仮面伝説の終わり   作:津上幻夢

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ここまで仮面伝説を読んでくださった全ての人に、感謝します。


これが、本当の最後です。











最終回 仮面伝説の終わり

 

 

 

 

 

 

『この世界には、まだお前の存在は必要だ…北へ逃げろ。帝都の外れの小高い山に輸送機が待っている。』

 

そう父さん(湯山玄武)に言われるがまま宮城を後にした。

 

だが、今冷静になって考えてみるとそれは間違いだったのかもしれない。

 

ふと、春輝の顔が頭に浮かんだ。世界を統べるものとして、反乱軍を率いるものと戦うべきであると…

 

俺には、ここ数週間焦りしかなかった。突如として現れたジョーカー。徐々に数を増やし、帝国の要所を突破していくその様は恐怖を感じるしかなかった。

 

 

俺は、もうすぐ帝都を出る。そうすれば…また一から…

 

 

その時、ふと胸騒ぎが起きる。

それは何か、すぐに分かった。

 

遠くから響くバイクのエンジン音、そして迫る青い戦士。

 

紛れもなくフューチャ(春輝)だというのはすぐに分かった。

 

これまで数々の同胞を討ち倒して来た新たな形態『ヴァンガード』と呼ばれる形態…それがバイクに乗ってやって来ている。彼は右手に緑の剣を構える。

 

俺は咄嗟に剣を構えて身構える。

 

しかし、バイクの勢いが乗ったその斬撃はその程度で凌げるものではなかった。

 

フューチャは、バイクを止め倒れた俺を見下ろす。

 

「兄さん…いや、ネメシス、お前を倒す。」

 

俺は立ち上がり答える。

 

「…俺は、まだ死ぬことはできない。この世界を統べる為、止まるわけにはいかない。」創作物のヒーローのような言葉を放つ。

 

「…それは僕も同じだ。僕はジョーカーを、かつての平和を望む人たちの思いを背負ってる。止まることなんて…できない。」

フューチャは、バイクから降りると右脚の装甲を解除、左腕に金色の盾を装備する。

 

「でも、その前に一つ聞かせて欲しい。」

 

意外だ。そう素直に思った。俺達は敵同士だ。そんな簡単に話ができるようなものではない。

 

「…何故、戦乱の世を作り上げてまで仮面ライダーを…今までの秩序を目の敵にしたんだ?」

 

そうか、そういえばまだ話していなかったな…だが、それは簡単な話だ。

 

「…さっき、お前は前の世界を平和と言ったな。だが、俺にとっては到底そうは思えないな。」

 

彼は、黙って俺の話に耳を傾けていた。その様子を俺は信じ話を続ける。

 

「…徐々に広がる人間同士の格差、無能で弱者な人間が政治を行う、それらを無関心で見過ごし生活する者、それらの悪循環が世界を破滅させる…俺は、そんな世界を許せない。それを見過ごしていたら、また罪のない誰かが犠牲になる。アトランティスの事件もそうだ。無能なあの学者(白夜総三)が全てを引き起こした。その彼を政府は庇い、大罪から目を背けた。そして、あの事件に巻き込まれた人は…誰一人として帰ってこなかった。俺はそんな負の連鎖を断ち切らなければならない。だから皇帝となり世界を統べる。これが俺の戦う理由だ。」

 

 

全てを話し終えた時、少し気持ちに余裕ができたと感じた。こうして誰かに自分の理念を聞かせるなんて滅多にないからだろう…敵ではあるが。

 

それからしばらくして、彼は口を開いた。

 

「…僕も、最初は似たような理由でジョーカーに入ったよ。内側から全てを変えてやろうって。でも、それは間違っていたってわかった。兄さん(ネメシス)、それを今ここで証明する。」

 

間違っていた…それはジョーカーや世界だ。お前は騙されている。そう言いたかったが、それは目の前の光景を見て寸前で止まった。

フューチャは、武器を構えた。兄弟の会話も、これで最期か…俺も武器を構えた。

 

「みんなが仲良くなれる世界、国境も文化も越えて全ての人が、一緒に暮らせる。その世界を創るために、僕は今ここでお前を倒す!」

 

そう言うと、彼は俺に向かって走り出した。

 

光が反射するその剣先を俺に向けて振り下ろす。俺はそれを剣で受け止める。先程よりは弱まったが、それでも覚悟が乗せられているその剣は非常に重みのあったものだった。

 

だが、それは俺も負けてはいない。

 

力を振り絞り、剣を押し返す。そして、後退した敵に剣の突きを見舞う。その攻撃は金色の盾にヒビを入れるほどだった。

フューチャは左腕を、青色のブレードに変えた。更に右脚にも水色の装甲を纏い走り出す。右手、左腕、右脚の3種類の刃が俺に迫る。

 

初めに左腕を伸ばして串刺しにしようと迫る。俺はその攻撃を左に逸れることで防ぐ。

次に右脚の刃が迫る。それは避けれない、そうすぐに感じ取ると剣を構え、刃の攻撃に合わせて弾き返す。

 

それにフューチャはバランスを崩して身体が派手に転ぶ時のように宙に浮いた。

 

「セイヤッ!」俺は、エネルギーを纏った右脚で彼を蹴り飛ばした。

 

近くの建物の壁にぶつかった彼は、自身に降りかかった土埃を払った。

 

「…僕も負けられない…!」フューチャは、右手に赤い銃を、左腕に紫色の盾を構えた。

 

そして、怯むことなく俺に向かって走り出す。

 

俺は剣で奴を攻撃しようと目論んだ。

 

しかし、それを右手の銃が阻止する。

 

しまった、そう思った。

 

その隙にフューチャは俺の懐まで入り込む。縦から伸びた刃で切り、銃を使って一気に俺の体へダメージを撃ち込む。

 

俺は、弾丸の爆発で背後へと吹き飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、因縁の対決と行こうか。」

 

「…実に楽しみだ。清宮一美が死んだ事で腑抜けになった貴様が、どれだけ成長したか。」

 

吐き気を催す悪という言葉は、まさにあの男の為だけにあるだろう。気味の悪い外骨格の見た目、耳が一瞬にして腐るような声、あの時を思い出したかのように、あの戦場の煙臭い匂いを感じた…それら全てが俺の気分を下げる。

 

だが、俺は二度もあの男には負けない。

 

そう誓うと、俺は両腕の拳に力を込めた。そして奴のいる玉座へと走る。

エンペラーホッパーは余裕の表情で俺を見下ろしている。

 

「はあっ!!」俺は右拳を振り下ろすべくジャンプし、身体を前のめりにする。上から下へと働く位置エネルギーも利用して奴の身体に迫る。

 

右拳は、確かに奴を捉えダメージを与える。尽かさず左拳、右拳、と連続して打ち込んでいく。

 

 

しかし、奴にとってそんな攻撃は蚊が刺す程度でしかないようだった。

 

俺は奴の右腕で虫を払うかのような動きで振り落とされる。

 

「そんな攻撃で、私に勝てると思ったのか?」そう言って左腕を奴は構えた。

 

「ならば、ここで散るがいい…愚者よ!」左拳に蓄えられた紫色のエネルギー弾は俺に向かって放たれる。

 

俺は攻撃を防ぐまもなく喰らってしまう。

 

燃えるような感覚に陥った。

 

「…やはり、お前は愚か者だ…弱く、醜い…そんな貴様が何故私に勝てたか不思議でしょうがない。正しくいえばこの世界の貴様だがな。」

一々修正するところに苛立ちを感じる。

 

「…愚か者…醜い…?それはどっちだよ。」俺は、痛みに悲鳴をあげる身体を徐々に起こす。

本当の愚か者は、自分が本当の愚か者であることに気づくことはないのだろう…

 

「…人を散々利用して、命を軽く扱い、見捨てた貴様に、言われる筋合いはない…」

 

「ふっ…なんとでも言えばいい。愚者は喚くことしかできない。しかし、自身が弱き者である事は否定しないのだな。」

 

一々揚げ足をとる…再び苛立ちを感じたが、それと同時に知らしめてやろうと思った。

 

「…俺は、確かに弱いさ…一度悪に堕ちて、大切な人の想いも考えることができない。だが、弱いからこそ、強くなる事ができる。誰かと触れ合い、戦う事で!」

 

俺はふと、この世界の俺と一美を思い出した…あの2人はもう死んでいる。あの2人が守りたかった世界だけは…絶対に…

 

「俺は、この世界を絶対に取り戻す。その為に、強くなる!」

 

俺の身体に、ふと力が湧いた。それは気持ちだけではない。目で放つオーラの色を、耳で力が湧き上がる音を、それらが不快な匂いを感じさせないようにする。

 

俺の身体は、紅き閃光へと進化していた。

 

バトルドの究極状態…なのだろう。俺は、サバイブソードガンソードモードを構える。

 

「お前の運命は、俺の手の上だ。」そう久々に放つ気合を込める一言を言い奴との距離を詰める。

 

奴の懐に入ると、紅く輝く剣を連続で振り下ろす。

 

それらが奴の身体に傷を入れ、確実なダメージへと変化する。

 

開いた傷は塞がらず、奴は悲鳴をあげる。

 

「何が…何が起きている!」

 

「…お前は、自身の力に慢心しすぎだ。だから、この世界の俺達に負けた…そして今度は、俺に負ける番だ!」

 

 

[Full charge luminous!]

 

 

俺の身体を包んでいた紅きオーラは右脚に一点集中する。

 

俺は、広い玉座の間の天井へ飛ぶ。そして、空中で一回転入れ勢いをつける。

 

右脚を突き出し、その力を奴にぶつける。

 

「くそっ…くそ!!また負けるのか…この私を愚弄するとは…許さん!絶対に許さない!!!!」

 

キックを喰らい続けてもなお抵抗を続け、醜い言葉をぶつけ続ける。

 

「お前に許される筋合いはない!このままあの世へ行け!」

 

俺は、最後の力を込めて蹴りを打ち込む。

 

そのキックは、奴の胸部を貫いた。

 

 

 

 

 

 

「私の野望は…絶対に潰えない…」

 

あまりのダメージで瀕死となった奴は、最期にそう言う…

 

だが、俺はそれに答えない。答える気がない。

 

その理由は一つだ。二度とあの男の望む未来への道は現れないのだから。

 

 

俺が玉座の階段を降り終えると同時に、奴の体は爆散した。

 

 

 

俺ができる事は全てやり遂げた…後は町田、お前次第だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戦況は、僕有利で進みかけている。

 

ネメシスは、先程の攻撃を喰らって以降、徐々に勢いが落ち始めた。

 

左腕にクロスホープ、右手にファイアアックスを装備し、更に追撃を始める。

 

立ち上がったばかりのネメシスに矢を連射する。そうして身動きが取れないうちに、一気に詰め寄り斧で叩く。

 

ネメシスは後退し、地面に倒れる。

ようやく長き戦いが終わる…そうひしひしと感じていた。

 

ライトニングフォースを装備すると、必殺技の態勢に入る。

 

[FUTUR lightning drop!]

 

電撃を纏った右脚を、ネメシスに向かって打ち込む。

 

「終わりだ!!」

 

ネメシスは、キックの爆発で後方へと吹き飛ばされ、倒れた。

 

 

僕は、変身を解いて近づこうとした。しかし、ネメシスは過剰のダメージを受けた筈なのに変身が解けない。不審に思った僕はその手を止めた。

 

その予感は当たっていた。ネメシスは、身体を起き上がらせた。

 

「それが…お前の全力か…一瞬、死ぬかと思ったよ。でも、これならネメシス最強の力には敵わない…」そう言うと、ネメシスは新たに緑と銀のロードメットを構えた。

 

それを、ベルトに装着し、変身シークエンスを始めた。

 

ネメシスの装甲は、一度解除されると再び構築を開始する。通常よりもより強固に見える鎧に、両肩からは翼が生えている。胸部にあった緑色のシグナルは隠されその姿を見る事は出来なくなる。背中からは銀色のマントが、腰からは緑色のローブが生え、まさに『皇帝』を思わす形態へと進化した。

 

「ネメシス、オーヴァーロード。」

 

ネメシスは自らそう名乗った。そんな隠し球があったのか…。

 

彼は、剣を持ち手から引き抜くと、刃を反転させて再び持ち手に装着する。それによって武器が剣から斧へと変わる。その斧は、他の将たちが持っていた武器のように赤黒く輝いている。

 

 

「終わりにしよう…」ネメシスは斧を両手で持ちこちらへ向かってくる。

 

僕は、フューチャリスティングを構えてカウンターを狙う。

 

ネメシスは斧を僕の身体に振り下ろす。

 

今だ…そう剣を懐に突き刺す。

 

 

その剣は確かにネメシスの鎧に攻撃を入れた。しかし、ネメシスに攻撃が効く様子はない。

 

「残念だったな。」そう言ってネメシスは斧を振り下ろす。

 

フューチャの鎧に強い衝撃がかかる。これほどの攻撃を喰らうのは初めてだ。あまりの痛みに身体が耐えきれず倒れる。

 

 

ネメシスは、斧を背中にしまうと三叉の槍を構えた。あれは確かディスノミアが使っていた物と同じ物だ。

 

彼はその槍を僕に向かって投擲する。串刺しにはなりたくない、その一心でその攻撃を回避する。

 

更に金色の矢が連続して降りかかる。ゲラスの使っていた弓から放たれている。その矢は的確に僕の身体に刺さる。

 

「ぐはっ!」

 

後方に倒れる。このままでは負ける。勝つ為の戦略を考える。しかし、この状況を一人で勝つ事なんてできるのか…

 

「うぉら!!」思考するよりも早くネメシスが斧を振り上げる。

 

僕の身体は宙に浮き、地面に落ちる。強い痛みで、立ち上がれない…

 

何か…何か手が有れば…!

 

「終わりだ…」

 

ネメシスは斧を倒れた僕の胸部に向かって振り下ろす。

 

 

が、それは未然に防がれることになる。ネメシスの目の前から迫るバイクの音、そこから矢が連続して放たれる。

 

「何!」ネメシスは後退する。

 

そのバイクは、僕を庇うように止まる。赤いバイクから降りたのは、スペリオルロードに変身した蘭舞…有希だった。

 

「有希…怪我は大丈夫なのか!」僕は、痛む身体を起き上がらせようとした、しかし立ち上がられない…それを見た彼女は僕に手を差し伸べた。

 

「…これじゃ、どっちが怪我人かわからないな。」彼女はそう言う。

僕は彼女の手を握る。そして、彼女の補助もあり起き上がる事ができた。

 

「…とりあえず、多少は動ける。まぁ、居ないよりはマシだろう?」

 

「…ありがとう、居てくれるだけで力が湧いてくるよ。」

 

 

「…蘭舞が何故ここに!」ネメシスは、怪我をして倒れていると思っていた彼女の姿を見て驚く。

 

「最終決戦を、寝ていただけになんてしたくない…春輝と一緒に、新しい未来を創る。」

 

「ならば…貴様もここで倒す!」ネメシスは斧を構えて迫る。

 

僕は、右手にウォーブレード、左腕にワードブレッシング、右脚にライトニングフォースを装備する。そしてウォーブレードを彼女に渡す。

 

「いこう。」

 

「ああ、相棒。」蘭舞は頷いた。

 

 

ネメシスが振り下ろす斧を、僕は左腕の盾で防ぐ。

 

多少の痛みがあったが、好機の為なら痛くない。

 

ネメシスの腹部に蘭舞のウォーブレードの斬撃が迸る。ネメシスオーヴァーロードに与えた初めてのダメージだ。

 

後退したネメシスを見て、確信した。今度こそ勝てるって…

 

僕は、ネメシスに一気に詰め寄る。そして左腕の刃で切り裂く。

 

そこへ蘭舞が再び剣を振り下ろす。更に僕が右脚で蹴り飛ばす。

 

その3連撃にネメシスは後退するしかない。

 

「ぐっ…こんな所で…」ネメシスは、再び立ち上がる。しかし、先程までのような強さを感じない。

 

「終わりにしよう、兄さん!」[FUTUR lightning drop!]

 

「ネメシス…お前を倒す。」[嵐猛葬覇堕!]

 

2人でタイミングを合わせて、空へと飛ぶ。そして僕は右脚、彼女は左脚を前に突き出す。

 

「こんな所で、終わらせない!」[ネメシスエンディング!]

 

ネメシスは10の武器を召喚、それらを僕達のキックに激突させる。

 

しかし、その程度でキックは止められない。

 

「はあっ!!」ネメシスは最後に赤褐色に輝く斧を振り回す。

 

僕達はその攻撃で地面に打ちつけられた。

 

僕も彼女も、すぐに態勢を立て直し立ち上がる…しかし。

 

その時、機械が破壊する音が聞こえた。音の方へ振り返ると、蘭舞のベルトが砕けていた。彼女も、困惑の表情を浮かべていた。

 

もしかして、さっきのネメシスの攻撃が…

 

 

「どうやら…終わりのようだな。」兄さんはそう言った…そんな簡単に、終わらせない…そう思うと、力が湧き上がる。

 

「…まだ終わりじゃない、僕がいる。僕が新たな世界を創造する!」

 

すると、ヴァンガードライバーが光り輝く。それだけじゃない、フューチャロードメットと蘭舞ロードメットも同じように輝く。

 

「これは…まさか!」彼女は何かを思い出したかのような口振りだった。

 

「…変身!!」

 

僕の身体は、その掛け声と共に光に包み込まれる。

 

僕の身体は、ヴァンガードから一番最初の形態、ロードへと姿が変わる。しかし、胸部にグリーンの装甲、左肩にパープルの装甲、右肩にゴールドの装甲が装着される。それらは全てどこかで見たことあるような形をしていたが、そのようなことを考えている間はない。

最後に、背中へレッドの翼が生え、新たなフューチャへと進化させた。

 

[legendary…lord!]

 

そう簡単にベルトは言葉を発する。有希は、僕の新たな形態を見て、笑顔を見せていた。

 

「あれが…隠された機能。フューチャレジェンダリーロード。」

 

僕は、ネメシスに向かうべく地面を蹴り上げる。地面を滑るように走る。

 

「そんな簡単な攻撃を…!」

 

ネメシスは、迫る攻撃に身構えた。と言うよりも、それよりも早く迫るウォーズの幻影に驚いたと言った方が正しい。

 

ウォーズの幻影はネメシスにキックを繰り出す所で消える。その少し遅れた所で僕がパンチを繰り出す。

 

次にフォースの幻影がネメシスの後ろから武器を振り下ろす。

 

ネメシスはそれを咄嗟に回避するが、その先には僕のキックが待ち構えていた。そのキックでネメシスは地面に倒れた。

 

「ぐっ…なんなんだ…!」ネメシスは、僕とその後ろに立っている有希に向かって先程の武器召喚攻撃を迫る。

 

しかし、それらは全てワードの幻影が僕達を守ることで未遂に終わる。

 

僕は、ダイレクトアームズとフューチャリスティングを持ちネメシスに向かって斬り裂く。その隣には、同じように槍を振り下ろす蘭舞の幻影があり、攻撃を加える。

 

僕は最後に空へ飛んだ。今度こそ、必殺のキックをネメシスに向かって放つ。周りには、ウォーズ、フォース、ワード、蘭舞、そしてフューチャの幻影が現れ、僕に融合する。

虹色に輝く両脚が、ネメシスの胸部に激突する。

 

 

僕はキックを貫き、ネメシスの身体に大きなダメージを与えた。

 

地面に着地すると同時に、ネメシスは爆発した。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は、変身を解き有希と共に変身が解けて無防備になった兄さんに近づく。

 

「…兄さん、」

 

「…春輝、俺の負けだ。その剣で、俺を斬れ。」僕の言葉を遮り、兄さんは言う。

 

「…僕は、出来ることなら兄さんと未来を創りたい。罪を償って、生きて欲しい。」

 

「…それはできない。今もどこかで、こうして戦っている。俺を討たなければ、俺を信じ続けているものが戦いを続ける…だから斬れ。」僕の願いを、兄さんは受けようとはしなかった。

 

僕は、その望みを叶えるべく、剣を振り上げた。しかし、最後の一振りを下ろす事ができない…兄さんを、殺す…か。それとも…

 

「俺とお前の道は、交わらないんだ!どちらかしか、世界を統べることはできないんだ!」兄さんは声を荒げた。どれだけ本気であるかをそれだけで感じ取れた。

 

「春輝…」有希は、隣で僕を見守っている。その目は、斬るべきと言っているようなものだった。

 

覚悟を…決めなきゃ。

 

「兄さん、また会おう。今度は、平和な世で…」

 

その別れの言葉を最期に、僕は剣を振り下ろした。

 

 

 

 

亡くなった彼の身体を、沈む夕陽が照らしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの戦いから、丁度一年が経過した。

 

 

戦いが終わってから、戦士達は皆別の道へ歩んでいく事になった。

 

片名勝治は、「家族の元に帰る」とだけ言い残し、東京を後にした。

彼の家族は現在は大阪で暮らしていると聞いた事があったが、本当かどうかは分からない。ただ、去り際の彼の顔は、笑顔でいっぱいだったのは覚えている。

 

「ただいま。」

 

 

 

 

国山刹那は、東京に残り続け軍の再編などを行う。その後、軍務卿となり、自ら戦地に立ち、残党処理に追われていた。彼女は、手柄を次々とあげ、今では英雄の1人となっている。そんな彼女の首にはいつもペンダントがぶら下げてあった。

 

「…哀、見ていてくれ…」

 

 

 

 

真田昌巳は、人知れず東京から姿を消した。いなくなった直後は、駆け落ちしたとか、自身の安息の地を探しに行ったなど様々な憶測が広まったが、どれも噂の域を出る事はなく、彼女の消息は分からなかった。彼女は、去り際にこう言い残していた。

 

「私は、新しい居場所に行くだけだ。」

 

 

 

 

もう1人の山田康介もまた、東京から知らぬ間に去っていた。本来なら破棄される筈だったバトルドライバーを持ち出した為、本来なら追いかけ回収するべきだったが、国王の「彼の道を止めるな」という言葉でそれ以降彼の捜索は終わった。

 

「俺は、もう逃げないと誓った。」

 

 

 

 

 

そして、次に私だ。私はその後東京を始めとした日本各地の復興を指揮する立場となった。最初は苦難の連続であったが、時が進むにつれ少しずつ元の状態に戻っていくような感じがした。それでも忙しい事には変わりがないが、今日だけは他にしなければならない事があった。

 

今日は、私達の婚約をお披露目する日でもあった。私は、その数刻前、あの人の写真を見ていた。

 

私には共に歩みたい人がいる。

 

それが貴方に復讐したいと言った人でもいいですか?

 

貴方はそれが私の幸せならどうしますか?

 

私は、答えもしない写真に問いかける。

 

白夜総三(お父さん)

 

「…」

 

やはり、答えてはくれない、でも、ダメとは言っていない…そんな気がした。

 

 

 

 

時間だ、家臣の1人が私を呼びに来た。

 

私は今、この世の誰よりも緊張していると言ってもいいだろう。心臓が今にも破裂しそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

「もうすぐ…か」

 

僕は、青いマントが邪魔にならないよう後ろに靡かせた。

 

僕がこうして国王になってからもうすぐ1年経つが、ここまで緊張するのは凱旋の時以来だろう。

 

「陛下、準備ができました。」

 

 

家臣の後ろには、綺麗なドレスを身につけた彼女(有希)の姿があった。

 

「春輝…」

 

「有希、行こう。」

 

 

 

僕達は、足並みを揃えて皆が待つ広場へと足を進めた。

 

 

 

 

やはりこうして立ってみると、改めて自分の目の前の出来事に驚いている。自分が、国を統べる王になるんて…

 

自分の頬から何か生暖かいものか流れていく、それが涙である事はすぐに分かった。

それは、喜びからだろうか、それとも、一つのゴールを過ぎた事による達成感だろうか…

 

 

 

僕は周りの皆に手を振る。それに皆は振り返す。

 

 

 

未来の王国は、これからも平和に続いて欲しい…

 

 

 

僕は新たな世界を創る。見ていてください、康介さん、風香さん、ゴンさん…

 

 

そう心で誓った時だった。ふと民衆の中にその3人が笑顔で僕を見守っているような気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ウォーズ、フォース、ワード。3人が目指した世界は、彼らの意志を継ぐ国王とその正室が遂げる事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仮面伝説…THE END

 

 

 

 

 

 

 






津上幻夢です。ここまでご覧いただきありがとうございます。

ウォーズから始まった物語も、この仮面伝説の終わりをもって完結とさせていただきます。
長きに渡り応援ありがとうございました。

それでは、しばらくお別れと致しましょう。戻ってくる日はどれぐらい先かはわかりませんが。






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