仮面伝説の終わり   作:津上幻夢

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第3話 神弓の聖戦士

夜道を走る一台の乗用車があった。車内にいるのは男一人、そのの男が大音量でアイドルグループの曲をひたすら流している。

 

車は徐々にスピードを上げ、法定速度を優に変えている。しかし、運転手はそんな事気にもしていない。それよりも、早く帰りたいと言う思いでいっぱいだった。

 

その時だ。ヘッドライトに人型のものが写った。咄嗟にブレーキをかけた。タイヤが地面を擦る音が夜の闇に響く。しかし、車体はその人型のものを跳ね飛ばした。

 

 

男は、恐る恐る車を降りた。彼の顔はすっかりと青ざめ、怯えている。

 

ゆっくりと、跳ね飛ばしたものに近づく。

 

そして、安否確認の為に声を掛けようとしたその時、その人型のものは、男の手を引き、喰らった。

 

男は声を上げる間も無く、それに喰われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝、町田がジョーカーに着いて早々、出撃の支度を迫られた。

 

「清野さん、もしかしてまたどこかに怪物が現れたんですか?」

 

町田は、ちょうど前から現れた清野に聞く。

 

「昨晩、男の変死体が見つかったそうだ。どうやら、体の一部を何かに喰われた跡があった。怪物の仕業の可能性が大いにあるため、護衛に就けとの事、出撃と言っても戦闘は無いかもしれないが一応準備しておけ。」

 

清野は、町田に簡潔に事を伝え、指示した。

 

町田は返事をすると、ベルトとロードメットを手にし、輸送用の車両に乗った。

 

車内には清野と町田、数名の武装した隊員、そして逢坂の姿があった。

 

清野は、車両が基地を発車すると、作戦の指示を始めた。

 

「今回は、あくまで事後処理班の護衛だ。戦闘することよりも、守る事を重点的にしろ。もし、怪物が現れた場合は…町田、そして逢坂の2人で対処、僕含めた残りは護衛対処の防衛に徹しろ。」

 

町田は、何故同じように仮面ライダーに変身できる清野ではなく逢坂なのかと思った。

 

 

 

 

 

 

運転席から到着を伝える声が聞こえた。

 

清野は、車両の扉を開け、一番最初に降りた。

 

現場は薄らと雪が積もっていた。

 

先に着いていた事後処理の担当者が清野に駆け寄ってきた。

 

清野は、状況を確認すると、隊員に指示を出した。

 

「車内で言った通り行動しろ。」

 

そう言うと、隊員達は護衛に回った。町田も向かおうとしたその時、逢坂が口を開いた。

 

「隊長、これ見てもらえませんか?」

 

「なんだ?」

 

逢坂が指差した所には血痕があった。人のものだ。それが森の中に点々と続いている。

 

「…この先に居るかもしれない…逢坂、町田。2人で確認に向かってくれ。」

 

「分かりました。」

 

「はい。」

 

 

清野の指示で逢坂と町田は、森の中に入った。

 

 

 

森の中は、とにかく歩きづらい。町田は、高校の活動で山の中を歩いた事を少し思い出して、慎重に歩いていた。一方、逢坂は血痕を見逃さまいと下を向いて歩いている。彼にとってそれは今にも足を滑らせそうで危険だと思った。

 

「逢坂さん、慎重に歩かないと足滑らせますよ。」

 

彼女は振り返った。

 

「そんな事しない…」

 

そう言ってまた前へ進もうとした、その時だ。

 

「わっ!」

 

彼女は足を滑らせ、転びそうになった。

 

「逢坂さん!」

 

町田は逢坂の手を掴み、滑り落ちるのを防いだ。

 

「だから言ったじゃないですか…」

 

彼はそう言った。だが、彼女は黙ったまま目を逸らした。

 

 

再び2人は歩き始めた。が、町田はすぐに足を止めた。

 

「逢坂さん、後ろに居ますよね?」

 

逢坂は町田の前にいる。側から見れば何言っているんだ?と思うだろう。

 

「ああ、後ろだけじゃない。囲まれている。」

 

 

気がつけば、木々の周りからホッパー達が顔を覗かせている。

 

「罠にかかった…」

 

逢坂はそう呟き、ベルトを装着した。

 

町田は一瞬驚いた。色違いとはいえ、同じベルトをつけている。だが、これで一つ謎が解けた。ライダーに選ばれたのは2人、もう1人が彼女なのだと。

 

彼もベルトをつけた。

 

それぞれロードメットを用意、ベルトに装着した。

 

「「変身!!」」

 

[未来の力[荒ぶる華!今ここに!!仮面ライダーフューチャ!]蘭舞!]

 

青と赤の戦士達は、ホッパーに向け銃と弓を構えた。

 

 

 

 

 

一方、清野達も異変に気がついていた。

 

「総員!銃を構えろ!」

 

清野も、弓を構えた。

 

しばらく静寂が続いた。

 

清野はタイミングを見極め、隊員達に射撃を促す。

 

一斉に乾いた音が鳴り響く。生き残ったホッパー達は、一斉に隊員達に飛びつく。

 

1人の隊員にホッパーがしがみついた。このままではやられる…だが、ホッパーの動きはすぐに止まり、崩れ落ちた。

 

清野が弓矢でホッパーを倒したのだ。

 

次から次へと迫り来るホッパー、隊員達は攻撃に備える為、ロードメットを取り出した。

 

「「「変身」」」

 

[トランス…トルーパー!]

 

左腕にそれを取り付け、隊員達は仮面ライダーとは違う新たな姿へと変身した。黒の装甲に覆われ、右肩には白のアーマーに識別コードが書かれている。トランストルーパーと呼ばれるものだ。彼らは、ダガー、ライフル、チェーンソーなどを構え、ホッパーを迎撃する。

 

 

清野もライダーベルトとライダーブレスを装着、更に弓に金色の新たなパーツを装着した。

 

[recover!]

 

「変身!」

 

清野は弓をベルトにスキャン、白銀の鎧が現れ、装着される。

 

[rider HOPE!recover mode!]

 

白銀の鎧はホープを新たな姿へと変化させる。背中からは大きな白いマントが垂れ下がり、聖戦士の名に相応しい姿に変わった。あの時、フューチャを救ったのもこの姿だ。

 

仮面ライダーホープ、リカバーモード。それが彼の新たな姿だ。

 

[laser blade!]

 

ホープは神弓リカバーアーロの金色のパーツを上に向けた。すると、シルバーのレーザーが放たれ刃になった。

 

その刃は、ホッパー達を次々と焼き斬り、消滅させる。

 

「はあっ!」

 

ホッパー達はホープらの攻撃により劣勢となっている。このままでは全滅…だが、そう思うのはまだ早かったようだ。

 

一つの素早い影がライフルを構えたトランストルーパーに近づいた。

 

その影はトルーパーの右腕に噛みつき、食いちぎろうとした。

 

「うわっ!」

 

その声に気づいたチェーンソーを持ったトルーパーは、彼と影を引き剥がしたやいなや、その姿を見て驚く。

 

ホッパーの原型はあったが、左半身が機械的な見た目になっている。左腕には強靭な鉤爪が付いている。

 

「なんだよ…こいつ!」

 

トルーパーは、危険を察知、怪我をしているトルーパーを庇いながらゆっくりと迫る。

 

新たなホッパーは一瞬にして距離を詰め、チェーンソーを切断した。

 

更にトルーパーの腕を引き裂こうと迫る。

 

が、それよりも早くホープが刃で攻撃を防ぐ。

 

「下がれ、こいつは僕が相手する!」

 

 

ホープは神弓をベルトにスキャンした。

 

[check!recover hard!]

 

ホープは、何千度の高熱を放つ刃を押し当てる。そして一瞬にして腹を切り裂く。

 

ホッパーは、上半身と下半身が別れると同時に爆散した。

 

他のホッパーも、退散を始めた。

 

「追うな、今のうちに避難しろ。」

 

追おうとするトルーパーをホープは止めた。そして、先程噛まれたトルーパーの右腕に手を翳し、何か光るものを送った。

 

 

するとその腕はみるみると回復した。

 

「ありがとうございます。」

 

「ああ、僕はあの2人を見てくる。戻ったらいつでも動けるようにしておけ。」

 

 

そう言って森の中に入った。

 

 

 

撤退の指示を無線で聞いていた2人は、退散しようと戻ろうとする。

 

町田はその時、森の先に何かあるのが見えた。

 

「何やってる、戻るぞ!」

 

逢坂にそう促され町田も戻る。

 

 

途中でホープと合流して3人は車両へと戻り事後処理班と共に現場を去った…




次回、第4話 英雄王の名を持つ者

2月中旬ごろ公開!
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