紫煙燻らせ迷宮へ   作:クセル

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第三八話

 クロード・クローズ

 Lv.2

 力:F338→F367 耐久:G208→G253 器用:F383→E434 敏捷:F365→E418 魔力:E403→E495

 《逆境I→H》

 

 《魔法》

 魔法名【シーリングエンバー】

 詠唱式【()()がれ、(くす)ぶる戦火(せんか)()こり()

 ・付与魔法(エンチャント)

 ・火属性

 ・感情の丈により効果向上

 

 魔法名【スモーキーコラプション】

 詠唱式【肺腑(はいふ)(くさ)り、脳髄(のうずい)(とろ)ける。堕落(だらく)(もた)らす、紫煙(しえん)誘惑(ゆうわく)

 ・増強魔法(ステイタスブースト)

 ・異常魔法(アンチステイタス)

 

 魔法名【カプノス・スキーマ】

 詠唱式【()()()ちよ、(なんじ)()(あた)えられた()加護(かご)よ。戦場(せんじょう)()ちよ、(なんじ)()加護(のろい)(もたら)災厄(さいやく)よ】

 ・形状付与

 ・魔力消費特大

 

 《スキル》

 

 【灰山残火(アッシェ・フランメ)

 ・経験値(エクセリア)の超高補正

 ・感情のほのおが潰えぬ限り効果持続

 ・火属性への高耐性

 

 【煙霞痼疾(パラソムニア)

 ・『魔力』の高補正

 ・特定条件下における『魔法』の威力超高補正

 ・幻惑無効

 ・錯乱耐性

 

 【死灰復燃(カタプレキシー)

 ・自動発動(パッシブトリガー)

 ・情動刺激の複製および復元

 ・ステイタスへの超々々補正

 


 

 テント内にて、ヘスティアは今しがた更新し終えた【ステイタス】を少女に告げた。

「全体的に上がってるね」

 共通語(コイネー)を書き記す紙も筆も無い為に女神は口頭での内容だ。それを聞いた少女、クロードは億劫そうにインナーを着込み、肩越しに女神を見て、半眼で呟く。

「ベルと()()()どうだったよ」

 何処か澱んだ色合いに染まる灰色の瞳に見据えられ、投げかけられた問いかけに女神は表情を強張らせる。

 昨日、水浴びのさ中に強く拒絶されてから今日になって【ロキ・ファミリア】の地上への帰還に同行する事になり、ベルとクロードはダンジョン内でありながら女神が居るという事で【ステイタス】更新を行う事にした。

 最初にベルが更新を行い、次にクロードのステイタスを更新したヘスティアは、当然ながら二人の能力値(アビリティ)を全て記憶している。

 結果だけ述べれば、どちらも相当な成長をしている。詳細を比べてしまうと──ベル・クラネルの方が成長が早い。

 クロード自身も一般的な冒険者からすれば驚異的な速度で【経験値(エクセリア)】を集め、能力値(アビリティ)を伸ばしている。だが、一部能力値(アビリティ)──『力』や『耐久』は──は後から追っているはずのベルが既に追い付いている。

 ベルは平均的なヒューマンであり、クロードが力や耐久に劣る小人族(パルゥム)である事等から、それらの能力値(アビリティ)適性からしても不思議ではない。と補足できなくもないが──クロード自身がどう感じるかは別の話だろう。

「………………」

「もう良い、…………そっか、追い付かれそう……いや、もう追い付かれてんのか」

 何処か嘲笑が交じった表情を浮かべ、僅かに顔を伏せたクロードが擦り切れたコートを肩にかけると無言のままにテントを後にする。

 その背に手を伸ばしかけるも、口を開く事なく女神は静かに拳を握って対話の失敗を悔いた。

 彼女にとっての価値と、自分達が示した価値。それらが交わる事はない処か、彼女は女神やサポーターの少女が説いた価値を一蹴した。あの時、クロードが浮かべた表情は、完全な拒絶。

 サポーターの少女、リリルカを命懸けで助ける様な事をし、見事に生かし切ってみせた事や、精神的に潰れそうなパーティメンバーを叱咤して生存させた事。ベルや鍛冶師の青年、サポーターの少女などから聞いた一部始終からもわかる通り、クロードは多大な貢献をしている。

 少なくとも、クロードが居なければ死んでいてもおかしくなかった。だからこそ、彼女にはそれだけの価値がある。そう説いた。だが、彼女には一切届かなかった。

 ヘスティアは深く溜息を零し、【ステイタス】更新の道具一式を仕舞い始める。

 テントの外からは、【ロキ・ファミリア】の団員達が撤収準備を進める音が頻りに鳴り響いていた。

 

 


 

 

 逃げる様にテントから抜け出したクロードは、野営地の中心付近へと足を進めていた。

 苛立ちを堪える様に煙管を取り出し、火を付けようとした所で、周囲から向けられる視線に気付く。撤収準備を進めるロキ派の団員から向けられているのは、ほんの僅かな嫌悪。

 一服して気を紛らわそうと考えていたクロードは、無言で煙管を懐に収めた。

 野営地に世話になっていながら揉め事(トラブル)を起こし、尚且つ他者を慮る事もなく喫煙等していれば評価は落ちる一方だろう。相手に非がある場合は躊躇なく噛みつくが、今回でいえば相手に非は殆どない。

 苛立ちを抑える様に軽く深呼吸を繰り返しつつ、足早に中央付近にて荷物の最終確認と武器の整備をしているベル達の元へ向かう。

「……ヴェルフ、オレの武器の整備は出来てるか?」

「お、クロードも来たか。ほら、出来てるぞ」

 砥石等の道具を広げて武具の整備をしていたヴェルフは、クロードに僅かに歪んだショートソードを手渡した。

 迷宮決死行のさ中に酷使し、刀身が歪んでしまった副武装(サブウェポン)を受け取ったクロードは、ヴェルフが足元に広げている武具の中に見覚えのない得物を確認して眉を顰めた。

 ヴェルフの大刀に、女神がヴェルフに受け渡した白い布で覆われた何か。それに加えてベルの二刀とリリルカが扱う魔石回収用のナイフ。それに加えてクロードの違和感を刺激したのは、独特の反りを持つ片刃の刀剣──極東式の刀だ。

「────なァ」

「あの、クローズさん」

 其の刀、誰の武装だ、とクロードがヴェルフに声を掛けようとした所で、白髪の少年、パーティのリーダーであるベルが口を開いた。

「ンだよ」

 ぶっきらぼうに、僅かな拒絶の色を含んだクロードの返事にベルは僅かに怯みそうになり、すぐに息を呑むと口を開く。

「クローズさん、僕は────」

「昨日の件ならそれ以上蒸し返すな。鬱陶しい」

 一人の少女が自身を無価値だと断じようとしたソレ。昨日、懸想していた少女の裸体を前に極度の羞恥にて暴走し、逃走後に迷子になってリューによって野営地に帰還後。必死に女性団員に頭を下げて回って許しを得た少年は、その後に改めてクロードと話をしようとしたのだ。

 しかし、その内容はお世辞にも良いとは言い難いものだった。ベルやヘスティア、リリルカ、更にはヴェルフまで加わって必死に彼女の説得を行おうとしたが、クロードは頑として主張を曲げる事は無かった。

 一夜明けて改めて、と声を掛けようとしたベルは、けれども明確な拒絶の言葉に喉を詰まらせる。

 捻くれていてわかり辛くはあっても、ちゃんと優しい部分も持っている少女にどうにかして歩み寄れないかとベルが喉に詰まる気まずさを吐き出してでも口を開こうとして、肩を掴まれた。

「ベル、落ち着け。気持ちはわかるが」

 鍛冶師の青年が少年の肩を掴み、歩み寄ろうとするのを止める。

 彼自身もクロードの一件については歯痒く思っているのだろう。けれども、昨日の今日で話し合いが出来る状態ではない。もし本腰入れて彼女と対話するなら地上に帰ってからした方が良いと思っている。

 それはサポーターの少女も同様なのか、リリルカも首を横に振っていた。

 二人の反応から口を閉ざしたベルは、改めてクロードと向き合う。

 擦り切れたコートに、僅かに覗く肌に刻まれた古傷の数々。くすんだ銀髪に僅かに隠れた灰色の瞳には明確な拒絶と──僅かながらの敵視の色が見て取れた。

「……話はそれだけか?」

 整備を終えたショートソードを腰に吊るし、喧嘩煙管を改めて背負い直した少女が不愉快そうに呟く。

「ああ、その前にお前に会わせたい奴が居るんだが」

「……会わせたい奴?」

 口を開いたのはヴェルフだった。

 彼は真剣な表情を浮かべてクロードを見据えると、顎で後ろを示した。

「あァ?」

 【ヘファイストス・ファミリア】の知り合いでも紹介する気か、と頭を掻いたクロードが示された方向を向いて、表情を一変させる。

 ヴェルフが示した先には三人の人物が座っていた。

 両足を揃え、膝を曲げて座る、極東独自の座り方、正座をした三人の人物。

「……よくもまァ、そのツラを見せる気になったなテメェら」

 クロード達に怪物贈呈(パスパレード)をかまし、挙句の果てに謝罪を拒絶した上で自らの行動を肯定するといった──クロードからすれば──余りにも不遜な態度をとった冒険者。

 【タケミカヅチ・ファミリア】の面々だ。

 クロードが知らぬ内にベルを注視していたが故に見逃したが、彼等は端からそこに居た。

 銀髪の少女の反応はわかりやすい。即時抜刀出来る様にと腰のショートソードと背負った喧嘩煙管の柄に手が伸びている。それを見た三人の内、千草と呼ばれていた目元を隠した少女があからさまに身を震わせ、頭に包帯を巻いた少女が即座に土下座の姿勢に入った。

「申し訳ありませんでしたっ!」

「ご、ごめんなさいっ!」

「…………」

 大男、桜花を除いた少女二人が即座に頭を下げる。大男は無言のまま僅かに視線を下げ、クロードの足元に視線を向けたまま静寂を保っている。

 そんな彼らの様子を苛立たし気に見ていたクロードは、ヴェルフとベルを伺う。

「どういう事だ?」

 ここでぶっ殺して良いとでも? と殺意剥き出しで問いかけるクロードに、ベルが慌てた様子で口を開いた。

「ま、待ってください。実は────」

 ベル曰く。

 覗き事件にて逃走したベルは森の中で迷子になり、偶然にもリューと出会って野営地まで送ってもらったのだが、実はその際に【タケミカヅチ・ファミリア】の面々とも会っていた。

 正確には、彼等はリューと共に行動していた。

 野営地を追い出された後、彼等は【ファミリア】としてもリヴィラで宿を借りる金などある訳もない上、野営用の道具類は一切持ってきていなかった。更にはクロードから攻撃されて負傷した状態のまま放り出されたのだ。

 【ロキ・ファミリア】の野営地から離れた彼らは、一晩はなんとか過ごしたものの次の日には立ち行かなくなっていた。というのも、クロードの攻撃を無防備に食らった負傷の度合いが思った以上に酷く、中層を越えて地上に帰還するのも難しいかもしれない、という状態だったのだ。

 このままでは地上へ帰還も出来ない、と焦っていた所に──リューが現れた。

 彼女はわけあって別行動しており、野営地に居なかった為に事情を知らなかったが、桜花から事情を聞いた上で彼等を助け、二日目には彼らをモンスターから守っていたらしい。

 そこに偶然にも逃走したベルが合流したとの事。

「それで、リューさんと話をして桜花さん達も反省したみたいで……」

 ベルから事情を聞いたクロードは、不機嫌そうな表情を隠しもせず、正座したまま黙って成り行きを見守る桜花へと視線を向けた。

 激しい嫌悪と憎悪の入り混じった視線を向けられたと感じ取った桜花がゆっくりと顔を上げる。

 真っ直ぐ、灰色の瞳と視線を交わす。

 小柄な体躯にいくつもの古傷を刻み、武具にも隠し切れない無数の傷が残っている。歴戦を思わせる風貌をした小人族(パルゥム)の灰色の瞳は──その奥に燻る様な灼熱を思わせる深紅の色合いが揺らめいていた。

 黙り、己の得物に手を掛けたまま無防備に正座する桜花を見据えるクロード。

「────すまなかった」

 すっと、音もなく桜花が額を地面に付け、土下座を行った。

 命に負けない程に堂々と、両手を地面に付け、額を地面に押し当て、重く低い声で桜花が謝罪を口にする。

 瞬間。

「ハッ、一度吐いた唾舐め取りにでも来たのか? あァ? テメェは自分の口から吐き出される糞にも責任持てねぇみてェだなァ?」

 少女の口から飛び出したのは、強烈な皮肉だった。

 ────桜花達は、あの一件の後にリューに保護された。

 保護された直後、桜花はクロードに対し敵意にも等しい感情を抱いていたのだ。

 家族に手を出された──危うく、殺されかけた。故に、抱いた感情は怒り。あの少女の固い信念に対する感慨なんかよりも、自らの家族に手を出された怒りが勝った。故に、リューに事情を説明した際、桜花は自らの主観で彼女に事情を話した。

『アイツは、千草を殺そうとしたんだッ!?』

『────落ち着いてください。クロードさんが、そちらの方を? 事情が呑み込めません。彼女は口は悪いですが、事情もなくそういった事をする方では無い筈ですが』

『桜花殿、落ち着いてください。アレは、私達が悪かったのです』

『命、アイツは千草を殺そうとしたんだぞ!?』

 思い返すだけで腸が煮えくり返り、沸きたつ怒りで冷静さを欠き、クロードを擁護するような発言をした命の事を信じられない、といった思いで見ていた。

 あの時、桜花は冷静さを欠いていた。

 故に、事情を聞いた上でリューが告げた言葉によって冷水を浴びせられたのだ。

『なるほど。では一つ聞きたいのですが。もし、もしも──逆の立場なら貴方はどうしますか?』

 逆の立場。

 ベル達に怪物贈呈(パスパレード)()()のではなく。

 ベル達に怪物贈呈(パスパレード)()()()のであったら。

 彼等の様に死に掛けながらも18階層まで這う這うの体で辿り着き、そこに遅れてやってきた彼等が、自分と同じ事を、同じ言動をしたのだとしたら。

 千草や命、【タケミカヅチ・ファミリア】の仲間が死に掛け──下手をしたら死んでいたかもしれない──状況に置かれ。それを知っていながら、自分達の目の前で開き直ったかのように頭も下げず『責めたければ責めろ』と言い放たれたのだとしたら。

 ────そこまで考えた所で、ようやく桜花は自身の失態を悟った。

 自らが団長として、仲間の命を救う為に選択した事だった。故に、責任は自身にあり、どんな罵詈雑言も受け止める覚悟だった────罵詈雑言を、受け止める。

 罵詈雑言? 自分達の仲間の命を危険に晒した相手に、罵詈雑言をぶつけるだけで済むのか? ましてや、開き直った様に頭すら下げない相手だったとするならば。

『──────』

『クロードさんは最低でも話を聞く姿勢をとったと思います。彼女は、よほどの事が無ければ問答無用で仕掛ける事はしません。貴方の態度に問題があったのだと思いますが、心当たりはありませんか?』

 冷静に、ただ真っ直ぐに、事情を聞き、状況を理解し、その上で問いかけてきた格上の冒険者の言葉に桜花の怒りは何処かに吹き飛んでいた。

 仲間を、家族を傷付けられた、殺されそうになった。だからこそ桜花はクロードに怒りを抱いたのだ。だが、まず前提が異なる。最初にクロードの仲間を傷付け、殺しかけたのは桜花達だ。

 それが、謝罪もなく、開き直った様な態度で目の前に現れたのだとしたら。

 ────桜花が抱いた怒りこそ、ただの逆恨みでしかない。

「言いたい事はわかっている。俺が悪かった。改めて謝罪させて欲しい」

 自分が抱いた怒りが、ただの逆恨みだと自覚し、偶然にもベルと再会した桜花は、頭を下げた。

 あの時の自分の態度が、言動が、いかに愚かで、相手の神経を逆撫でする行いだったのかを謝罪し、改めて謝罪したいと申し出た。

 今朝になって【ロキ・ファミリア】の野営地に近づいた際、問答無用で警備していた団員に武器を突き付けられた際にも、桜花は頭を下げた。

 改めて、【ヘスティア・ファミリア】、ひいてはクロード・クローズに謝罪したい。と。

 その時、帰還の為の先行隊の準備をしていた【ロキ・ファミリア】の団長が現れ、いくつかの制約を交わす事を条件に、野営地に足を踏み入れる事を承諾してくれた。

 ベルを通じ話を聞いていたヴェルフやリリルカは、良い顔はしなかった。しかし、最低でも話を聞く姿勢はとった。

「この通りだ、頼む」

 地面に額を擦り付ける様に謝罪を口にする大柄な男を前に、クロードは忌々し気な表情を浮かべ、半眼でヴェルフやベル、リリルカを伺う。

「テメェ等は?」

「俺は正直、まだ納得してねぇ。一度あんだけ啖呵切っといて、都合が悪くなったから謝りに来てる様にしか見えないからな」

「リリも、納得は出来ません」

 謝罪もせずに開き直った様な言動をして啖呵を切り、クロードの逆鱗に触れておきながら謝罪に来た。

 余りにも虫がいい話だ。故に、ヴェルフとリリルカは納得できない、と不満を口するが。

「僕は、許したいと思います。桜花さん達にも事情があった、それに、今は謝ってくれてますし……」

 謝罪を受け入れる様な発言をしたのは、被害者パーティのリーダーであるベルだった。

 端から彼らの擁護に回っていた少年らしい返答に、ヴェルフは肩を竦め、リリは溜息を零す。

 そんな中、クロードは一歩、前に出た。

 ベルが止めようとして、ヴェルフとリリルカに引き留められる。

 今回はベルが勝手に引き入れ、謝罪の場を用意したのだ。クロードの意見を聞く事も無く。

 前回、クロードは嫌々ながらもベルの意見を受け入れた。だからこそ、今のベルにクロードを止める権利はない。ヴェルフとリリルカに引き留められたベルは緊張した様に唾を呑み込む。

「虫のいい話じゃねェか? あァ?」

「……ああ、本当に虫がいい話だと思う。本当にすまなかった」

 繰り返し謝罪を口にする桜花。

 クロードが更に一歩詰め寄り──千草が身を震わせた。

 つい先日、本気で殺しに来た相手に恐怖しているのは丸わかりだ。それでも恐怖に耐える様に必死に頭を下げている。

 そんな姿を見たクロードは、桜花の前に歩みを進めた。

 地面に額を擦り付ける桜花の傍に立ち、見下ろす。

「テメェがどういうつもりで怪物贈呈(パス・パレード)したなんざオレは知らねェよ」

 片手は喧嘩煙管に添えたまま、いつでも攻撃を加えられる姿勢を崩さず、少女は地面に額を擦り付ける三人を見つめる。

「オマエ等にどんな事情がアレ、オレ等は死に掛けた。ンな事実もわかんねェなら、テメェ等は人でなしだ。少なくともオレからすりゃあ、テメェらはキチガイの人でなしだ」

 桜花は吐き捨てられる言葉を、頭を下げたまま受け止める。

 最初の時からこうして頭を下げていれば──少なくとも、ここまで話がこじれる事はなかった。

「……先に言うが、オレは()()()()。喧嘩を売ってきたのはテメェらだからな」

 売られた喧嘩を買い、攻撃を加えた。その件で【タケミカヅチ・ファミリア】の面々が怪我をした。それについて、クロードは一切の謝罪はしない。

 あくまでも売られた喧嘩を買っただけ。それなのに謝罪を要求するなら筋違いだ、と吐き捨てる。

「わかってる。俺が悪かった事だ」

「ハッ……」

 粛々と、頭を下げたまま肯定し、受け止める桜花。

 クロードは懐から煙管を取り出し、火を付けた。

 吸い口を軽く咥え、桜花を見下ろした少女は目を細める。

 後ろでは冷や冷やした様子で成り行きを見守るベルと、クロードがどうあれ気にしないといった様子のヴェルフ。そんな中、リリルカは一人、クロードの背中を見ながら確信していた。

「ハァ────次同じ事しでかしたら、本気(マジ)で殺す。テメェ等が口を開く前に殺す。次は無ェからな」

「わかった。神に誓おう」

 クロードは、赦すとは口にしない。しかし、彼女の中に燻っていた敵意や殺意は消えていた。




 クロードくんちゃんの【ステイタス】について。
 一部のアビリティは既にベル君と並んでます。特に力・耐久当たりですね。一応、小人族(パルゥム)で、なおかつ元となったゲームキャラが特殊タイプなので純粋な力・耐久は低いです。

 近接戦もしますが、デバフ振り撒きバフ盛ってってのが前提なので、素の能力はお察しです。

 そして、今後はベル君に抜かれてしまうでしょう。特に戦争遊戯(ウォーゲーム)を超えた当たりからはもうクロードくんちゃんは【ステイタス】面でベル君に追い付けなくなるでしょうね。

 ですが、オクスリ使ってブーストするのでベル君視点だとまだまだクロードくんちゃんの方が強く見える、といった形に……。
 どんどんベル君が強くなって、クロードくんちゃんのオクスリ(金メッキ)が剥がれて────やっぱメリバかなぁ。

 無茶してたツケが回って来て、何処かでポッキリ……行く前になんとかリリかヴェルフ当たりが引き留めてくれると良いですね。
 ヘスティア様は手を出し辛いし、ベル君は割と致命的な部分(才能)があるので。


 書くの頑張るから感想ください。もっと虫のいいこと言いますが、支援絵欲しいです。推薦は……うん、推薦はちょっと……。

 ところで、私が書かなきゃ更新されないバグが修正されるのはいつごろになるのでしょうか(グルグル目)
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