「買収を頼む。」
拓也はウィンドウを操作する。するとメニューを見たエギルは目を丸くした。
「おいおい、ルナモンの肉・・・・S級食材じゃねぇか・・・・しかも、三つも売るなんて、金に困ってねぇなら食うことだって・・・・」
「・・・・・普通なら食べるんだが・・・。・・・・生憎、俺たちのスキルはそこまで高くない・・・・・・。」
「なるほど、俺達は調理スキルなんて特に上げていねぇからな。」
腕を組むエギル。
「な!?これって、S級食材じゃない!?」
いきなり隣で声がしたので、首をひねる。そこには栗髪の少女がいた。白で統一された衣装に身を包み、ハシバミ色の瞳は驚きの表情で拓也のメニューを覗き込んでいた。
「・・・・・・まずい・・・」
今一番会いたくない人物に出会ってしまった。
「盗み聞きですか、副団長?」
「違うわよ、あなたが犯罪紛いの事をしないか見張っていたのよ。」
火花を散らし、睨み合う拓也とアスナ。
「まあ、いいや・・・・・」
拓也はアスナを無視し、そのまま店を・・・・・
「ちょっと、待ちなさい!」
「何だよ?」
いきなり腕を掴まれる。
「あなた、調理スキルってどのくらいあげてるの?」
「何で?」
「いいから。」
拓也は正直にアスナの問いに答える。そもそも調理スキルなど、デジモンである拓也には不必要な物。データをスキャンして仕舞えばいいのだから。
「私、少し前に調理スキルをフルコンプリートしたわ。」
「なんだ?それは自慢か?」
「そうじゃないけど、私ならどんな食材でも調理できるわ。」
「だな。それで?」
「・・・・・それで、もし拓也くんが良かったら、私にその食材を調理させてくれないかしら?」
「・・・・・別にいいよ。」
拓也はあっさりと『S級食材』をアスナに手渡す。
「え!?本当にいいの?」
「俺が持っていてもしょうがないしな。」
そう言い終えると、拓也は今度こそ、店を後に・・・・
「ちょっと、待ちなさい!」
再び腕を掴まれる。
「今度は何だよ!?」
二回目ともあり、拓也は声を上げる。するとアスナが少しモジモジした様子で拓也に何か言おうとする。
「え、えっと、その・・・・、調理したら多分、一人じゃ食べ切れそうにないわね。」
「嘘つけ!毎日人で三十人前は食べてるくせに!」
ドカン。
殴られた。拓也は30ポイントのダメージを受けた。
「それで、もし拓也くんさえ良かったら、食べてくれないかしら?」
恥ずかしそうにアスナが問いかける。
「食べていいって言うんなら遠慮なく食うぞ?」
拓也は頬を抑えながら立ち上がった。
「ええ、いいわよ。・・・・ただ、拓也くんと一緒に食事したいからって調理するわけじゃないんだからね。
そこのところは間違えないように。」
この小説は続けた方がいい?
-
続けた方がいい
-
やめた方がいい