仮面伝説の終わり   作:津上幻夢

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第8話 もう1人のウォーズ

「康介さんが2人…」

 

「これは何かの間違いだ!アイツら、今度は俺そっくりの奴を使って何かするのか!」

 

帰還して早々、康介は焦っていた。

 

それもそのはず、つい先程自分と同じ顔をした人物が現れ、尚且つ敵である。

誰だってその場面に出くわしたら、恐怖や怒りに満ちていく。

 

「康介、大丈夫か?」

 

「大丈夫か?そんなわけないだろ。」

 

帰還した彼らを出迎えたのは、オンラインで繋がっているカメラの先に座る黒夜道永の姿があった。

 

康介は、少し苛つき気味に返すと、先程の偽者の康介の解析ができたかと聞く。

 

「その前に一ついいか?」

 

「なんでしょうか。」

 

後ろに控えている町田春輝が聞いた。

 

「『ドッペルゲンガー』って信じるか?」

 

「ドッペルゲンガー、ですか…そういうのはあんまり信じないですね。」

 

「私も右に同じです。」

 

町田とその隣にいる逢坂有希が答えた。康介は、画面の先の道永を見た。

 

「そうか。正直、自分でも驚いた。この結果には。」

 

「やはり…同一人物、なのか?」

 

「康介、そういう事だ。あのネガウォーズは紛れもなくお前だ。ただ…」

 

逢坂は一瞬社長である康介にお前と言う道永に驚くが、それだけ頑丈な絆で結ばれていると理解し流した。

 

「ただ、なんだ?」

 

「…いや、なんでもない。」

 

ただ、全てが同じではない。そう言いかけた道永。

 

彼にはネガウォーズの康介が100%同一人物とは思えなかった。明らかに性格は別人だ。絶望の果てに居るような。そんな康介を道永は夢の中で見たことがあった。ただ、それが夢でなければ…

 

「俺もそっちに行っていいか?」

 

道永は画面越しに康介に言った。

 

「どうしてだ?」

 

「一回アイツと話したい。」

 

それが今の道永の考えだった。もし、その康介なら味方に引き入れることができるのでは、そう考えていた。

 

康介は、しばらく考えると口を開いた。

 

「分かった。ただ、次いつ現れるか分からない。長くなるかもしれないぞ。」

 

「待つ事はもう慣れたよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道永が東京の地に降り立ち、1週間が経った。その間、何度か小競り合いがあったが、ネガウォーズの姿は全く確認されなかった。

 

「とうとう1週間経ったか…」

 

「そうですね…」

 

町田と道永は、休憩室で対面で座って外を眺めていた。外の庭に生えている桜の花は満開になり、花見をするには絶好の快晴であった。

 

「道永、ネガウォーズらしき人物が現れた。」

 

休憩室に落ち着いた様子で康介が入ってきた。

 

「その割には落ち着いているな?」

 

「それが、場所は人気のない工場跡地、そしてずっと俺を待っているかの様に立ち尽くしているそうだ。」

 

2人は、それぞれ自分のバイクで彼が待つ工場跡地へ向かった。

 

 

既に骨組みと床だけになっているそこでは、もう1人の康介が、2人を待ち侘びていた。

 

 

バイクの走行音が徐々に近づくのを感じ、その方向を見ると、2台のバイクが彼に向かって走っていた。

 

そのバイクは、10mほど手前に止まり、素顔を表した。

 

「待たせたな、もう1人の俺。」

 

康介はそう言った。

 

「…道永も一緒か。」

 

ネガ康介は、隣にいる道永を見てそう言った。

 

「康介、お前と話しにきた。」

 

道永はそういうと、歩いて彼に近づいた。

 

「…お前達なら、俺のやりたい事が分かるはずだ。」

 

ネガ康介はそう言うと2人を見た。

 

「もし、死んだ大切な人を蘇らせれるとしたら、どうする…」

 

「…それがどうした?」

 

「今聞いているのは俺だ。」

 

ネガ康介は、答えろと圧をかけた。

 

「…俺は、蘇らせれるなら、蘇らせたい。」

 

先に口を開いたのは道永だ。ネガ康介は、やはりと頷いた。

 

「…俺も同じだ。」

 

康介もそう答えると、ネガ康介はベルトとネガウォーズのキーを構えた。

 

「…俺も同じだ。俺のせいで死んだ一美の為に…俺はお前を殺す。それが、一美を生き返らせる唯一の手立てだ。」

 

「康介、あの時みたいに、また協力できないのか!」

 

「道永…たしかにあの時はまだ希望があった。でも、今の俺には希望も、絶望もない。」

 

ネガ康介はキーを構えた。

 

「同じ人間だ。苦しまないようにしてやる。変身。」

 

[ウォーズキー…]

 

 

 

[施錠…][仮面ノ絶望…仮面ライダーネガ・ウォーズ…]

 

 

赤黒い牢獄が、彼の罪を包むかのように施錠、そしてそれらがネガウォーズの鎧を形成する。

錆びたウォーズという印象を持たせるその姿が、再び彼らの前に現れた。

 

「…俺は、お前を他人とは思いたくない。だからこそ…この行い、止めさせてもらう!変身!!」

 

康介は、ベルトにキーを装填、さらにスペシャルキーをスキャンする。

 

[Special key!][open!][I win the battle!KAMEN RIDER WAR-Z Special!]

 

[ROAD-Y key!][set up!][大展開!][Remake the future![未来を創り変える!]仮面ライダーローディ!!]

 

 

金色のウォーズ、ウォーズスペシャルとローディは剣を構えた。

 

ネガウォーズは、2人に向けて左拳を出した。

 

そして、その拳をゆっくりと力強く開いた。

 

すると、ウォーズ達の足元に炎が起きた。その炎は2人を包むかのように爆発した。

 

2人はそれを間一髪避け、ネガウォーズに攻撃を仕掛ける。

 

ネガウォーズの右側からローディが迫る。

 

ネガウォーズは、再び彼の足元に炎を起こす。その炎をローディは空中に飛び上がることで避けた。

 

「炎攻撃を使えるのか…」

 

空中で体勢を立て直そうとする彼に、猛烈な突風が吹き荒れた。

 

その突風でローディは、コンクリートの柱に打ち付けられた。

 

「炎に風…まさか、アイツらの能力を使えるのか。」

 

「無駄口を叩くな!」

 

ネガウォーズは、左から迫るウォーズを避けると、今度は氷の棘を剣から発生させる。

 

その氷の棘はウォーズの脚に激突するや否や脚の動きを封じた。

 

「なっ!!」

 

更にその上から、雷が落とされる。ウォーズはその攻撃になす術なく倒れる。

 

彼はこの攻撃を見た事があった。ネガウォーズが使うアルファバックルを使い彼らを殺そうとした者達が使っていたものだ。

 

「2人とも、あの世へ送ってやる。」

 

今度は、闇を背後から発生させ、巨大な手のようにして2人を掴み取り、地面に叩きつける。

 

「ぐっ…このままじゃ負けるぞ…」

 

ローディは、身体を起こす。が、それよりも早くウォーズは起き上がり、ノヴァバックルを構えていた。

 

「お前…それを使う気か!」

 

「アイツに勝つにはもうこれしか…」

 

「やめろ、その身体でノヴァを使うな!」

 

「余所見をするな!!」

 

2人が口論しているところにネガウォーズが割って入る。

 

 

ネガウォーズはウォーズを蹴り飛ばし、空中に放り出した。

 

「俺の為に…一美の為に死んでくれ。」

 

[再施錠…][ネガブレイク!]

 

 

 

空中に投げ出されたウォーズは時が止まったかのような感覚がした。

 

 

その後、赤色のエネルギーを帯びた剣が上から下へ、そして右から左へと彼の身体を切り裂いた。

 

大爆発の後、ボロボロになった康介と、完膚なきまで破壊されたサバイブバックルが落ちてきた。

 

「康介!!」

 

 

 

道永は、彼を救出すべく道を生成、盾のようにしかネガウォーズの追撃を阻止し、重症の康介を回収するとその場を後にした…

 

「逃げたか…まあいい、これから先に起こる悲劇は止められない…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

同刻、成田空港に1人の女性が降り立った。腰あたりにまである長い髪の彼女は、外を見た。

 

「日本…久しぶりね。」

 

 

 

 




次回、第9話 犠牲の上の人生
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