せっかく女の子に生まれ変わったんだから、僕はただ……お嬢さまを僕好みに育てるついでに愛でて撫で回して甘やかして楽しもうって思っただけなのに!   作:あずももも

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5話 唐突に場面は過去に戻る……つまりはそういうことだ。 いや、ごめん、ウソ。 大した理由はないんだ。

 

僕の名前はリラ。

 

名字はない。

 

お父さんたちが勝手に名乗っているものはあるけど、正式なものじゃない。

 

だから、ただの「リラ」だ。

 

つまりは当然ながら平民ってわけで、そこそこに大きな町の繁華街に店を構える商家の末っ子に生まれた。

 

そしてそれを、物心ついたころからはっきりと自覚して、思考していた。

 

お母さんのおっぱいから離されてしまうあたりから。

 

悲しかった。

 

もっと吸っていたかった。

 

だって、目の前に用意されて、唇とべろと両手で楽しめるんだぞ?

 

味も、当時としてはなかなかだったし。

 

だけど離されてしまった。

 

楽園からの追放だ。

 

けど、今でも甘えるフリしてかわりばんこにタライで体洗いっこするがてらに裸体を拝ませていただけるからそれで相殺している。

 

と、まぁ、物心ついた時点で、どう考えても……最低でも高校生以上の頭脳と精神年齢で。

 

………………ツッコミどころはあるけど、そこまではいい。

 

暮らしぶりは……生まれる前から家が繁盛していたおかげで、そこらの人たちよりもずっといいものだし、思ってたよりも中世って汚くないんだなーって思ってるし。

 

道にきちゃないものとかは……少なくともこの地域は、犬猫のくらいしかないからな。

 

聞いていたみたいにブツがいきなり上から降ってきたりしないもんだから、下さえ気をつけておけば安心だ。

 

特にニオイは……下水のくらいしかないし?

 

僕としては違和感すっごいけど、石造りな家も意外と悪くないなーって思うし。

 

住めばなんとやらで、その上で10年以上も過ごしてきたもんだから、そりゃあなじみもするし、居心地はいいし。

 

………………………………………………………………だけど。

 

だけどさ。

 

なんで僕は、………………………………女に生まれちゃったんだろ。

 

 

 

 

僕には前世がある。

 

ただし、前世の記憶自体はない。

 

……矛盾しているようだけど、していない。

 

つまりは「前世がある」っていう知識はあって、かつての僕は男だったっていう知識、あるいは記憶自体はあるけれど、肝心のその……家族とか友達とか、どういう暮らしをしていたかとか、そういった記憶がないだけだ。

 

あの猫以外。

 

なぜに。

 

まさか、アレがゆいいつの家族かつ同居人かつ知り合いだったりしたとか?

 

前世の僕、そんなに寂しい人生を送っていたのか。

 

………………………………………………………………………………………………。

 

………………………………そうは思いたくないけどなぁ……。

 

けどまー、ヤツもさすがに死んでるだろーけど……ひょっとしたらしっぽ何本か生やして生き延びているやも知れぬ。

 

そうだったらいいな。

 

せっかくの思い出……思い出?だし。

 

……と、まぁ、人間関係周りの記憶がないっていうのは、わりと致命的な気はするけど……知識自体を覚えていたっていうのはありがたい。

 

じゃなきゃ、今ごろとんでもない目……婚約とかぐへへな結婚とかぽこぽこな出産とか、に遭ってたはずだからな。

 

やはり中世、血が出始めたらさっさとやることやってこども産めってプレッシャーが半端ないからなぁ。

 

つまり、この世界に女に生まれたっていう時点でとんでもない目に遭っているわけだ。

 

……けど、まぁそれはともかく、今世の僕の人生はそれほど悪いものじゃない。

 

だって中世だぞ中世……ファンタジーじゃなくってリアル寄りの、まっくろけな方の中世に近いんだ。

 

そーんな悪名高い中世なのに、意外とそんなに悪くないんだから。

 

まぁ家が中堅の商家って時点でふつうじゃないけど、とにかく……たとえばおこづかいってレベルじゃないお金も、ねだれば好きなだけ貰えるし。

 

眠い学校なんて行かなくて、小さいころからずっと家庭教師だし。

 

その人は女の人だし、僕が女の子だから当然だけどとにかくすっごい美人さんで、頭がいい……前世換算で大学生くらいなもんだから、ぶっちゃけ役得以外の何物でもないし。

 

甘えんぼっていう設定にしているから、好きなだけ体に触れるし。

 

ぐへ、ぐへへへへ…………………………………………。

 

………………………………………………………………。

 

………………………………だけど。

 

……悲しいことにここは中世、よって知識レベルは大したことない。

 

いや、たしかある程度以上のは他人には教えないんだっけ。

 

ていうか、多分宗教観が薄い育ちだった僕の前世の意識的に、神学とかいうなまらすっげー、って扱いな学問がメインな世界は、やっぱ肌に合わない。

 

学校に行かなくてもよかったって時点で、ほんとに良かったって思うレベルでな。

 

覚えときさえすりゃ、なにかと都合のいい「知識」なんだけど……聖典に書かれていたり、注釈に書かれていることっていうのは。

 

頭いいアピールできるしな。

 

で。

 

話は変わるけど、せっかく女の子に生まれ変わったんだから、僕は少し期待していた。

 

だって女の子だ女の子、しかも年齢は……もう16歳くらい。

 

くらいっていうのは……たぶん、1日の時間が微妙に違って暦も微妙に違うもんだから、ついでに、たぶん数え年とかいうもんがある気もしないでもないから、正確なところはわからんのだ。

 

ついでに人種もちがうし、見た目だけじゃ歳が未だにわからん。

 

そもそも、みんな病気でぽろぽろころりってなるもんだから、平均寿命とかすらわからんしな。

 

てなわけで、今はとりあえず、だいたい16歳。

 

15、あるいは17かもしれないけど、ま、てきとーでいいだろう。

 

家族どころか知り合いの誰もがてきとーだしな。

 

つまるところは現役 JK だ……あるいは JC かもしれないし、もしかしたらJSかもしれない。

 

いくらなんでも周りと比べりゃわかるだろって思うけど……えっと、だって。

 

鏡の前の僕を見ちゃえば、わかるんだ。

 

まずもってちんちくりん。

 

ちっこい。

 

ロリい。

 

ロリロリしい。

 

ペド……く、までは、ない、はず。

 

立派な幼児体型だけど。

 

身長は120あるかないかくらいか……もちろんセンチ換算で、だいたいに。

 

なにせこの世界の人たちって、ほら……人種が違うもんだから、みーんな身長が平均的に高くって……だから僕は相対的に、めっっっちゃちっちゃくて。

 

まあそれはいいとして。

 

……よくはないけど、とっくにあきらめてはいるから問題はない。

 

人生、諦めが肝心だ。

 

で、こっちの平民の……高貴な血ってやつが入ってない、ごくふつーの民ってやつの常にとして、ふつーの栗色の髪の毛が……体毛が生えている。

 

下の毛が生える気配はまだないけど。

 

毛の色は……父さん母さんも、上の兄ちゃんたちもみんな一緒だし、町の半分くらいの人もおんなじだ。

 

…………………………………………ところで。

 

女の子っていうのは、若いうちはお得な存在だ。

 

もちろんかわいければかわいいほどその価値は上がる。

 

若ければ若いほど……ってなワケじゃないけど、おおむねその傾向にある。

 

それには僕も、この体抜きにしても、激しく同意する。

 

その点も、現世の僕は僕基準でもかわいいからクリアしているんだ。

 

で、商売にとって見た目っていうのはすごく重要なわけで……長い髪の毛っていうのは女性の美の象徴だからってんで、当然ながらに僕も長い髪の毛を強制されている。

 

後ろの髪の毛は背中の真ん中くらいまで伸ばさせられ、横髪に至っては無い胸の前でリボンでくくらされるし、ほっぺたにも髪の毛かかってうざいし。

 

その代わり前髪だけは短めにさせてもらっている。

 

だって、めっちゃ邪魔だし。

 

ことあるごとに視界に入ってきて、しかも動くもんだから気になるし、なによりも視界がさえぎられてうざったいし。

 

そんでもって顔つきは、どう見ても小中学校にいそうな感じの、ギリギリに幼女、じゃなくって少女って感じの女の子。

 

ああ、あと、目だけは赤。

 

これは現世のお母さん似だ。

 

だから、余計に父さんが……あとはマザコンな兄さんたちが執拗に構ってくるんだけど、僕の機嫌取るためにいろいろ買ってくれるからよしとしよう。

 

そんな感じで……ふだんはふりっふりのドレスを着せられる毎日で、人目のないときだけふつーの格好させてもらえる感じだ。

 

そんな感じで、今世の僕は……名字はない、ただのリラ。

 

それが、今の僕。

 

今こうしてぼーっと突っ立っている僕の、目の前にある鏡っていうのは……この時代この場所ではとても珍しいものらしい。

 

週末の教会的なところとかで話しする友だち……もちろんみんなでっかい、なんかうらやましいって言ってたしな。

 

そんで、鏡見るためだけに来る子とかいるし。

 

まぁおかげでJS~JKな子たちが部屋でたむろって、きゃいきゃい言いながらファッションショーみたいなことしてくれるんだから、文句はないけど。

 

眼福だけど。

 

………………………………、だけど。

 

……僕にとってはあるもんだと思ってたけど、以外とないもんだな 、鏡って。

 

 

 

 

さて。

 

この時代の……この世界の評価もとい価値観的には、商人で店舗を構えるっていうのは……前世であったよーなゲーム的な……そう、シミュレーション的なイメージで言うと分かりやすいかもしれない。

 

まず庶民の生活は、わりと単純な店舗では……ごくごくふつーでふつーな感じのふつーの人に対する、僕的にはしょぼくってダメな感じのお店を経営しつつ、僕たち家族の一員はちょっとお金持ちな人たちとか貴族さんたちみたいな、雲の上の人たちのとこを回ってお話ししておべっか使って愛想振りまかされてなでられてマスコットさせられて、んで、いろんな商談を取り付けるっていうものだ。

 

もちろん新規開拓もするけど、そういうときにこそ僕はいつも駆り出される。

 

だって、家族でただひとりの女の子なわけだし?

 

しかも全然成長しないもんだから「ちっちゃいちっちゃいかわいいかわいい」って感じで訪問した先の奥さんとかメイドさん(侍女さん)たち女の人にもみくちゃにされるのがお仕事なんだから。

 

まー僕としても?

 

こういうのは役得……だって抱きしめられるんだもんな、そりゃお胸につつまれるもんな、それに女の人のふかふかは、どんな大きさだってうれしいもんだし。

 

しかも。

 

しかも………………………………この世界のこの時代、硬いブラジャーなんてものはまだ、ないんだから。

 

つまりは薄いただの布が2枚、多くて3枚しか隔てていないってわけで、だから柔らかくってふわふわでふかふかでふにゅんってしていてうへ、うへへへへ……おっといけない。

 

というわけで、いわゆる撫でられ型のマスコットとして活躍しているわけだ。

 

もちろん今みたいな感想は絶対に口にしないし、演技で甘えんぼしてるからだーれにもばれてなんかいやしないけど。

 

甘えてハグされているうちにうとうとしたりしてみれば、あっという間に女性どころか男共、特にじいさん連中のハートまでもをキャッチ。

 

まあ僕としても?

 

こういう役得もあるし、その先の……歳の近い女の子たちと友だちになれるっていうのも悪いことじゃないし。

 

というか、ふつーにうれしいし。

 

僕はロリには興味がこれっぽっちもないけど、それはそれとして、僕だってかわいいロリっ子には、性欲抜きでかわいいって感じるんだから。

 

スキンシップ激しい子も、そうでない子も大歓迎。

 

でも男は勘弁な!

 

男……というよりは少年?がメインだけど、あいつらふつーに愛想振りまいてれば、ふつーに惚れてくるし。

 

そうさせないための加減が、ほんっっとに難しいんだ。

 

全くもってガキ(男限定)の相手は嫌なもんだ。

 

婚約とか組まれたら困るしな。

 

もちろん女の子は大歓迎だけど……残念ながらこの世界には百合というものは存在しない。

 

それっぽい女の子も何人かいるけど……まだ百合の花を咲かせられる体じゃないしなぁ、僕の方が。

 

まぁ、きっといるはずのそんな子たちは……少なくとも公にはできないらしいから、そのお相手を探すのが大変だっていうのが今後の悩みどころだ。

 

そんな子たちも、ほとんどはとりあえずで結婚させられるんだからな、ああヤな世の中だ。

 

百合好きの人たちが知ったら卒倒するんじゃなかろーか、こんな世界のこと。

 

で、一方で大人の男の人については割と警戒しなくても大丈夫。

 

なぜならここの価値観的にボンキュッボン……死語で死後だけど……じゃなきゃ「女」としての魅力がないってことなんだから。

 

つまり。

 

ちんちくりんな僕は、そもそもが論外っていうわけで……少年少女たちと戯れて(戯れられて)いたら、ほほえましいってしか思われないのが……この世界でのふつーなんだ。

 

ごくごく一部にいらっしゃるはずの、ガチなお方を除いては。

 

……そうして今日もまた、商談先の家で揉みくちゃにされて幸せに包まれて帰ってきて、おふろ……じゃない、桶で体洗って……今日はお母さんは一緒じゃない、すごーく残念……髪の毛タオルでよーく乾かして、そして、用意されていた、ふりふりのパジャマを着せられて。

 

みんなが寝静まってからふと思い立って、ろうそくを灯しながらぼーっと鏡見てるのが今の僕だ。

 

端から見たらホラーだな。

 

じっと、なにをするわけでもなく……ただただ突っ立って、鏡を……僕自身を見つめている。

 

んで、とりとめもないことを考えたりおっぱいの揉み心地を思い出したり考えたり甘えるフリしてお腹から下へと下がっていっておまたに顔をうずめたあの至高のエリアを思い出したり抱きしめられた感触を思い出したり下着を選んであげるためにひんむいてサイズを測ったりするついでに触ったりしたのを思い出したりしてうへへへへへ、…………………………………………………………………………ふぅ。

 

そんな感じで突っ立っている。

 

ろうそく片手に。

 

……きっと父さんが、兄さんたちが見たら卒倒するだろう。

 

傍目に見ても、まずまちがいなくやばい状態だしな。

 

かわいい……美しいっていうのは、こういうときには逆に、恐ろしいものになる。

 

髪の毛がうにょうにょ伸びていく日本人形的な?

 

………………………………。

 

首をかしげてみる。

 

髪の毛が、さらーっと横に流れる。

 

………………………………うん、美少女だ。

 

美幼女ではなく。

 

かわいい、っていうのは僕自身と周りの評価が一致することから、顔の作りとかが整っているんだろう。

 

かわいい。

 

…………………………………………………………………………………………。

 

……自画自賛ではあるけど、でも、かわいいは正義なんだからしょうがない。

 

それは、認めなければ男、いや、人じゃないんだからなぁ。

 

まー、転生先が美少女だったとしても、いくらかわいくたって自分の……僕自身のもんだから、特別な感情なんて持てやしないんだからなぁ。

 

お胸とおしりとふとももがいいサイズに育っていたら話は別だったんだろーけど。

 

ヘタしたら自分に惚れていたかもしれないな、お母さんの美人さんっぷりを考えると。

 

つくづく父さんがうらやましい。

 

もう役目は果たしたんだし、さっさともげたらいいのに。

 

………………………………て、いうか、それ以前に。

 

……そもそもまだまだ体もこどもなんだから、そういう感情が生まれる余地なんて、まったくない。

 

悲しいくらいにその兆候がない。

 

性欲、はよ。

 

でないと僕は、枯れた人生を送っちゃうじゃないか。

 

2回目の人生なんだ、できるかぎり長ーく楽しませてほしい、切実に。

 

………………………………………………………………2回目、かぁ。

 

ほんと、人生ってのは分からないもんだ。

 

2回目だし。

 




こちらからが1話のような形です。 TS転生、そして小さいままなリラちゃんの、1話に至る前の時間軸です。 なお、リラちゃんはかわいいこと自体にはそこそこ満足しているものの、男の子として生まれなかったことだけで台なしにされている気持ちのようです。 複雑ですね。 贅沢な悩みです。
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