せっかく女の子に生まれ変わったんだから、僕はただ……お嬢さまを僕好みに育てるついでに愛でて撫で回して甘やかして楽しもうって思っただけなのに!   作:あずももも

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ご無沙汰しております、新作です。 こちらはすでに公開したものの6作目(小説としては2作目)となっています。 比較的短めの、タイトル通りのオチが待っているTS転生ロリっ子リラちゃんのおはなしです。 それ以上の内容はありません。 いつもどおりに主人公のモノローグが多く、話の展開というものはありません。 なお例によって、主人公リラちゃんは女の子にしか興味がありませんし、男は男の子だろうと退けます。 TS百合に近いナニカです。 予めご了承ください。


1話 婚約破棄キャンセル(何回か達成済み)

………………………………………………………………眠い。

 

すっごく……………………………………眠い。

 

なんで僕は、まだこんなにも眠いんだろう。

 

ふだんは、意識がこうして戻ってきたらすぐに目が覚めるのに。

 

二度寝なんて、できない体に生まれ変わっちゃったっていうのに。

 

「……………………………………………………………………………………、すぴ」

 

起きようとがんばってみる。

 

早く起きようって、がんばってみる。

 

………………………………………………………………。

 

「………………………………………………………………zzz」

 

だめだ、眠くって…………………………………………………………………。

 

 

 

 

「……ジュリー! この前のパーティを欠席した理由を、またそのように適当にごまかそうとなさって!」

 

「あら、ごまかしではありませんわ……よ? アルベールさ、 ……アルベール? えぇ、少しばかり、その……。 ……ええ、いつものように忙しかったのですし、なによりも疲れがたまっていたので。 ね? 信じてくださ……ちょうだい?」

 

ボルテージが半分くらい上がってる感じの、いつものふたりの声。

 

あー、やってるなぁ。

 

遠くからでも聞こえるその声。

 

僕はそのケンカに満足する。

 

ああして人前でケンカできるくらいになった、あのお方に。

 

うむ。

 

お元気そうでなによりなにより。

 

だけど、早く行かねば。

 

適度にするのはいいんだけど、やりすぎはよくないからなぁ……この前みたく。

 

変な動きを起こされちゃいそうになったからなぁ……と、とと。

 

………………いい加減に通してくれんだろーか、この人たち。

 

人が急いでるって言ってるのに、もう。

 

「えっと、通ります。 ………………………………あ、はい、ご無沙汰しています、伯爵さま。 でも、おはなしはまた今度でお願いできますか? ………………………………はい、あの調子なので。 いや、ほんと」

 

「………………………………、ですから………………………………っ! ……もう、うるさいですわアルベールさまっ! それにきちんと私、御免なさいと誠意を込めて謝罪したではありませんか! 聞いていらっしゃったのですか!?」

 

………………………………おこおこでいらっしゃる。

 

早速に持たなそうだなぁ、ジュリーさま。

 

今日はごきげんななめ?

 

あ、いや、それでいいんだけどさ。

 

ワガママになったんだ、っていう印象が大切なんだ。

 

「……あ、どうも。 また、お手紙にてお知らせしますので、王さま。 それでは僕はこのへんで」

 

「そんなわけはないでしょう! ……だってあなたはそのとき、ご友人たちを引き連れて、遊び歩いていたと」

 

「あら、そんなこと」

「そんなこと、ですか!? ジュリー、あなたはまたそんなことを言って、とぼけようとなさって!」

 

「………………………………アルベールさま。 まだお昼です、他の方々に迷惑ですわ。 それに、いいわけではなくて……ほ、ほんとうのことですよ? ………………………………、ね、ねえ、最近のあなたは少々に過敏ではなくって? 私、疲れてしまいます……」

 

僕が通して?って、ちっちゃい腕の先にあるちっちゃい指で声の方向を指さすと、………………………………人垣のせいで姿は見えないけど、でも察してくれたらしい周りの貴族さんたち。

 

あと、ひっさしぶりに会ったからってまとわりついてくる南の王さま。

 

いい加減に僕から離れて?

 

うっとうしいから。

 

てかうざい。

 

もふってくんな髪の毛を、セクハラだぞ?

 

あ、こら、やめて、リボンなんかつけるの。

 

おみやげなんか、いらんっちゅーのに。

 

しかも、ほんっとーにいらないものを。

 

………………………………、もう。

 

マスコットはつらいよ。

 

んで、………………………………そっと、道が海のように割れてできて、その先には……正装したおふたりの、お似合いな男女の姿が。

 

まぁ中身は、うん。

 

あと、顔つきも………………………………うん。

 

……………………両方ともすっごい美形なんだけど、まぁ、ケンカしてるんだし。

 

なんというか、迫力が、ね?

 

美男美女が怒っている姿っていうのは、迫力があるもんだから。

 

そのうえ、パーティーの場のど真ん中でケンカしてりゃ、そりゃ、まぁ……………………………………ねぇ?

 

「……それに、です、アルベールさま? そのようなはしたない声をお出しにならなくてもいいではありませんか? このような、……各国の方々が集まられているパーティーの、その方々の前で。 レディーに対する態度ではありませんことよ? それよりも聞いてほしいのですわ! このあいだのことなのですけれど…………………………」

 

「……これはこれはリラさま。 ご無沙汰しております。 私のことを――」

 

あ、でも、まだ話しかけてくるお方が。

 

………………………………もう、そーろそろ行かんとまずいってのに。

 

見りゃ分かるでしょ?

 

見て?

 

いや、僕を見下ろすんじゃなくって、あっちあっち。

 

………………………………指でもなくって。

 

……ほら、一段上の玉座に座っていらっしゃる王さまの目つき……アルベールくんのお父さんのお目々が、おっそろしいことになってるしさ。

 

でもそっちをガン見してはこっちを見てってのを繰り返して……僕を懇願するようなチワワ的なお目々で見るのはやめて?

 

いっつも笑いそうになるからさ。

 

けれど、ライオンとチワワの高速入れ替えは止まらない。

 

………………………………あ、ダメですか、そうですか。

 

あの人も、案外に弱いんだからなぁ、もう。

 

自分の息子にも、将来の娘にも。

 

ああいうのを親バカって言うんだろーか?

 

いや……ちがうか。

 

「………………………………はぁ……。 ジュリー、あなたは……また、そうやって。 ………………………………いい加減に止めてくださいませんか! 少し前までのあなたはどこへ行ってしまったのです!! この前のパーティーどころか、その前の会合だって、適当な理由だけを寄こしてすっぽかしというものをしたではありませんか。 これ以上このようなことが続くのなら、私でもこれ以上……父上たちに擁護できなくなりますよ?」

 

「ですから………………………………ほ、……ほんとー、なんですっ。 し、しつこいと嫌いになってしまいますわ? 私のフィアンセ?」

「………………………………ほう。 ならば、その理由も教えてくれるのでしょうね? 会合を欠席された、その理由も」

 

「………………………………もちろんですわっ。 あ、あの……その。 この前のパーティーについては……………………………………そうです! その、ドレスが合わなくなってしまっていて、ですからあなたには相応しくないと使用人の方から強く言われまして。 あのっ、リラも、見送った方がよろしい、って! ……なので直してもらうために急いで人を呼んで、び、微調整してもらったのですが、残念ながら間に合わなかったのですあぁ残念でしたわっ!!」

 

はぁー、っと、ウソを吐けたことと、ウソを吐いたことでの罪悪感を感じていらっしゃる。

 

かわいい。

 

この程度のウソで。

 

「………………………………、なら会合のほうはどうなんですか?

 翌日のあれは、いつもの服装で良かったはずでは?」

 

「あ、あれはっ。 ………………………………。 ……そう、少し。 連日の疲れというものが顔を覗かせまして……学業! お勉強です! そうですわ! だって、この前の試験で私、成績をかなり上げたのを知っているでしょう!? それで疲れが溜まっていたから、リラとお医者さまが、大事を取りなさいと!」

 

「………………………………はぁ、どちらも嘘、ですね。 また、いつものように、嘘ばっかり。 ……だってあなたは、いつもの……そこで固まっていらっしゃるお供の方々を強引に連れて街へ繰り出し、買い物をしていて大層ご機嫌だったそうじゃないですか」

「あっ?! ………………………………こほん、ではなくて」

 

「………………………………よりにもよって。 両方です。 両方とも、出席された家の方々に、使用人の方たちに、しかと目撃されていたんですよ。 ……後日にそれを聞かされた私が、どれだけ後始末に苦労したか、わかりますか? ………………………………せめて。 さぼりをした嘘をつくのなら、せめてそれらしいものにしてくださいと、前からあれほど言っていますし。 そもそも、………………………………」

 

「――――――――――ええっ、もうっ! いちいち口出しをしないでくださいますか! アルベールはお母さまではないのですから、………………………………分かりきっているような余計なことをいちいち言わなくてもいいではありませんかねちねちといつもいつもほんとうにしつこいのですわ!!」

 

「いえ、それはあなたのためでして、ジュリー……………………」

 

ジュリーさまもアルベールさまも、いつもよりヒートアップしてら。

 

ジュリーさまのごきげんもアルベールさまの堪忍袋も、なかなかに危なげなご様子。

 

ふたりとも、本気でケンカしたことってないもんだから……どこでぷっつんするか分からない危うさがあるんだし。

 

だから急がにゃならんというのに、話しかけて来るなってのー、も――……。

 

しっつこい。

 

これだから上級階級ってゆーのは………………………………。

 

「……あ、その件については後日にお席を設けますので。 あの、では。 僕、そろそろお嬢さまの元に……はい、あの、すごいことになっているところへ。 あ、はい、いつもご迷惑をおかけします。 はい、明日にでも馬を飛ばしますので」

 

僕の苦労を分かってくれているお貴族さまが、そっと助け船を。

 

ちっこい僕の前に立ち塞がり、僕を行かせてくれようとする姿が実に頼もしい。

 

まあ僕の目線だと、背広とおしりしか見えないんだけど。

 

あ、おしりにゴミが。

 

……どーでもいっか。

 

ともかく………………………………いやぁ、助かりますねぇ。

 

あなたには今度、利益率の高い交易をご紹介致しましょう。

 

で。

 

さて、や――っと。

 

「……もうっ! 好きにできるのなんて今くらいだけなんですから、好きにさせてくれてもいいでしょうっ!? アルベールさまも以前そのようにおっしゃってくださったではありませんかっ!! アルベールさまのっ、ばかっ、ばかっ!!」

 

「ですから……あいた、それはきちんとあなたの立場での立ち振る舞いとお仕事をこなした上で……痛い、痛いですっ。 本気でないのは分かりますが、なにも叩かなくたって……」

 

お嬢さま――――――――…………………………って。

 

おー、やってるやってる。

 

いつにも増してすげー。

 

シルヴィーさま直伝の、オトコを堕とすワガママな仕草だな。

 

ばかっ(恥じらい込み)って言いながら、にゃんっとしたこぶしでぽこぽこと叩くっていう定番中のド定番、けれども定番っていうのは定番だからこそ破壊力があるものだ。

 

よくご勉強なさっていらっしゃる。

 

ちょっと叩くたびに、痛くなかったかな?って窺いながらのぽこぽこが、それはまたかわいらしい。

 

見よ、周りの……主に男性陣を。

 

全員が全員、ほっこりとして……あ、あいつ、僕のお嬢さまに対して不埒な感情を。

 

後でしばく。

 

憧れなら許すけど、劣情は許せん。

 

僕のお嬢さまに対して!

 

……で、社交界ではありえない、女性が男性の胸元の……勲章?の束を引っ張って恫喝もといワガママ……かわいいやつを言うっていう、とんでもない場面が繰り広げられているわけだけれども。

 

………………………………うん。

 

あんなの、映画とかでも特別なシーンとかでしか観たことないしなぁ。

 

ていうかふつー、公爵令嬢が王子を、………………………………婚約者だとしても、こんな公の場でこんなことしてたらヤバいってのは分かる。

 

けれど、それがジュリーさまのお立場ってやつで。

 

……………………これだから、ジュリーさまはかわいらしいんだ。

 

アルベール王子くんと、彼の婚約者であるはずのある公爵令嬢たるジュリーさまとの………………………………ずいぶん前から誰もが見慣れて聞き慣れているはずな、もはや口論にもなっていない、一方的なかわいらしい怒声にもなっていない声が浴びせられている。

 

ある人は苦々しげに……あ、あの人には贈りものしとかなきゃな……んでまた、ある人はいくらかの期待を寄せて……あの家には工作しとかなきゃ……その、ものすっごく穿って見れば、破局寸前……寸前?その数十歩手前?……にも見える王家と公爵家との、ここ100年以上続いていた関係の行方を、ただただ遠巻きにしているばかり。

 

まー、ただの痴話げんかってしか見られてないだろーけど、あくまで悪意を持って見れば、だけれども、そーゆーやつらもいるんだもんなー。

 

なーにが婚約破棄計画だ。

 

何回かぶっつぶしたけど。

 

きっとまたぽこっと湧いてるんだろーなー。

 

………………………………………………………………で。

 

さて。

 

さてさて。

 

てくてくと、一直線に開かれた道を進む僕。

 

人垣の道ってすっごいな。

 

ともかく、ま、あれを収められるのは僕だけだって、ほとんどの人たちが知ってるだろうし。

 

ジュリーさま、引き際のタイミングはまだ掴めていらっしゃらないからなー。

 

あ、お酒は結構ですメイドさん。

 

ていうかこんな状況でも職務に忠実ですねお顔覚えましたよ新人美人おっぱいメイドさんおっぱい大きいですね非常によろしいですねお顔とお胸の形をセットで覚えましたよ赤髪のメイドさん。

 

………………………………ふぅ。

 

帰ったら赤おっぱい新人メイドさんのプロフィールを取り寄せねば。

 

今度、理由をつけてそのお胸に抱かれなければ。

 

なに、この生まれ変わったゆえのちみっこいボディと愛くるしい見た目。

 

甘えれば、ほんの数分でで堕とすのよ。

 

「お姉ちゃんっ……」ってな。

 

……いつもの手だしな、甘え攻撃ってのは。

 

と。

 

………………………………あ、おっぱいに一瞬だけだけど気を取られていた。

 

ごめんなさいジュリーさま、僕は貴女一筋です。

 

許してください。

 

………………………………ぱふぱふしてもらうの、やっぱ母親がいない僕だからって生暖かい視線送られそうだからやめよっと。

 

いやでも、人のいないとこで、ぽつっとお母さま……とか言えば。

 

うむ。

 

男だもの、おっぱいには勝てんもの。

 

…………………………もう女だけど。

 




次話は21時となります。
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