ドラクエ魔法持ちのTS転生者なんだけど現実世界というのが問題です   作:魔法少女ベホマちゃん

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魔法の才能。ついでにかしこさ。

 五人の少女たちが原初の魔法火に熱い視線を注いでいた。

 

 理呼子も自分の指先に灯った魔法をただただ沈黙のうち見つめていた。

 今もほんの少しずつMPが削られていっているのがわかる。例えれば、赤子が指先をちゅーちゅーと吸っているような、そんな淡い感覚だ。

 

 具体的なMPにひきなおせば、おそらくゼロコンマ以下の数値だろう。魔法の維持でも魔法力は使うのだ。内在する魔法力が大きければ、魔法はその力を消費しきるまで消滅することはない。イオが放った火力発電所のメラゾーマは今も元気にタービンをまわしているはずである。

 

 だが、人並みの魔法力だと維持するためにも魔法力を供給し続けなければならないらしい。

 

 理呼子が唱えたのは初級火炎呪文(メラ)である。

 

 ほとんどのドラクエにおいて、一番最初に使える呪文であり、最初から覚えていることも多い。危険性を考えると本当は光源魔法(レミーラ)あたりがよかったのだろうが、初級であることもあり、消火係のイオもいるから問題ない。イオのような膨大な魔力でもないのであるし。

 

「できちゃったね」

 

 理呼子は少し戸惑うような声をあげた。

 

 実をいうと理呼子は、魔法クラブのメンバーの中では、比較的魔法というものに対して興味が薄い。自分が使えたら確かにうれしいし楽しいだろうなという思いはあるものの、その根底にあるのは、イオへの思慕の情だ。つまり、イオといっしょになりたいという単純さからくるものであった。

 

 だから、嬉しさの中に戸惑いが混じる。

 魔法という未知なる力が使えてしまった自分に。

 これからどうなっていくのだろうという感じがして。

 初めてライターで火をつけたような、そんな微妙な高揚とイケナイことをしているという感情がいりまじる。

 とりあえずのところ――。

 理呼子は、指先に灯るビー玉くらいの大きさの火炎球を持て余していた。

 

「イオちゃん。どうすればいいのかな」

 

 理呼子はイオに聞いた。

 宝石のような瞳は好奇心に満ち、理呼子の魔法を見つめている。

 理呼子の言葉に、イオはきょとんとする。

 

「どうすればとはなんでしょう」

 

「このメラなんだけど、どうやれば消えるのかな」

 

「消えろって思えば消えますよ」

 

「そんなに簡単なの?」

 

「魔法はイメージなのです!」

 

 ドヤ顔になるイオ。

 

 奇跡的な配置バランスを持つ顔はドヤ顔になってもかわいらしい。

 むしろ、普段がほとんど無表情に近いクール系を装ってるせいか、そういった人間めいた表情をするほうが好きだった。

 

 理呼子は、誕生日のケーキの炎をふっとかき消すようなイメージを思い浮かべる。

 それだけで、理呼子の中にあった炎は揺らめくようにして消えた。

 

「むぅ。私も私も! すぐに試したいぞ」「お姉ちゃん。私に先にかけて! 先に!」

 

 ルナたちが子どものようにはしゃいでいた。実際に子どもである。

 

 新生マホアゲルは三人までしか魔法覚醒作用を及ぼせない。

 理呼子がひとりめなので、残りは二名。みのりが辞退しているので、ルナとユアは同じようにマホアゲルを受けることができる。

 

 問題はどちらが先にマホアゲルを受けるか。そのわずかな時間差すらルナたちにとっては不公平さを感じるらしい。ふたりともイオのことが好きなのだ。だからかまってほしいと考えている。

 

 理呼子も同じくイオのことが好きだったが少しばかりレベルが違う。あのとき無理やりポヤっとしているイオの唇を奪ってしまったせいか、理呼子は心の中で反省していた。もともと争いごとが嫌いで引っ込み思案な自分にしては、ずいぶんと強引なやりくちだと。イオは怒らなかったが、仮に怒られても、嫌われても、しかたなかったことかもしれないと。

 

 だから、二度と無理強いはしない。

 あのときは夏のアバンチュールで、非日常の世界で、気が緩んでいたのだ。

 

――だから。

 

 イオから答えを聞けなくても、あやふやなまま関係が終わったとしても。

 ビターエンドを受け入れるつもりだった。

 理呼子は一足さきに、ちょっぴり大人になっていたのである。もちろん精神的な意味なのでご注意を。

 

「私とイオちゃんが同時にかけるのはどうかな?」

 

 理呼子は大人な提案をした。

 

「む……できればイオにかけてほしいぞ。理呼子がマホアゲルを使えるかは、みのりに使えばわかるが、イオからの伝授と理呼子からの伝授で効力が同じとは限らないからな」

 

「まーそうだよね」

 

 理呼子も納得する。イオへの好感度うんぬんは関係なくとも、絶大なる魔法力を持つイオからマホアゲルを受けたほうが、なんか効果が高そうと思うのは当然だ。

 

 イメージするのは、最近見た吸血鬼の百合もの。

 

 その物語では、吸血鬼のお姉さまがトゥルーヴァンパイア――いわゆる真祖とか、始まりの吸血鬼とか呼ばれているもので、絶大な力を持っていた。その血族に偶然なってしまった一般人出身の妹君のほうは、これまた絶大なる力と権力を持つのだ。何人もの先輩吸血鬼をさしおいてである。彼等はしょせん眷属であり、真祖より手ずから血を分け与えられたものではない。眷属は交配を繰り返すことで劣化する。真なる血族は主人公だけ。

 

 みたいな感じだ。

 

「あの、魔法は魔法だと思うんですが、メラがギラになったりはしませんし、マホアゲルはマホアゲルなのでは?」

 

「それはわかるが確証もないしな。とりあえず、私はイオにかけてもらいたいぞ」

 

「あ、さりげなく自分が先に受けようとしないでよ。私のお姉ちゃんなんだよ!」

 

「お、落ち着いてください。マホアゲルはあくまで単体魔法なんです。同時には――あっ!」

 

 そこでイオは何かに気づいたようだ。

 

「どうした?」とルナが声をかける。

 

「いえ、そういえば、ドラクエの漫画で両腕にひとつずつ魔法をストックして放つみたいなことができましたよね」

 

「ああ、そういえばそんな描写があったな。左手からバギ。右手からギラ。合わせてバギラみたいな感じとか。あるいはメドローアみたいな合成することでまったく異なる効果が発動するような例もあったな」

 

「つまり、魔法はダブルで使えるということなのでは」

 

「なるほどな。確かに可能かもしれん。やってみろ」

 

 イオはグッと両手を握り締めた。それから、おもむろに手を開く。

 

「左手に魔力供与呪文(マホアゲル)

 

 左手がボォっと光のオーラのようなものに包まれた。

 そこからスっと玉のようなものが浮き出してくる。

 水色で野球のボールサイズだ。

 

「右手に魔力供与呪文(マホアゲル)

 

 同じく、右手からも魔力供与の玉が出現する。

 ふたつの魔力が込められた玉が、ふよふよとイオの掌数センチ上を浮いている。

 イオは手をルナとユアのほうへと突き出した。

 

「いきますよー。魔力供与呪文(マホアゲル)!」

 

 イオの魔力コントロールは、焦りさえしなければ完璧な領域に近い。

 膨大すぎる魔力を使ってもうっかり世界を滅ぼさない程度にはロックがかかっている。

 ゆえに、超難度の重複呪文(ダブルスペル)も一発で成功してしまった。

 

 はしゃぐのは幼女組のふたりだ。

 淡い光が自分の身体に吸い込まれていったのを確認したルナとユアは、イオにすがりつくようにしている。

 

「ダモーレしてたもーれ」

 

 ルナがわけのわからない親父ギャグを言ったかと思えば、

 

「なじむ……じつになじむ! お姉ちゃんの魔力!」

 

 ユアも妹アピールに余念がない。

 

「では、さっそく閲覧呪文(ダモーレ)!」

 

 イオは再びダブルスペルを放った。

 これによって明らかになったのは、ルナのMP75/75、ユアのMP39/39。

 新生マホアゲルの仕様どおり。かしこさ準拠のMPだった。

 

「うむ。異常はないな。では、次に……初級火炎呪文(メラ)!」

 

 ルナが唱えると、手のひらの上に火炎球が生まれた。

 すぐに、ルナが歓喜に震える。年相応の顔つきで蒼い瞳がゆらゆらと揺れた。

 

「やったやった! 見てくれイオ。私にも魔法が使えたぞ!」

 

「ルナちゃんのおかげですよ」

 

 イオはお姉ちゃんの顔になっていた。

 その顔を見たユアはムッとした表情になる。

 

「見て見てー、お姉ちゃん。私も使えたよ」

 

 なんとユアはメラを指先にひとつずつ灯していた。

 

 ダイの大冒険で、メラゾーマを指先に一つずつ灯し5発分を一気に放つ技――五指爆炎弾(フィンガーフレアボムズ)というものがある。

 今回ユアはメラゾーマの代わりにメラを代用しているが原理はまったく同じ。

 さながらプチフィンガーフレアボムズと呼べるものだった。

 

「すごいですね。さすがわたしの妹です」

 

「えへへ。もっと褒めて」

 

「かわいいですよ」

 

「もっと!」

 

「よっ。天才!」

 

「もっと!!」

 

「さすユア! さすユア!」

 

「お姉ちゃんの妹だもんね! これくらいできて当然だよ」

 

「むぅ……。私もできるぞ。それぐらい」

 

 ルナが同じくメラを指先に5つ灯そうとする。

 しかし、うまくいかない。

 ひとつめのメラを灯してふたつめまではうまくいったが、中指に灯そうとしたあたりで、メラの火はかき消えてしまった。何度試しても同じだった。

 

「なーぜーだー!」

 

 ルナは絶叫する。

 ホームアローンの子役みたいにほっぺたに手をあてている。

 

「おちついてください。ルナちゃん」

 

「イオ。どうして、わたしはユアみたいにできないんだ? 慢心……環境の違い……」

 

「血縁ですからー」ドヤ顔でユアが煽る。

 

 がっくりと、その場にくず折れるルナ。

 血縁ばかりはどうしようもない。あるいは能力的なものが生来的に決まっているとしたら、いずれにしろ、できないものはできないのだ。

 天才児としてもてはやされてきたルナのはじめての挫折だった。

 

「スポーツみたいに練習すればできるようになるかもしれませんよ」

 

「そうだな……」

 

 ルナはちょっぴり消沈した声で言った。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 次なる実験は理呼子のみのりに対するマホアゲルである。

 これは何事もなくクリアした。MP90/90。

 イオを除けば一番魔法力が高い結果になった。

 

「ありがとうね。理呼子ちゃん」

 

「いいえ。みのりさんも――、イオちゃんから本当はもらいたかったんですよね」

 

「少しはそう思うけど、わたしは最初からもらいすぎてるって思ってるからね。この腕もそうだし。だからいいんだよ」

 

 みのりは自分の腕を差し出すように見せる。

 ほっそりとした瑕一つない腕はイオが癒す前には交通事故で失われていたのだ。

 

「よし。イオ以外のマホアゲルも普通に発動できたな。では、みのり。メラを」

 

「うん。初級火炎呪文(メラ)

 

 ボシュ。

 一瞬、煙のようなものが出たが、すんなりとはいかないようだ。

 

「やはり魔法には個人差があるのか」

 

「もう一回やってみるね。イオちゃん、ちょっとそのままそこに座っててね」

 

「え、はい」

 

 イオが怪訝に思っていると、みのりは立ち上がってイオの背後に回った。

 そして、イオの頭のうえに、その大きな胸を載せた。

 

「ふぅ。充電。充電」

 

「あわわわわわわわわ。みのりさんがいっぱい。おっぱい……」

 

「ふふふ。こうしているとなんとなく精神的に安定する気がするな。じゃあいくよ。メラ!」

 

 ボッ!

 

 今度はガスの点火のように一気に炎が指先から放出し、それから球形をかたどった。

 成功だ。

 

「さすがです。おっぱいのちからは偉大です」

 

「イオちゃんのおかげだよ」

 

「それにしても魔法は唱えたら誰でも使えるというわけではないんだな。イオが例外か」

 

 ルナは科学者としての好奇心にシフトチェンジしたようだ。

 

「そうだね。イオちゃんを除けばユアちゃんが一番才能があるのかな」と理呼子。

 

「まあ妹だしな……遺伝子的に魔法を使うのに最適な身体とかがあるのかもしれん」とルナ。

 

「若さとかじゃない? 私がこの中では一番おばさんだし?」とみのり。

 

「中学生でおばさんとかないですよ」

 

「イオちゃん。そのセリフは年下から言われるとちょっと傷つくんだよ」

 

「むむう。難しいですね」

 

「だがみのりの言う通りかもしれん」ルナが立ち上がる。「イオを除けば一番年下のユアがうまく魔法を使えて、みのりが少しだけ苦手そうだった」

 

「んー。じゃあ、理呼子ちゃんはどうなんです」

 

 イオが疑問を口にする。

 フィンガーフレアボムズについて試したのは、ユアとルナのふたりだ。

 みのりは普通のメラすら厳しかったので、フィンガーフレアボムズも使えない。

 

「やってみるね」

 

 イオに促されるままに、理呼子はフィンガーフレアボムズを試す。

 メラ・メラ・メラ・メラ・メラ。

 ひとつひとつを指先で保持するような感覚だ。

 

「うん。できたみたい」

 

「若さではないようだな」

 

 ルナが渋い顔でいう。ルナのほうが理呼子よりも若いので、魔法は若いうちからみたいな発想は違うようだ。となると、実際に才能というべきものがあらかじめ決まっているのかもしれない。

 

「血筋なんだよ。たぶん」

 

 ユアは誇らしげに言う。

 

「血筋だと理呼子が使える理由にはならんな。もう少し詳しく調べたい」

 

 

 

 ☆

 

 

 

 ルナに引きつられるようにして、イオたちはコンテナの外へ出た。

 ここらは人通りも少なく、今は夏休みなので絶無といってよい。

 簡易的な実験程度ならここでも可能だ。

 

「まずは、コンテナの壁に魔法消却呪文(マホステ)をかけてもらう」

 

 コンと側面の壁を叩きルナが言う。

 

――魔法消却呪文(マホステ)

 

 対象を紫色をした霧で包みこみ魔法の効果を絶無化する。

 

 類似の魔法に魔法反射呪文(マホカンタ)というものがあるが、こちらのほうは魔法を反射してしまうので、攻撃呪文を当てたりすると危険なことこの上ない。

 

 マジックバリアという魔法もあるが、こちらは軽減であり無効化ではない。

 

 イオが分厚い魔法無効化バリアを張れば、ほとんどの魔法は意味をなさないだろう。

 

 言われるがままに、イオは魔法をかけた。

 

 ルナが頷く。

 

「最初は初級から、それから中級、上級へとクラスをあげていくんだ。できる呪文とできない呪文を明らかにしていくぞ」

 

 イオを除く四人は、次々と魔法を放った。

 魔法力がなくなっても最強のバッテリーであるイオが通常のマホアゲルをすればいい。

 ユアだけではMP39なので、ベホマズンなどは使えないが、そればかりはしかたない。

 

 それで数十分後。

 

 ひとまずのところ攻撃魔術を撃ちまくり、みんな肩で息をしている。

 新発見であるが、魔法は疲れるようだ。

 正確には枯渇に近づけば近づくほど精神力を使い果たしてしまうという状態になるらしい。

 

 そして、もうひとつ。

 

「どうやら――、関係性が見えてきた」

 

 ルナがひとりごちる。

 

 魔法をみんなで放ちまくった結果、やはり、ユアが一番魔法をうまく使えた。

 中級魔法だけでなく上級魔法も難なく使えてしまったのである。

 ルナと理呼子は中級までは使えた。みのりにいたっては中級すらおぼつかず初級までしか使いこなせないようだ。

 

 攻撃呪文だけではない。補助魔法や回復魔法も同様の傾向が見られた。

 

「ユアが魔法の天才ってことですか」

 

「いや違う。その可能性もあるが……私の知見は異なる答えを導き出している」

 

「そのこころは?」

 

「かしこさだな」

 

「かしこさ?」

 

「どうやら、かしこさが高いと使える魔法が限られるらしい」

 

「いったいどういうことなんでしょうか」

 

「わたしにもわからないが、ひとつ考えられるのが神の抑制だろうか」

 

「神さまの?」

 

「ああ、イオに魔法を授けたという形而上ではない神の話だがな。あの神が世界が壊れるのを望んでいないという話をイオはしただろう」

 

「えっと……」

 

 イオはがんばって思い出そうとしている!

 

「無限の魔力を持たせたら、宇宙が壊れるという話だ」

 

「そういえばそうですね」

 

「全魔法力を解放するマダンテ。MPが多ければ当然破壊力も増すだろうが、魔法力が高いやつは、マダンテを使えないかもしれない」

 

「練習次第なのでは? そもそもわたしも使ってませんよ」

 

「イオは絶対使うなよ。フリとかじゃなく本気でな!」

 

「わかってますよ。うっかり銀河消滅とか、わたしもやりたくないですからね」

 

「まあ、悪くはないのかもしれん。神におんぶに抱っこで気に入らんが、魔法には安全装置がついているということだろうからな。人間が滅びるとか宇宙が消滅するということにはたぶんならないのだろう。イオはわからんがな」

 

「ルナちゃん。私たちって魔法を好きな人にあげてもいいの?」

 

 みのりが聞いた。

 

「社長に聞くべきだろうな。私もマムには魔法をあげたいが……、その前に大統領がくれと言ってくるかもしれんし」

 

「あの、ルナちゃん。ちょっといいかな」

 

 今度は理呼子だ。

 

「なんだ?」

 

「魔法がもし広まっちゃったら、イオちゃんが危険じゃないかな?」

 

「ん? どうしてだ。魔法が広まるということはイオが特別な存在じゃなくなるということだ。今後、イオが一般社会になじんでいくためには、絶対的に必要なプロセスだと思うぞ」

 

「それはわかるんだけど、イオちゃんの強さって魔法によるものでしょ。だったら、魔法効果を打ち消すような魔法をかけたらどうなるの?」

 

「ギガジャティスか……かしこさが3くらいだったら使えるのだろうが、今度はMPが足りんだろうから、実質的にその戦法はとりえなさそうではあるな。そもそもかしこさ3の人間がそんなにホイホイとはおらんだろうし」

 

 ぼろくそに言うルナである。

 

「マホステなら使えたよ」とユアが言う。

 

 彼女はイオを除くメンバーのなかで唯一マホステを使えた。

 マホステは相手からの魔法を無効化するだけであるから、イオにかかっているバフ系呪文を無効化する効果はない。

 

 けれど、もしもマホステが効くのであれば、イオの魔法は効かないということになる。それでもバイキルトで殴るなどの方法はあるが。

 

「お姉ちゃん。ちょっと試してみようよ」

 

 ユアはコンテナの壁を指さした。

 いまはイオのマホステに覆われているため、イオが魔法を放っても盾鉾最強状態。いわゆる矛盾が生じてどうなるのかはわからない。

 

 ここでは、魔法を解除してユアのマホステで試してみようと言っているようだ。

 

「私はかまいませんが……、少し危険ではないですか」

 

 なんとイオが成長している。

 

 いつもだったらホイホイ求められるがままに使うところだが、しっかりと抑制ができていた。

 

 実際問題、コンテナの壁とはいえ例えばギラあたりで貫いてしまったら、そのまま直進して隣の校舎もぶっ壊してしまうことは目に見えていた。モシャスで穴を塞いでもなかったことにはできないのだ。

 

「おお……」

 

 一同から感嘆の声が漏れる。

 

 底値を割ると、あとは上がっていくだけなのである。

 

 本人は解せぬと呟いていたが。




いろんなご意見を賜りまして、誠にありがとうございました。
考えたのですが、いまの現状を素直な気持ちで受け止めて、自分の書いた文章に向きあっていきたいと思います。ひとまずは書くことですかね。
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