仮面伝説の終わり   作:津上幻夢

3 / 42
第2話 償いの戦士

「はっ!」

 

彼女が目覚めたのはフューチャの初戦闘後の朝だった。

 

逢阪有希はベッドから降りようとした。

 

「有希、無理をするな。」

 

そう声をかけたのは一人の男だ。彼女は誰かを察し、布団に入った。

 

「君が廊下で倒れているのを、見つけて、仮眠室まで運んだ。気分は大丈夫か?」

 

男は、彼女の肩に触れようとした。

 

「触るな!」

 

逢阪は、それを払い除けた。

 

「…すまない。」

 

男はすぐに詫びた。

 

「無様に一晩寝たら、楽になった。もう看病しなくていい。」

 

彼女は突き放すように言う。

 

「…そうだよな。俺が側に居ない方が楽だろうな。俺は仕事に戻る。何かあったら保健部にすぐ伝えろよ。」

 

男は、その言葉に怒りもせず、優しい声で部屋を後にした。

 

 

「…私は、こんな所で倒れていられない。」

 

男がいなくなった事を確認すると布団から起き上がった。

 

ふと、彼女は腕を見た。

 

 

『…離して…』

 

 

その言葉が彼女の脳裏に走る。

 

一体何度聞いたことか。カビのように張り付いたまま離れない言葉。絶対に忘れてはならない、罪の話。

 

「私は…二度と離したくない。」

 

彼女の脳に『あの時』の事が蘇る。

 

 

彼女の手には、女の人が捕まっていた。その女は高層マンションの20階から今にも落ちそうになっている。

 

女は、泣いていた。ただ、それは恐怖ではない。別れの涙だ。

 

「有希…お姉ちゃんの手を…離しなさい。」

 

「嫌だ…そんなことしたら…」

 

逢阪は必死に手を離さない。

 

「分かってる…私、生きる事に…疲れたから…」

 

「お姉ちゃん…」

 

遂に彼女の手は限界になった。一瞬の気の緩みで、腕から女の腕はすり抜けた。

 

「お姉ちゃん!!!!」

 

 

 

その時、机の上にトランクケースが乗っていることに気がついた。

 

 

ベッドから降り、そのトランクを開けた。そこには、赤いベルトとフューチャとは違うロードメットがあった。

 

 

 

「…分かってる。私がするべき事は。」

 

 

 

「無事でよかった…」

 

社に帰ってから清野はため息混じりの声で町田に言った。

 

「すいませんでした。」

 

町田は頭を下げた。

 

「…とりあえず、今回はどうにかなったが、次はどうか分からん。それを頭に入れておけ。」

 

清野は、厳しい声でそう戒めた。

 

「はい、肝に銘じておきます。」

 

「それともう一つ、」

 

清野が町田の目を見た。

 

「ロボットみたいな戦いをするな。」

 

「えっ…?」

 

町田にとっては意外な言葉だったらしく、一瞬驚いた。

 

「ただ機械が示した計算だけに頼って戦えば、今日みたいな時、対応できず終わりだ。必要なのは、自分で考える事だ。」

 

そう言い残し、清野は後にした。

 

「機械…」

 

町田は、そう呟いた。

 

 

 

そのような言葉には聞き覚えがあった。自分にとって大切だった人の言葉が頭をよぎった。

 

『春輝…お前は生き物としての人間になれ…ここ最近多いスマホや便利な道具に頼るだけの人間には絶対なるな。』

 

 

 

そうだよな…父さん。

 

 

 

「ヨークさん、どうやらジョーカーは新たな仮面ライダーを作ったようです。」

 

「確か名前はフューチャ、だったな。」

 

「早急に対策を…」

 

「いや、しばらくこのままでいい。その代わりに祝電を贈ってやれ、戦闘兵器の、な。」

 

 

 

 

「はぁ…結局、自分も機械人間か…」

 

町田はため息をついた。

 

彼は近くの運動公園を歩いていた。

 

目の前では、小学校低学年くらいの子どもたちが楽しく遊んでいた。

 

「平和だ…でも…もう少ししたら…」

 

 

その時だった。

 

 

凄まじい轟音が鳴り響いた。

 

敵が襲来した事を意味するシグナルだ。敵は、公園にも現れた。

 

手当たり次第遊具やベンチの破壊を始めた。

 

 

現れた怪物は複数。硬い装甲を身に纏い、マシンガンを装備した機械…バトルマギアと呼ばれるタイプのものだ。

 

「バトルマギアか…」

 

町田はベンチから飛び上がり、ベルトをつけた。

 

「うっ…」

 

その時、泣いている子どもの姿に気がついた。

 

「危ない!」

 

マギアは銃の引き金を引いた。それと同時に町田は、子どもを抱え、走った。

 

安全なところに子どもを下ろして、逃げるよう言う。

 

その子どもが逃げるのを見守ってから、再び敵の方を見た。

 

「僕は…誰かの涙は見たくない…平和な世の中を、犯す存在は許さない。」

 

町田は拳を握りしめた。

 

 

 

 

同時刻、別地点で逢阪は立っていた。

 

目の前にはバトルマギアの群勢が迫っている。

 

「私にとってこれは罪滅ぼし。それ以上でも以下でもない。」

 

彼女はベルトをつけた。

 

 

 

「僕は戦う…」

 

「私は戦う…」

 

「生命あるものの味方として…」

 

「罪人としての務めを果たす為に…」

 

        フューチャとして!」

「「仮面ライダー

        蘭舞として…!」

 

 

「「変身!!」」

 

 

[未来の力!今ここに!仮面ライダーフューチャ!]

 

[荒ぶる華!今ここに!仮面ライダー蘭舞!]

 

 

「生命の輝きは僕が守る!」

 

「罪人には罰を与える…」

 

 

 

フューチャは、剣を手に取った。

 

バトルマギアは、遠距離は得意だが近距離になると一気に弱体化する、それを狙い、一瞬にして距離を詰める。

 

計算結果では剣で一度に切り裂く事を示す。

 

しかし、フューチャの動きは異なっていた。

 

先頭のマギアを蹴り上げ、後方のマギアにぶつける。

 

残ったマギアが一斉に砲撃を仕掛ける。フューチャはそれを剣を回転させ弾き飛ばす。

 

「このまま押し切る!」

 

フューチャは飛び上がり、剣で次々とマギアの関節部を切り裂く!

 

「これで終わりだ!」

 

フューチャは、ベルト上部のスイッチを再び押し込む。

 

[ゲネシスライダーキック!]

 

フューチャは、バトルマギアの軍団に、キックの体勢で突っ込む。

 

 

フューチャが通り抜けたところは、マギアの姿がなく、全て爆散していた…

 

 

 

 

そこには、赤き花のように咲き乱れる仮面ライダーの姿があった。有希が変身した仮面ライダー蘭舞。

 

 

[乱舞槍弓スピンウェポン!]

 

蘭舞は、マギアの砲撃を諸共せず、槍を構え、迫る。

 

次から次へとマギアを貫く。

 

マギアは攻撃が効かないのにも関わらず、砲撃を続ける。

 

蘭舞は槍の先端を取り外すと、残った持ち手をくの字にし、外した槍の先端をつけた。

 

弓へと姿が変わった武器で、遠くのマギアを次々と貫く!

 

 

マギアは次々と倒れた。

 

「これが、ライダーの力…」

 

武器を仕舞うと、ベルト上部を押し込んだ。

 

[蹴撃乱舞!]

 

「蹴撃乱舞!」

 

機械音と共に彼女は技名を叫んだ。

 

蘭舞はマギアを蹴り飛ばす。

 

そのマギアは周りを巻き込み、大爆発した…

 

 

 

 

 

「バトルマギアを各地へ放ったはいいが、全てやられたな…」

 

「仕方ないですよ…今、各地に仮面ライダーは存在する。雷鳴の守護神、未来の道を創りし者、英雄王の名を持つ者、炎不死鳥の狙撃手、神弓の聖戦士、氷の守護剣士、烈火の斧を奮いし者、言葉を巧みに操る者、皆に称賛される戦士…そして、それらを纏める仮面の戦士…ウォーズ。」

 

「楽しみだ…どうなるか…」

 

 

 

 

 




次回、第3話 神弓の聖戦士

2月上旬公開予定!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。