「まもなく、新大阪に到着します。」
そのアナウンスに、彼、町田春輝は、寝ぼけ気味に反応した。
東京から2時間半、速達新幹線の指定席に深く腰掛け大阪に向かっていた。
何故彼が大阪に居るのか。それはとても簡単な話だ。関西支部局長である人物による『呼び出し』があったからだ。
関西支部からの呼び出しは、そうある事ではない。それも局長から。彼にとっては、恐怖心しかない。
ジョーカーの関西支部は、新大阪駅から徒歩数十分で着く。綺麗な窓ガラスで覆われた高層ビルの中にそれはある。
関西支部は、本部では出来ない国外との連携や、怪物について何人もの学者を呼び研究するなどを行っている。その事から、関西支部は、『切り札の頭脳』と呼ばれている。
「失礼します。」
町田は、その関西支部の局長室に恐る恐る入った。
そこには、比較的安めのデスクと椅子、大型液晶テレビ、来客用のソファがあるだけの簡素な部屋だ。
その椅子に座っていた男は、彼を見るや否や立ち上がり、近寄った。
いわゆる、イケメンというやつだ、そう町田は思った。綺麗な面立ちに、175cm程の細身の身長。すらっと伸びた脚が特徴的だ。
「初めまして、関西支部局長の黒夜道永だ。よろしく。」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
黒夜道永、ジョーカーで語り継がれてきた伝説の一つだ。前社長、白夜総三の懐刀と称され、様々な計画や研究を裏から支え、時には自ら剣を手に取り戦う歴戦の戦士だ。2020年の戦いでも、仲間をサポートし、勝利へ導いた。まさに道を創るもの。
「悪いね。忙しいのに。」
2人は向かい合うようにソファに座り、黒夜は出されたコーヒーに手をつけた。
「いえいえ、とんでもない。」
「そうか。それじゃ、今日来てもらったのは他でもない。仮面ライダーフューチャに関してだ。」
黒夜は、彼の目を見て話し始めた。
「もうそろそろで使用開始から1ヶ月経つだろ?慣れてきたか?」
「そうですね。時々身体が追いつかない時がありますね。でも、それは鍛えるのが甘いだけなんで…」
町田は、黒夜が何かメモし始めたのを見て、だいたいどういう理由で呼ばれたかが分かった。
「なるほど、武器はどうだ?剣と銃で十分か?」
次は武器の話だ。
「どちらも使いやすいですね。強いていうなら、剣の方が使いやすいですね。フューチャのスピードに合っていて。」
「剣が使いやすい。銃の方はどうだ。」
「銃は、あまり使う事は少ないですが、全く使えない訳ではないので、あるほうが良いです。」
黒夜はその後、日常生活について数問聞くと、その手を止めた。
「お疲れ様、質問は以上だ。」
そう言われ、町田はふと、窓の外を見ようとした。
デスクの上に写真立てが置かれている事に気がついた。それも、自分が席に座った時に見えるような位置に。
「その写真が気になるのか?」
黒夜が聞く。町田の有無を問わず、デスクの写真立てをこちらに持ってきた。
「これは俺の妹だ。」
町田に差し出した写真には、彼に似ている高校生くらいの女が写っていた。
「その写真は十年も前だから高校生の姿だが、今は立派に生活しているよ。」
聞き覚えがあった。彼の妹もまた、同じように伝説である事を。
「彼女は今どこに?」
「…東京だよ。」
その口調には、何か悲しみを感じた。
「…何か、あったんですか?」
ふと、そう聞いてみた。
「…なんでもない。」
何か言いかけた様子だったが、それを濁した。町田も気になる素振りはせずにコーヒーを飲んだ。
「昼飯、まだだろ?奢るよ。」
黒夜が立ち上がった。
「ありがとうございます。」
町田も素直に奢ってもらう事にした。
連れて行かれたのは、近くのお好み焼き屋だった。
店に入ると、店主の初老の男が温かく黒夜を招き入れた。
カウンター席に並んで座ると、黒夜が豚玉を二つ注文した。
「ここの豚玉は美味しいんだよ。」
目の前で最初はただの生地だったものが、具材を入れたり、焼き目をつけたりする事でお好み焼きへと変わっていった。
豚肉から脂が綺麗に輝いている豚玉が出された時には、町田の空腹度は限界に達していた。
ソースなどをかけ、いただきますと言うと、箸で切り分け、口にした。
熱々であったが、豚肉と具材が巧妙に混ざり合い、そこに濃厚なソースが加わる事で格別な旨味が舌を伝って身体中に広がる。
こんなに美味しいもの、食べた事ない。そう思うと箸が止まらない。
黒夜も店主もその姿を満足そうに見ている。
2人が食事を終え、店から出ると、携帯からアラートが鳴り始めた。
「出現か!」
黒夜のスマホから地図が写し出された。ここから直ぐだ。
2人は、走って現場に行き着くと、改造ホッパーが銃を乱射し民間人を狙っていた。
「下がれ!」
黒夜は逃げない民間人を強制的に押し除け、避難させた。
「黒夜さん、行きましょう!」
町田はフューチャのベルトをつけた。
黒夜も、専用のドライバーを装着、蒼いキー、ローディキーを構えた。
「「変身!!」」
[未来の力!今ここに!仮面ライダーフューチャ!]
[ROAD-Y key!][set up!][大展開!][Remake the future![未来を創り変える!]仮面ライダーローディ!!]
仮面ライダーローディ、ウォーズと共に戦い抜いた戦士の1人。彼は幾多のバージョンアップを受け、武器も変形する剣銃からナイフ型の武器と小型のブラスターに変化している。
ローディはホッパーに威嚇射撃をする。その銃声に、ホッパーはこちらを向く。
そこからは、一瞬だった。ローディが、先手を打ち、ホッパーの左腕をナイフで切り裂く。銃を斬られ、中からホッパーの腕が露わになる。
そこへフューチャが迫り、胸と肩を切り裂く。
改造体とはいえ、元はホッパー、鎧や武器が無ければ雑魚同然。
フューチャの剣撃が致命傷となり、ホッパーは爆散した。
「まだ足りない…回収を急ぐぞ。」
次回、第7話 白夜総三を継ぐ者
5月上旬頃投稿予定!