宇宙戦艦ヤマト2199 もう一隻の宇宙戦艦 作:牧場のオヤジ
今後とも、宜しくお願い致します。
西暦2198年
冥王星に前線基地を構築したガミラス帝国。そこに集結していた艦隊が地球に向けて動き出した。地球連邦軍も艦隊を編成して飛び立つ。艦隊司令長官は沖田十三である。
双方は冥王星宙域にて対峙をする。ガミラス側は戦艦20隻、巡洋艦40隻、駆逐艦多数という大艦隊である。対する地球軍は戦艦5隻、巡洋艦20隻、駆逐艦30隻、ミサイル駆逐挺30隻と残存する全戦力であった。
しかしこの海域に到着する前に地球艦隊の後方にてもう1隻の軍艦が沖田艦隊に合流しようとしていた。
『長官。後方より戦艦サイズの反応をキャッチ。所属は地球連邦軍技術研究開発本部との事ですが』
『回線を繋げ』
『はっ』
沖田の乗る旗艦戦艦キリシマのモニターが映される。
モニターのノイズが無くなり画面が見れた。
『鷹橋。お前何をしておる』
後方より合流しようとしていた戦艦には、なんと鷹橋が座乗していた。
「沖田さん。今回の作戦。例の事があるとはいえ戦力不足です。私も参加させていただきます」
『それは理解できるが、お前の乗っている艦は何なのだ』
「こいつは実験艦です。以前滷穫したガミラスの戦艦ですよ。一応こいつには私の設計した次元波動エンジンが搭載されていますのでその試験も兼ねていますよ」
『その試験が今だというのか?』
「そうです。この様なときだからデータを採るのです」
『全く。しょうもない奴だ』
「では、旗艦キリシマの後ろに付かせて貰いますね」
鷹橋の乗った実験艦は旗艦キリシマの後ろに割り込む形で着陣した。
「試験戦艦ナガト。これより艦隊に随伴致します」
試験戦艦ナガト
土星沖海戦において火星に不時着し座礁していたガイデロール級の後継艦であるハイゼラード級戦艦を滷穫。この戦艦の情報により鷹橋達技術研究開発本部は様々な武器や技術を開発することが出来たのである。塗装も地球軍カラーになっており。何より特筆すべきは主砲がヤマトとオオマシマより口径は小さいが、三連装四一糎陽電子撃波砲を四基搭載している。また、ミサイルや魚雷発射管はそのままで、対空兵装としてパルスレーザー砲を増設している。
『大きい』
『でけぇぇ』
『これがガミラスの戦艦を改造した戦艦か』
改めてハイゼラード改めナガトの大きさに艦隊の乗員達は驚いていた。
そして、時系列はガミラス艦隊と対峙した所に戻る。
ガミラス艦隊旗艦
『司令。テロン艦の旗艦キリシマの後方に戦艦がいます』
『ほう。テロンが戦艦をか』
『はい。ですがあれはハイゼラード級だと思われます』
『何故、新鋭艦のハイゼラード級をテロンが持っておる』
『恐らくは数年前の海戦にて損傷し何処かの星に座礁したのでは?たしか座礁した艦艇があったと報告がありましたが』
『成る程な。奴等にガミラスの戦艦など造れる訳がない。さっさと叩き潰すとしよう。まぁ、その前に降伏勧告でも流してやれ』
『はっ』
戦艦キリシマ
『長官。ガミラス艦隊旗艦より入電。地球艦隊に告ぐ。直ちに降伏せよ。返信はどうされますか』
『バカめと言ってやれ』
『はっ?』
『バカめだ!』
『ふっ。承知しました。ガミラス艦隊旗艦に返信。バカめ!』
『全艦。合戦用意』
ガミラス艦隊旗艦
『地球艦隊から返信が来ました』
『ほう。どれ、教えてくれ?』
『はい。バカめ。だそうです』
『ほう。どうやら奴等は死にたいようだな。全艦、攻撃準備』
遂に合戦が始まろうとしていた。
ナガト艦橋
『艦長。我々の攻撃は効くのでしょうか?』
「解らんな。一応。以前までのエネルギー砲は全て撤去しガミラス艦と同じ陽電子砲をのせてはいるが問題は装甲を破る威力があるかどうか」
『撃ってみて当たらなければわからないと』
「そう言うことだ。さて、全主砲を敵艦に合わせろ」
『はっ』
地球艦隊の各艦艇が砲撃準備を完了させる。
『長官。全艦準備が整いました』
『よし。先に仕掛けるぞ。撃てぃぃぃ』
ズギャャャャャン
ズギャャャャャン
ズギャャャャャン
ズギャャャャャン
ズギャャャャャン
ズギャャャャャン
地球艦隊の陽電子砲がガミラス艦隊へと向かっていく。そして着弾。
ボガァァァァァン
ボガァァァァァン
ボガァァァァァン
ギュアィィィィン
ギュアィィィィン
ギュアィィィィン
地球艦隊の攻撃は確かに命中した。しかしガミラス艦隊への被害は駆逐艦が数隻撃沈したのみで、巡洋艦は小破程度。戦艦に至っては、びくともしなかったのである。そしてお返しとばかりにガミラス艦隊から攻撃が行われ、地球艦隊を襲った。
被害は一目瞭然。一発で駆逐艦、巡洋艦が爆散。戦艦は中破である。
しかしナガトは無傷だった。
「さて、反撃開始だ。主砲一斉射。撃てぇぃ」
ナガトの主砲が遂に咆哮をあげる。ガミラス艦隊の駆逐艦に命中した瞬間に大爆発を起こした。そして次に巡洋艦を仕留め。最後は戦艦までも撃沈させた。
だが数で勝るガミラス艦隊は地球艦隊を次々と沈めていく。
既に戦力が半分以下となった地球艦隊。その時、旗艦キリシマのレーダー手から報告が入る。
『アマテラスからの信号を確認。コースに乗りました。間も無く海王星を通過。予定通り、火星へと向かっています』
『司令部に暗号打電。天岩戸開く』
キリシマが受けた信号はナガトでも受信された。以前イスカンダルから来たユリーシャから次は姉が来ると連絡があったからである。そして彼女が乗っている宇宙船に向けて信号を出すようにと鷹橋は言われていた。
「通信。アマテラスへ火星不時着は用心されたし。速度を落とし降下するようにだ」
『はっ』
鷹橋による通信を受けた宇宙船は指示通りに速度を落としながら火星へと向かっていったのであった。
『長官。もう。この辺でよろしいかと』
『うむ、全艦隊に撤退命令』
『左舷上方より敵艦近付く』
キリシマに向かいガミラス駆逐艦が急接近する。しかしその背後からミサイル駆逐艦が現れ、ガミラス艦を撃破した。
『ふぅ。全艦に撤退を指示します』
『残った艦艇は』
『我が艦の他、ナガト。また、古代三佐が率いる第36ミサイル駆逐艦隊が10隻です』
『発光信号。各艦に撤退を伝えよ』
ミサイル駆逐艦ユキカゼ艦橋
『艦長。キリシマより発光信号。撤退する。我に続け』
『撤退だと』
キリシマは進路を反転し地球に向けて舵を取る。しかし駆逐艦隊とナガトは反転をしなかった。
『ナガト。駆逐艦隊反転してきません』
『なに?』
沖田は直ぐに2隻にテレビを繋げた。
『古代。鷹橋。何をしている』
『沖田さん。私は逃げません』
「私はまぁ、殿を務めようかと。これもデータを録るためです」
『二人とも。頼む。多大な犠牲を払ったが作戦は完了したのだ。撤退するぞ』
『いえ、我々はキリシマが離脱するのを援護します』
『古代。鷹橋。お前達は地球に必要な人物だ。ここで死んではいかん』
『ありがとうございます。ですが沖田さん。貴方の方が今の地球には必要なんです』
「あくまでも殿。なんとかして逃げますよ。では、これで」
『失礼します』
2隻からのテレビが遮断され沈黙するキリシマの艦橋。艦長の山南が沖田に話しかける。
『長官。如何なさいますか』
『山南君。進路そのままだ』
『はい。進路そのまま』
そしてナガトとユキカゼでは
「おい。古代まさか死ぬつもりじゃないよな」
『まさか。お前に勝つまで誰が死ぬもんか』
「へっ。言うじゃん。じゃ、一丁かましますか」
『いいぜ。勝負といこうか』
ナガトとミサイル駆逐艦隊は集結し体制を建て直したガミラス艦隊へ攻撃を始めた。
ズギャャャャャン
ズギャャャャャン
ナガトの砲撃により次々に敵艦が撃破される。ミサイル駆逐艦も機動力を生かして応戦するがやはり数には敵わず1隻、また1隻と撃破され遂にはユキカゼのみとなってしまった。
そして
ボガァァァァァン
ユキカゼの機関部に攻撃が命中しユキカゼは墜ちていく。
「古代」
『鷹橋。弟を。進を頼む。俺の唯一の家族なんだ。お前も兄だと慕っている。だから、、、、』
ユキカゼは機関部が大爆発し姿を消した。
「古代~。ちっ、古代め。撤退する。ミサイル、後部主砲ありったけばら蒔け」
ナガトが反転し地球へと進路を取る。
ガミラス艦隊は追撃しようとしたが、ナガトのミサイルと主砲により阻まれ追撃を断念。これにより冥王星海戦は終了となり地球艦隊は戦略的勝利を修める事が出来たのであった。
一方、その頃。火星では
『火星に飛ばされてはや3週間。作戦はどうなってるのかね~』
『冥王星宙域では兄さんと鷹橋兄さんが戦っているというのに』
『まぁ、そう喚くな』
ピコン
『おっ』
『兄さん』
『古代。仕事だ』
古代と島は火星にてアマテラスの回収という任務に就いていた。そしてアマテラスが火星軌道に入った信号をキャッチし空へと飛び立った。
アマテラスは速度を落としながら着陸体制に入ろうとしていたが、エンジンの負荷により黒煙を出していた。
『あれだ』
古代はアマテラスを発見して直ぐに近付く。そしてアマテラスは黒煙を出しながら火星に不時着した。その直後アマテラスは爆発を起こした。その直前に脱出ポットが飛び出した。
『『あっ』』
古代と島は直ぐに着陸し脱出ポットへと向かった。
脱出ポットには綺麗な金髪の女性が乗っていた。
『どうだ』
『まだ生きている。急いで救難信号を』
『おう』
古代達の報告により直ぐに救助隊がやって来た。女性は直ぐにカプセルに入れられ治療所へ運ばれていった。
古代達は地球に帰還中のキリシマに乗艦した。
『兄さんの船がない』
古代はユキカゼがいないことに不安を感じながら地球に帰還した。
キリシマとナガトが帰還する。
鷹橋がナガトから降りてくる。
『優太兄さん』
「進か。火星での任務ご苦労だったな」
『いえ。そんなことより優太兄さん。守兄さんは』
「あいつは立派だったよ。俺と共に殿を務めてくれた。だがあいつを殺したのは俺だ。ごめんな進」
鷹橋は進の肩に手を置いた。
『兄さんは最後、なんて』
「守はな、進。死に急ぐな。地面に足をつけて、がむしゃらに生きろ。って言ってたよ」
鷹橋は進の頭を乱暴に撫で回した。
『う、うん』
そして古代と島は司令部に報告書を提出し別命あるまで待機と言い渡された。そして司令部の廊下を歩いているとすれちがう男女が小さな声で話していた。
『森さん聞いたか。例の噂』
『噂?何の噂かしら』
『今回のメ号作戦が陽動だったっていう噂だよ』
『相原君。それは噂なんでしょ』
古代はそれを耳にすると足を止めて振り返り
『ちょっと君』
『うわっ。はい』
『今の話は本当か』
『いっ、いや、その。あ、あくまで噂で』
『事実なら俺の兄さんは死ななかったんだ。教えてくれ』
『おい。古代』
『ちょっと貴方。高々噂話でそんなに捲し立てる事ないでしょ』
森という女性が古代と相原の間に割り込んだ。
『え!(火星で助けた人に似ている)』
『では、私達も忙しいので失礼します。話をしたいなら沖田長官に直接聞けば?長官はいま総合病院に行ってるわよ』
森と相原は廊下を再び歩き始める。
古代と島は直ぐにエレベーターに乗り沖田の居る病院へと向かった。
地球連邦総合病院
ここには戦傷者や放射能感染者、そして古代が救助したイスカンダル人が治療を受けていた。
『ふむ、体に変化はありませんな。良かったですぞ』
『佐渡先生ありがとう。して、彼女の容態は』
『ふむ。着陸の衝撃で気を失っただけで何もなかったわい。今は妹さんが付き添っているよ』
『そうですか』
「沖田さん。体には十分気を付けてください」
『わかっている。全く。お前は祖父を心配する孫か!心配しすぎだ』
「まぁ、私は父が他界してからは貴方を父と思っていますがね」
『はぁ~。この人たらしが』
「誉め言葉と受け取っておきます」
沖田の付き添いで一緒にいた鷹橋との会話を聞いている佐渡先生や看護婦達は完全に親子の会話だと思っている。
『まあ、まあ。沖田さん。そんなに大声は『ちょっと待ってください』ん』
ウィィン
診察室の扉が開くとそこから古代が入ってきた。
『提督。提督にお聞きしたいことがあります。メ号作戦が陽動だったとは本当ですか。それを兄は知って『止めろ古代』っ』
古代が言い切る前に、鷹橋と共に来ていた土方が声を出す。
『土方さん』
『すまんな。沖田。こいつは俺の教え子の古代だ』
『古代!?では、お前の兄というのは』
『ユキカゼ艦長。古代守は私の兄です』
『そうか。古代守は勇敢な男だった。とても、立派だった。、、、、だが彼を殺してしまったのは他でもない私だ』
沖田は進にそう言った。そして古代はそれを聞いて敬礼をして病室を出ようとする。
「待て、古代」
鷹橋が古代を呼び止める
『優太兄さん』
「佐渡先生。少しこの診察室をお借りして宜しいですか?」
『ん?構わんよ。診察室はたんまりあるし、隣の部屋には聞こえんから』
「ありがとうございます」
佐渡先生と看護婦達は診察室を後にする。
「進。そして、そこに居るのだろう大介」
『あちゃ~。ばれちゃいました?』
「そこに座れ」
『『(あっ、これは。まずい)』』
古代と島は鷹橋の前に正座する。
「馬鹿野郎共が~」
ゴチン ゴチン
古代と島は鷹橋より拳骨を喰らった。当の二人は悶絶している。
「進。お前は守が無駄死にしたと思っているのか」
「守は長官を最後まで守り抜き、俺と共に殿を務めた。今回の作戦で、アマテラスから敵の情報と救済のメッセージを受け取る事が出来た。その作戦を成功に導いたのが守や、犠牲になった戦士達、志半ばで散っていった英霊達だ。それでも無駄死にと言えるのか。どうなんだ進」
『そ、それは』
「守が死んでしまった事は悲しい。だがな進。俺も土方さんも沖田さんも、お前の隣にいる島も肉親を失っている。お前だけじゃないんだ」
古代は島や土方、沖田の顔を見たあとに鷹橋の顔を見た。各々の目の奥に悲しみが隠れている事を察した古代は俯くしかなかった。
『す、すみませんでした。提督達のお心を知らず』
古代は俯き涙を流す。それを見た鷹橋は古代の頭を撫で回した。
「解ったならそれでいい。皆、平等に悲しみを抱えながら生きている。それを確りと心に刻め。解ったな」
『はいっ』
鷹橋は話を終わると沖田と土方の方を向く。
「この度は愚弟が失礼しました。申し訳ありません」
鷹橋は謝罪と共に頭を下げた。それを見た古代も立ち上がり謝罪する。
『提督。申し訳ありませんでした』
『いや、いい。古代。兄の分も精一杯生きろ』
『はい』
話が終わると古代と島は診察室を出て病院をあとにする。
診察室に残った三人は
『あれが古代の弟か』
「素直で、真っ直ぐで、一人で抱え込む癖がありますがいい奴ですよ」
『成績も兄譲りだ。それは保証する』
『わかった』
三人は診察室を出て各々に別れていく。
そして、数か月後、ヤマト計画が実行段階へ動くのであった。
因みに余談だが、診察室で拳骨を喰らっただけとなった島大介はこの後、個別で鷹橋より航行訓練という名の説教を受けることとなったのは別の話。
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