ありふれていない異世界吸血鬼が二大女神と出会う話   作:くたしん

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思いついたので書きました。


ちなみに主人公が吸血鬼なのは途中までユエネキの存在をすっかり忘れてたからです(クズ)



では、第一話です。そういや原作プロローグを香織視点で書いてる人見たことねぇな、という事で香織視点でお送りします。

12/23 追記


プロローグ

 

 ここは異世界『トータス』。

 

 神山と呼ばれる山の頂に、聖教教会の大聖堂がある。

 

 そんな大聖堂の中の大広間。外はすっかり暗いが、月明かりと蝋燭の炎が相まって荘厳な雰囲気が漂っており、そこには重厚な装備をした神殿騎士、いつもは教会で祈りを捧げている聖職者達が台座を中心に集まっている。

 

 彼らは全員険しい表情をしている。誰も何も喋らない。大広間の中には少なくとも五十人以上の騎士と聖職者達がいるのだが、物音一つ出さないのでかなり異様な雰囲気である。

 

 そんな雰囲気のまましばらくすると、台座に、光り輝く魔法陣が突如として現れた。全員、武器を構える。

 

 魔法陣は音もなく消え、代わりに立っていたのは何故か『全身血塗れ』の銀髪と蝙蝠の翼を持つ少女。少女は辺りをゆっくり見渡し、神殿騎士と聖職者達を見つけたようだ。くるり、と向き直る。

 

「ーーーーーーーー?」

 

 少女はなにか問いかけるが、生憎聞く耳は持っていない。なぜなら彼女は敬愛する神より敵だと認定された〝神敵〟だからだ。

 

「かかれぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!」

 

 その合図とともに、神殿騎士は突撃し、聖職者達の魔法が解き放たれた。

 

 少女はニィ、と薄く笑った。

 

 

☆☆☆

 

 

 月曜日。それは一週間の内で最も憂鬱な始まりの日。きっと大多数の人が、これからの一週間に溜息を吐き、前日までの天国を想ってしまう。

 

 私もその例に漏れず、前まで月曜日が嫌いだったけど....今は結構好きだ。

 

 

 

 教室内で私、白崎香織はチラチラと扉の方を見る。あの人は教室内にまだいない。時刻は8時25分。うちの学校は8時30分から始業だ。今日はお休みなのかな....いや、でもあの人はいつも来るのが遅いからなぁ....

 

 まだかな、まだかな。今日も遅いなぁ。私はコンパクトミラーを見ながら寝癖がないか、顔に何かついてないかチェックする。この数分で何回やったか覚えていない。

 

 8時27分、教室のドアが開くと寝癖を立てた眠そうなあの人がやっときた。私の心が自然と弾んだ。

 

 

 

「南雲くんおはよう! 今日もギリギリだね。もっと早く来ようよ!」

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 授業は滞りなく進んでお昼休み、南雲ハジメくんが珍しく教室にいる。話しかけるチャンスだ。授業中ずっと寝てたけどまだ眠そう。

 

「南雲くん珍しいね、教室にいるの。お弁当? よかったら一緒にどうかな?」

 

 南雲くんは10秒チャージのパッケージをヒラヒラと見してくる。お昼ご飯はそれだけみたい。

 

「えっ! お昼それだけなの? ダメだよ、ちゃんと食べないと! 私のお弁当、分けてあげるね!」

 

 南雲くんがゲェッていう顔をする。あれ? 私のお弁当そんなに嫌いな食べ物が多いのかな? 好き嫌いはダメだよ南雲くん。

 

 すると私の幼馴染みである天之河光輝くんが何故か「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の美味しい手料理を寝ぼけたまま食べるなんて俺が許さないよ?」とか言ってくるけどなんで光輝くんの許しが必要なんだろう? 私は別に光輝くんのものとかじゃないんだけど。

 

 その時だ。光輝くんの足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れた。やがてそれは教室内全体に広がり、光が私達を包み込んで.....

 

 

☆☆☆

 

 

 異世界に召喚された。

 

 いや、なんで????

 

 ありふれた日常からいきなりとんでもない非日常に突入した私達の前にいるイシュタルっていうおじいさんの言うことを纏めると

 

・人間族と魔人族が何百年も戦争を続けている

 

・魔人族は強力な魔法を扱うが人間族は数の有利でなんとか均衡を保っていたけど、最近魔人族が魔物を使役出来るようになって人間族がピンチに

 

・この世界、トータスより上位の世界である地球の住人の私達は例外なく強力な力を持っているらしく、その力で人間族を救ってほしい

 

 まぁ確かになんか力が漲ってる感じはするけど...えらく身勝手な話だね.....

 

 私は体の状態を確認していると畑山愛子、通称愛ちゃん先生が声を張り上げて、抗議をしてくれた。だけどイシュタルさん達が召喚したわけではないから送り返す事は出来ないみたい。それによりみんなパニックになっていた。かくいう私も息をヒュッと吸い込んでしまい、心臓が早鐘のようにうつ。

 

 すると今度はバンっと机を叩きながら光輝くんが立ち上がった。

 

「皆、ここでイシュタルさんに文句を言っても意味がない。彼にだってどうしようもないんだ。……俺は、俺は戦おうと思う。この世界の人達が滅亡の危機にあるのは事実なんだ。それを知って、放っておくなんて俺にはできない。それに、人間を救うために召喚されたのなら、救済さえ終われば帰してくれるかもしれない。……イシュタルさん? どうですか?」

「そうですな。エヒト様も救世主の願いを無下にはしますまい」

「俺達には大きな力があるんですよね? ここに来てから妙に力が漲っている感じがします」

「ええ、そうです。ざっと、この世界の者と比べると数倍から数十倍の力を持っていると考えていいでしょうな」

「うん、なら大丈夫。俺は戦う。人々を救い、皆が家に帰れるように。俺が世界も皆も救ってみせる!!」

 

勇者である光輝くんがみんなにそう宣言するとみんなパニックが治ったようで冷静さと活気を取り戻した。こういうところは光輝くんは本当に凄い。ここまでのカリスマを持っている人も少ないと思う。だけど、人類を救うってそう簡単にいくのかな....?

 

「へっ、お前ならそう言うと思ったぜ。お前一人じゃ心配だからな。……俺もやるぜ?」

「今のところ、それしかないわよね。……気に食わないけど……私もやるわ」

 

 私の幼馴染みである坂上龍太郎くん、親友である八重樫雫ちゃんが光輝くんにそう追従する。

 

 

 

「え、えっと、雫ちゃんがやるなら私も頑張るよ!」

 

 なら私も雫ちゃんに付いていく。いくらイシュタルさんの言い方が引っかかるとは言えそれしかなさそうだし....

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 私達は教会から〝ハイリヒ王国〟という国の王城に場所を移して王様達との挨拶を済ませてその後、晩餐が開かれた。

 

 異世界のお料理は見た目は地球の洋食とほとんど変わらなかった。たまにピンク色のソースや虹色に輝く飲み物が出てきたりしたが非常に美味だった。まぁ、私はランデル殿下というハイリヒ王国第一王子にしきりに喋りかけられたおかげであまり食べれなかったけど....

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 翌日、早速座学と訓練が始まる。

 

 騎士団長であるメルド・ロギンスさんより〝ステータスプレート〟というものが渡された。

 

 どうやら身分証のようなものでプレートの一面に書かれている魔法陣に自分の血を垂らした後に「ステータスオープン」って言うと自分のステータスもわかる〝アーティファクト〟と呼ばれるものらしい。

 

 ちなみにメルド団長は一度無くしてしまい大目玉をくらった事があるそうだ。身分証明書を無くす重大性は向こうの世界と一緒だね。

 

 それはそれとして、痛いのは嫌だけど仕方なく指に針を刺してステータスプレートに血を垂らすと文字が浮かび上がってきた。

 

=================================

 

白崎香織 17歳 女 レベル:1

天職:治癒師

筋力: 30

体力: 40

耐性: 40

魔力: 180

魔耐: 60

技能:回復魔法・光属性適性・言語理解

 

=================================

 

 私は〝治癒師〟という職業らしく、魔力が特に多い事からメルド団長に褒められた。

 

 ちなみに南雲くんは〝錬成師〟というこの世界ではありふれた職業らしく、ステータスも一般人並みらしい。それを見て檜山大介くん、斎藤良樹くん、近藤礼一くん、中野信治くんが何故か嗤っていた。どこにも嗤う要素はないし、私は非常に不愉快な気分になった。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 二週間が経った。

 

 

 

 南雲くんが檜山くん達に虐められていた。

 

 

 

 私達に見つかった檜山くんたちは慌てて立ち去っていく。追いかけて問い詰めたいけど今は南雲くんの怪我の治療が先。私の得意な〝治癒魔法〟で治療した後檜山くん達を追いかけようとするけど南雲くんに止められた。

 

 すると光輝くんが「南雲はもっと努力しないといけない。檜山達は南雲を強くしようとしていたのかもしれないだろ?」と的外れなことを言っているけど檜山くん達にそんな気はないだろうし、南雲くんが必死に知識を吸収するなどの努力をしている事を私は知っている。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 この世界に召喚されてから約一ヶ月が経った。

 

「あ、南雲くん!」

 

 先の出来事から数日経ったある日、私は雫ちゃんと一緒に訓練の休憩時間を利用して王立図書館に足を運ぶとそこには南雲くんがいた。嬉しさのあまり思わず大きい声を出してしまうと司書の方にギロッと思いっきり睨まれ、すぐに頭を下げた。ごめんなさい。

 

「ごめん南雲くん、騒がしくして。なに読んでるの?」

 

 南雲くんが読んでいたのはハイヒリ王国の歴史書。座学は少しだけ受けた私達だけど、そういえばこの国の歴史ってあまり聞いたことないなぁ...南雲くんはあの出来事があった後もこうやって知識を吸収しているんだね。本当に凄い。

 

 私と雫ちゃんは南雲くんの了解をとって隣に座り、歴史書を覗き込む。南雲くん、顔が赤いけどどうしたんだろう? 風邪かな? と思って聞いてみるけど大丈夫みたい。

 

 改めて歴史書を見て、南雲くんとページをパラパラとめくる。この世界と神を滅ぼそうとした〝反逆者〟と人類の戦争。人間族と亜人族、魔人族との戦争などなど色々と書かれている。ホント、戦争ばっかだねこの国...

 

 そこで南雲くんが気になるページを見つけたらしく、私と雫ちゃんもそのページを覗き込む。

 

 

 なになに『十年ほど前にトータス中で【大災害】と呼ばれる、謎の気候変動が発生。竜巻、地震、津波などにより各地で凄まじい被害が発生した』

 

 続けてこう書いてある。

 

 

『この後、不思議なことに新種の草木が見つかり、中には従来見つかってたものよりも更に傷を回復するものもあった。そして草木だけではなく新種の魔物も見つかった。洞窟では巨大な蛇が、空では滅びたはずの〝竜人族〟がドラゴンの姿になって駆けていたという目撃証言もあったが、最近では〝竜人族〟しか目撃されなくなり、現在では全力で討伐に力を注いでいるところだ』

 

 

 そのあとはエヒト様の御加護が云々と続いていたため、そこで読むのはやめた。

 

 確かに、異常気象の後に新種の魔物が現れたってのもおかしな話だね。でも、南雲くんは違うところが気になったみたい。

 

 

 え? 薬草が欲しい? 持っとけば訓練がもっと安全になるから? 

 

 

 本当、南雲くんは慎重というか優しいというか...この薬草は〝死の山〟と呼ばれるところにしか生えていなくてとんでもなく高価だから騎士団でも持っていないらしい。南雲くんは『こんな事ばっかり気にしてて情けないなぁ』といつもの困ったような笑みを浮かべてたけど、そんな事はないよ。みんなの安全を考えてくれてるんでしょ?

 

 それに

 

 

「大丈夫! 薬草に頼らなくても私がもっとレベルを上げてみんなの怪我を直しちゃうよ!」

 

 

 そう私は力強く宣言すると南雲くんは『なら、安心だね』と穏やかに笑ってくれた。

 

 

 

 

 

 騒がしくしたせいか、司書の人にめちゃくちゃ怒られた。

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 司書の人に追い出された後、私と南雲くんは食事を一緒にとった(最初は雫ちゃんも誘ったんだけどなぜか断られた)

 

 ふふっ、南雲くんの口元にソースが付いていたから私が取ってあげると顔を赤くして狼狽えていたのがとっても可愛かったなぁ...その後も南雲くんと一緒にお店を冷やかしながら王宮に帰ってきて、とても充実した一日だった。また地球に帰った後も南雲くんと色んなところに行きたいな...

 

 

 

 それから三日後、〝ホルアド〟という宿場町に着いた。明日はいよいよ〝オルクス大迷宮〟という場所で実践訓練を行う。私は雫ちゃんと同じ部屋で寝ていたんだけど....

 

 

 

 嫌な夢を見た。

 

 

 

 南雲くんが居たんだけど……声を掛けても全然気がついてくれなくて……走っても全然追いつけなくて……それで最後は

 

 

 

消える

 

 

 

 私は跳ね起きた。冷や汗が止まらない。雫ちゃんも心配そうに見つめてくる

 

 こうしてはいられない。私はネグリジェにカーディガンを羽織り、南雲くんの部屋に向かった

 

 

 

☆☆☆

 

 

 

 南雲くんはまだ起きていて、部屋に招き入れてくれた。テーブルを挟んで対面で座り、紅茶モドキを飲む。

 

 そして私はさっき見た夢の内容を南雲くんに伝えて、明日は町で待機してくれないかとお願いするけど、南雲くんは「そんな理由で待機は流石に認められないだろうから無理だ」と言われた。

 

 うっ....そうだよね.....でも....

 

 すると南雲くんから「自分を守ってくれないか」と伝えられる。

 

 私は治癒師だ。例え南雲くんが大怪我をしたとしても私なら治せる。その力で、自分を守ってくれないか、と.....

 

 これは一見するとわが身可愛さに私に助けを求めてるようだけど、南雲くんは違う。私を安心させるためにそう言ってるのだ。

 

 南雲くんは私を見つめてくる。顔が真っ赤だ。多分、女の子である私に守ってくれなんて言うのが恥ずかしいんだろうけど....変わらないね、南雲くんは

 

 

 

 子供とおばあさんを守るために不良っぽい人達に必死に土下座をしていたあの時から、全く。

 

 

 

 あぁ、やっぱ私...........南雲くんの事、好きだな。

 

 

 

 よし、決めた! もし地球に無事に帰れたら南雲くんに想いを伝えよう。だから、それまで..........

 

 

 

「私が南雲くんを守るよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

南雲くんが、奈落に落ちた

 

 

 

 

 

 

 

 

 




オリジナル展開も挟みつつサラッと書き上げました。後書きでプチ情報など載せていこうと思います

香織 :想い人守れず
雫  :空気。次回はメイン
ハジメ:原作と同じで香織の事を迷惑がりつつもなんやかんや気になる模様
作者 :王立図書館って王宮の外だよな...? 
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