仮面伝説の終わり   作:津上幻夢

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第34話 仮面戦士の最期

夜が明ける頃、ヨークはホルコスと別れ市街の制圧を行っていた。

彼が従える兵たちは、近隣の家々を無理矢理こじ開け、見回っている。

 

「怪しい動きを見せた者はその場で殺せ。」

 

そう指示した。

 

その時、1人の兵士がこちらへ向かってくる人影に気づいた。

 

「止まれ!出ないと撃つぞ!」兵は銃を構えて脅す。しかし、彼はそれに怯える様子はない。

 

「銃を下げろ。」

 

「えっ?」突然の指示に兵は動揺を隠せない。怪しい動きを見せた者は撃てとさっき言ったばかりなのに…

 

「聞こえなかったか?」ヨークの声に兵は銃を下ろした。

 

 

ヨークは、男に話しかけた。

 

「生きていたのか、山田康介。それとも赤い方かい?」彼は、康介に話しかけた。赤い方というのは、バトルドの方に変身するもう1人の康介のことだろう。

 

「…悪いが俺は翠の方だ。」康介は、彼の問いに答える。彼の腰にはサバイブバックルが装着されていた。

 

「…その感じから察するに私と決闘したいのか?」

 

「そうだな、お前はアイツ(康介)と違って正真正銘の偽者だからな…だからこそ決着をつける!」[WAR-Z key!]

 

康介は翠色のキーを装填した。そして、あの言葉と共にキーを回す!

 

「変身!!」

 

[open!][Masked warrior!KAMEN RIDER WAR-Z!]

 

康介の身体に翠色のラインが迸る。そして体色がグレーに変わり、その上から翠色の装甲が付く。頭部には黒く伸びているアンテナと青く輝く瞳が宿り、胸には『Z』のラインが入る。

仮面ライダーウォーズ、再び降臨する。

 

[Ancient・Ride Dragon…]「百獣・変身。」

 

[ガッチャーン!リミットアップ!太古から伝わる竜を乗りこなせ、そして狼煙を上げよ。エンシェント・ライドドラゴン!]

 

ヨークの身体はウォーズゲーマーに変身、その上にエンシェントゲーマの鎧を見に纏い、エンシェントゲーマーレベル100へと変身する。

 

「行きますか…」

 

「お前の運命を終わらせる!」サバイブソードガンソードモードを構えたウォーズが走り出す。

 

彼の目の前には、ヨークを守るように兵が武器を構える。

 

[full open!][Sonic slash!]緑に輝く剣で勢いよく切り裂く!兵はその攻撃に一瞬にして薙ぎ倒される。

 

「その様子からして、出力を上げたのか。」ヨークが聞く。

 

「そうだな、スペシャルくらいにはな。お前には出血大サービスだ。」

 

そう言うと、バックルを取り外しノヴァ・バックルに付け替える。

 

[NOVA…SET!][NOVA open!][Destiny more than the space!KAMEN RIDER WAR-Z・NOVA!]

 

黒く、しかし輝いている形態ウォーズ・ノヴァへと変身した彼は、サバイブソードガンのままヨークを斬り裂く。

 

ヨークは後退し、斬られた際、胸元についた埃を払った。

 

「本当に出血大サービス、だな!」

 

 

 

「あの馬鹿、変身したのか。」

 

病院の窓から、神谷昭彦はみた。患者を逃し、丁度ひと段落つけるところだった。

 

「アッキー!」そこにやって来たのは、不知火香だった。

 

「香、何故ここに?」

 

「何故って、援軍を連れて来たからでしょ。」彼女は当然でしょと言わんばかりの顔で言った。

 

 

 

 

 

その頃、防衛拠点の近くでは、アーサーと火縄が押されていた。

 

「あんまり、ザナイトを使いたくないんだよな…!」

 

アーサーはこの状況に嘆く。何故なら出力の大きい形態をそう使える状況ではないからだ。

 

「だが、ここを守らなければ!」火縄も銃を使いなんとか敵を倒す。しかし、次々と押し寄せる大軍に疲労している。

 

その時だった。彼女に迫る兵が突然倒れたのだ。

 

兵の後ろには、矢を放った直後のホープの姿があった。

 

 

「フューチャージョーカー、出撃!!」フォースの声と共に、背後にいた紅蓮や氷華をはじめとした兵士達が一斉に攻撃に入る。

 

「風香さん!」アーサーがフォースを呼んだ。

 

「大誓、昌巳、待たせた。ここからは私達も加勢する!」フォースは、クローバークロッサーを構えた。

 

 

 

 

 

 

 

その頃、スペリオルロードに変身した蘭舞はホルコスと戦闘していた。

 

「やぁっ!!」ホルコスは、蘭舞に薙刀を振り下ろす。

 

しかし、ホルコスの攻撃は白銀の鎧に傷をつけることができなかった。

 

「はっ!!」蘭舞は、新たに召喚された槍『天覇槍』を装備、彼女の腹部へと突き出す。

 

「ぐっ…こんな所で死ぬわけには!」ホルコスは、苦しむ中自身が騎乗するホバーバイクを呼び出した。

 

 

「逃げるのか!」ホルコスはホバーバイクの方へ走る、しかしその瞬間、ホバーバイクは爆炎に包まれ爆発した。

 

「逃がさない!」攻撃したのは、銃を構えたフューチャだった。

 

「町田!」

 

「逢坂さん!」

2人は互いの名前を呼び再会を喜んだ。

 

「許さない…絶対に!」ホルコスは、薙刀を構えた。

 

「それはこっちの台詞よ。望みもしない理想郷はただの地獄でしかない!そんな理想郷、私達が必ず終わらせる!」

 

[嵐猛葬覇堕!]

 

嵐猛葬覇堕(らんもうほうはだ)…!」白銀の槍に真紅のエネルギーを纏わせた一撃が、ホルコスの身体を貫いた。

 

 

ホルコスは、何度も聞きたくない断末魔を上げ命を絶たれた。

 

 

蘭舞は、槍についた血を振り払い、フューチャを見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

徐々に有利になっていくジョーカー、しかしここだけは違った。

 

ウォーズ・ノヴァとヨークレベル100は互いに一歩も譲らないままただ時間だけが過ぎていく。康介にとっては最悪のシナリオだった。

 

「時間が…」

 

その時だった。突然、彼の心臓に激痛が邪魔に入った。終わりを告げる鐘のように…

 

「ぐっ、、」手の力が緩み、剣が地面に滑り落ちる。視界が霞み、徐々に意識が薄れていく。

 

「どうした?気が薄れていくぞ!」ヨークはウォーズノヴァを竜を召喚して壁に打ちつけた。

 

壁にめり込んだウォーズは、そのまま力が抜け地面に倒れた。変身が解かれた康介の口からは血が吐き出される。

 

 

「「康介!」」建物の出入り口から神谷と不知火が現れた。2人は、康介の無惨な姿に気持ち悪さを感じた。

 

「そんな…」

 

「…これでどちらが本物か証明されたな。君はウォーズにはなれなかった。」ヨークは康介の元に近づこうとしたが、それに待ったをかけた。

 

「康介は、本物のウォーズよ!」

 

3人が振り向くと、そこには壁伝いに身体を起こしてやってきた清宮一美の姿があった。

 

「お前は…こいつの女…生きていたのか!」その台詞からネメシス達には一美の生存はバレていなかったようだ。一美は不知火に支えになってもらい立った。

 

「…康介は、ウォーズの力を正しい事にしか使ってこなかった…あなたのウォーズの使い方は間違っている!」一美はそう想いを叫ぶ。

 

「…それはありえない。湯山玄武の実験(アトランティスの件)では何人も殺しただろ!」

 

「それは自分が生き残って諸悪の根源を倒す為。あなた達と違って私利私欲じゃない!」

 

「この女…黙らせた方がいいな。」ヨークは、右腕のブレードを構えた。

 

「やめろ…!」しかし、その脚を康介に掴まれた。彼はまだ生きていたのだ。

 

「この死に損ないが!」ヨークは康介を蹴り飛ばした。

 

「…俺が死ぬかどうかは、全部コイツの手の上さ…」そう言ってウォーズキーを握りしめた。

 

「なんだと?」

 

「ウォーズには…運命を変える力がある。誰も生き残れないかもしれないあの世界で全員生きて帰れたのも、湯山玄武を倒したのも、父さんに会えたのも…全部コイツの手の上だ。」

 

康介は立ち上がった。

 

「言っただろ…お前の運命は、終わりだって、それまで俺は死ねない!」

 

その時、ウォーズキーに翠の光が現れた。

 

それに共鳴するかのように、一美が持っていたエレクスキーも金色に輝いた。それがどう言うことか思いついた彼女は、康介の方を向いた。

 

「康介!これを!!」そう言ってキーを投げ渡した。

 

ウォーズキーをフォームチェンジ側、エレクスキーをスタイルチェンジ側に装填する。

 

「…変、身!!」

 

康介はキーを回した。その時、翠と金の光が周りの景色事包み込んだ。

 

 

その中、康介は不思議な感覚に陥った。

一美と徐々に融合していく、心も、体も、全てが…

 

疲弊しきった2人が一つになる事で、1人分…いや、それ以上の力に変わる。

 

 

 

[open!][[Lightning(雷鳴の) masked(仮面) warrior(戦士)Destiny(運命は) goddess(女神の) hands(手の上に)KAMEN(仮面) RIDER(ライダー) WAR-Z-ERE-X(ウォーズエレクス)!]]

 

二重に重なる変身音と共に、康介の身体はウォーズに変身する。しかし、それは右半身のみで、左半身には、新たな装甲が現れる。エレクスのような装甲が装着され、半分ウォーズ、半分エレクスの様な姿になる。そこから召喚された黒い装甲が身体中に装着され、一つのライダーのようにする。頭部は、エレクスの冠の上からウォーズのアンテナが伸び、複眼は右が青、左が赤となる。

 

光が収まる頃、ウォーズは真の運命の戦士、ウォーズエレクスへと変身した。

 

 

「すごい…」神谷はその壮観な彼の姿に息を呑んだ。

 

「やったね、イチミン…?」一方、不知火は突然姿を消した一美に驚きを隠せない。

 

「何が…何が起こっている!」

 

「「お前の運命は俺達(私達)の手の上だ。」」

 

ウォーズの声には一美の声も混ざっていた。それもそうだ。2人は本当に融合しているからだ。それに気づいた不知火は、2人が戦う光景を見る。

 

 

ノヴァ・セイバーとサファイアブレードを持ち、ヨークに迫る彼ら。ヨークはそれを両腕の爪で叩き落とそうと迫る。

 

しかし、それらを全て見切ったウォーズエレクスの方が何枚も上手だった。ノヴァ・セイバーでヨークの左脇腹を切り裂き、バランスを崩した所を狙ってサファイアブレードで斬る。

 

 

「なんだと!」正面からは勝てないと感じたヨークは今度は竜を召喚、それに騎乗した。

漆黒の竜の雄叫びと共にヨークはブレードを振り下ろす。

 

ウォーズエレクスは、その攻撃を喰らうが、ダメージの入る様子は一切ない。

 

「「撃ち落とす。」」既にファイアー、スパーク、ブリザード、グラビティのキーを装填済みのサバイブソードガンガンモードオーバーユニッターを構えた。そして、その引き金を引くと、4色の弾丸が空に放たれる。

 

「全て避ける!」ヨークはそう宣言した。口ではそう簡単に言えるが。

 

まずスパークの弾丸が爆散した。とてつもない光と雷撃で竜の動きを混乱させた。

 

「なんだと!」その後、ブリザードの弾丸が竜の翼を凍らせる。竜は完全に制御を失い地面に向かって墜落していく。

 

ヨークは、自分だけでもと竜から飛び出した。しかし、そこへグラビティの弾丸が炸裂する。彼の身体は重力操作を受け、竜と共に地面に落下していく。

そこにファイアーの弾丸が激突、大爆発と共にヨークは炎に包まれた。

 

 

 

「何故…何故そんなに強い!」

 

「「これが…本当のウォーズの力だからだ!」」

 

[Re open!][WAR-Z drop!]

 

ウォーズは、キーを回転させた。そして、黄金の輝きを纏った両脚で次々と攻撃を叩き込む。

 

右脚、左脚、最後にもう一度右脚。蹴り飛ばされたヨークは地面に倒れる。

 

[Re open!][ERE-X lightning!]

 

続いてエレクス側の必殺技を発動させる。本来なら回るはずのないサバイブバックルの左側を操作して。

 

翠の稲妻を纏った拳を立ち上がったヨークにぶつける。その一撃で雷に打たれたかのような衝撃が走り、火花が散る。

 

[Re open!]

    [[WAR-Z-ERE-X(ウォーズエレクス)

         grand finale(グランドフィナーレ)!]

 

ウォーズエレクスは空へと飛んだ。そして虹色に輝く右脚を突き出した。

 

「「はあああ……!!」」

 

2人はその右脚に最期の力を込めて解き放つ。ヨークに激突したその蹴りは、ヨークのガシャット、そしてゲーマドライバーすら破壊してしまうほどのエネルギーを流し込む。

 

「「おりゃ!!!!!!!!!!」」

 

2人の蹴りは、そのままヨークの身体を突き抜けた。

 

凄まじい爆発が、彼の身体を飲み込んだ。

 

 

 

 

 

 

爆炎が治った頃、変身が解かれ、ボロボロになっているヨークが姿を見せた。彼はフラフラになりながらも立ち上がりウォーズエレクスを見る。

 

「…これが私の末路か…」

 

「そうだな、偽者に相応しい…」

 

「あなたが負けた理由は一つ」

 

「「俺達(私達)を見くびったからだ…。」」

 

「ははっ…そう、だね…」ヨークは、最期に笑うと地面に倒れた。

 

 

「「…ヨーク…古屋欲翼、最期に相応しい相手だった。」」

 

康介は、ウォーズキーを引き抜こうとした。

 

 

しかし、その前にと思い出した。

 

「一美…俺は、お前を愛することができたのだろうか?」あの時投げかけた問いをもう一度聞く…

 

「…十分過ぎるほどにね。」一美は笑顔で答えた。

 

「私は、康介に会えてよかった。康介に会えたから私は今日まで幸せに生きて来れた。ありがとう。」

 

「ああ、俺も一美に会えてよかった…永遠に忘れはしない。たとえ死んでも…生まれ変わっても。この思い出は絶対に。」

 

「私も…死んだって、生まれ変わったって、絶対に忘れない。」

 

 

 

2人は、それぞれのキーを引き抜いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面ライダーウォーズ(仮面の戦士)…山田康介、死亡…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

康介が亡くなったという知らせは、帝国軍を追い払ったFJ軍の元にすぐさま舞い込んだ。再会を喜ぶ束の間、トップの死に悲しみや驚きを隠せなかった。

 

「そんな…」それは町田も同じだった。自分にとっては憎き相手であったが、それと同時に目標だった人でもあった。その死は酷く残酷な現実だった。

 

「君が町田春輝君?」そう声をかけたのは谷川一沙だった。

 

「はい…」

 

「よかった…社長が、これを君に託す。とね。」

 

そう言って渡したのは黄金色のドライバー『ヴァンガードライバー』とヴァンガードメットだった。その意図を察した町田は流れそうだった涙を拭った。

 

「ありがとう、康介さん。あなたの意志は必ず僕が継ぐ。」町田はそう固く決心した。

 

 

 

 

 

 

 

 




「名古屋が突破されたか…レーテー、お前も浜松に向かって出撃してくれ。そこで必ず倒す。」


焦るネメシスの後ろで、塾屋ゴンは考えを巡らせていた。

「これで…本当に良かったのだろうか…」



第7章 言霊の統率者編



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