炭酸inIS   作:ジャギィ

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第4話

それからは怒涛の展開の連続だった

 

クラス代表の座を賭けて、イギリスの代表候補生であるセシリアとISでバトルすることになったり(なぜかラウラも巻き込まれてしまった)

 

その為の特訓をラウラが提案してきたのだが、軍人であるラウラの特訓(ISの練習ができないのでひたすら体力と回避力を鍛えるもの)が想像を絶するキツさだったり(なぜか箒も特訓に参加してきた)

 

そんなこんなで試合の日が来たのだが、セシリアにもラウラにも勝てなかったり(セシリアの時は自滅、ラウラの時はダメージを与えることもできず負け)

 

なのになぜか俺がクラス代表になったり

 

その翌日に、小学校のころ箒とは入れ違いで知り合ったセカンド幼馴染、(ファン)鈴音(リンイン)こと鈴が2組に転校してきたり(しかも中国の代表候補生になっているらしい)

 

その鈴と昔した約束をちゃんと覚えていたのに、なぜかビンタを食らったり(おまけにその場にいた箒にも罵られた)

 

後日にその事で鈴に対して失言(胸が小さいことを指摘した)した結果、鈴を完全に怒らせてしまったり(箒とラウラとセシリアに冷たい目で見られた)

 

そしてそのケンカの末、クラス対抗戦にて鈴とISで戦っていた時だった

 

フィールドの中央に、上空からアリーナのシールドバリアーを突き破る極太のビームが降ってきたのは

 

 

 

「あいつ、人乗っているのか?」

「ハァ?何言ってんのよ、そんなのISだから当たり前…」

 

俺の言葉に鈴が「脳みそ詰まってんの?」とでも言わんばかりの返しをしてくるが、途中で途切れる。眼前で悠長と会話してるにも関わらず、硬直したように動きを止める敵ISの様子をジッと観察する

 

───そう、「敵IS」。今俺と鈴は、閉じ込められたアリーナのフィールドの中で、肌色など見えないほど全身を黒に包まれた1体のISの対峙していた

 

そいつは観客を守るはずのシールドバリアーすらも貫通する大出力のビームを撃てるISで、俺と鈴は観戦していた生徒のみんなから気を逸らすために、そのISと戦闘していたのだが…

 

「…そういえば、こうして話してるのにピクリとも動かないわね。それに動きも機械的で…ううん、でもあり得ないわ。ISの()()()なんて」

「でも十分可能性はある。そしてそうだとするなら…」

 

俺は自分の右手にある一振りの剣を見て、言う

 

「…俺の“零落白夜(れいらくびゃくや)”であいつを墜とせる」

 

“零落白夜”は自身のSE(シールドエネルギー)を消費することで、“雪片弍型”を相手のSEを大きく削れる剣に変えることができる能力。それであいつに大ダメージを与えれば…

 

 

『一夏ァ!!』

 

 

その時…アリーナ全体に声が響く。それは箒の声であり、見れば管制室のマイクを前に立っていた

 

『男なら…それくらいの敵を倒せなくてどうする!!』

 

そう言い切った幼馴染に向けて…無情にも敵のISはその砲塔を構える

 

「やばい!!」

「あのバカ!!」

 

あいつの砲撃はシールドバリアーすらも破壊する。そんなものが生身の人間に直撃すればどうなるか…簡単に想像できてしまう

 

でも敵のISの位置は俺も鈴もかなり離れていて、箒はさらに離れた位置にいる。ラウラとセシリアの姿が見えないため、2人に守ってもらうことも望めない

 

()()()で加速しても間に合いそうにない…なら…!

 

ビーッ!ビーッ!

 

「!! 一夏、新しいIS反応が上に!」

「増援!?」

 

その警告に驚きを隠せなかったが、もしハイパーセンサーが示す真上のIS反応がこのISの味方だとするなら、事態は最悪の方向に向かう

 

ハイパーセンサーで直上のISの姿を見て…俺は思わず言葉を失った

 

スマートな形状の黒い機体色、身の丈ほどある巨大な槍を構えて急降下する赤い髪の『男』

 

「男…!?」

「ひょっとしてあいつ、もう1人の…」

 

ガコン

 

すると、箒を狙っていたはずのISは上空に反応を示すと、その大型砲を新しく現れたISに向ける

 

「あ、危ない!!そいつは危険だッ、躱せー!!」

 

2人目の男は絶対防御で死ぬことはないと思っているのかもしれないが、あのISの砲撃はシールドバリアーを破る火力がある。もし直撃したら…!

 

俺の必死の叫びは虚しく空に溶けるだけだった。それどころか、その男は俺がこの試合で切り札として覚えた技“瞬間加速(イグニッション・ブースト)”に匹敵する速さで落下していき、その機体に対して侵入者のISはあの高出力のビームを撃ち放った

 

当たる…!1()()を除いて、誰もがそう思った

 

「イイイヤッホオォォォォウ!!」

 

ギュォン!

 

「な!?」

「嘘でしょ!?」

 

だがその男はあろうことか、瞬間加速並みの速さで移動していながら、宙返りのような方法でビームを簡単に回避してみせた。しかもスピードを一切落とさずにだ

 

「不死身のコーラサワー!!」

 

そして男は凄まじい加速でシールドバリアーの破れた部分からアリーナに突入し

 

「ただいまッ参上ォオオ!!」

 

前面に構えた巨大ランスの先端を………的確に敵ISのコアに突き刺した

 

ガガ…ガ……ピピーッ……

 

不快な電子音を鳴らしながらも敵ISはその砲塔を眼前の敵に向け…そのまま沈黙した

 

「お…終わったのか…?」

 

まだ緊張感が残るが、そこに2人目の男性IS操縦者…コーラサワーが俺たちに声をかける

 

「よお!EUのエース、パトリック・コーラサワーだ!助太刀させてもらったぜ、IS学園の諸君!」

「あんた、2人目の…なんでここにいるのよ。ドイツにいるんじゃなかったの?」

「オイオイ、せっかく助けてやったんだ、お礼の1つくらい言えっての。ま、俺様は心が広いからな!気にしないでいてやるよ、おチビの嬢ちゃん!」

「誰がチビよ!ムカつく奴ね!」

 

凄い人だな。初対面であの鈴に向かってチビって…

 

「お、お前が少佐の言っていた、1番最初にISを動かした男か!少佐が尊敬する教官殿の弟らしいな」

「弟、少佐…ラウラのことか?」

「アァン!?テメェ、少佐殿を呼び捨ての名前で呼ぶたァどういう関係だコラ!」

「いや、どういう関係って言われても…」

 

なぜかケンカ腰で俺にそう言うコーラサワー。ラウラがかなりの問題児って言ってたが、正直それ以上に強烈な存在感がある

 

そんなコーラサワーの雰囲気に当てられて緊張が解けたせいだろうか

 

キュィィィィン…

 

倒した敵ISの腕から光が爆ぜたのに気づけなかったのは

 

「へ?」

 

ビカァ! ドカン!

 

暴発した光の乱反射。そのうちの1つがコーラサワーのISのスラスターを貫き爆発

 

「なんじゃそりゃあああああ!?」

 

余裕の姿勢から一転、撃墜されたコーラサワーは高高度からアリーナの隅っこに落下した

 

「…………」

「…………」

『…………』

「「……ハァ……」」

 

俺も、鈴も、その他のみんなを含めた誰もが唖然とする中、千冬姉とラウラのため息だけが耳に聞こえてきた

 

 

 

色々インパクトのある最後だったが、侵入してきたISが倒されたことでとりあえず事件は幕を下ろした

 

あのISと戦闘した俺と鈴は事情聴取をして、勝手に行動して自ら危険地帯に飛び込んだ箒は千冬姉直々のお叱りと反省文の罰を受け、墜落したコーラサワーは保健室に送られたらしい

 

そして翌朝…予想通りの光景が目の前に

 

「それでは、急遽IS学園に転入してきた生徒を紹介する。コーラサワー、挨拶しろ」

「ハッ!了解であります教官殿!」

 

バッシィィン!!

 

敬礼したコーラサワーが地面に倒れ伏す威力の出席簿アタックを千冬姉が繰り出した。間違いなく今まで食らってきた、見てきた中で最大威力の打撃だ

 

「ここでは織斑先生と呼べ。…返事は?」

「イ…イエス、マムッ」

 

ノックアウトされたボクサーのように起き上がり、敬礼する。そして少しするとケロッと立ち直り、クラスの全員に向けて挨拶する

 

「俺様はEUのエース、パトリック・コーラサワーだ!これからよろしく頼むぜ、子猫ちゃんたち!」

 

そう言ってキラリを歯を見せながら屈託のない笑顔でサムズアップするコーラサワー

 

シ〜ン…

 

しかし、俺が挨拶した時とは違って、みんなの反応が全くない

 

「なんだぁ?この俺が挨拶してんのに無視か?」

『………き………』

「き?」

 

コーラサワーが訝しんだ直後

 

『きゃああああああああああああ!!!』

「おわぁ!?なんだぁ!?」

「ぐあああああ!?み、耳がァ!」

 

ショックウェーブと勘違いしそうなほどの悲鳴が左右後方から反響した。鼓膜が破れそうだ!

 

「イケメン!!しかも年上!!」

「俺様系なんてまるでアニメじゃない!!」

「生きてて良かったァ…!」

 

それぞれに感想を口にするクラスメイトたち。嬉しいのはよく分かったら、声のボリュームを下げてほしい…

 

「少佐ぁ〜!!」

 

コーラサワー本人はというと、教室の後ろにいるラウラに向かって手を振り、嬉しそうに言う

 

「来ちゃいましたぁ〜〜〜!!」

「…あのバカ…」

 

そしてラウラは、対照的に複雑そうな表情を浮かべるのだった

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