ドラクエ魔法持ちのTS転生者なんだけど現実世界というのが問題です   作:魔法少女ベホマちゃん

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初コラボについての掲示板。ついでに再びばあちゃん家へ行く。

64:名無しの魔法少女観察者

 

 イオちゃん初コラボ配信がまさかの百合子ちゃんとは

 

 

75:名無しの魔法少女観察者

 

 百合子ちゃん自らをマジカルリリィと名乗る

 実はオレらのこと観察していた?

 

 

80:名無しの魔法少女観察者

 

 深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。

 

 

84:名無しの魔法少女観察者

 

 ふたりがイチャイチャしててかわいかった

 リリィちゃんとイオちゃん肩くっつけあって

 もたれかかって、安心しきってて

 オレ、ふたりの間に入りたくなったわ

 

 

94:名無しの魔法少女観察者

 

 >>84

 

 ガ………ガイアッッッ

 

 

103:名無しの魔法少女観察者

 

 小学生の中に入ろうとか不逞野郎だ

 

 

114:名無しの魔法少女観察者

 

 まて>>84が美少女小学生の可能性が微レ存

 

 

122:名無しの魔法少女観察者

 

 それにしてもタッチって……渋いところをついてきたな

 百合子ちゃんはレトロゲー好きなん?

 

 

124:名無しの魔法少女観察者

 

 イオちゃんはわりと最新のゲームしかしてなかったからな

 たぶん、そうなんだろ

 

 

131:名無しの魔法少女観察者

 

 タッチって、あのタッチだろ

 なんでアクションゲームなんだよ

 なぜ? バグか…

 

 

142:名無しの魔法少女観察者

 

 どう見えるかだ

 まだまだ心眼が足らぬ

 

 

151:名無しの魔法少女観察者

 

 百合子ちゃんは純度百パーセントの百合だろ

 イオちゃんは私の嫁発言は冗談だと思ったが本気っぽいな

 ふたりきり……密室……なにも起こらないはずがなく

 配信終わったあと、イオちゃんはどうなったのか

 綺麗なままのイオちゃんなのだろうか

 

 

161:名無しの魔法少女観察者

 

 オレ…心眼もってないけど

 この二人がこの先ややこしい事になりそうだってのは分かるよ

 

 

165:名無しの魔法少女観察者

 

 百合子ちゃんの言葉の端々から相当な百合力を感じる

 イオちゃんは喰われるほうだな

 まちがいなく

 

 

170:名無しの魔法少女観察者

 

 猫をかぶるのはキライでね……本性を隠すのは出来ないタチだ

 

 

179:名無しの魔法少女観察者

 

 百合子ちゃんになら、イオちゃんを任せられるよ

 今回も、すり抜けで何人か外国語が書かれていて

 イオちゃんが思わず「そうだ。セナハ使って逆バベルの塔すれば」

 とか言い出したときに、「通訳さんが死んじゃう」って言ってて止めてくれたやん

 イオちゃん、友達(百合)に支えられてるんやなって

 

 

181:名無しの魔法少女観察者

 

 逆バベルの塔とか神の所業で草

 まあ、イオちゃんも冗談っぽい感じだったし

 冗談だよたぶん……

 

 

188:名無しの魔法少女観察者

 

 この世界に絶対はない

 絶対にな……

 

 

197:名無しの魔法少女観察者

 

 そもそも翻訳魔法ってなんなんだよ

 リンゴって発話したときも、リンゴのイメージとリンゴって言葉が

 同じ結びつきとは限らんだろ

 

 

208:名無しの魔法少女観察者

 

 シニフィエ(意味)とシニフィアン(音)は恣意的な結びつきだからな

 イメージを直接伝えて、相手の脳内で翻案化しているのだろう

 つまり、言葉が聞こえるが実のところ念話をしているのだと言える

 

 

212:名無しの魔法少女観察者

 

 >>208が何を言いたいのかさっぱりわからん

 

 

223:名無しの魔法少女観察者

 

 イオちゃんが「イオです」という時。

「イオです」というシニフィエそのものが相手の脳内に届く

 それを相手は「アイムイオ」というシニフィエで受け取り、

「アイムイオ」というシニフィアンとして再構成するということだ

 通訳はシニフィアンとシニフィエのズレをできる限りゼロに近づけるよう努力する

 しかし、イオちゃんの魔法はそもそもそのズレがゼロなのではないかという考察だ

 

 

 

229:名無しの魔法少女観察者

 

 なんとなく話が見えてきましたよ

 

 

236:名無しの魔法少女観察者

 

 念話という統一言語で話すのに何か問題あるのか?

 通訳さんは確かに困るだろうが、そもそもAIの発達で

 同時通訳はほとんど可能になってただろ

 右耳にイヤホンつっこんで、相手が喋ったそのあとに

 もう一度同じ内容を聞くことになるから

 時間がもったいなくはあったけど、同じことが機械でもできたわけだ

 だからべつに魔法で翻訳してもよくないか?

 

 

239:名無しの魔法少女観察者

 

 今の世代はいいかもしれんが

 統一言語を話すって考えたら、その国の独自の言語体系も衰退しないか?

 

 

249:名無しの魔法少女観察者

 

 衰退というか変化……いや進化だろ

 

 

260:名無しの魔法少女観察者

 

 言語とは文化そのものだからな

 とりあえず、逆バベルの塔はやめといたほうが無難だよな

 

 

266:名無しの魔法少女観察者

 

 セナハってもともとは強制的に自白させる呪文なんでしょ

 念話で話すってことは、嘘をつけなくなるの?

 

 

272:名無しの魔法少女観察者

 

 嘘はつけると思うぞ

「今、雨が降ってます」と晴れの日に言うときに

 雨の意味が雨の音として発話されて、相手はRAINの意味でとらえて

 雨のことを言ってるんだなって考えるだけだ

 

 

280:名無しの魔法少女観察者

 

 つまり、イオちゃんがまたやらかす寸前だったわけだな

 

 

286:名無しの魔法少女観察者

 

 まあ……それはそうねえ……

 

 

297:名無しの魔法少女観察者

 

 ベホマズンの時もだけどイオちゃんって

 なんでこんなに魔法に対して躊躇がないかね

 

 

298:名無しの魔法少女観察者

 

 ルナ嬢のイオちゃん観察記録によると

 魔法には神による抑制が働いているらしいぞ

 イオちゃんが魔法に躊躇がなくても

 あまりひどいことにはならないらしい

 

 

309:名無しの魔法少女観察者

 

 それって「神」によってオレらは管理されてるってことか

 

 

315:名無しの魔法少女観察者

 

 あくまで「魔法」のほうの管理だろ

 イオちゃんが魔法をどう扱うかは自由っぽいし

 

 

320:名無しの魔法少女観察者

 

 >>309

 直接ではないが…そうなるな

 

 

329:名無しの魔法少女観察者

 

 さっきからお侍さんがいるような気がする

 

 

335:名無しの魔法少女観察者

 

 まあ、イオちゃんが外国にいった時なんかに使うぐらいにとどめておいたほうがいいだろうさ

 99人にとっていいことでも1人にとっては不利益なことなんていくらでもあるからな

 砂漠に水をもたらして食料を増産しようとしても、水の利権を握ってるニンゲンにとっちゃ目の敵にされる

 

 

336:名無しの魔法少女観察者

 

 そりゃ、砂漠で水の利権を握ってるやつが極悪人なんじゃありませんかね?

 

 

343:名無しの魔法少女観察者

 

 砂漠の緑化については必ずしもいいとは限らんという説もあるらしいぞ

 緑化することが環境破壊なんじゃないかという考えね

 

 

352:名無しの魔法少女観察者

 

 イオちゃんは力はすごいけどおおざっぱすぎるんだよ

 イオちゃん自体がポンコツなのは間違いないけど

 そうじゃなくて魔法のほうもおおざっぱなの

 

 

357:名無しの魔法少女観察者

 

 >>352

 まあ一般人(専門家)が魔法を使えるようになったほうが

 そのあたりは調整が効くわな

 

 

363:名無しの魔法少女観察者

 

 魔法と言えば、かしこさとMPが等価交換になったらしいけど

 かしこさが高いとしょぼい魔法しか使えないらしいな

 これも神の思し召しか

 

 

366:名無しの魔法少女観察者

 

 かしこい人間ほど、あくどい使い方をされたら困るという考えかもしれん

 

 

372:名無しの魔法少女観察者

 

 イオちゃん我が国に来てほしい

 砂漠の緑化もいろいろな考え方はあるかもしれんが

 国がバックアップするならいいだろ

 

 

382:名無しの魔法少女観察者

 

 イオちゃんはオレの嫁だからあげません!

 

 

385:名無しの魔法少女観察者

 

 イオちゃんは百合子ちゃんの嫁だぞ!

 

 

396:名無しの魔法少女観察者

 

 外国に魔法が伝わるまで我慢しろよ

 べつに伝えないとはいってないんだから

 

 

405:名無しの魔法少女観察者

 

 マホアゲルの処置は、国の施設でしか認められません

 ひとり数百万円になりますとかなりそうで怖い

 

 

411:名無しの魔法少女観察者

 

 魔法が使えたら、メラとかギラとかより

 インテでかしこさを爆上げしたら一番有益なんじゃね?

 魔法より頭の良さのほうが価値がある時代よ

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 理呼子ちゃんの家でゲーム配信したの楽しかったな。

 

 機材をわたしの家から持ちこんだり、セッティングしたりするのが大変だったけど、理呼子ちゃんが案外詳しかった。寺田さんが書いてくれていたメモを読んで、まるで魔法みたいにちょちょいとやってくれましたよ。

 

 もしかして、わたし要らない子?

 

 ……なんてね。

 

 そんなことは考えなくていいくらい心地良い空間だったんだ。みんなの前で軽く翻訳魔法で逆バベルの塔しようって言いだすくらいには、安心しきっていた。例のゲームはめちゃくちゃ難しくてクリアには至らなかったけれど、イオちゃんにも仲良しな友達がいるって知られてよかったと思います。ぼっちなわたしは終わったのだ。そしてみんなとの連帯感も極まってきたな。

 

 視聴者のみんなについては、このわたし――美少女魔法使いから魔法の教えを請おうとしていることから、魔法使いの弟子を縮めて"弟子"と呼称している。

 

 わたしは弟子たちを見守る師匠という立場で、全世界にマウントをとる。

 イメージ的には、男の人を椅子にして、その上に足を組んで乗っかる感じ。

 どうだろう。ご褒美だと思わないだろうか。

 男なら誰しも美少女の椅子になりたいと願うものである。

 偏見ではなくまちがいなくそうだ。アンケートをとってもいいぞ。

 そのあと逆転わからせに転じるかどうかは諸説わかれるところらしいが。

 ともかく、マウントという悪いイメージがある言葉だが、場合によっては悪くない。わたしは承認欲求を満たせてうれしい。みんなもわたしという美少女にマウントとられてうれしい。ウィンウィンの関係だ。こころが通じ合ってるって感じがする。

 

 だから――。

 

 全世界の弟子たちにむけて、どれ一発どでかいのを撃ってやるかという意味合いで、全世界に翻訳魔法をかけようと提案してみたのである。

 

 みんな言葉も通じ合って便利なんじゃねって思ったんだよな。

 

 もちろん冗談だよ。

 

 イオちゃんも少しは勉強する。全世界を対象にした魔法は、どれだけ繊細に使ったとしても誰かの不利益になる可能性が高いってことを学んだ。

 

 原子炉の除染とかミサイルを撃ち落としたりとかも、たぶん"誰か"の不利益にはなっただろう。それは日本の"敵"かもしれないけれど、わたしは善悪を判断することそのものが"敵"を作ることのような気もするんだ。この世界は善も悪も相対化されてしまっている。絶対的な悪はなく絶対的な善もない。

 

 例えば、たくさんの人に嫌われるタイプの人もいるだろうけれど、その人にまったく擁護する人がつかないってことはないんだ。大江首相――戸三郎じいちゃんなんかもミサイルの時にさんざん叩かれてたからな。わたしからしたら、戸三郎じいちゃんはいいひとのくくりに入るんだけど、人によっては悪人ということになるんだろうと思う。

 

 この曖昧さが現実世界の多くの問題を複雑化している。

 

 逆バベルの塔については、

 

『師匠辞めてください』『イオちゃんの魔法で(言語が)壊れる。壊れる!』『百合子ちゃん止めてあげて!』『ベホマズンの頃からまったく成長していない……』

 

 てな感じに言われたが、みんなのこころが寸分の狂いもなく一致していてうれしかった。

 

 もしかしたらだけど、みんなのこころを一つにするには……。

 

 理不尽と言う名の()()()()()()()が必要なんじゃないかって思う。

 

 わたしがもし魔王になっても、理呼子ちゃんやみのりさんやルナや、ママンやユアが勇者になってわたしを止めてくれる。

 

 だから、大丈夫なんじゃないかって……。

 

 そう思ったんだ。

 

 もちろん、そのあとママンにめちゃくちゃ怒られたが、これは規定路線なので気にしてもしょうがないだろう。

 

「イオ。ちょっといいかしら」

 

 お部屋の中でゲームをしていると、ママンの声が聞こえてきた。

 すぐにドアを開ける。

 

「はい。なんでしょうか。お母さま」

 

「母様から電話があったわ」

 

 ママンの母様。つまりはばあちゃんだ。あのエロい家元様である。

 バトルジャンキーババァだ。もちろん、魔法剣士になって戦闘力マシマシなはずである。

 

「おばあ様からですか」

 

「ええそうよ。あなた、運動会の時にお呼ばれしたわよね。いつまで経ってもこないからしびれをきらしたんじゃないかしら」

 

「あ……そうでした」

 

 わたしの優しさレベルを図るために、ばあちゃんに呼ばれたんだったわ。

 すっかり忘れてた。

 

「すぐにいってらっしゃい」

 

「えっと、お母さまは?」

 

 ついてきてくれないんだろうか。

 戦闘力という意味では、イオちゃん最強だけど、あの怜悧な刃物みたいな殺気と応対すると精神的に疲れるんだよ。

 

「正直なところ、不安もあるけれども……、たまにはひとりでがんばりなさい」

 

「わかりました」

 

 べつにばあちゃん家に行くのに恐怖感はない。

 ちょっと行くのに躊躇するところではあるけれど――、

 普通のばあちゃんのような孫に優しいばあちゃんって感じではないけれど。

 ほんのりとかわいがってもらってるのはわかる。

 そもそもの話、ルーラ登録されていることからもわかるとおり敵地ではないんだ。

 わたしがそう思っているからルーラ登録されているのかもしれないけれど。

 

「では、今日いってきてもいいんでしょうか」

 

 休みの日である。

 小学生だから、べつに平日でも時間はあるほうだと思うけど。

 宿題はわりと早くに済ませたいタイプです。

 相手は厳格なお屋敷だから、アポイントくらいはとらないといけない気がする。

 

「問題ないわ。今日はいらっしゃるらしいからいってきなさい」

 

「かしこまりました」

 

 いまのところ魔法が使えても、連絡はスマホのほうが便利だよな。

 とりま、ルーラです。

 

 

 

 ☆

 

 

 

 ゆっくりと星宮本家の扉が開いていく。

 自動ドアだが、巨大な木製の門扉は古さと歴史を感じさせ、その威容は見る者を圧倒する。

 

「おかえりなさいませ。イオお嬢様」

 

 黒服のひとりがわたしに声をかけた。

 ルーラで突然現れたのに、まったく取り乱した様子がない。

 練達された黒服さんは精神まで鍛え上げられているんだなぁ。

 それとも魔法に慣れはじめてるんだろうか。

 

 あ、それと……。

 

 いままで、ママンといっしょにしか帰ってなかったから気づかなかったけど、わたしって一応、星宮家の一員として数えられてるんだな。てっきりママンの付属物だとばかり思っていたよ。

 

 わたしは黒服さんにニコリとほほ笑む。

 

「ただいま帰りました」

 

 黒服さんはわずかばかりたじろいでいた。

 なにか、わたし変なことを言っただろうか。

 

「どうしました?」

 

「いえ……」

 

「ん?」

 

 小首をかしげる。

 エンジェルスマイルがよろしくなかったか?

 

「お嬢様があまりにも可愛らしくいらっしゃるので」

 

 黒服さんは、しばし逡巡していたが、やがて口を開いた。

 

「……ありがとうございます」

 

 なんか面と向かって言われると恥ずかしいぞ。

 イオちゃんは承認欲求のカタマリだが、精神はクソ雑魚なめくじでもあるのだ。

 黒服さんは遠く、秋の高い空を望んでいた。

 

「マリアお嬢様のお若い頃を思い出します」

 

「お母さまと似ておりますか?」

 

「とてもよく」

 

「どこらへんがです?」

 

 なにしろ容姿は純日本人のママンとはかけ離れている。

 どうしてこうなったってレベルで、妖精みたいな容姿をしているからな。

 街で見かけるそこらのアイドルよりはかわいいと自負している。

 そして、ママンは日本が誇る大女優。超美人である。

 ママンと似ているわたしはきっと将来も美人さんになるに違いない。

 そう、わたしは黒服さんにもっと褒められたかったのである!

 

「目元がそっくりですよ」

 

「お母さまと違って金色でぱっちりおめめですけど」

 

 ママンは切れ長の黒い色をした瞳で、だいぶん違う気がするんだけどな。

 

「マリアお嬢様はキツイ顔とよく言われておりましたが、こころは繊細な方でありました」

 

 ふむ……。

 それって、メンタルよわよわってことかしらん。

 物は言いようってやつだな。

 まあ、ママンはよく自分の胃にホイミかけてるけど。

 

「わたしはあんまり繊細じゃないですけどね」

 

「もちろん、イオお嬢様とマリアお嬢様は違う人間なのですから、違うのは当然です。ですが、あなた様からはマリアお嬢様のおもざしを感じるのです」

 

 星宮家って家族の絆みたいなのが強いようだからな。

 この人もママンの信者のひとりだったんだろう。

 

「お母さまのことをよく思っていただきありがとうございます。ホイミをかけても?」

 

「いえ、そんな……お嬢様の手を煩わせるなど」

 

「たいしたものでもないですし。実質無限ですから」

 

「そんな悪いです」

 

「いいですから。いいですから」

 

「う。しかしですね……」

 

「寒い中で立ちっぱなしというのも疲れるでしょう。わたしのホイミは癒されますよ」

 

「マリアお嬢様も、そんな感じで妙に我が強いところがありましたね……」

 

「ん?」

 

 なおも固辞する黒服さんに、ホイミをかけるわたしなのでした。

 最終的な承諾はちゃんととりましたよ。

 魔法には相手方の承諾が必要。これは人間社会の大原則です。

 わたしも学びましたから。

 

 

 

 ☆

 

 

 

「あ、いとこちゃん、元気してたー?」

 

 屋敷の前の広い庭を歩いていると、わたしの親類である赤星好美にエンカウントした。

 高校生らしくきゃぴきゃぴしてて、正直なところちょっとだけ苦手な部類だ。みのりさんと違うのかって言われるかもしれないけど、みのりさんはおっぱいの暴力があるだけで、根はお嬢様だからな。というか、学園に通ってる子はほとんどお嬢様だよ。

 

 好美にはモシャスをかけて、目元とおっぱいを少々改造した経歴がある。

 本当はいとこではないのだけど、縁戚であるのはまちがいないし、いとこという表現が、人間関係の距離的にはしっくりくる間柄だ。多少気安い。けれど友人でもない。そんな関係。

 

「好美さん。お久しぶりです」

 

「うん。久しぶりー」

 

 頭を撫でられてしまった。

 完全に子ども扱いなのは、わたしが10歳児なのでしかたないところなのだろう。

 

「ねえねえ。いとこちゃん」

 

「なんですか? またモシャスですか」

 

「ううん。違うよ。魔法の話なのは確かだけどね」

 

「そうですか。何をすればいいんですか」

 

「そんなムスっとした顔しないで。わたしといとこちゃんの仲じゃん」

 

「まあいいですけどね」

 

 べつに好美のことが嫌いなわけじゃない。

 

 自分の欲望に素直なところは、わたしに似ているし、願いごともプチ整形したいというかわいらしいものだった。

 

 今回も同じようなことだろう。

 

「私も魔法を使えるようになりたいなぁ」

 

「えーっと、政府広報のページをご覧になってないんですか?」

 

「よくわかんなかったけど、マホアゲルっていう魔法を使えばいいんでしょ」

 

「そのマホアゲルなんですが、一人当たりあたり使える回数が決まってるんですよ。一生のうち三回なんです」

 

「もうあげちゃったの?」

 

「ええそうですが」

 

「いとこちゃんの初めてはわたしがもらうはずだったのにー!」

 

「いやな言い方しないでください。ともかく、マホアゲルをしても無駄ですよ」

 

「えー、でもでも、いとこちゃんなら、なんとかなるんじゃない」

 

 食い下がってくる好美。

 高校生と小学生じゃ、大人と子供くらいの身長差がある。

 そんな好美がベッタリとくっついてくると、歩きにくいことこのうえない。

 ばあちゃんに早くあって、わたしはお家に帰りたいんだ。

 

「マホアゲル! ほら無駄だったでしょう」

 

 わたしは、あきらめるようにマホアゲルを唱えた。

 

「メラ! あ、できたよ! ありがとう。いとこちゃん!」

 

 好美の指先には、魔法の炎がしっかりと灯っていた。

 

 え?

 

 おかしい。そんなはずはない。

 

 だって、ルナも言っていたんだ。3人以上にマホアゲルを試しにかけてみたけどできなかったって。これは正式に政府広報にも実験結果として載っている。

 

 知らなかったんです。ほんとです!

 まさか、わたしだけが例外でマホアゲルの回数制限なしだったなんて。

 

 制限された100人を越えて、101人目の魔法使いが誕生してしまった。

 

 モグリの魔法使いができちゃったよ。

 

 ……ばあちゃんになんて言おう。

 

 絶対に怒られる。




評価と感想、お気に入り登録をいただけますと、作者としてはうれしいのですが、読者にフィーがないのが問題だと思いました。

そこで、作者が美少女作家だと思うのはどうでしょうか。少しばかり感想書いてやるかしょうがねえなって気になってきましたら、何卒宜しくお願いもうしあげます。

なんでもかまいません。
宜しくお願い申し上げます。
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