた。

 

「これが我々の最終兵器の力。終わりを告げるのに相応しい。」そうでしょう?ヨークは心の中でそう付け加えた。

 

ドゥムズディは倒れるワードを右脚で踏みつけた。痛みをワードは感じ呻き声を上げた。

 

「やらせない!」ウォーズは再び剣で攻撃を仕掛ける。背後から迫るその一太刀、誰もがその攻撃には反応出来まいと考えた。が、ドゥムズディは一瞬で振り返りウォーズの胸部に拳をぶつける。

 

その攻撃でウォーズは完全にダウン、強制的に変身が解かれ気絶した康介が現れた。

 

「康介さん!」フォースは立ち上がりドゥムズディに今度は蹴りで迫った。右脚先には強化パーツが取り付けられ力は解放されている…筈だが、怪物は効いた様子を見せずに彼女の右脚を持ち、腹部に1発殴るとゴミを捨てるかの如く投げた。その攻撃でフォースもダウン、風香は意識を失った状態で姿を見せた。

 

「2人とも!」残されたワード。しかし左腕は盾を破られた衝撃で無力化され、右腕しか使い物にならない。

 

 

「ワード、君はギブアップした方がいいんじゃない?2人を見ただろ?君達には勝てないんだ。」ヨークはそう茶々を入れるが気にしない。

 

「これが最強の兵器の力…!」レガシーは興奮していた。あれだけ憎悪を抱いていた仮面ライダーを一瞬にして撃破した。それは紛れもなく彼にとって喜ばしかった。

 

彼の興奮に合わせてドゥムズディも感情がないにも関わらず徐々に奮起していく。

 

「その特性…人陰にそっくりだ。」ワードはそう呟いた。どちらにしろ、ここまで追い詰められた以上勝ち目はない…だがここで負けたらあの2人は必ず殺される…そんな事は…

 

そう考えるうちにドゥムズディは右拳をワードに振り下ろしていた。

 

受け止めきれない…死を悟った彼は、反射的に顔を伏せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「死に急ぐな…ゴン。」

 

 

 

その時、ワードの目の前にいた筈のドゥムズディの姿が消えていた…その姿は自身の左側にあった。

 

その左側にはドゥムズディと共に氷の道があった。その氷には見覚えがあった。自身のよく知っている人物のものだ。

 

 

「刹那さん!」彼が刹那と呼んだ人物。仮面ライダー氷華はワードを見た。

 

「話は後だ。今は撤退する!」

 

氷華は氷を周囲に撒き散らし、雹のように降らせた。その攻撃に一瞬の怯みを見せたドゥムズディ。その隙を見て康介と風香を氷華が抱え、ワードと共に避難する。

 

 

 

 

 

 

雹が止んだそこにはライダー達の姿はなくドゥムズディとヨークの姿だけがあった。

 

「逃げたか…」レガシーは1人落胆していた。それに合わせてドゥムズディも動きを完全に止めた。

 

「これは運ぶのも一苦労だ…」ヨークはそう呟くと、運搬用の車両を要請した。

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