ドラクエ魔法持ちのTS転生者なんだけど現実世界というのが問題です   作:魔法少女ベホマちゃん

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掲示板。ついでに最後の魔法実験。

(前日のスライム配信と新作ドラクエについて語るスレ民)

 

 

86:名無しの魔法少女観察者

 

スライムのこと何も言わなくなったな

 

90:名無しの魔法少女観察者

 

スライムは君のこころのなかにいる

というか、すでに処分されてしまったのかもしれんぞ

 

92:名無しの魔法少女観察者

 

イオちゃんの焦りっぷりから見たら間違いなくスライムいる

スライムがいるってことは、魔法力の発現もそう遠くはないな

 

98:名無しの魔法少女観察者

 

>>92

 

なんでスライムが出てるのが魔法力発現につながるん

 

100:名無しの魔法少女観察者

 

>>98

 

スライムがこの世界に出現するということは、

 

異界から召喚したか、あるいはジュエルボーンで作ったということだろうから

 

モンスター倒してレベルアップとか狙えるだろ

 

106:名無しの魔法少女観察者

 

イオちゃんはそんなことしない

 

110:名無しの魔法少女観察者

 

モンスターを殺して平気なの?

 

116:名無しの魔法少女観察者

 

はぐれメタルを探そうぜ……フヒヒ

 

123:名無しの魔法少女観察者

 

そういやドラクエだけどどこまで進めた?

 

127:名無しの魔法少女観察者

 

は、もうクリアしているに決まってるんだが?

 

133:名無しの魔法少女観察者

 

RTAしてるやつがいて草

 

141:名無しの魔法少女観察者

 

みんな気合入ってんな

やっぱ政府広報が効いたか

 

149:名無しの魔法少女観察者

 

マホアゲルってどうだったのかな

 

150:名無しの魔法少女観察者

 

なにかしらの進展があったら説明があるべ

 

155:名無しの魔法少女観察者

 

秘匿される可能性もあるんじゃねえの

だいたいこの国って忖度&秘匿が大好きな国だからな

十年前は特にひどかった

今も昔も変わらん

 

156:名無しの魔法少女観察者

 

秘匿は無理やろ

例えば魔法が発現するとして

国のトップのやつらは当然魔法を求めるはずだろ

アメリカもな

となると、そこから絶対に漏れる

ステークホルダーが無数にいる以上、

魔法をイオちゃんだけにとどめておくのは不可能

 

 

 

(空を飛翔する魔法少女隊の映像投下される)

 

 

159:名無しの魔法少女観察者

 

魔法キターーーーーーーーーーーーーーーーーー!

 

164:名無しの魔法少女観察者

 

うおおおおおおおおおおおおお魔法少女が増えたー!

 

170:名無しの魔法少女観察者

 

ざわ……ざわ

デモンストレーションか

ついにこの日が来たんやなって

 

171:名無しの魔法少女観察者

 

よく見ると、ひとりだけ対魔忍みたいなおっぱいしている子がいる

 

172:名無しの魔法少女観察者

 

SUGOI-DEKAI

 

176:名無しの魔法少女観察者

 

ひとりだけ恥ずかしがってるのがかわいそうかわいい

小学生たちを引率するお姉さんかな?

 

181:名無しの魔法少女観察者

 

ちょっと男子ぃー

女の子の胸を見てばかりいるなんて最低ー

 

182:名無しの魔法少女観察者

 

女の子の胸には夢と希望となにより魔力が詰まってるんだよ

 

186:名無しの魔法少女観察者

 

魔力タンク(おっぱい)

 

187:名無しの魔法少女観察者

 

おまえら急に元気になりすぎ

 

188:名無しの魔法少女観察者

 

映像から見る限り、おっぱいの子は中学生くらいだろ

目元は隠れてるけど、背格好でわかる

プリキュアだって中学2年生がメインなのに恥ずかしがる必要ないと思う

 

 

192:名無しの魔法少女観察者

 

プリキュアの主役たちは特殊な訓練を受けております

 

いやそもそもの話な……

オレには7歳の娘がいるんだが

娘の誕生日にプリキュアのコスいるかって聞いたら

プリキュアは赤ちゃんが見るんだよって言われたよ

愕然とした覚えがある

 

198:名無しの魔法少女観察者

 

見るのとやるのじゃ大違いってね

実際、あのひらひらの服着て、

小学生たちといっしょに魔法少女やるって考えたら

わりと恥ずかしくないか

オレも恥ずかしかったわ

 

200:名無しの魔法少女観察者

 

でもおまえおっさんじゃん

いや、このスレにいるのはみんな10歳の魔法少女だけどな

 

203:名無しの魔法少女観察者

 

おっぱいさん対魔忍してそう

 

209:名無しの魔法少女観察者

 

おまえ、おっぱいさんのことおっぱいさんというのやめろよ

 

213:名無しの魔法少女観察者

 

でもさ冷静に考えたらあの子たちってモシャスしてるんじゃないかな

容姿だって誰かの借り物かもしれんだろ

 

 

217:名無しの魔法少女観察者

 

そういやその可能性もあるか

てか、魔法が誰でも使えるようになったら

いよいよオレもモシャスつかって

魔法少女になれる可能性が……

 

 

218:名無しの魔法少女観察者

 

つまり、おっぱいさんも40代男性の可能性が……っ!?

 

 

226:名無しの魔法少女観察者

 

魔法少女のかわいい姿なのに

舞台裏だとビールかっくらて一服してるおっさん

 

229:名無しの魔法少女観察者

 

魔法についてだけど、どういうふうに広まっていくんだろうな

誰でもメラを使えるということは、拳銃社会より怖いような気が

 

 

234:名無しの魔法少女観察者

 

イオちゃんの魔法が広まってから

死体を保管する人も結構出てきたっぽい

もしかしたらザオリクで生き返るかもしれんから……

 

241:名無しの魔法少女観察者

 

ザオリーマしてあげたらいいのにな

 

243:名無しの魔法少女観察者

 

ベホマズンすら拒む団体がいるんだぞ

無作為に求めるやつだけに魔法をかけるっていうのが時間的に無理だから

ザオリーマも無理だべ

 

 

248:名無しの魔法少女観察者

 

政府広報のページだとザオリクは寿命には効かんらしいな

逆に事故とか事件で死んだ場合は生き返る可能性が高いとか

魔法による死は運命論的な異常係数なので、生き返るって書いてるけど

 

 

254:名無しの魔法少女観察者

 

誰もがザオリクできるなら殺される心配とかはなくなるのかねぇ

 

261:名無しの魔法少女観察者

 

よぐわがんにゃい

命が軽くなりすぎるのも問題じゃないか

死ななきゃ安いとかで、ビルから飛び降りる馬鹿とかいそうだし

 

264:名無しの魔法少女観察者

 

そもそも魔法をどうやって覚えるんだよって話で

呪文名を知ってたらそれでいいんだろうか

 

 

267:名無しの魔法少女観察者

 

魔法が広まるにしろ最初はイオちゃんからだろうから

イオちゃんの親しい人ってことになるだろ

つまり、オレみたいな一般人に広まる前に法整備とかいろいろするだろ

 

274:名無しの魔法少女観察者

 

魔法は免許制になるんじゃないかな

みんながみんなマダンテ使うような世界だとおちおち寝てられん

全部イオちゃんが時間を巻き戻してなんとかするとかでもいいとは思うが

個人的負担がな……

 

 

280:名無しの魔法少女観察者

 

魔法を普及するのは

イオちゃんの負担を少なくするって側面もある

イオちゃんが最後になんとかしてくれるっていうのは本末転倒じゃない?

 

 

283:名無しの魔法少女観察者

 

ひとりだけ知らない子混じってるんだけど、この子は誰かな

銀髪のショートボブがユアちゃんでしょ

金髪はルナちゃん

おっぱいさんは誰かわからないけどおっぱいさん

イオちゃんはイオちゃん

 

じゃあ、もうひとりは?

 

 

286:名無しの魔法少女観察者

 

たぶん、イオちゃんの友達

だがあんまり詮索しないほうがいいと思うがな

そのうちただの魔法少女のひとりになるさ

 

 

293:名無しの魔法少女観察者

 

おっぱいさんも、なんとなくあのおっぱいに見覚えがある気がする

 

 

 

 ☆

 

 

 

 編隊飛行の一週間くらい後。そろそろ夏の終わり。

 二学期が近づいてきている。

 今日はまだ夏休みだけど、あと数日ってところまで来るとなんとなく焦ってくるな。

 

 ちなみに宿題についてだが、さすがに終わっている。

 いろんな方面からぽんこつ扱いされているわたしですが、学校の勉強はわりと得意なんだよな。

 べつにガリ勉してるわけじゃないし、しょせんは小学校の宿題でしょって思われるかもしれないけど、答えがある問題は解法さえ知っていればなんとかなるものだ。

 

――人のこころのほうが難しい問題です。

 

 今日向かう先は魔法クラブ。珍しいことにみのりさんにお呼ばれしたんだよな。

 もちろん、ユアもいっしょだ。今日はなんとユアのルーラで登校ですよ。

 ルーラはシリーズ中でMPの消費が0のときもあるせいか、初級扱いらしい。

 いや――、本当に初級なのかはわからんけど、神さま的には攻撃魔法とか他のヤバめの魔法に比べたら誰でも使ってOKということになっていたようだ。

 その証拠に魔法的な枷が強かったみのりさんでも使えた。MP90代でも使えるってことは、たぶんこの魔法には抑制がないのか、ごく軽いかのどちらかだろう。

 

 ちなみにルーラの下位互換とされているトベルーラも当然みんな使えたので、魔法が広まれば、空には魔法使いたちがトベルーラで行き交う世界が到来するのかもしれないな。

 

 部室のドアを開けると、みんなは既に待っていた。

 

「こんにちわみのりさん」

 

「イオちゃぁん」

 

 わお! いきなり抱き着かれてしまった。

 もちろん、柔らかく豊潤でとてもすばらしいものがわたしの顔あたりに接触する。

 

 これがしあわせのカタチ……。

 

 だけど、いつもとは違ってみのりさんの表情には焦りというか悲しみというか、なんともいえないものがあった。

 

「どうしたんです。みのりさん」

 

「二段階認証って知ってるかな」

 

 唐突にわけのわからないことを言いだすみのりさん。

 二段階認証ってあれだよな。セキュリティとかの。

 

「ええと、概略はわかりますがそれが何か?」

 

「お姉さんもね。二段階認証されちゃった」

 

「よくわからないのですが」

 

「要するに」ルナが引き継いだ。「バレたんだよ」

 

「何がバレたんです?」

 

「みのりがみのりであることがバレかけているらしい」

 

「ごめんなさい。わたしが編隊飛行したいなんて言い出さなければ……」

 

 実を言うと編隊飛行の前には、ルナがバレる可能性についても述べていた。

 政府からの答えが返ってくるまでの間、暇だったからな。

 そういう危険性も議論の俎上にあがっていたんだ。

 

――プライバシーの問題。

 

 ユアやわたし、そしてルナはいいとしても、理呼子ちゃんとみのりさんは一般人だ。

 顔バレ身バレするのはリスクが高い。だから、本当にいいのかってルナが念押ししていた。

 あの場は魔法が使えたノリもあったからみのりさんも理呼子ちゃんもOKしてたけど、本当はもっと慎重になるべきだったかもしれない。

 わたしもやったんだからさと無理強いした面はないか。

 

 そんなふうに軽挙さを反省していると。

 

「あ、べつに身バレするのはいいんだけどね」

 

 と、みのりさんはあっけらかんとして答えた。

 

「え、いいんですか?」

 

「いいか悪いかで言えば、悪いかもしれないんだけど……」

 

「どういうことなのかわかりません」

 

「だから二段階認証がね、問題なの」

 

「うん?」

 

「みのりはな」ルナが再び口を開く。「あんなおっぱいが大きな中学生は理事長の娘しかいないって書かれているようだぞ。ピアノのコンクールとかでみのりの写真は出回ってる。それとこうなんというか……重ねあわせたりしてな……」

 

「ああ……」

 

 なんてこった。みのりさん()()()()()()()()()()()()()

 おっぱいで特定されちゃってるよ。

 確かにみのりさんは中学生にしては稀有な素材をお持ちだ。

 もしくは才能(タレント)と呼び変えてもいい。

 編隊飛行した人間は学園に通ってる中学生くらいの女の子。

 二段階で認証すれば、みのりさんがみのりさんだと同定するのはたやすい……。

 みのりさんが顔を覆っていた。耳まで真っ赤だ。

 

「まあ、もともと……わたしが魔法クラブに所属していることは公然の秘密だからね。いつかは公になるとは思っていたけど」

 

「理事長はなんておっしゃってるんです?」

 

「しかたないことだって。私がイオちゃんとつきあいたいなら享受しなければいけないリスクなんだって。私もそう思う。だから――問題は、これを公としちゃうかかな」

 

「自分で公にするってことですか?」

 

「そうだね」

 

「黙っておけば真実は真偽不明のままらしいですよ。スラリンだってそうですし」

 

「でも、ピアノの発表会とかで、あの子は魔法でズルしてるとか思われたら嫌でしょ」

 

「ピアノがうまくなる魔法なんてありませんが?」

 

「例えば、ピオラを使って脳内を加速すれば難しい打鍵もゆっくり考えながらできるでしょ?」

 

「そういう使い方もあるんですね」

 

 しょんぼりしてしまうわたしである。

 みのりさんに不利益を与えてしまうのが悲しい。

 

「あ、イオちゃん、落ちこまないで。そういうのもお姉さん織り込み済みだからね。問題は私が私だと公然とすべきか否か」

 

 みのりさんは再びわたしを抱きしめてくれた。

 

 ああ……(語彙喪失)。

 

 至上の柔らかさに顔をうずめる。すごくいい匂い。基本的に甘く。甘さの中に酸っぱさもあって、ともかくなぜか安心する。そう……これは! ()()()()()()()()()()()()()()

 

――全集中の呼吸!

 

「イオちゃん、くすぐったいよ」

 

「あ、すみません……」

 

 公然とすべきか否かという問題だが、世間様に盛大に暴露しちゃったわたしが言うのもなんだが、みのりさんの場合はあまり公にしないほうがいいんじゃないかと思う。

 

「みのりさんが魔法少女だとバレたらやっぱりリスクはあるんじゃないですか」

 

 考えるまでもなく当然のことだ。

 

「誘拐とかされちゃったり?」

 

「そうです。わたしの妹だって誘拐されちゃったんですよ!」

 

 ユアを見ると、足をぷらぷらさせながら、メラの火球を操って遊んでいた。

 当の本人はのんきそうだが、あの時の恐怖は忘れられない。

 わたしが怖いんだ。

 

「でもさ。スラリンがいるっていうのも半ばバレてるんでしょ。だったらいっそ言っちゃえって思わない?」

 

「うーん……どうなんでしょう。そういえば理呼子ちゃんも同じ問題が生じそうですね」

 

「えっと、私の場合はおっぱいさんとかじゃなくて、地味子ちゃんって呼ばれてるくらいだから大丈夫だよ」

 

 地味子?

 ふざけてやがるそいつ。

 理呼子ちゃんみたいなかわいい女の子を地味扱いしやがって。

 

「正統派黒髪美少女ちゃんの間違いでしょ!」

 

「イオちゃん恥ずかしいよ。でもありがとうね」

 

 理呼子ちゃんは天使である。こんなぽんこつのどこがいいのかはわからないが、わたしのことを好きでいてくれる。内面からあふれ出る優しさが違うんだよな。

 

「誘拐のリスクだが、このメンバーはSPに保護されてはいる。ただ、ユアの誘拐というチョンボもあるせいか、いまいち信用はならないだろうがな」ルナが腕をくみながら言う。

 

 あの誘拐については、山上というやつが一枚上手だったというのもあるのだろう。

 防壁が薄いタイミングを狙って、電話、人との会話、いろいろな誘導方法を使ってセキュリティを崩していた。そこに加えて、ユア自身の脱出。偶然性に助けられて成功したという感じだ。

 

 だけど、過程よりも結果が大事なのがSPの仕事だ。おそらくSPさんたちは全とっかえされているだろうし、さらに強固になっているんじゃないかとは思う。

 

「ルナちゃんは公にしたほうがいいと思っているんですか?」

 

「今はやめておくのがいいだろうな。魔法が普及されればいろんなことが相対化される。そうすれば、みのりも理呼子も()()()()()()()()()になる」

 

「そうですね」

 

 ただの一般魔法少女。

 すごい字面だが、そうなるんだ。

 近い将来、確実に。

 

「じゃあ、私はしばらく黙っておけばいいわけね」

 

 みのりさんが確認するように聞いた。

 ルナは頷く。

 

「そのとおりだ。陰口を言うやつは言わせておけばいい。所詮そいつらは暇人だ。暇だから他人に時間を使う」

 

「そうかもしれないね。でも魔法が普及するまでどれくらいかかるんだろう」

 

「既に素案は提出して精査中だ。我々がここで議論したとおりどうやら免許制で通りそうだぞ」

 

「免許制だと結構時間かかりそうですか?」

 

 わたしは聞いた。

 

「法整備に一年くらいはかかるかもしれんな」

 

「そんなに!?」

 

「おかしなことではないぞ。公布から施行までそれくらいの時間はかかって当然だ。ついでに魔法免許センターを建築したりするとして――、それもまた時間がかかるだろうしな。関係各省ともにお仕事が増えて喜んでいるんじゃないか」

 

 魔法が普及した世界は、わたしが中学にあがった頃になるのかもしれない。

 

「ああ、それと言い忘れていたが、魔法が一般人に普及する前に当然だが、政府の高官やその他もろもろには普及していくだろう。私はロバートに一回目を使うことになった」

 

「ロバート? 誰ですそれ」

 

「知らないのか? 小学生でも今日び知ってるぞ。アメリカ大統領だよ」

 

「あ、ああ……そうなんですね」

 

「うむ。ちなみに私の伯父にあたる。血縁だな」

 

「ルナちゃんも偉い人の関係者なんですね」

 

「そうじゃないと、私を無理やりねじこんだりせんだろ」

 

「そうでしょうけど」

 

 天才科学者だからという理由もあるんだろうけど、やっぱり血縁関係は強い。

 コネ最強である。わたしも最初はママンのコネから天才子役を目指していたのでわからなくもないけれども、やっぱりこの世は人的な関係を基盤にしているのだなと、最近身に染みてわかってきました。それが悪いこととは限らないがね。実際、ルナには助けてもらってるし。

 

「私からはアメリカ方面に広めていくことになる。政府高官に対して、100名程度までは広げることで日本と同意をとりかわしているんだ。おそらくその程度がギリギリ管理できる範囲だろうと考えられている」

 

「日本側は?」

 

「みのりのほうから理事長、大江首相へと広げていく。日本も当座は100名程度に抑えるんじゃないか」

 

「理呼子ちゃんは?」

 

 わたしは理呼子ちゃんを見る。

 

「理呼子には申し訳ないが魔法を広めるのはしばらく待ってもらう。一般人の枠組みの中でとどまっていたほうが安全だ」

 

「うん。そういうことらしいよ」と理呼子ちゃん。

 

「そうなんですね。では、わたしのお母さまには……」

 

「あ、私がすでに渡しているよ。お姉ちゃん」

 

 ユアがメラを消して元気に挙手した。

 

「早いですね。いつのまに……」

 

「寺田さんにも渡してるからね。ついでにおばあちゃんにも」

 

 はえーよ、ユア。

 ルーラ使えば一瞬で行き来できるけどさ。

 わたしよりフットワーク軽いんじゃないか。

 

「ユアには誰に渡すか指示させてもらった。マリア社長と飛鳥会長にはともにそれ以上広めないようにお願いしている」

 

「ということは――、みのりさん経由から日本の政府高官に広がるところで止まるということですかね」

 

「ああ……日本魔法会議の連中でいったんは止まるだろう」

 

「なんです。その日本魔法会議って」

 

「日本の偉い連中くらいの認識でいい。イオが覚える必要はないぞ」

 

「そうなんですね」

 

 まあ偉い人たちが、がんばって社会制度を整えたり、いろいろしてくれているんだろうし、わたしはクラブ活動くらいが身の丈だろう。

 

「それと……例のあの実験だが許可がでた」

 

「え? 本当ですか。あれだけ危険だと騒がれていたのに」

 

「おそらくイオの対抗馬を創り出すつもりなんだろう。政府連中の中にもかしこさが低いやつもいる。使える魔法は多いだろうがMPが低いせいで使えない。いままでは恥さらしと影でささやかれていたのが一躍英雄候補だ。笑えると思わないか?」

 

 使える魔法とMPの逆相関。

 それを突破するおそらく今のところ唯一の手段。

 それが例の実験。

 

「そのためだけにリスクを享受しようと……」

 

「そういうことだ」

 

 ルナは自嘲するように笑った。

 人類のおろかさを、いやかしこさなのか――を笑ったのかもしれない。

 人間の欲望はすさまじい。

 

 もともとその実験方法についてはユアが提唱したんだ。

 マホアゲルの効果がなくても、いずれにせよ必ず魔法は普及する。

 なぜなら、既にスラリンは召喚されているから。

 もうひとつのMPを得る方法。

 

 それは――。

 モンスターからMPがあがる()()()()()()()()()()()()




そろそろ社会を書くのではなく、イオの話を書いていきたい感じです。社会の話も脳内でいろいろ考えると面白いんですけどね。どうなるんだろうって素朴な小学生っぽい妄想ですが……。

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