仮面伝説の終わり   作:津上幻夢

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第36話 再臨す神屠竜

横浜要塞…

 

 

 

浜松から撤退したエリス…嵐山青樹は要塞内へと入っていく。

 

彼を出迎えたのは、アーテーの松本黒彦とネイコスの山吹愛だった。

 

「遅かったな、」松本は彼を煽るように言う。

 

「浜松から横浜は遠いからな。当然だろう。」嵐山は答えた。

 

「エリス、ネメシス様から貴方宛にある物が届いているわ。」愛は彼にそう言ってシルバーのケースを渡した。

 

シルバーのケースからは、α-サバイブバックルと呼ばれる深紅のバックルと、青いキーが入っていた。

 

「これは…?」彼は聞く。

 

「確か絶王…だったかしら。その能力を貴方用に調整した物だと。」

 

絶王、過去にウォーズ達と戦った敵の戦士の1人と言う事は彼も知っていた。そんな物が何故存在しているのか…そしてネメシスは何処からそれを手に入れたのか、不思議に思いながらも手に取った。

 

「…要塞は俺含めた3人の将で守るのか?」

 

「いいえ…もうすぐ4人目が来るわ…。名前は…

 

 

 

 

 

…ワード」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

熱海の辺りに差し掛かったFJ軍は一時休憩をする事にした。

 

真田昌巳はふとある事を思い出し町へ歩き始めた。

 

かつては観光客で賑わっていたが、それも今では廃墟となっていた。そんな中彼女が向かっていたのは、ある車整備の店だった。そこに車はなかったが、前来た時のように工具が大量に置いてあった。

 

奥にいたその人は、彼女を見ると外へ姿を現した。

 

「…来ていたのか…」

 

金剛寺朔弥、彼はこうして世界が崩壊してからも整備士を続けていた。先代は病死で今は彼が店主もしている。

 

彼は前にも入ったことのある昭和を思わせる居間に座った。殆ど変わった様子はないが、心なしか飾られている絵の具の絵が増えた気がする。

 

彼女は、今のジョーカーについて話した。

 

「そうか…ついにここまで来たんだな。」

 

「ええ、正直信じられないですけどね。」帝国の大群に、彼女らは少数精鋭で切り抜けていた。

 

「ところで、将君はどこへ?」将…先代の息子で、真田に自転車のチェーンを治してもらった少年だ。

 

「将なら、今は町に絵描きに出かけてるよ。少しでも綺麗な絵を描いて、みんなを喜ばせたいからって…アイツ本当だったら、絵描きになりたがってたんだ。」

 

通りで部屋に絵がたくさん飾られているわけだ。

 

「…そうだ。いい物がある。」そう言って、彼がとり出したのは、深紅のライダーブレスだった。

 

彼女は噂程度に聞いたことがあった。火縄に渡された最強の装備、フレイムブレス。それは今彼が持っていた。

 

「…昌巳、俺の代わりに頼んだぞ。」彼はそれを彼女に渡した。

 

「はい、必ず勝ちます。」彼女はそれを力強く受け取った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真田が戻った頃には休憩を終えた。休憩時間中どこかへ行っていた彼女に燕堂大誓は声をかけた。

 

「どこ行ってたんだ?」

 

「…懐かしい人に会いに…」

 

「ふーん…」燕堂はあえて興味がないふりをした。

 

「軍議を始めるぞ。」そこへ黒羽風香が軍議を知らせる為にやってきた。

 

 

 

「先程、偵察部隊が帰還していた。横浜要塞は東西に大きく、中心部と南北にそれぞれ広場が設けられている。そして要塞を守るように西側に大きな城門がある。それら4箇所に4人の敵将がいる。城門はアーテー、北はネイコス、中心部はエリスが陣取っているとあった。」

黒羽は要塞の敵配置について話していく。

 

「…南には誰がいるんだ?」片名勝治が聞いた。

 

「…南は…」彼女は口を開くのを戸惑った。受け入れたと思っていたのに…

 

「…南には、ワード…塾屋ゴンがいる。」その言葉に、片名と国山刹那、平方言葉は表情を変えた。

 

「…兵の数も、今までの戦いとは比にならない。倒してもキリがないほど…そこで、我々は効率よく敵を倒すべく分担して敵将を討つ。城門のアーテーはアーサーと火縄で、北部のネイコスは氷華とホープ、中心部のエリスはフューチャと蘭舞、そして南部は私と紅蓮で攻める。それぞれ準備を始めてくれ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

決戦前夜、塾屋ゴンは夜空を眺めていた。

 

「遂に来たか…風香さん。」彼は裏切ってしまった彼女の顔を思い浮かべていた。

 

「…僕を止められるのは貴女しかいない。」

 

 

その夜空を、黒羽風香もまた見ていた。静かに動いていく星を眺めていると、後ろから声をかけられた。振り返った先には片名の姿があった。

 

「俺達、本当にアイツ(ゴン)と戦う事になるんだな。」

 

彼にとってゴンは目指すべき存在であり、切磋琢磨し続け合う存在であった。それが今では敵同士、世の中何が起こるか分かったもんじゃない。

 

「…俺、アイツに斧を振り下ろされるのか?」彼の心には、不安があった。いつもなら感じない恐怖が。

 

「…それは私も同じだ。今でも、戻ってきてくれるなら、全力でそうしたい。」彼女は、静かに答える。

 

「私は、ゴンのやりたいようにして欲しい。全力で戦うなら、私達にできるのは、全力で相手する事…それだけ。」

彼女の目には覚悟があったのを、彼は見た。

 

 

 

「ようやく会えるね、ゴン。」言葉は、満月に照らされる中、つぶやいた。

 

 

 

 

 

「…昌巳。」その頃、燕堂は真田の元にいた。

 

「なんだ?」彼女は名を呼ばれた事に驚いた。

 

「その…俺、この戦いが終わったら、好きな奴連れて何処かでひっそり暮らしたいって思ってるんだ。」突然の告白に驚いた。そもそも好きな奴がいたのか。

 

「そうなのか。寂しくなるが、止めはしない。だいたい、好きな人って誰かしら?」

 

「それは…いずれ…」燕堂は、肝心な所の言及は避けた。

 

そんな彼をおかしいと彼女は思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

浜松の防衛関所を突破したFJ軍は更に東進を続ける。しかし、その彼らに巨大な要塞、横浜要塞が立ちはだかる。

横浜要塞には、エリスの他、ネイコスとアーテー…そしてかつての仲間であるワードの姿もあった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、城門に張り詰めた空気が流れていた。FJ軍は、要塞に攻め入るタイミングを見計らい、帝国兵と睨み合っていた。

 

「…いつになったら動く。」アーテーは剣を片手にFJ軍の動きだけを見続けていた。

 

 

 

 

 

敵味方問わず固唾を呑んで待つ。

 

 

 

 

そして遂に動き出す。

 

「FJ軍…出撃!」

 

フォースの号令と共に戦士は一斉に攻撃を始める。

 

「来たな、全員纏めて斬ってやる。」アーテーが剣を構えた。

 

 

城門は、ほんの数十秒で突破される。しかし、それはこの要塞にとっては些細な事だった。この横浜要塞最大の特徴は入り組んでいるところだ。帝国兵ですら迷うその形は、上から見るとQRコードのようだ。

 

そんなことはさて置き、FJ軍はは進撃を始める。

 

6人のライダーは、それぞれの進むべき方向へと足を進める。

 

「行かせるか!」アーテーが止めに入ろうとする。

 

「悪いな、相手は俺だけ!」それをアーサーザナイトが剣で制止する。

 

「…面白い…」

 

城門を守っていた兵達は、次々と火縄とその部隊によって攻撃を受け倒れていく。

 

「ここにいる兵を逃すな、全員倒す!」火縄は配下に指示を出す。それに合わせて彼らは次々と弾丸を放つ。それで兵は倒れていく。

 

 

 

 

 

その頃、フューチャと蘭舞は中心部にいち早く到着した。

 

「こちらフューチャ、蘭舞共にエリア到達、目標確認。これより交戦する。」そう通信でフューチャは伝えた。

 

「よく来たな…フューチャ、蘭舞。」エリスは2人を見て言う。

 

「…エリス、今日でお前を倒す!」フューチャはヴァンガードライバー、蘭舞はスペリオルロードメットを構えそれらを装着する。

 

[Ten riders power!Be rider one!FUTUR VANGUARD!]

 

[白銀の世界に舞う蘭!紅く輝き悪を討つ!スペリオルロード!]

 

黄金のフューチャ、ヴァンガードと白銀の蘭舞、スペリオルロードが並び立つ。

 

 

2人の変身した様子をエリスは、動揺もせず見届けた。そして、新たにバックルを取り出した。α-バックルだ。それを装着して青色のキーを構えた。

 

「変身」

 

[永遠ノ楽園…仮面ライダーエータス!]

 

エリスの鎧は、徐々に姿を変えていく。強靭な鎧が装着され、頭部には槍を模したアンテナが伸びる。かつて絶王と呼ばれていた仮面ライダーとほぼそっくりの戦士、仮面ライダーエータスが今参上する。

 

「始めよう。」エータスは、兵と共に2人に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

フォースと紅蓮は、ワードのいる要塞の南側に近づいていた。しかし、近づくにつれて兵の数は徐々に増えていた。

 

「これじゃ、アイツ(ゴン)に近づかない!」紅蓮が兵を薙ぎ倒しながら言う。

 

「あまり時間はかけられない。先に行ってくれ!」フォースが紅蓮に叫ぶ。

 

「…分かった、絶対に追いつけよ!」紅蓮はそう言うと、炎でフォースを襲おうとする兵を薙ぎ払い、先へと進む。

 

 

「…お前達の相手は私だ…全力で来い!!」フォースは、紅蓮を追おうとする兵を挑発した。それに促された兵は、矛先をフォースに変える。

 

フォースは、右脚部にパーツを装着した。そして、迫る兵の腹部にぶつける。それに連なり、背後の兵にまで雷撃が迸る。

 

 

 

 

 

 

その頃、アーサーはアーテーをギリギリまで追い詰めていた。

 

「それがお前の本気か?」剣を地面に突き刺し安定しない足で立ち上がろうとするアーテーに言う。

 

「…俺が負けを認めない限り、負けはしない!」すると、アーテーは視線をアーサーの後ろに移した。そこには火縄が敵を殲滅させ、銃を下ろしていた。

 

「戦場に油断は大敵だ。」アーテーはその足で地面を蹴り上げ、火縄に迫る。

 

「何!」火縄は突然の攻撃に銃を構え狙いを定めようとする。しかし、アーテーは寸前のところまで迫っていた。

 

「終わりだ!!!!」

 

 

 

アーテーの剣は、貫いた。

 

 

 

「ふっ…?何!」アーテーは、刺した人物が火縄でない事に気づき目を見開く。

 

 

「…燕堂!」

 

火縄の目の前には、腹部を剣で貫かれているアーサーの姿があった。

 

 

アーテーは剣を引き抜いた。力が抜けたアーサーは剣を地面に落とし、自身も倒れた。

 

「…何やってるんだ!」火縄が困惑と怒りの混ざった声で言う。

 

「…悪い…好きな奴が死んじまうって思ったら…つい身体が動いちまった。」燕堂は、弱々しい声で答えた。

 

「…そんな事しなくても…自分の命を投げ出すまでしなくても…!」

 

「…アーサーの鎧なら、怪我程度で済むと思ってたけどな、読み違えたみたいだ…」彼は、右手を火縄(昌巳)に手を伸ばした。

 

「お前は…生きてくれよな…昌巳、…」

 

 

 

 

 

「…馬鹿な奴め。」アーテーは、彼の死を滑稽だと言わんばかりに鼻で笑った。

 

 

「…こいつは、確かに能天気で、変で…馬鹿な奴に見えるかもしれない。だけど…だけど!」

 

火縄は、燕堂の亡骸の前に立ちアーテーを見据える。

 

「…誰かの為に真剣になれる、強い奴だ…」

 

その腕には、フレイムブレスが装着されている。

 

「…私はアンタを許さない…大切な人(好きな人)を奪ったことを、絶対に!」

 

 

[Check!][Limit Over!HINAWA・Frame Fighter!]

 

 

火縄は、炎に包まれる。そして、かつて金剛寺が変身した最強の火縄、火炎将軍に姿を変えた。

 

彼女は、アーサーが使っていた剣を手にした。

 

 

「燕堂…力を貸してもらうぞ。」

 

「面白い、かかって来い!」アーテーは剣を構える。火縄は剣を片手に迫る。

 

アーテーは火縄に剣を振り下ろす。火縄はアーサーの剣でその攻撃を防ぎ、背中に着けられた砲台でアーテーに炎の弾丸を放つ。

 

アーテーはその攻撃を連続で喰らい、身体中から火花が散る。

 

 

「これで終わりだ!」

 

[Frame direct burst!]

 

剣は炎を纏い、火柱と化す。

 

「はあっ!!」

 

火縄は、その剣を振り下ろす。アーテーは大火に包まれると、装甲を、そして身体を焼き切られる。

 

「…俺の…負け…だ!」

 

アーテーは、その声と共に爆散した。

 

 

 

「…燕堂、ありがとうな。」

 

火縄は、燕堂の亡骸の前に剣を突き刺し、返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

横浜要塞を見渡せる小高い場所に、平方言葉は来ていた。

 

 

横浜要塞で繰り広げられる激闘を見ていた。

 

 

「…もう、あの日の惨劇は繰り返させない!」

 

 

 

彼女の心臓が大きく波打つ。瞳がオレンジに輝き、白い光に包まれる。

 

白い光となった彼女は空へと飛んだ。

 

 

その白い光は、竜の形へと変化する。

 

 

周りに叫びが響き渡る。

 

 

神を屠る竜は、再び神を滅ぼすべく空を舞う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ワードを止めるべく再臨した神を屠る竜、そして、フォースは遂にワードと対峙する事になる…その戦いの行方は…!

次回、第37話 風に舞う花の香
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