チラ裏シリーズ   作:test sentinel

4 / 18
#

「これで今日の買い物は終わりですか」

「ええ、お疲れさま藍ちゃん」

 

「それにしても珍しいですね、紫様が直々に買い物するなんて」

「珍しくないわ。こんなに買い込むのはたまーにだけど」

「そうですか? いつも私に全部買い物を頼んでませんでしたっけ」

「藍ちゃんじゃ買えないものもいっぱいあるの。今日買ったもの、ほとんどそうよ」

「嘘ですか」

「嘘よ」

「どれくらい嘘ですか」

「半分くらい」

「半分は買えないものなんですね」

「教えないわよ。気づきなさい、それが一番の学びだわ」

「そういうのは気づかせるだけのヒントを播いて欲しいんですが」

「……藍ちゃん、ずっと荷物持って疲れたでしょう。あそこで休まない?」

「播き忘れですか?」

「播き始めよ」

 

「いらっしゃいませ!」

「藍ちゃん、家まで保つかしら」

「余裕です紫様」

「ちょっちょ! 待ってくださいよお客様! まだ何も言ってないじゃないですか!」

「何もも何も無いわ。何をしているのアナタ」

「え? 商売」

「紫様、『怪奇! 魔法のないマジックショー!』だそうです。表の看板にありました」

「何、もしかして看板も見ずに入ってきたの? それならむしろ好都合かも! せっかく日銭を稼ごうと思って準備したのにさ、誰も入ってこないんだもの。ちょうど周囲の反応が気になるところだったのよ」

「そりゃ、ショーじゃ来ないわよ。とりわけマジックショーなんて馴染みが無いもの」

「うぇ、マジかぁ。薄々そうじゃないかと思ってたけど」

「やるなら里の大舞台でやればいいじゃないか。適当な吟遊詩人か誰かに音楽を任せて。なんでこんな里の裏通りなんかに構えるのよ」

「紫さん、この人どうして心を抉ってくるの」

「私はお客だからわからないわ。早く始めて?」

「ずっる! 都合のいいときだけ!」

「……見ていくんですか?」

「ええ。私を引き止めるなんて本当に無害みたいだし、暇潰しに見ていきましょう」

「……潰せるほど暇はありましたっけ?」

「帰ったら暇づくりに邁進ね」

「過程と結果が逆です、紫様」

 

「レディースアンドガールズ! 宇佐見菫子のスーパーマジックショー、開幕だぁ!」

「お客を待たせない、花丸っと」

「ステージに立つと人が変わるなあの子」

「まず取り出しましたるはこちら。至って普通の中世の剣」

「どっちかというと近世ね。小さいし」

「前フリもなくテレポートで出したけど、いいんですかね?」

「私はこれが大好物だから食べてしまう」

「えっ」

「えっ。どうされましたか」

「い、いや、私、スナッフビデオの耐性はなくって」

「………………これ、ショーですからね。邪魔しないで下さいね」

「わかってる、わかってるけど」

いっふ、ふぁふーはーはひっふひょー(It's the super magic show)!」

「タイミングがおかしい、#(ハッシュ)

ひひゅうはふ(二重バツ)!?」

「ふぅっ……」

「紫様。大丈夫ですか、お顔が真っ青ですよ」

「え、ええ。まだ行けるわ、まだ大丈夫」

「うーん、この濃厚な鉄分! 17世紀のハンティングソードと見た!」

「こいつまるごと全部行きやがった」

「あわわ……」

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。