ドラクエ魔法持ちのTS転生者なんだけど現実世界というのが問題です   作:魔法少女ベホマちゃん

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顛末。ついでにできちゃった。

 ふと、わたしは手影を作って空を見上げた。

 うーん、快晴快晴。

 

 雲ひとつない青空。柔らかな晩春の日差し。そこに飛行機雲が線を引いている。

 今日も爽やかで素敵な一日になりそうだ。

 

 そうそう、例のあの子。

 名前なんだっけ。

 ともかく、わたしを強請(ゆす)ってきたアホ男子だけど、その件がうまく片づいたってのもスッキリの原因かもしれない。

 

 わたしとしては、小学四年生がやったことだし、べつにどうでもよかったんだけど、昨日、()()()()()()呼ばれたんだよね。

 

――校長先生が謝罪したいって言ってるけどどうする?

 

 って。

 

 昨日のやりとりについては、こんな感じ。

 

 

 

 ◆

 

 

 

「校長先生が謝りたいって言ってるけどどうする、イオちゃん」

 

「謝罪ですか。べつに必要ないですけど」

 

「謝罪を受け入れる気がないってこと?」

 

「いや、そうではなく。子どもがやったことじゃないですか。しかも、ちょっと強い言葉を使われたくらいなもの。目くじらをたてる必要ないです。わたし大人ですし」

 

「うんうん大人だね。お澄ましイオちゃんかわいい。でも、校長先生はあの子を守りたいんだと思うよ。私はイオちゃんはそんな子じゃないって知ってるけど、校長先生は知らないから。何をされるんだろうってビクビクしてるんじゃないかな」

 

「黒塗りの車に追突してしまったみたいな感じですか」

 

「そうそう。怖い人が乗っててね。免許もってんのかって言われちゃうみたいな」

 

「マズイですね。それは」

 

「そう。だから校長先生は言ってたよ。孫を転校させることをお許しくださいって。あと、自分も辞職するって」

 

「どちらも必要ないです。理事長はどうお考えなんですか?」

 

「やめることはないのにって思ってるよ。イオちゃんのこともわたしを通じて校長先生よりは知ってるから。イオちゃんがそういうの嫌がるってわかってる。違うかな?」

 

「確かに権力よりは自由を尊びたいですね。校長先生やあの子がそれでいいなら、わたしから言うべきことはありませんよ。転校したいならすればいいと思いますし、辞職したいならすればいいんじゃないですか」

 

「うーん。でもね。ここであの子が転校しちゃったら、イオちゃんが悪く言われないかな。イオちゃんとトラブルを起こしたのは何人か見てるでしょ。イオちゃんが転校させたって思われるかもしれないよ。校長先生も同じ。イオちゃんが先生すら辞職させる子だって思われちゃう」

 

「確かにそうですね」

 

「イオちゃんが黒幕になっちゃう」

 

「わずか10歳で学園を支配する魔女ですか。悪くないですね」

 

「イオちゃんになら支配されてもいいかも。いっそ校長になっちゃう?」

 

「そうですねえ……。わたしが校長になったら、まずは休日を倍にします」

 

「おお~」

 

「学食のメニューを倍にします」

 

「すごいすごい」

 

「女の子の制服をもっとかわいくて露出の多いものに」

 

「かわいいに越したことはないけどね」

 

「それで……わたしがいつでも皆さんのお胸様を検めてもよいこととします」

 

「小学生がしちゃいけない顔になってるよ。イオちゃん」

 

「まあ、冗談はさておき。わたしは優しくあれと祖母にいわれているんです」

 

「ほうほう、そのこころは?」

 

「優しさと非情さは時に似ていると思いませんか?」

 

「つまり?」

 

「相手の嫌がることは進んでしましょうって、先生たちには教えられているんです」

 

「転校させたげないってこと?」

 

「ええ、そうしましょう。ついでに、校長先生の辞職もなしです」

 

「なんとまあ、極悪イオちゃんだぁ」

 

「それも冗談で、本当にやめたいんですかってことですよ。わたしにありもしない権力を感じて、ビビッて逃げなくてもいいですってことです。じゃあ、あえて辞めるなと言っておいて、実はいつでも辞めれることに気づく。そのほうがいいんじゃないですか?」

 

「優しいね。イオちゃん」

 

「そうですよ。だって大人ですから」

 

 

 

 ◆

 

 

 

 こんな感じで最高にクールなイオちゃんを演じたんだよな。

 正直なところ、わたしは魔法に忙しい。

 アホの子のことに思い煩う時間がもったいない。

 同じ学園に通ってるから顔をあわせるぐらいはあるかもしれないけれど、これ以上関わることもないだろう。

 

 そう思っていたら、そいつがわたしの教室の前で待っていた。

 めっちゃゲンナリする。

 今日は取り巻きはおらず、そいつひとりだけだ。

 

「そんなふうに教室の前につったっていたら邪魔なんですが」

 

「悪かったな」

 

「あなたのおじい様に謝るよう言われたんですか?」

 

「ちげーよ」

 

 ふてくされてはいるものの、謝罪の意思は彼のもののようだ。

 なんか言いにくそうにしているが、便秘の時のようにスッキリしない顔だな。

 さっきまでの爽やかな朝が台無しじゃないか。

 

「なにか言いたいことがあるなら、はっきり言ったらどうです?」

 

「おまえが、辞めないでいいって言ってくれたんだよな」

 

「ええそうですよ」

 

 もじもじしている彼。

 なんとまあいじらしい姿じゃないか。

 おとといのオラついていた頃の君が懐かしいよ。

 

「そうか……その、ありが」

 

「勘違いしないでください。それはあなたへの"罰"です。よく政治家が言うように、辞めたら責任を取ったなんて思わないでほしかっただけなんですよ」

 

「なんだよそれ」

 

「わたしは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んです。もし、わたしが慈悲深くもあなたを赦したなんて勘違いをしているなら、やめてください。憤死してしまいます」

 

「おまえ」

 

 やはり根がアホなのか怒りの表情になる。

 すぐ情動コントロールできなくなるんだから甘いよな。まあわたしも人のこと言えんけど。

 わがまま放題に育ってきたみたいだし、それが突然よくなるなんてことはないんだ。

 でもまあ――まだまだ先は長いんだから、お姉ちゃんが矯正してやるよ。

 貴重な時間を使ってな。

 

「ひとつご忠告しておきます」

 

「なんだよ」

 

「常習性があると刑は重くなるんですよ」

 

 ちらりと眼下にプールを見る。

 そいつもわたしの視線に誘導された。

 冬の間もプールの水は張っている。もちろん、泳ぐためではなく劣化を防ぐためらしい。

 誰もいないことを確認してから、わたしは右手を掲げる。

 

中級氷結呪文(ヒャダルコ)

 

 その様子を――教養があるわたしの目から表現すれば、浅間山荘事件で使われた鉄球のような感じ。見るだけで異様な存在感のある巨大な氷のカタマリがプールの上一メートルくらいに突如出現し、そのまま重力に従って、ドプンと叩きつけられた。

 

 ザバァと結構な量の水が押し出され、そのあと氷塊は水よりも軽いから浮いた。

 

「わたしは()()()んです」

 

 わかりますよね?

 って視線だけで問いかける。

 銀髪で金目のわたしはお澄まし顔をしていると、相当に人形めいている。

 

 メソッド演技――氷の女王トゥーランドット姫。

 

 人を信じられない姫様は、言い寄る男どもに謎かけをし、答えられなければ容赦なく処刑した。

 

 わたしの演技は極まり、まるで冷気すらまとっているかのように見えるだろう。

 実際に、ヒャダルコの余波魔力でちょっとだけヒャッコイですよ。夏は冷房いらずです。

 

 これだけやれば、こいつも懲りるだろと思っていたら、

 

「うっせ。バーカ。バーカ!」

 

 ビビりながらも言い返して逃げ出しやがった。

 やっぱりアホの子って元気だよな。

 

 でもよかったわ。

 

 あいつ、学校辞めたくなかったみたいだし。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「イオちゃんってさ。虫に厳しいよね?」

 

 教室に入ったところで、理呼子ちゃんに言われたのは、そんな言葉だった。

 虫に厳しい? そうかな。確かにダンゴムシAにはお世話になったけれども。

 

「えっと、どうしてです?」

 

「さっき、プールに氷のカタマリだしたでしょ」

 

「ええ、出しましたけど」

 

「はぁ……」理呼子ちゃんため息をつく。「あのね。イオちゃん」

 

「はい」

 

 肩にそっと手を置かれ、

 

「常習性があると刑は重くなるんだよ」

 

 ひとことひとこと区切りながら言われる。

 

 あれ? それどこかで聞いた言葉なんですが。

 

 なんか、自首を刑事さんに迫られているような感じなんですが。

 

「そうですね。刑は重たくなりますね」

 

 わたしは目をそらしつつ言う。

 

「魔法は学園内で使ったらダメじゃなかった?」

 

「ええ、いちおうそういう約束になってはいますが……、具体的に禁止されているのは人に向けて魔法を使ったり、誰かの迷惑になる行為ですね」

 

 もちろん、例外的に許されているのが国がオッケー出した場合や正当防衛なんかの場合だな。

 このあたりはべつに文章できちっと取り決めたわけではないから、なんとも言えないところだけど、正当な理由があればいいんじゃないかと思っている。

 

 で、今回は未来ある若者の矯正のためだし、正当な理由があるんじゃないかな。少なくとも校長先生はなにも言えないと思うし。

 

 わたしはそういった説明をする。

 

 理呼子ちゃんが悲しげな表情になった。

 

「トンボさん……死んじゃったんだけど」

 

「トンボですか?」

 

「うん。プールで生育するのを見守ってる感じなんだよ」

 

 理呼子ちゃんが言うには、飼ってるというのとも違うらしい。

 どうやら学校のプールは、生命のスープというか、微生物が多く暮らしていて、そこに微生物をエサにするトンボの幼虫、ヤゴが棲み着く。無事育てばトンボになるって寸法だ。

 

 うちらはそのトンボをときおり観察対象にしたりする。

 エサを直接的にはやってないにしろ、ある種の共存共栄か。

 

 もちろん、夏になる前には消毒されるから全滅するんだけど、それまでに飛んでどっかにいって繁殖するんだろう。

 

「トンボさん、寒かったんじゃないかなぁ」

 

 理呼子ちゃんが哀しく呟いた。

 

 トンボにまで共感するなんて、理呼子ちゃんメッチャいい子。

 というか、わたしの暴走を抑えてくれてるんだな。

 

「……あとで全体蘇生呪文(ザオリーマ)かけときます」

 

「また、いのちの実験しちゃうんだね」

 

 人聞きの悪い言葉だった。

 

 でも、なんも言い返せねえ。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 昼になると、ルナが登校してきた。

 なんだかいつもより気分よさげで、スキップしながらこちらに近づいてきている。

 ちっちゃい子のスキップ姿って、なんか癒される。

 超かわいい……。抱っこしたい。

 

「イオ。決まったぞ」

 

「え、なにがですか?」

 

「なにって、名前を言ってはならない例の会社様との調整だ」

 

「例の会社様……と?」

 

 なにがどう、そういう話になっているんだろう。

 

 わたしが不思議そうな顔をしていたのを見て、ルナは目を細めた。

 

「覚えていないのか?」

 

「なにをですか?」

 

「記者会見のあと、いくつかの調整をこちら側がしていいか聞いただろう。お前のマムもオーケーしてただろうが」

 

「そのあたりは記憶がなくてですね……」

 

 かしこさ3事件、悲しい事件だったね。

 正直、四倍メダパニ拳を放った後に、ぶっ壊されたせいか、もう精神的に死んでいたようなものだった。

 

 例えて言うならば、ストロングゼロの500ミリ缶を二本ほど開けたあとに、全裸になって尻を叩き、びっくりするほどユートピアと叫びながらベッドを昇降するような……。

 

 いや例えになってないが、つまりそういうことだ。

 

「かしこさの件なんて気にするだけ無駄だぞ。そもそも、比較対象が少なすぎるから意味がないし、どんな計算式がなされているかもわからんしな」

 

「でも、なんらかの知的要素の複合計算なのは間違いないはずなので」

 

「それが勘違いだな」

 

 ルナはわたしをビシっと指さす。

 

「え?」

 

「アルテリオス計算式かもしれんだろ」

 

「ルナちゃん。ずいぶんと日本文化に詳しくなりましたね……」

 

 アルテリオス計算式。

 それはRTA(リアルタイムアタック)界隈で最も有名な数式である。

 シンプルで美しい、RTAを愛する兄貴たちが愛した数式。

 

――攻撃力-防御力=ダメージ

 

 という計算式のことだ。

 

「でもそれって、例えば愚かさの値がめちゃくちゃ高いってことなのでは……」

 

 IQ100-愚かさ97=かしこさ3

 

 みたいな。

 

「だから、考えても仕方ないだろ。わたしのIQは200近いぞ。なんらかのマイナス補正がかかってるのかもしれんが、気にしてもしかたない」

 

「そうだよー。イオちゃん。あんまりかしこさを気にしすぎるのもよくないよ。それよりもトンボさんの命のほうを気にしてあげてね」

 

 理呼子ちゃんの言葉、ごもっとも。

 わたしは反省できる子です。

 

「ともかく、わかりました。わたしの記憶が定かでないうちに、例の会社様と調整をすることになっていたと……、えっと、調整ってなんですか?」

 

「うーむ。これは表現が難しいな」

 

 ルナが小さな指を顎にあてる。

 

 おててもちっちゃいなルナ。

 

 わずか数日で調整(アジャスト)が済んだのか、わたしにもわかるように説明してくれるルナである。

 

「イオの魔法はドラクエ由来のものなのだから、もしも新作ドラクエを創ったらどうなるのか。これが一番の関心事なのはわかるだろう」

 

「ええそうですね」

 

 当たり前だと思う。

 

 わたしの魔法はドラクエという概念によって縛られている。

 その範囲内においてしか使えないということで不自由がある。

 

「だけど、野放図になんでも使えるようになるのは危険が大きいのでは?」

 

 確かそんな話もあったはずだよな。

 

 例えば、時を操る魔法とか、全魔法力を一気に解放するマダンテとか、危ない系はやめておけと言われたはずだ。

 

 ドラクエを創ったあの会社様に触れるのも禁忌なのではなかったか。

 

「まあ確かに危険ではある。イオが神さまのようになんでもできるようになるかもしれないし、人々が全員世界を壊す力を持つのも確率論的に世界が滅びるので危ないだろう」

 

 それはそうだ。

 核ボタンを全世界の人々がひとつずつ所有する世界を思い浮かべればいい。

 誰かひとりが押せば世界が壊れるとすれば、たとえボタンを押す確率がゼロコンマすらない極小の可能性だとしても、世界は相当程度の可能性で滅びるんじゃないか。

 

「ただ……、我々の最終目標はなんだ?」

 

 ルナにじっと見つめられる。

 

 最終目標か……。なんだろうな。

 ルーラで登校したい。いや、魔法を自由に使っても怒られない世界とかか。

 

「魔法文化を根づかせることだ。言い換えれば、誰でも魔法が使えるようにすることだ。そうすれば、イオは異端(アノマリー)ではなくなる。正統派(オーソドックス)になるんだ」

 

「わたしの影響力を薄めるということですね」

 

「そういうことだ。であるから――、第一目標としては私が魔法を使えるようになることだな」

 

 まあ、確かにそんなことを言っていたな。

 

魔力供給呪文(マホアゲル)ではダメでしたもんね」

 

 休み時間を使ってルナに魔法力を注入してみたんだが、まったく使えるようにならなかった。

 おそらくMPというのは、ある種の器なのだろう。

 

 器自体がないのに、水を注いでも無駄なのと同じ状態なのかもしれない。

 

 これに加えて、モシャスでわたしの容姿をコピーしてからマホアゲルを使ってみたが、やっぱりダメだった。モシャスはそもそもHPやMPをコピーすることはできない。

 

 なので、HPやMPは魂に由来するその人固有のステータスなのだろう。

 

 MPが上がる要素としては、ふしぎな種をポリポリしたり、レベルアップしたりということが考えらえるが、閲覧呪文(ダモーレ)で見る限り、わたしのレベルは1だ。

 

 そして、みんなのレベルも1のまま。

 たぶん、魔物と呼ばれる生命体を倒したときに、魂的な何かを吸い取ってるんじゃないか。

 もしかすると、それが魔法力とか。

 

 普通の動物とか生命をいくら殺しても経験値にはならない――みたいな妄想も捗るな。

 ドラクエアニメの勇者アベルの伝説だと、モンスターは倒すと宝石になっていたし、経験値とお金が手に入るのは、そういう仕組みだったりするのかもしれない。

 

 モンスターいないからわからんけどね。

 

 ともかく、このMPの壁を突破するひとつの方策として、ドラクエの新魔法は期待できる。

 

 あるいは、ほとんど唯一の方法かもしれない。

 

「副次的な理由もある」とルナは続ける。

 

「副次的ですか?」

 

「ああ副次的。メインはあくまで魔法を広げることだが、副次的な理由のほうが調整が大変だったんだ。こちらは裾野がめちゃくちゃ広くてな。要するに多国間と協議をして、どんな魔法があったら素晴らしいかのアンケートをとったんだ」

 

「その結果は?」

 

「カナの婚礼だな」

 

「なんですそれ」

 

「キリストが水を葡萄酒に変えるエピソードがあるんだが、まあそれだよ。要するに()()()()()()()。これこそが各国のトップ連中が一番『いいね』を出した差しさわりのない素晴らしい魔法ということになった」

 

「普通に寿命を延ばすとか、病気にならないとかのほうがスゴそうですが……」

 

 つまり、キアリーあたりを全体化する魔法を開発すればいいんじゃなかろうか。

 

「それは影響が大きすぎるんだろうな。食料については、まあパンのようなものを出すとして、パンだけで人は生きていけないからいいんだろう」

 

「まあなんとなくわかります」

 

 人は全知全能にはなりたくないのかもね。

 

 あるいは隣人も全知全能、そのまたお隣さんんも全知全能とかになると、たぶん世界が窮屈すぎると感じるのかもしれない。

 

 手を伸ばせる範囲でいい。そんなふうに考える人も多い。

 ちなみになぜか知らないけど、理呼子ちゃんがわたしとなにげなく手を繋いでいる。

 それもまた幸せの範囲だったりするわけだ。

 

「ようやく調整が終わってほっとしている」

 

「お疲れ様でした」

 

「ああ。だから今日、学校が終わったら行くぞ」

 

「どこにですか?」

 

「名前を呼んではいけない、あの会社様に決まってるだろう」

 

「えっと、何をしにです」

 

「言わなかったか。調整が済んだんだ。決まってるだろう」

 

 ご挨拶?

 

 そんなふうに間抜けなことを考えていたら違った。

 

 ルナの思考速度は少なくともわたしの三倍ほどは早いのかもしれない。

 

「さっそくできた()()()()()()をプレイしに行くぞ!」

 

 はえーよ、ルナ。




次回、イオ、神に会う

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