せっかく女の子に生まれ変わったんだから、僕はただ……お嬢さまを僕好みに育てるついでに愛でて撫で回して甘やかして楽しもうって思っただけなのに!   作:あずももも

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2話 愛おしのお方の婚約者くん

 

ふむ。

 

目に焼き付けたあの赤髪メイドさんの大きさはなかなかによさそうで、…………………………………………………………ふぅ。

 

と、まぁ、おっぱいのことは確定した未来にするから、ぱふってしてもらうから、いいとして。

 

ぽこぽこと……あ、ぼこぼこに変わっとる……殴られている彼は、生真面目で少し融通が利かないところはあるけど、優秀と評判な王子さまで。

 

次の国王さまとして、これからそれなりの経験を積めば王国は安泰だって誰もが噂している……肖像画が飛ぶように売れる程度には均整の取れた、つまりはイケメン君でちくしょう……おっと、つい感情が。

 

……でも、年よりも少し若く見える………………………………らしい、僕にはわからん、人種がちがうとぶっちゃけ似てる人はみんなちがいがさっぱりだ……な、第一王子なアルベールくん。

 

勉強ができるのは当たり前だろうからともかく、武道もかなりのものらしいアルベールくんは、ほとんどの国民から……貴族も含めて、好意的に、努力する秀才って感じの好青年って受け止められている、らしい。

 

気持ちは分かるけどな。

 

イケメン死すべし――――――――――――なんてのは、前世に置いてきたからどーでもいい。

 

あれは同族だからこそ嫌悪していたのであって、同族じゃなくなったから……もはやイケメンだろーとなんだろーと、汚くなければ、あと臭くなければ、ついでに僕をちっこいからってナメ切った態度さえしてこなければ、どーでもいい。

 

ハゲていよーがなんだろーが。

 

だっておハゲだってスキンヘッドにしたらそれはそれでいけるもんだし。

 

中途半端に未練がましく髪の毛をふよふよべたべたとまとっているから駄目なんだ、潔さが足らないのがいけないんだ。

 

で、とにもかくにも、僕みたいな存在とは異世界の……二重の意味で……、いわゆる万能好青年くん。

 

前世で例えるなら……そうだなあ……、勉強できるサッカー部とかのキャプテン的な何かだ、しかもなんかお偉いさん……すっごい政治家さん?の息子さんか。

 

しかもボンボンなのに謙虚でつけあがらない、まともどころか優秀だし話してみれば男だって魅力を感じるほど。

 

そりゃー、人気は出るわな。

 

たとえ性格悪くたってそうなんだろうから、その性格がよけりゃあ文句なしだわなちくしょう………………………………おっと。

 

いけないいけない、そういう気持ちは前世に置いてきたんだった。

 

今の僕は女、男の面なんてどーでもいいんだ、どーでも。

 

………………………………で。

 

まぁ、人間、ましてや成長過程の青年には付きものな欠点もあるにはある。

 

というのも、………………………………ちょいとばかり巷に顔を出しすぎて、下町の思想に影響を受けているフシもある……けど、TPOってやつを弁えられる程度には公私を分けられているから問題ないわけだけで、王家の人とかには頭抱えられてる感じな思想を持ってたりいなかったりする彼だけど、まぁそれはいわゆるかぶれるっやつで、ね。

 

前世で例えるなら……うん。

 

自分はアニメとかマンガの主人公みたいに、なにか特別な使命を持ってるだとか、なんかに目覚めるとか、いずれはなにかをしなきゃならんとか、そんな感じの、誰にでもある黒ーいアトモスフィアに染まっているだけだなぁ。

 

まー、お立場がお立場だからそれはちょっぴりほんとのことだし、だからこそやっべーんだけど、危なくなってきたらそのうちに僕が矯正してやるから、まぁ大丈夫だろう。

 

ところでかつての僕も、そんな感じになったっけ?

 

………………………………………………………………………………………………。

 

…………………………残念、それは引き継がれなかったらしい。

 

あいかわらずに、まっったく思い出せん。

 

ヤな記憶は、都合よく過去世?に置いてきたんだろーか?

 

都合のいい転生っていうヤツだな。

 

いい記憶もないから、自覚すらないけど。

 

 

 

 

中二病、あるいは厨二病という言葉はこの世界には存在しない。

 

それに近しい概念も……なまじに天使とか悪魔とかがかなーりマジメに信じられているこの世界では、わりとみんな……祈祷のときとかにそれっぽい格好と言動をするもんだから、たいして気にも留めれらない。

 

むしろマジメに「コイツいいこと言ってんな」とか「やはり黒ずくめにアクセントは王道だな」とかいう目で見られるあたり、ほんっとこの世界ヤバい。

 

中世(っぽいとこ)マジでヤバい。

 

まぁとっくに慣れたけど。

 

で、僕がもしかして前世に置き忘れてきてしまったかもしれないそういう系のノートとかポエムとかホームページ(死語……死後)とかは。

 

………………………………………………………………………………。

 

ま、黒いモノを思い出せないのは幸せなことなんだろうし、いいや、どーでも。

 

どーせ思い出したとしても、のたうち回る以外にはなにもできないだろーし、きっと心優しい誰かがそっと消してくれているにちがいない。

 

うん、そう信じよう。

 

さて、それでは今世に戻って来まして、っと。

 

………………………………んでアルベールくんのそれに戻るけど、まー彼ったら、人の話を疑わないクセがあるもんだから、ちょっとばかし……その、急進的……じゃない、最新の思想ってものにハマりつつあって、実はそっちの方がまずい感じなんだけど、まぁ、それもどうとでもなるからいいか。

 

別に危険勢力ってワケでもないんだし。

 

それに、いざとなれば僕がどうとでもできるものは、どうでもいいもんな。

 

興味を逸らす手は、いくらでもあるんだし。

 

目の届くところにある脅威は脅威足らぬってもんだし。

 

と、傍目に見ればドのつく真面目な好青年、本性を知っている身内からはちょいまずいなぁって感じでハラハラして見られてるアルベールくん。

 

そういうのも、幼い頃からの婚約者っていう……ジュリーさまなんだけど、と、結婚して落ち着いてくれば、いろいろと中和? 中和……されて収まってきて、まず安泰だろーって思われてる、優等・特等物件ってやつだろう。

 

中世って感じのこの世界の貴族どころか王家でも珍しく、生まれと環境ってのにあぐらかかないし、一部以外には隠せる程度にはヘンな方向に振り切れてたりしないし、基本人を敬うし、それでいて話も誰にでも合わせられるし。

 

だから………………………………この世界の貴族の女の子たちからすれば、男なのに高嶺の花――男ならどう言うんだっけ?――知らん、どうでもいいし――なアルベールくん。

 

あと、ついでに無駄に入ってくる情報によると、引く手あまたどころじゃないらしいアルベールくん。

 

側室さん候補が50人を超えるとか……王族ってばうらやましい。

 

もげたらいいのに。

 

僕みたいにさ。

 

いや困るか、ジュリーさまから産まれてくるはずのミニジュリーさまたちのためにも。

 

大量生産してもらわにゃならんからな。

 

ま、もっとも、このもげた、いや、もともと無い体だから嘆いてもどうしようもないけど。

 

というわけで国内は元より国外からも……男として狙われているアルベールくん。

 

ま、王子さまだしね、そのうえハイスペックだしね、しゃあない。

 

防諜部隊のみなさんには、ぜひがんばっていただきたいところ。

 

そのへんは、体力がミジンコで身長も10くらいからぜんっぜん伸びない、ついでに言えば身を守る術といえば仕込んだ毒針しかない僕にはどうしようもないところなんだからなぁ。

 

まったく。

 

………………………………女に生まれ変わった上に家族も皆殺し、しかも前世的には小学校の真ん中くらいの見た目から一向に成長できないっていう、まことに困った来世……今世、を生きることになるとはなぁ。

 

 

 

 

アルベールくん。

 

僕のジュリーさまの、将来の夫さん。

 

頭はそこそこ以上に良くって、体は健康そのものだし、性根は……学生ってのを考えれば曲がってないし、むしろ、僕だけが知っている事実だけど……それをガマンってのができているだけすっごく善良だし。

 

芯もブレないし、分かりやすい彼は、まさしく今どきの理想の王子さまってことで、そりゃーもー大人気だちくしょう。

 

おっと、何回も思い出すのは無意味だな。

 

んで、弱点? 弱点……英雄なんとやら、羨ましい限りだけど……女の子好きで有名になるくらいなこと?

 

だけどそれだって、お世継ぎをたくさんにって重要なお仕事を考えたなら、女嫌いな……そんな貴族さんもいることはいるし……そんなのより、ずっといいし?

 

この世界……時代?価値観?的には同性愛ってやっべー扱いだしなぁ。

 

ましてや第一王子、そうじゃなきゃみんなが困る。

 

まー、王子なんだから……いざとなれば、王さまとかから派遣された誰かに襲われる運命なんだろうけど。

 

あぁうらやましい。

 

あったものすらない僕にとっては、うらやましいことこの上ない。

 

んで、今のところは自制も効いてるから……まだジュリーさまとの結婚もしてないってこともあるんだけろーけど、大した問題起こしてないから突っつきようもないアルベールくん。

 

このまま節操っての持ってガマンできたら、あと監視が行き届いてたら……最悪、後腐れないそういう人を、ああ僕にも寄こしてほしい……おっと……そうすればきっと問題はない、はず。

 

たぶん。

 

まぁ僕的にはいいヤツだし、このまんま過ごしてほしいところだ。

 

女の子を何人も何十人も、好きなだけ侍らせられる身分っていうのは控えめに言っても羨ましい限り……ほんとになぁ、僕にも男なそれが今世もついていればなぁ……、だけど。

 

けど、王族とか……その。

 

実質、その、…………………………国の奴隷っていうやつじゃん?

 

って思って仕方ないのは、僕の前世が関係してるのか?

 

いやまあ、あくまで現代的価値観からすればだけどもさ。

 

それとも、僕の性格だろうか。

 

ちやほやされるよか、ちやほやしたいっていう。

 

………………………………………………………………………………………………。

 

……ともかく、僕的には王さまとかはないなー、って思うし、そんなひどい未来の対価としてはいいんじゃないかなーって思う次第だ。

 

だって、国だもん、国。

 

そんなでっかいもん、背負うなんてプレッシャー想像できるわけないし、したくないもん。

 

だから、跡継ぎさえきちんとしてたなら、……前世でよーくあった、あり過ぎた後継者争いが起きないようにきちーんとするんだったら、女遊びくらいは好きにすればいいんじゃないかな?

 

歴史っていう事実ですら、あほらしって思うくらいにそういうのあったらしいし。

 

ジュリーさまがいちばんでさえあれば、どーだっていい。

 

んでまた、そもそもまだ……王さまか誰かの命令でひそひそ動いてる人たちの動きから分かるとおり、恋愛ごっこまでがセーフで、それ以上のことは許されてないらしいし?

 

つまりはデートしようがいい雰囲気になろうが、キスさえおあずけ、据え膳だ。

 

かわいそうといえばかわいそうだけどな、同じ……元、だけど……男としては。

 

………………………………………………………………………………………………。

 

考えてみると、一切をかんっぜんにおあずけって、その。

 

あくまで引っかけるとかそーゆーのができないって言うの。

 

……なんかすっごくかわいそうだなぁ………………………………。

 

おんなじ男(元)としては。

 

けど………………………………ま、いいや。

 

今の僕には関係ないことだし。

 

それに、僕個人としては気が合うし、友だちとしてならいいやつだしな。

 

………………………………。

 

と、とりあえず、なんかいたたまれなくなったから、今度差し入れでもしてやろう。

 

巷に流れている、お宝というものを。

 

僕が渡す物なら、検閲とかされないだろうし。

 

………………………………………………………………。

 

…………………………………………………………………………………………で。

 

とってもの大切なもの。

 

今世の僕にとっては、いなくてはならない存在。

 

女神。

 

天使。

 

そんな、………………………………ジュリー、お嬢さま。

 

同年代の男子よりも背の高いはずの王子と、ほんの少ししか視線の違わない背丈に女性らしさを包み、夫となるはずのアルベールくんからの叱責をものともせず、ただただめんどくさそうな顔つきで、最近の、いつものように。

 

軽くあしらってこの場を凌ぐ以上のことはなにも考えていないように見える、公爵令嬢である、ジュリーさま。

 

あぁ、その蔑むようなお目々が僕をさいなむ。

 

そのお目々でぜひ僕を見てほしい。

 

猫みたいにふしゃーっと威嚇して、猫みたいなお目々を光らせて、組んだ腕がおっぱい(パッド入り)を押し上げていて、よどみなく光り輝く金髪ロングで。

 

うむ。

 

僕の理想のお姫さまってやつだな。

 

ご令嬢とあらば、このくらいのぞくぞくくる感じがなきゃならぬ。

 

それにしても、なにをしていてもかわいいっていうのは、もはや卑怯だ。

 

幼いころは……いや、つい最近までは利発だと有名だったし、わがままになったのも今だけだろうって……まだまだ思われていて。

 

前世的には中学生から高校生への不安定なお年ごろの、今だけなんだって。

 

マリッジブルー的なものなんだろうって。

 

それもまた、同じころからすでに変な方向に興味も持ち始めていた王子とは、順調に成長したら……きっといい関係になるかもしれないんだって。

 

アルベールくんと同い年で、他の同年代のご令嬢の誰よりも彼との仲がよくって……かつては、いや、今もだな……だからこそ両家だけでなく多くの、国民たちまでの大賛成を持って、特に妨害も何もないまま、これまで10年以上続いたご婚約。

 

第一王子なアルベールくんの婚約者な、公爵令嬢なジュリーさま。

 

……………………………………つまりは、時期王妃さまってことになるわけで。

 

その婚約は、わがままなまま育つどころか……怠惰、傲慢という属性がいて久しく……まだ数カ月だからまだまだ根付かない、もっと工作をしなければ……あっちこっちでトラブルを起こしては、その後処理を同い年のはずなのにずっと小さく見える義妹な僕に任せきりで、少しでもかしこまった場になるとなにかと理由を作り出して逃げ出すようになられたジュリーさまの、この態度。

 

その小さい妹……僕、っていうお目付役がいないと、外国のお偉いさんにでさえ抜かしたりできるように教育したおかげで、次期王妃さまっていう未来はだいぶ揺らいできているようだ。

 

……って、きっと、それなりの人が思っている。

 

他の国との関係を考えると、既定路線だったこのふたりの婚姻を解消してでも他の女性を!……っていう声が上がり始めてからずいぶんなのは、当然の成り行き。

 

実際に、いくら注意されてもまったく……最低でも言葉と態度だけでも謝罪の意をひねり出そうとしないように肝を据わらせて……特に、最後には必ずお相手から折れてくれるんだから待つんだって、とにかく楽をしなさいって教え込んだおかげで、今みたいに……いろいろと、全面的被害者担当になったアルベールくんに対しては、特にこんな感じだ。

 

で、今までの……お淑やかすぎた、いや、お人形さんすぎたジュリーさまの印象が残っているもんだから、なんとか治そう、って張り切っているアルベールくんの口からは、これまたいつもどおりに怠惰を叱責する声が飛んでいる。

 

かろうじて、かすかに、いや、万が一にある感じの、ジュリーさまの更生を願って、……って感じなんだろう。

 

………………………………………………………………………………………………。

 

…………………………まぁ、ジュリーさまが悪役令嬢っぽくなってきている、すべての元凶は僕なんだけれども。

 

それは言うまいて。

 

けど、ジュリーさまのこのはっちゃけぶりだって、実はわりとわざとしてるっていうのもあって、半分以上は演技なんだし………………………………かわいいものだ。

 

だから実はアルベールくんに構ってほしいっていうのがすけすけでなおさらにかわいくてかわいい。

 

かわいいんだ、ほんとうに。

 

………………………………………………………………。

 

あ、どうしよう。

 

ジュリーさまがかわいらしくて、動悸がしてきたんだけど。

 

どうしよ、僕。

 




お読みいただいたように、ジュリーお嬢さまにベタ惚れ(肉欲込み)なリラちゃんが過去を振り返りつつ、ジュリーお嬢さまへのセクハラをしつつげへげへしていて……残念なことになる。 そんなおはなしです。 モノローグは長いので、適度に読み流してください。 明日も1話ずつ、9時と21時前後の投稿となります。 よろしくお願いします。 なお、リラちゃん自身がリラちゃんの外見について語るのは、もう少し後です。
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