更新はゆっくりになると思いますが、読んでいただけると嬉しいです。
つぐみ「ふう、なかなか終わらないなあ…」
見上げた時計は既に日付を変えようとしている。
普段ならとっくに寝ている時間だが、今のつぐみにはどうしてもやらなければならないことがあった。
つぐみ「そんなに溜めてるつもりはなかったんだけどな…夏休みの宿題」
つぐみの学校での勉強の成績は悪い方ではない。
生来の真面目さと、内容のきれいにまとめたノートで試験は乗り越えた。
しかし、その彼女も宿題に取り組む前に『毎日コツコツ』という目標設定をしてしまったのは失敗だった。
バンドの練習の後、ついついファミレスに長居してしまったり、盆シーズンの急な来客に手伝いとして駆り出されたりと、充実した夏休みの影で、着実に予定は遅れていた。
つぐみ「うう、問題、難しすぎだよぅ…」
彼女の通う羽丘女子学園は県下指折りの進学校であり、当然宿題も授業で習った基礎的な内容と比べ、応用がふんだんに含まれている。
加えて夏期講習まであるのだから、自分のためになると解っていても愚痴を言いたくもなる。
つぐみ(明日も学校があるし、早く寝た方が良いよね)
苦手科目の難しい問題でつまづいたタイミングで、ふとそんな考えがよぎる。
夏休みはあと一週間、確かに余裕はあるのだ。
つぐみ(明日で登校日も終わりだから、計画立ててやれば…)
そう思った矢先、ふと幼馴染みの顔が思い浮かぶ。
つぐみ(前にひまりちゃんが海に誘ってくれたときは一緒に行けなかったし、夏休みの最後は皆と一緒にいたいな)
つぐみ「よし、もう少しだけ頑張ろう!」
つぐみ「…………」
つぐみ「………」
つぐみ「…ZZZ」
………
……
…
つぐみ「うう、いつの間にか朝になってるなんて…」
これほど学校へ行く足取りが覚束無いのはいつぶりだろうか。
つぐみは眠気に負けそうな目を擦りながら歩いていた。
眩しく差す朝日に慌てて飛び起きたが、既に登校時間となっていた。
つぐみ(机で寝てたから疲れも取れてないし、やっぱりちゃんと寝ないとダメだなあ……)
昨日の自分の判断を反省していると、後ろから元気な声がかかった。
ひまり「つぐ~、おっはよ~!」
巴「おい、ひまり。急に走り出したら危ないだろ」
ひまり「もう、巴は心配性なんだから…って、きゃっ!?」
巴と共に歩いていたひまりは、つぐみに駆け寄ろうとして、見事に石に足をひっかけていた。
巴「ひまり!危ない!!」
巴がひまりを後ろから支え、どうにか事なきを得る。
巴「だから言っただろ?」
ひまり「うう、ありがと、巴」
つぐみ「ひ、ひまりちゃん、大丈夫?」
ひまり「うん、大丈夫!巴が助けてくれたから」
ひまりが無傷であることを証明するかのように、大げさな身振りで答える。
助けた巴は、感謝されるのが面映ゆいのか、顔を少し赤くしながら話をそらした。
巴「助けたって程のことじゃないけどな。それより、つぐがこの時間に登校してるなんて珍しいな」
つぐみ「あはは、実は……」
事情を話そうとすると、再び後ろから声がかかる。
蘭「あれ、みんなこんなところで何してんの?」
ひまり「蘭もモカも、おっはよ~!」
蘭「おはよ、今日も元気だね……モカも見習いなよ」
モカ「むーりー」
巴「モカは相変わらず朝はテンション低いなー」
つぐみ「モカちゃん、蘭ちゃん。おはよう」
蘭「ん、おはよ。珍しいね、つぐみがこんな時間にいるって」
つぐみ「そ、そんなにおかしいかな?」
ひまり「う~ん、おかしくはないけど、やっぱ珍しいかな。つぐみって、いつも先に来て花瓶の水を換えてるイメージだし」
蘭「私が皆の教室の前を通りかかる頃には黒板周りを整理してるよね……。朝ぐらいゆっくり休めば良いのに」
つぐみ「ふふ、心配してくれてありがと。蘭ちゃん」
蘭「べ、別に心配してはないけど」
巴「ま、つぐがやりたいようにしてるなら良いけどさ。言ってくれたらあたし達も手伝うし……」
モカ「も~、いつまでもしゃべってないで早く学校に行こうよ。じゃないとモカちゃんが溶けちゃう……」
つぐみ「モカちゃん、大丈夫?」
蘭「モカが限界みたいだし、そろそろ行こっか」
巴「だな」