ドラクエ魔法持ちのTS転生者なんだけど現実世界というのが問題です   作:魔法少女ベホマちゃん

9 / 102
回復魔法談義。ついでにママン。

46:名無しの魔法少女観察者

 

 みんなもうニュースは見たか?

 

 

55:名無しの魔法少女観察者

 

 都内の某総合病院で奇跡が起こる

 

 

64:名無しの魔法少女観察者

 

 またイオだ! またイオだ!

 

 

70:名無しの魔法少女観察者

 

 もう始まってる

 

 

82:名無しの魔法少女観察者

 

 ドラクエ魔法ということは、ベホマズンかザオリーマか

 どこまで治ったん?

 

 

100:名無しの魔法少女観察者

 

>>82

 骨折とか怪我はもとより、目の見えなかった人は見えるようになり

 認知症も治ったとか

 地味なところで過敏性腸炎の人も治ったらしいぞ

 

 

110:名無しの魔法少女観察者

 

 内臓疾患はダメだったらしいな。ガンとかも治ってない。

 オレの解釈と完全に一致するわ

 

 

115:名無しの魔法少女観察者

 

>>110

 いや、それだと過敏性腸炎はなんで治るんだよ

 内臓だろ

 

 

125:名無しの魔法少女観察者

 

 過敏性腸炎は精神疾患が原因の場合もあるからな

 精神が治ったんじゃね?

 ついでに言えば、認知症にはアルツハイマー型とかいろいろあるが

 脳の血管が詰まってる場合もあって、そういった原因が取り除かれれば

 完治する場合もなくはない

 

 

 

142:名無しの魔法少女観察者

 

 認知症も治るとか、マジ神

 これからイオちゃん病院行脚のはじまりはじまり~

 

 

149:名無しの魔法少女観察者

 

 聖少女伝説が始まる

 

 

158:名無しの魔法少女観察者

 

 10歳の女の子に癒されたい

 よしよしって慰められたい

 つらかったね。大丈夫だよって言われたい

 

 

163:名無しの魔法少女観察者

 

 普通に過労死するだろ

 全国にいったいどれだけの患者がいると思ってるんだ

 ひとりでこなすのは絶対に無理だろ

 

 

172:名無しの魔法少女観察者

 

 マスコミ連中が絶対騒ぐ予感

 イノチノセンベツガーとか

 サベツガーとか

 

 

174:名無しの魔法少女観察者

 

 しかし、どういう原理で治ってるんだ

 ドラクエではHPが回復するんだよな

 

 

186:名無しの魔法少女観察者

 

 イオちゃんにえっちぽいんとって言ってもらいたい

 

 

194:名無しの魔法少女観察者

 

 オレのえっちぽいんとを回復してほしい

 がんばれ(ホイミ)がんばれ(ホイミ)

 ってしてもらいたい

 

 

202:名無しの魔法少女観察者

 

 おまえにはザキがお似合いだよ

 

 

219:名無しの魔法少女観察者

 

 回復魔法の原理は、適当にググったら出たぞ

 だいたい五種類に分けることができるらしい

 

 1、新陳代謝超促進して治す

 2、時間逆行して傷を受けていない状態にする 

 3、なんか知らんが復元する

 4、魂が覚えている形に再生する

 5、代替エネルギーで肉を作る

 

 

224:名無しの魔法少女観察者

 

>>219

 

 ドラクエってそれでいくと何番だ?

 腕生えた人とかもおるから、1はないよな

 内臓治ってないから2もないか

 

 

238:名無しの魔法少女観察者

 

 目が見えるようになった子は、産まれたときから目が見えない子だったんだってよ

 病院には偶然、風邪ひいてきていただけらしい

 突然、目が見えるようになって付き添っていた家族はビックリ

 本人は生まれてはじめての視界になおビックリ

 たぶんこの子のおかげだよって、イオちゃんの姿を見せたら

 ずいぶん長いこと見つめていたらしい

 

 

246:名無しの魔法少女観察者

 

 イオちゃんが男の子と付き合うのは、パパゆるしませんよ

 

 

260:名無しの魔法少女観察者

 

 後方お父さん面するの草

 でも、その刷り込み少年の気持ちわかるわ

 絶対イオちゃんで性癖固定されちゃってるわ

 

 

262:名無しの魔法少女観察者

 

 とりあえず生まれたときから目が見えんかったということは

 4の線もかなり薄いな

 魂的には目が見えていたとかいうのもあるかもわからんが

 

 

265:名無しの魔法少女観察者

 

 そもそも内臓と外傷というのは、結構曖昧だと思わんか

 脳や心臓や腸ならわかる

 しかし唯一外部にさらされている内臓があることを忘れてはならない

 

 

284:名無しの魔法少女観察者

 

 ゴールデンボールか

 

 

302:名無しの魔法少女観察者

 

 もうなんか知らんが治るでいいんじゃね?

 内臓疾患とかガンが治らなかったのは、イオちゃんのイメージ力が足りなかったんだよ

 

 

305:名無しの魔法少女観察者

 

 病気という状態は、ウイルスや細菌が体内に侵入して優勢になる状態で起こる

 ガンは細胞のコピーエラーで、同じくガン細胞が増殖する

 こういう数で押せ押せ系には弱いんじゃないか?

 

 

321:名無しの魔法少女観察者

 

 それか体内のバランスが崩れているのを戻すというのは難しいとかかもな

 腕が生えたら、そこのバランスはどうなんだって話だが

 

 

332:名無しの魔法少女観察者

 

 そういや手術中だった患者も治ったんだってな

 それって内臓系じゃね?

 

 

334:名無しの魔法少女観察者

 

 メスとかで切り裂いていた開腹状態が回復しただけなの(激ウマギャグ)

 

 

344:名無しの魔法少女観察者

 

 こんなところにもHHEM民が

 

 

356:名無しの魔法少女観察者

 

 じゃあ、手術はどうなったの?

 

 

375:名無しの魔法少女観察者

 

 もう一回遊べるドン

 

 

381:名無しの魔法少女観察者

 

 意味ねえ……二回も手術とか哀れすぎる

 

 

395:名無しの魔法少女観察者

 

 やり直しは必要なかったようだぞ

 外科手術も患部を摘出する手術とかだったらダメなのかもしれんが、

 今回は盲腸で、原因はふん石などの異物が原因で虫垂が閉塞したり

 虫垂がねじれたりすることで血行が悪化することで発症するといわれている

 ホルモンバランスとかはわからんが、血行程度なら回復するんじゃね

 腕治ったやつもいるわけだし

 

 

 

396:名無しの魔法少女観察者

 

 それは結構結構

 

 

402:名無しの魔法少女観察者

 

 スチャ(武器を構える音)

 

 

416:名無しの魔法少女観察者

 

 オレの毛根細胞も治るのかな

 

 

424:名無しの魔法少女観察者

 

 男性の禿……失礼、AGAの原因は

 テストステロン、すなわち男性ホルモンが大きく影響してきます

 ホルモンバランスを治せないと思われるベホマでは

 貴君の禿……失礼、AGAは治せないものと思われる

 

 

441:名無しの魔法少女観察者

 

 そんなぁ……( ´・ω・`)

 

 

450:名無しの魔法少女観察者

 

 おきのどくですが毛根の書は消えてしまいましたw

 デロデロデロデロデーロン

 

 

456:名無しの魔法少女観察者

 

 (´;ω;`) かみはしんだ

 

 

464:名無しの魔法少女観察者

 

 結局こんな場末の掲示板で駄弁ってても意味ないべ

 さっさとイオちゃんは国の機関とかに徹底的に調べられるべき

 ぐへへ……

 

 

469:名無しの魔法少女観察者

 

 国の機関ってなんだよ

 厚生労働省か

 なんかたよりねーイメージしかねーぞ

 十年前の新型コロナのときの無能っぷりを忘れたわけでもあるまい

 

 

475:名無しの魔法少女観察者

 

 魔法省を設立しなきゃ

 陰陽道課と西洋魔術課がある感じで

 

 

485:名無しの魔法少女観察者

 

 死者蘇生とかもできるんかなー

 信長とか復活させれば日本大勝利じゃね?

 

 

487:名無しの魔法少女観察者

 

 おまえんとこのトップ生き返らせてやるから

 ちょっとだけ貿易を融通してくれませんかねえ

 関税0%ォ! GDP成長率毎年30%アップゥ!

 

 

490:名無しの魔法少女観察者

 

 まあ国が取りこめればそれもありだろうな

 権利団体とかが黙ってなさそうではある

 その筆頭がマスコミ連中なんでな

 どうなるんかな

 

 

504:名無しの魔法少女観察者

 

 政治はパンデモニウムぞ

 敵は魔王ナガタチョウじゃ

 

 

 

 

 

 

 ☆

 

 

 

 んーむ。むにゃむにゃ。

 わたしは魔法を暴露してからの、何度目かの朝を迎えていた。

 いや、迎えつつあるというべきか。いまだに柔らかなベッドとあたたかな毛布がわたしを離してくれない。睡魔ですいませーん。まーだ時間かかりそうですかね。

 

 今日はおそらく五年ぶりくらいの完全なオフ日なんだ。

 

 学校も休みになったし、子役の仕事は休止中だ。

 習い事もやめていて朝稽古とかがあったときに比べて、だいぶん時間的な余裕ができている。

 

 この時間こそが至福。

 すべてのやらなきゃいけないことから解放されている、このときのために人は生きているのではないだろうか。まあ、これから先、同じように自由な時間が削られていくかもはしれないが、それはある程度のところしょうがないだろう。

 

 正直、どうなるのかさっぱり予想がつかんからな。

 考えてわかることなら考えるが、わたしの足りない脳みそじゃ考えてもわからん!

 

 だから……寝る。

 

 んーむ。

 

「おきなさい」

 

 あ、あれ?

 遠くから、いや近くからか。

 なんだかとても安心する声が聞こえてくる。

 

「おきなさい。わたしのかわいいイオや」

 

「にゃっ!」

 

 飛び起きた。びっくりした。

 わたしの耳もとで甘くささやくように起こしてくれたのはママンだった。

 今日も日本で一番のアクトレスだけあって、隙のない美しさだ。

 しかし、ママンが朝を起こしにくるなんて珍しい。いや、珍しいどころか初めてじゃね?

 いままで生まれてこの方、朝にはひとりで起きるいい子ちゃんだったので、こんなふうにママンが起こしにきたことはなかった気がする。

 

 それに、どちらかというと冷たい印象を与えるママンだ。

 そんなママンがわたしに対して、"かわいい"だなんて……。

 マジうれしいんですけど。

 

「おはよ。ママ」

 

 思わず照れながら寝起きの顔で言ってしまう。

 ママンは一瞬ピタリと止まった。

 

 あ、やべ。朝の自己暗示(メダパニ)忘れていたわ。

 素の状態で、ママンと喋ったのって……えっと……何年ぶりだっけ。

 

「ママ?」とママンが聞く。

 

「はい、お母さま」とわたしは取り繕いつつ答える。

 

 わたしの演技力よ、バーストしろ!

 ママンを騙せ!

 

「ママよね」

 

 ズイっと迫ってくるママン。

 

「え?」

 

「ママ。はい、リピート」

 

「ママ……」

 

「ママよ!」

 

 ええいママよ。

 

 すでに何度めかになるが、わたしは再びママンに抱きすくめられていた。

 いまだに慣れない感覚ではあるが、スライムで埋め尽くされるようなこの瞬間がとても安心する。

 

「それにしてもお母さま。わたしを王侯貴族のように優しく起こしてくださったのは大変ありがたいのですが、先ほどのセリフはドラクエ3の勇者の母親のものでしたよね」

 

 しばらくして落ち着いてから、わたしは聞いた。

 さっきメダパニもかけなおしたんで、世界のすべてが輝いて見える。

 

「口で言うより見せたほうが早いわね。こっちについていらっしゃい」

 

 わたしがママって言わなくなったせいか、少し不満げだったが、いつもの調子に戻ったようだ。ママンについていった先はリビング。

 

 そこには見慣れぬ黒い物体が!

 

 おお、今世では初めて見た。プレステだわ。

 

 HDMIケーブルでつながれたテレビからは、見慣れたスーパーファミコン版と同じ、ドラクエ3の冒頭の場面が映っていた。

 

 勇者は16歳の誕生日に、魔王を退治する壮大な旅に出る。

 

 このゲームがわりと斬新なところは、ちゃんと勇者にはママンがいていつでも帰れる我が家があることだと思う。いつものように朝に優しく起こされて、そして冒険に旅をはじめるんだ。

 

 ママンがプレステを購入し、ついでにドラクエ3をネットからダウンロード購入したのは、当然のことながらわたしのためだと思う。

 

 ドラクエ魔法を知ろうとしてくれている。

 それで、わたしを知ろうとしてくれている。

 

 思わずメダパニを越えて、目頭が熱くなってしまう。

 

「イオ、起きたばかりで悪いのだけど」

 

「はい」

 

「王様と会ったあとにどうすればいいかわからないわ」

 

「いいですよ」

 

 ママンの座っているソファの隣に座り、わたしははにかみながら助言する。

 

「えっとですね。まず、ルイーダの酒場で仲間を募るといいです。勇者の一人旅とか初心者には無理ゲーすぎますからね。まあ、RTAを前世で走ったことのあるわたしにとっては、その程度の縛りプレイは縛りのうちにも入りませんが、お母さまはゲーム自体が初心者でしょうし、バランスタイプでオーソドックスな、戦・魔・僧でまとめるのがいいでしょうね」

 

「あなた、ゲーム好きだったのね」

 

「え――、はい」

 

 好きなことには早口になる性質は持っていた。

 ただ、今世ではゲームどころか遊ぶ暇すらなかったけれど。

 

 ママンはしばらく無言で、わたしのアドバイスどおりに仲間を募る。

 

「イオも――友達はいるかしら」

 

「あ、はい。いますよ」

 

 理呼子ちゃんと、それと病院であった軌道寺みのりちゃん。破壊的なおっぱいで抱き着かれたときは思わず昇天しそうになったけれど、あれからLINEの交換なんかもさせていただいている。

 

 ほんの一週間ほど前は友達ひとりいない完全ぼっち状態だったわけだが、いまのわたしには、ちゃんと友達がいるのだ。

 

「そう、安心したわ」

 

 もしかして、ぼっちだと思われていた?

 

 いや、まあそうだよな。果てしない習い事に子役の日々。さすがにメダパニによる自己暗示にも限界があって、腐った死体みたいな状態になっていたわけだし、あんな状態で友達を作れたとは思えない。

 

「それで仲間を募ったあとはどうすればいいの」

 

「外にいって、一戦するのはどうでしょうか」

 

「町の外に出るのね?」

 

「はい」

 

 ママンはおぼつかない手さばきで町を出る。

 そしてほどなくしてエンカウント。

 

 最初の敵は、スライムとおおがらすの混成部隊だった。

 

「どうすればいいの?」

 

 ママン。そこからですか。

 

「コマンドを選びます。勇者と戦士は戦うを、魔法使いはメラを撃ってみましょう」

 

「僧侶は?」

 

「殴りでいいでしょう」

 

「殴るなんてコマンドはないわよ」

 

「すみません。戦うです。こん棒を装備しているので殴ると言いました」

 

「そう。女の子なんだから殴るなんて言葉はやめなさい」

 

「じゃあ、なんといえば?」

 

「……ひっぱたくとか?」

 

 同じじゃないだろうか。

 

 なんかよくわからない無言のまま戦闘は推移する。

 

「魔法使いの呪文。これが初級火炎呪文(メラ)なのね」

 

「そうです。最初に使う攻撃呪文はこのメラであることが多いですね」

 

「使ってみてちょうだい」

 

「お家では危険ですよ」

 

「コントロールできるのでしょう。やってみせて」

 

「はい」

 

 たぶん、ゲームと現実の差異を知りたいのだろう。

 わたしは、フリーザ様のデスボールのように指先を突き立てメラを唱えた。

 

 バスケットボール大の火球が生まれる。

 熱量を調整。炎というより太陽のように燃えている。

 加減が案外難しいんだよな。わたしのムチプリ力は半端ない。

 

 ダイの大冒険で、大魔王バーンが放った火球を魔法使いのポップが上級火炎呪文(メラゾーマ)で迎え撃つシーンがある。しかし、ポップの放ったメラゾーマはあっさりと魔王の火球に飲みこまれてしまうのだ。

 

 あんな小さな火の玉なのにオレの上級火炎呪文(メラゾーマ)より強いのかという絶望。

 

 しかし、さらなる絶望が彼ら勇者一行を襲う。

 

「いまのはメラゾーマではない。メラだ」と、大魔王はドラクエ史上でも上位に入るイキリマウント発言を行うのである。

 

 要するに、お前らの最大火力はオレが舐めプしたよりも弱いんだぜと言いたいのである。

 

 実に厨二こころをくすぐられるシチュエーションではないか。

 

 大魔王のムチプリ力……、魔法力とか呼ばれていたが、魔力でもマジックポイント総量でも呼び方はなんでもいいが、そういうのが大きければ、初級の魔法で上級の魔法に打ち勝てるというのが、この場合の肝だ。

 

 実際のところ、ドラクエの魔法はダメージ計算式があって、定量的にだいたいのダメージが決まっている。ダイ大の描写はドラクエ的には異端なのかもしれない。

 

 ただ、実験によると、わたしの魔法ダメージはダイ大式らしい。

 

「あまり熱量を感じないわね」

 

「メラという魔法の領域範囲に、熱量が漏れないようになっているのかもしれませんね。ただ程度問題ではあります。近づけば熱いですよ。ああ、触れないで」

 

 炎におそるおそる手を近づけるママンがかわいい。

 

「もういいわ」

 

「はい」

 

 魔法力をゼロにすれば、メラを途中キャンセルもできる。

 

 しばらくママンの冒険は続いた。

 

 しかし、町に立ち寄ることもせず、ずっとフィールドを歩いていたママンの勇者たちはやがて、ひとり倒れ、ふたり倒れ、最後にはほどなくして全滅してしまった。

 

 教会で復活した勇者を見て、ママンがため息をつく。

 

「仲間死んじゃってるじゃない。どうすればいいの」

 

「教会でお金を払えば復活させてくれますよ」

 

 レベルもそれほど上がっていないせいか、復活代金も30円とかだ。

 メチャクチャ安いな。命の値段。

 次々と棺桶から復活していく仲間を見つめながら、ママンは表情を消している。

 

 気づくと、

 

 ママンはわたしを見ていた。

 

「ねえ……イオ」

 

「はい、なんでしょうか。お母さま」

 

「勇者の母親って、いったいどんな気持ちなのかしらね」

 

「え?」

 

「愛娘を、魔王討伐という危険な旅に送り出すのよ。待つ辛さがあると思うの。もしかすると、母親も心の中では戦っているのかもしれないわ。長く苦しい戦いを」

 

 勇者の性別は女の子で、名前はイオだった。

 わたしはママンに抱き着いた。

 

「ごめんなさい。お母さま。心配おかけして」

 

「いいのよイオ。でも、これだけは覚えていて」

 

――あなたのお家はここ。

 

――疲れたときはいつでも戻ってらっしゃい。

 

――わたしのかわいいイオ。

 

 きっとその魔法の言葉は、ドラクエのどんな魔法も敵わない。

 そのときのわたしは、そう思ったんだ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。