ドラクエ魔法持ちのTS転生者なんだけど現実世界というのが問題です 作:魔法少女ベホマちゃん
81:名無しの魔法少女観察者
当たった!
倍率20倍ともいわれる抽選を勝ち抜き
ついにオレも魔法少女になったぞ!
89:名無しの魔法少女観察者
報告を続けたまえ
100:名無しの魔法少女観察者
魔法覚醒処置解禁から早一週間。
アメリカはもう既に30万人突破しているのに
日本は6万人程度なんだぜ
カス過ぎひん?
104:名無しの魔法少女観察者
言うてなんか怖いし……
魔法が使えるって言っても分厚い魔法教則本を読みこまないといけないんでしょ?
めんどいよね
113:名無しの魔法少女観察者
せやで最初にダモーレ受けるんやで
かしこさが周知のものになるんやで
なんか怖いやんか
115:名無しの魔法少女観察者
かしこさ3を周知のものにして羞恥に喘いだイオちゃんに謝れ
だいたい言ってることがスマホが出たばかりの時の
ガラケーでいいとか言ってたおっさんと同じ発想なんだよおっさん
124:名無しの魔法少女観察者
かしこさが高すぎて使える魔法が制限されるのも嫌だな
せめてモシャスを使えるようになってロリニーを……
130:名無しの魔法少女観察者
>>124
せっかく魔法使えるようになって最初にすることがそれかよ
日本始まってる
141:名無しの魔法少女観察者
変態国家日本だしな
ロリに変身したロリなキャバクラとかできそう
150:名無しの魔法少女観察者
非実在ロリなのか実在ロリなのか微妙どころではあるな
いやそもそもおっさんという線もあるのか?
151:名無しの魔法少女観察者
モシャスはかなり高度な呪文らしいから
過去の自分に変身するほうが圧倒的に楽らしいぞ
性転換もできなくはないらしいが、失敗頻度が高い
155:名無しの魔法少女観察者
それでも飽くなき挑戦とイメージがあれば性転換も可能だ
165:名無しの魔法少女観察者
メイド喫茶の裏手に回ったら
モシャスの切れたメイド服着たおっさんがタバコ吸ってて地獄
174:名無しの魔法少女観察者
>>165
おいやめろ……やめてくれ
176:名無しの魔法少女観察者
魔法覚醒処置の手続きについて質問したいんだけど
183:名無しの魔法少女観察者
>>176
政府ページのFAQ見ろよと言いたいところだが
抽選を突破したオレが教えてやろう
188:名無しの魔法少女観察者
お言葉に甘えて
魔法試験ってどんなことするの?
魔法教則本って難しそう?
小学生でも魔法使っていいの?
194:名無しの魔法少女観察者
もしかしてお前小学生か?
ここは初めてか?
力抜けよ
201:名無しの魔法少女観察者
このスレッド、イオちゃんも降臨したことのある伝説のスレだからな
ふつうに小学生の書き込みもありうると思っている
ただイオちゃんが使いまくってるから今更だけど
小学生も魔法を使っていいのかは正直微妙
PTAとかで禁止になりそうではあるな
202:名無しの魔法少女観察者
抽選を突破したオレが教えてやるわ
まず、魔法試験についてはメチャクチャ簡単だよ
イオちゃんでも合格できる試験と言われているくらいだからな
たぶん、小学1年生くらいでも受かるんじゃないか
問題は、たとえば、こんな感じ。
問題文そのものは持って帰ったらダメだし、あくまで創作な。
あなたはとなりのいえにすんでいるすみれちゃんにあいにいきました。
すみれちゃんとあなたはともだちで、よくおうちにあそびにいっています。
ですが、すみれちゃんはおるすなのかドアベルをならしてもでてきません。
あなたはどうしたほうがいいとおもいますか。
1、アバカムをつかってすみれちゃんのおうちでまちます。
2、リリルーラをつかってすみれちゃんにあいにいきます。
3、メラやギラをつかってドアをはかいする!
4、ルカニをつかってドアをやわらかくしてこじあけます。
5、すみれちゃんがかえってくるまでじぶんのうちでまちます。
マークシート式で、時間は30分くらいだよ。
205:名無しの魔法少女観察者
ストーカー問題でこわE
214:名無しの魔法少女観察者
3だけ「はかいする!」なのが草
オレも抽選通った口だけど、確かにこんな感じの問題だったわ
80点以上で合格だから、まあ楽勝だわな
216:名無しの魔法少女観察者
これは2が正解かな
227:名無しの魔法少女観察者
え?
232:名無しの魔法少女観察者
え? ここは3だろ
圧倒的魔法力を見せつけるべき案件
233:名無しの魔法少女観察者
魔法少女になれない君がいらっしゃるようで
245:名無しの魔法少女観察者
ベホマズンでも治らなかったんやなぁ
かわいそうに
250:名無しの魔法少女観察者
サイコパスなだけなんじゃ
257:名無しの魔法少女観察者
基本的には現行の犯罪にあたらないように答えていけばいいよ
続いて魔法教則本についてなんだが、こっちは問題のように簡単じゃない
小学生が読むのはちょっとツライかもな
できるだけ平易に書かれているし、イラスト付きだが、特にトベルーラ関係が案外厳しい
高度はあげすぎるなとか、道路上を沿うように飛べとか、いろいろややこしいんだ
267:名無しの魔法少女観察者
そりゃ、トベルーラ使ったら簡単に敷地内侵入とかになっちゃうからなぁ
ドローンといっしょで規制されるのは残当
自由に空を飛べる日は来るのかしら
270:名無しの魔法少女観察者
自由に航行できる空域を設定すべきだろうな
その前に、上空から空撮できないようになんらかの魔法的な防御措置が必要になるだろうけど
275:名無しの魔法少女観察者
みんなが家の周辺にマヌーサかけとけばいいんじゃね?
マヌーサって霧の魔法なんだろ
幻惑でよくわからんくなるからこれでプライバシーは守られると思うんだけど
278:名無しの魔法少女観察者
それだわ……。
日本中の家屋にマヌーサかければ、トベルーラOKになりそう
でもイオちゃんにかけてもらったら
サイレントヒルみたいに霧の街になってひどいことになりそう
284:名無しの魔法少女観察者
おいやめろ
法整備も段階的にしていくからな
魔法が普及しきる前はマヌーサとかもかけられないだろうし
そもそも全部の住居にマヌーサかけられるか不明だろうしな
国民が人間が飛びまくる街を同意するのかって問題はあるような気がする
294:名無しの魔法少女観察者
イオちゃんも自由に空を飛べなくなったってことか
298:名無しの魔法少女観察者
ひとりだけ自由に空を飛べるほうがおかしいだろ
魔法の開祖とはいえ、そこはきちんと線引きすべきだ
307:名無しの魔法少女観察者
案外イオちゃんって空飛んでないよな
パンツの中見えちゃいそうになるからかな
おててでスカートをおさえているサ〇ケ最終ステージは伝説
316:名無しの魔法少女観察者
とりあえず、ルーラ通勤できればそれでいい
片道1時間半もかけて会社に通うことがなくなるだけで最高だ
325:名無しの魔法少女観察者
なるほど、ルーラで三時間浮くから、毎日3時間残業な
もちろん、残業代はでない
329:名無しの魔法少女観察者
これはザキ案件ですわ
世界初の魔法殺人事件が勃発ですわ
340:名無しの魔法少女観察者
でぇーじょうぶだ
ザオリクで生き返る
351:名無しの魔法少女観察者
ザオリクできる人って限られるんでしょ
かしこさでいえば30くらいの人じゃないと使えないらしいじゃん
相当希少っつーか
いまの状態だと引っ張りだこだろうな
ザオリク一回一万円とかでもやっていけそう
354:名無しの魔法少女観察者
まあそこはザオラルで妥協すればかしこさ60くらいでもいいらしいぞ
ただ、ザオラルだと虚脱がひどいらしいけどね
ホイミもかければ問題ないか
363:名無しの魔法少女観察者
ザオリクで生き返ってもやっぱり殺人になるのかな
死んではいるけど、生き返ってるから殺人未遂?
375:名無しの魔法少女観察者
殺人未遂になるみたいだぞ
386:魔法少女オレちゃん
魔法での犯罪は、既存の犯罪とかにあてはめて考えるから
良い子は特に意識しなくても大丈夫だ
389:名無しの魔法少女観察者
おいみんな
予想されてた魔法を使った配信者がでてきたぞ
第一号がモシャスを使ったロリ猫耳の少女なのがマジ日本
391:名無しの魔法少女観察者
どうせ雨後の筍みたいに出てくるっしょ
そもそもイオちゃんがだいたいはやりつくしているわけだし
ネコミミついているだけで普通のユーチューバーと変わらんやろ
402:名無しの魔法少女観察者
あ、この子かわいい
✞幻影天使猫✞ちゃん好き
ふぁんとむ・えんじゃりっくにゃんこって呼ぶらしいぞ
10歳くらいかな
404:名無しの魔法少女観察者
うあああああああああああああああああああっ!
今見たけどロリ猫耳少女ちゃん。
最初の自己紹介で38歳独身の男ですって言うのが性癖破壊されるからマジやめろおおお!
モシャスこえええええよおおおおおおおおおお!
でもかわいくて登録しちまったあああああああ!
☆
花が咲いたよ。花が。
ついに、イオちゃんも最高学年になりました。といっても小学生のだけどな。
季節は春。
柔らかな風が頬を撫で眠たくなってくる日差しが気持ちいい。
桜の花びらがひらりひらりと空を舞い、わたしのほっぺにペタっとくっつく。
それを手でとりながら、わたしは学園の中に歩みを進める。
「おはよう。始まったな」
「おはようございます。先生」
生徒指導の先生にご挨拶する。
始まったというのは、言うまでもない。
魔法覚醒処置についてだ。
当初は魔法力を持った人しかマホアゲルをできないから、魔法申請センターの数も少なく申請しても登録管理を行うだけのマンパワーが足りない。
なので、申請後は抽選ということになっている。一般人はね。
最初期にはやっぱり知事とか市長さんあたりに与えられ、秘書や親しい人などに。
公務員などは優先適用されて、しかしながら、ボランティアを募るという方式がとられた。
ボランティアについて言えば、マホアゲルは一生のうちで三人まで魔法覚醒処置を行えるというふうに設定されてしまったので、人情としては親しい人に渡したいというふうになるのだが、最初は赤の他人に渡さなければ全員にまわっていかないからだ。
それでたった一週間程度なのに、すでに毎日数万人ずつ魔法に目覚める人が出ている。この数は等比級数的に増えていくと言いたいところだが……、このあたりが頭打ちだろう。魔法申請センターの数が増えればもっと増えるだろうがな。アメリカのほうはもっとすごい。毎日十数万人規模だな。まあ数年もすれば全世界に広がるだろう。
日本人は奥ゆかしく、やっぱり立ち上がりは遅かった。いくら魔法が便利で魅力に満ちているといっても、空気感としては未知の力にいま一歩踏み出せないでいる。
なお魔法は免許制になったけれども、子どもでも問題なく与えられる。
この点についてはかなり議論になったらしい。
曰く判断力のない子どもに魔法力を持たせるのはどうかとか、そういうやつね。
ただ、そもそもそれを言い出したら、わたしもまだ子どもなわけで、しかも世界を滅ぼせるほどの特大級のちからを秘めているのだから、『イオちゃんは使ってるのに』と思われる恐れがあった。
いちおう暴発の恐れがある幼稚園児はさすがに禁止となったようだけど、スマホを持たせるかどうかというのと同じで、親の同意があれば小学生に入学すると同時に魔法の免許はとれるようになったのである。あと試験もありますからね。
イオちゃんも受けましたよ。合格しました!
なんか匿名掲示板とかでは、イオちゃんも受かる試験とか言われているらしいけど。
語弊がありませんかねぇ……。
ちなみにママンには他の子たちが十分に抑制しているのを見て学びなさいと言われた。解せぬ。
教室に入ると、いつもと変わらない面々が迎えてくれる。
小学五年生と六年生はクラス替えが無い。最後は安定したまま卒業して欲しいってことだろう。
これは、わたしだからそうしたというわけではない。
「おはようございます。理呼子ちゃん」
「うん。おはよう。イオちゃん」
ちなみに席替えも行われなかった。
これはもしかしたら、わたしだから忖度されたのかもしれない。
教室の場所は変わっているのに、席の配置が変わらないというのが何とも言えない不思議な感じだ。少し遅れてボーっとした顔のルナがやってくるのも変わらない。
「ねもい……」とルナ。
「なにか問題でもありましたか」
「さすがに魔法が使えるやつが多くなると、いろいろと問題がでてくるな」
「問題ですか? 魔法犯罪でも起こったんでしょうか」
例えば、アバカムを使ってアパートの隣室に侵入とか、リリルーラを使ってストーキングとか、やろうと思えばいくらでも犯罪は可能だと思う。
もちろん、そんなことをすればレミラーマを使った探索行為やインパスを使った是非弁別であっという間に捕まってしまうことも、免許付与時に渡される教則本のなかに書いているらしいが。
いまだ普及しきってるといえない状況なら、つい魔が差すことってこともありえるんじゃないかな。
「いまのところはまだ大丈夫だ。たぶん、ホイミやルーラ系を試すのに忙しいし……召喚魔法なんかの危険なやつはフールプルーフで封殺されている」
「トベルーラはやっぱり試してみたいですよね」
――空を飛ぶ。
それは人間の悲願であり、自由の象徴だ。
わたしも、魔法をこの世界に主張するときに、まずは空を飛んだ。
他の人もだいたい考えることは同じらしい。
まずは指先にメラを灯してみて、次にちょっと空を飛んでみる。
このプロセスを踏む人が非常に多い。
学園の近くでは見かけなかったけれど、スーツ姿のサラリーマンのおっさんがワタワタと空を飛ぶシーンがテレビで放送されたりもしたもんだ。
空を飛ぶのは気持ちいいからな。
「じゃあ、何が問題なんですか」
「かしこさで規程されるのは差別じゃないかと言い出すやつらが現れたんだ」
「? よくわからないんですが」
「マホアゲルはかしこさの数値がそのままマジックパワーになるよな」
「ええそうですね」
「だが、かしこさが高すぎると使えない魔法が増えていく」
「それが神さまのフールプルーフという設計なんですよね?」
イオちゃんもちゃんと覚えていますよ。
フールプルーフの意味は、馬鹿でも使える設計のこと。
何も知らない人が扱っても大事には至らない安全装置のことだ。
「それが不満だということだ」
「うーん。不満っていっても神さまのしたことですし」
「そうじゃない。かしこさをマジックパワーと設定したのは、正確には我々がドラクエを制作する際にそのように設定したんだ」
「まあそうですけど、人間側がどう設定するかをどこかで見ていて、問題なさそうだからそうしたんじゃないですか」
「私もそう思う。だが、可能性のひとつとしてドラクエをアップデートしたらどうだという意見が強くなったんだ。具体的には、かしこさに依存しない無限の魔法力を付与するようにな」
「ゲーム的に破綻しますよね。それだと」
「そうだな。今のバランスを崩して、二度とマホアゲルが機能しないというふうになるほうが恐ろしい。世界のバランス的にも神の設計は悪くないように思える」
「つまり、そういった意見に対して反論をしてくれてたわけですね」
「まあそういうことだ。わかりきってることだと思ってたんだが、実際に自分たちが魔法を使えるようになると、そういった意見もでてくるのだから。不思議なものだな」
ふぁぁっと大きなあくびをするルナ。
眠たそうでかわいらしいけど、魔法クラブの面々が再び一般の中に混ざっていくためにがんばってくれてるんだなと思うと、かわいいだけじゃない。かっこいいぞ。
「ねえ。イオちゃん。みんなが魔法使いになったら、イオちゃんといっしょにお買い物にいけたりするのかな」
理呼子ちゃんはそこが気になっていたらしい。
わたしはモシャスを使って自分の容姿を変えたくない。
自分のイメージ。殻のようなものが壊れるようで、なんか嫌なんだ。
だから、妹のためという特別な理由がなければ、わたしはモシャスを使って自分の容姿を変化させたりはしない。
「どうなんでしょうね」
魔法が普及しても、たぶんわたしはあいかわらず特別でありつづけるだろう。
特別っていい響きだと思っていたけれど、言い方を変えれば"異常"だ。
ルナが前に言ってたみたいに
「大丈夫だよ。少ししたら行ってみよう?」
「そう……ですね」
わたしは曖昧に言葉を吐き出すのだった。
☆
小学生も六年もやってれば慣れると思ったんだけど、そうじゃなかった。
新しい学年になって追加された教科があるんだけど……。
「魔法?」
担任の安藤先生からみんなに配られた今年の授業の項目を見たら、そんな文字があった。
魔法ってなにすんの?
まだ普及もしていないのに。
「イオ忘れたのか? 去年の秋ぐらいには伝えていたはずだぞ」とルナが小声で伝えてくる。
「すみませんが、まったく覚えていません」
「……まあいい。これから学んでいくことが大事だからな」
ふむ。魔法について学ぶことね。
まあイオちゃんは魔法について学ぶことはないけどな。
全部の魔法をたぶん使えるし、回数制限もないし、使い方もバッチリだ。
正直、魔法の授業など楽勝よ。
「えー、みなさんはまだ魔法を使えないと思いますが、じきに申請が受理されて魔法が使えるようになると思います。ですが、魔法というのは使い方を誤れば大変危険な技術ですので、正しく使えるように準備が必要です。これから魔法の正しい使い方をいっしょに学んでいきましょう」
あー、教則本をお勉強していくのね。
中身は小学生向けに教科書になっていた。
教則本よりわかりやすいイラスト多めな感じで、実例とかも細かく書かれてある。
もしかしてだけど、これってわたしのためだったりするんだろうか。
さっそく授業が始まった。
「星宮さん。メラのページを読んでください」
「はい。メラ。初級火炎呪文であるメラは火を発生させる呪文です。微弱ですが燃焼効果を発生させるため密閉空間で使う際には気をつけましょう。また、人や物に向かって安易に撃ってはいけません。人に火傷を負わせた場合は傷害の罪に問われることもありますし、物を燃やせば放火罪や器物破損の罪に問われる可能性があります」
「はい。ありがとうございます。ちなみにですが、教室でメラを撃つのはどうでしょうか」
「ダメです」
「はい。ありがとうございます」
イオちゃん教育されちゃってる!
☆
放課後になり、慌ただしく駆けこんできたのは妹のユアだった。
今日はドラマ撮影もなく、ひとり早く授業が終わったユアは魔法クラブのコンテナで待っているはずだった。
「お姉ちゃん! はやく来て!」
「なんですか。ユア。そんなに慌てて」
淑女たるものプリーツははためかせないように。
などと思うものの、ユアもまだ八歳児だからな。
「どうしたんだ。ユア?」ルナが聞いた。
「ルナちゃんも早く来て!」
ルナの袖を引っ張るユア。
ユアはけっこうルナとも仲良くなっている。
ルナの誕生日がくるまでの間、同じ年齢だった期間があって、なにげなく嬉しいとか言ってたしな。幼女ふたりがイチャイチャしてて、わたしはてぇてェを感じたものだ。
先を行くユアたち。
わたしと理呼子ちゃんは一瞬見合わせてから、同じく魔法クラブに向かう。
――花が。
花が咲いたよ。
正確には芽だけど。緑色の葉っぱが土の中からぴょこんと顔をだしている。
普通の植物じゃない。
「
理呼子ちゃんが嬉しそうにはにかんだ。
なにしろふしぎなきのみを一番お世話していたのは理呼子ちゃんだから。
どういうふうに育ててればいいのかわからない中で、ずっとふしぎなきのみが何を欲しがっているか、耳を傾けながら育てていた。
もちろん、ルナの研究所でも研究員さんが育ててたりするんだろうけど。
いままで目に見える成果はなかった。
理呼子ちゃんがこの世界で初めて、ふしぎなきのみを生育させた子なんだ。
「すごいです。理呼子ちゃん!」
「ありがとう。イオちゃん!」
わたしは手をとりあって喜んだ。
芽が出たからといってきのみがなるまでにはまだまだ時間がかかるだろう。
けれど、無駄じゃなかった。
理呼子ちゃんのがんばりに応えてくれたみたいで、それがうれしい。
「うーむ。もし量産できるようになったら、ひとつ一億円くらいで売るか?」
前に百万円くらいでとか言ったら激安扱いされたからな。
それぐらいの価値はあるのかもしれない。
わたしが魔法をこの世界に宣言してから約一年。
何かが少しずつ変わっていく気配がした。
日本はやっぱモシャスでリ美肉目指すよね。