『パック、願いの事教えて貰ってもいい?』
パック「うん、エトワールとスバルの魔法判明だったよね。――で、まず魔法に属性あるの知ってる?」
『基本的な四大元素、火、水、風、土…だよね?』
パック「うん、そして、陽と陰があるんだけど、先に自分の扱えるのを確認した方が良いかな」
スバル「そんなのあるんだ?」
パック「うん、じゃあエトワール額借りるね?」
パックがこちらによってきて尻尾を額に当てる。
なんというか、少しもどかしい。
パック「……こりゃ、驚いた。エトワール6属性全て使えるよ。マナに似た何かがあるね」
『あー、それ魔力だと思う。こんな感じで扱えれるから支障は無いんだけどさ』
と言いつつ、右手に炎を纏う。
パック「ふーん、じゃ次スバルだね」
と言いつつパックはスバルの額に己の尻尾で触れる。
パック「陰属性一択だねぇ」
スバル「陰魔法って、何に使うの?」
パック「相手の目くらましとか音を遮断したり…とか?」
スバル「まさかのデバフ特化!?」
『ちなみに、陽魔法はどんなの?』
パック「身体強化とかがな」
『バフ特化なのか』
僕達の魔法が判明したら精霊との対話を終えたエミリアと魔法の種類について話す。
雷はどこからの派生とか、空は飛べるのかとか。
結論から言うと空は飛べる。
しかし、翼を生やしてとかいうのでは無く、風を極めないといけないという。
なので、この世界では『エーラ(翼)』という魔法が使えない。
まぁ、エーラは使えなくとも他の魔法で補えたりするから特に問題は無い。
双子「「当主、ロズワール様がお戻りになられました。どうかお屋敷へ」」
完璧なステレオ音声。
それに答えるのは先程まで楽しく会話していたエミリアだ。少し表情が強ばったけれど。
エミリア「ロズワールが。お迎えしないといけないとね」
双子「「はい、それとお客様もお目覚めになられているのならご一緒にと」」
*****
ロズワール「あはぁ、目が覚めたんだねぇ。よかったよかったぁ」
濃紺の髪を長く伸ばした長身は、僕達をを見て嬉しげにそうこぼした。
背の高い人物。
身長はラインハルトを上回り、180cm半ばといった所だろう。
僕と比べたら軽く30cmは差があるだろう。
肉体は力仕事とは無縁そうな細身であり、しなやかというよりは純粋に痩せぎすといった印象が強い。
瞳の色は左右が黄色と青のオッドアイであり、病人のように青白い肌と合わせて儚げな親和性を保っている。
一般的な感性であれば十分に美形、そう断じていい容姿の持ち主だ。
もっとも、息がかかるほどの超至近距離でそれを見せられているスバルにはどんな美形であっても食傷気味になるのは間違いないが。
スバル「顔近っ!!」
ロズワール「ごめんごめぇん。ほぉら、最初に運ばれてきた君を見たときって、もう死んじゃったみたいに血まみれで血の気も失せてたからさぁ。こうして元気に歩いてくれてるのを見ると、感慨深ぁいものがあるよねぇ」
親しげにスバルの両肩を叩いて、相変わらず至近距離で見下ろしてくる長身の男性――ロズワールと名乗った屋敷の持ち主だ。
スバル「いやいや、こんなでも意外と切れ者みたいなのがお約束だし……」
ロズワール「あはぁ、嬉しい評価だねぇ。もっとまじまじと、見つめてくれてもいいよ? 切れ者な感じがするかい? どーぉ?」
スバルの前でポージングして、くるくると回ってモデル立ち。その堂々とした立ち振舞いに、スバルは自分の足が数歩、後ろへ下がったことに愕然。
スバル「ま、まさか……俺が下がらざるを得ないだと!? 俺よりキャラが濃いとか尋常じゃねぇ……日常生活に支障きたすぞ!?」
エミリア「私からしたらどっちもどっちよ、もう」
ため息は後ろから届いて、下がるスバルの代わりにエミリアが前に出る。彼女はロズワールに向かい合うと目礼する。
エミリア「お帰りなさい。大事はなかった?」
ロズワール「平気平気。あはぁ、嬉しいねぇ。君の方から私に声をかけてくれるなんて、四日とんで三時間と十九分ぶりぐらいだよぉ。日記に書かなきゃ」
『結構細かく覚えているんだな…』
手をわきわきと動かす長身に、左右からペンとノートが差し出される。
恭しく頭を下げるのは、桃と青の双子のメイドだ。
彼女たちから渡された紙とペンを使って、ロズワールは猛然と文章を書き始め、
ロズワール「タンムズの月、十五日。――エミリア様が自分から私に話しかけてくれたよ。ロズワール、嬉ぴー。この調子で仲良くなっちゃうぞぉ、おー。……と」
タンムズの月…?
気になったので脳内古文書(アーカイブ)で検索する。
その言葉はバビロニア暦にて使われた4月の月を司る神『タンムーズ』と言われるのがヒットした。
伸ばすのが言い難いからタンムズの月となったのだろう。
って事は今風に戻すのなら4月の15日というわけか。
会心の表情で本を閉じ、メイドに渡して振り返るロズワール。
迎えるのは笑顔を微妙にひきつらせたエミリアと、
スバル「いやマジちょっと……ドン引きだな」
ちらっと横から覗いた感じでは、ロズワールが手にしたノート――というよりは手帳のようなものだが、それはびっしりと文字で埋め尽くされていた。
その手帳も後半に差しかかっているようだったので、もしも同じような内容で埋められているのだとしたらもはや恐怖。
日々の記録に日記は便利だからなぁ。
そんなスバルのオブラートも剥がし切った答えにロズワールは膝を叩く。
ロズワール「ドン引き! いーぃ言葉だねぇ! 初めて聞いたけど気に入ったよぉ! んふー、人と違う感性を理解されない気持ちよさ……ああ、すばらしい」
スバル「うわぁ、若干共感できるのがやだよ。おい、これと仲良くできるって?」
『ドン引き』を初めて聞くロズワール。
……この世界じゃその言い方は無かったのか。
自分の肩を抱いて身悶えする変人を前に、スバルはエミリアへ「これと同一視かよ」と不満を込めて話題を振る。
彼女は「うーん」と少しだけ悩ましげに唇に指を当てて、
エミリア「さすがに国でも公認の変態にはスバルも及ばない……かな?」
『…国でも公認なの!?』
スバル「ギリギリで紙一重じゃないか!!……とりあえず戻ってこいよ、カムバック。そんでもって俺に礼を言わせるがいい。このたびは大変ご迷惑をおかけしました、ベッド貸してくれてありがとうございます、敬具」
『スバルに続き、この度は大変迷惑をおかけいたしました。寝床、貸してくれてありがとうございました。ロズワール辺境伯様』
エミリア「もうメチャクチャじゃない……」
お礼を言うには尊大すぎるスバルと僕の態度だが、ロズワールは気にした様子もなく口笛を吹いて応じる。
頭を抱えるのは二人に挟まれる形のエミリアだ。
ちなみに双子は出しゃばる気はないのか静かに控えており、パックに至っては銀髪にもぐったまま消息不明である。
ロズワール「そぉれぇにぃしぃてぇもぉ……」
ぐるりと少し気持ち悪い動きで戻ってきて、ロズワールがしげしげとスバルと僕を上から下まで観察する。
んー、怪しまれるよねぇ。
僕は昨日接触してるけれど…。
ロズワール「どぉーもフツーの人っぽいねぇ。そればっかりはちょこぉっと残念」
スバル「おいおい、俺がフツーだと? いい意味でも悪い意味でも決して言われないフツー……その評価は俺にとって屈辱だ! 撤回を求める!」
エミリア「そんなに怒るほどのことだったかしら……」
『エミリアに同意だ。フツーなのは種族的な意味だろうに…』
果敢な態度をとるスバルにロズワールは「あはぁ、ごめんごめん」と手を振り、
ロズワール「フツーっていうのは種族的な意味で、だよぉ。ほぉら、私ってば『亜人趣味』の変態貴族で通ってるからさぁ」
スバル「自分で断言できるあたり、だいぶ鬼がかってんな、あんた。やべぇ、ちょっと好きになってきた自分が嫌だ!」
『亜人趣味ね。話、合いそうだ』
ロズワールは頭を抱えるスバルを愉快そうに眺め、それから自分の左右に立つ双子のメイドの肩を同時に抱き寄せた。
ロズワール「この子たちもそうだし、エミリア様を支援するのも同じ理由さぁ。もぉっとも、そのあたりに関しては君達も同類な臭いを感じるよぉ?」
エミリアはハーフエルフ、双子達は鑑定したからわかった事だが、鬼族。
抱き寄せた双子の顎を指で撫で、妙に悪徳っぽい雰囲気を出し始めるロズワール。
されるがままの双子は頬を赤く染め、すでに毒牙にかかってしまっている。
エミリアもまさか…と思ったのかスバルがエミリアの方に目をやる。
彼の視線の意図を察したのか、彼女は慌てて手を振り、
エミリア「勘違いしないっ。私は変態に惹かれる趣味は持ってませんっ」
ロズワールが言った支援という言葉に反応する。
僕はその結果を知っているが、初対面という事にしてもらっているからそこは咎められないだろう。
『……ロズワール卿、エミリアを支援というのは?』
スバル「それは俺も疑問に思った。ってか、そもそもの二人の関係性が俺にはわからんわけだけど」
ロズワール「……あれぇ、事情を知らない? んふー、不思議だねぇ」
双子を解放し、手を後ろで組みながらすいすいとスバルの方に歩み寄るロズワール。
再び長身に間近から見下ろされるが、今度は下がらず迎え撃つスバル。
視線がぶつかり合い、火花を散らすような睨み合いではなく、色々と思惑を探っているかのようにスバルを見つめるロズワール。
じーっと見据えられ、徐々に徐々にその距離が縮まる。
ロズワール「ちゅっ」
不意にそんなリップ音が響く。
スバル「ほぎゃああああああああ!!!」
長身にデコチューされて、思わずアッパーを噛ますスバル。
容赦ゼロの一発に長身が吹っ飛び、慌てて双子が倒れる体を受け止める。
スバルはその結果も見届けず、擦り切れんばかりに額をこする。
スバル「なんっ、おまっ、これ……本当になんだよぉぉぉぉ!?」
ロズワール「あはぁ、痛い痛い。――いやぁ、震える乙女のように純真な目で見てくるから、思わぁずむらむらしちゃってねぇ」
スバル「尻の穴がきゅっとなるわ! やめろ、その目! マジで!」
額をこすっていた手を拳に変えてロズワールの前に立つが、それを遮るのは敵意を瞳に宿す双子だ。
『スバル、落ち着け、双子が警戒してる。元はと言えばロズワール卿の悪ふざけが悪すぎたけど…』
主人を殴られた双子が主を守るかのように進む彼女等を牽制するようにスバルとロズワールの間に割り込む。
ロズワール「やぁめやめ、ラムにレム。今のは私の悪ふぅざけが悪い。彼に落ち度はなぁいよ、乙女すぎたのが落ち度といえば落ち度かなぁ」
スバル「俺の目つきで乙女扱いとか、視力落ちてるぜ、貴族様。俺が花のように可憐だったのは幼稚園までのお話だ。そっからは後頭部カリアゲ一直線だぜ」
『へぇ、幼稚園の頃のスバル君の姿見てみたいなぁ』
主の取り成しに、不満そうではあるが双子が下がる。
それからロズワールは殴られた顎をさすりながら立ち上がり、
ロズワール「今のは私が悪かったよぉ、謝罪する。その上で、謝罪を形で示すためにも朝食をご一緒しないかぃ? 奢るよぉ?もちろん、そこの彼女もだ」
スバル「言っとくが、俺は働かないわりには食うぞ。タダメシなら倍率どん、だ」
『ロズワール卿、恐縮ですが、お願い致します。』
ロズワール「いーぃことだよ。よく食べること、それはよく生きることに繋がる。んふー、今のはなかなかいい言葉だった。日記に書かなきゃ」
またも手を差し出すロズワールに、双子が手帳とペンを渡す。
スバル「ともかく、朝飯のお呼ばれは歓迎だ。朝ごはんどころか、俺ってばたぶん昨日の昼前からなんにも食ってねぇしな」
ロズワール「そぉれは重畳。じゃぁ、二人に案内させよう。ラム、レム、頼むよ」
双子「「お任せください、ロズワール様」」
双子がステレオで応じて、スバルの両脇を固める。
そしてそれぞれが片方ずつの腕を担当し、スバルを固く拘束した。
スバル「おいおい、なんですかよ、この護送される雰囲気。そんなことされなくても俺も逃げないし、食卓も逃げな……あれ、おい、痛いよ、ちょっと」
レム「それではご案内いたしますわ、お客様」
ラム「それじゃご案内してあげるわ、お客様」
スバル「おい、聞け、そして肘が極まって……さてはお前ら、さっきのアッパー全然許してねぇな!? でもさっきのはどう考えても俺じゃなくてあいつが悪いたたたたたたたた! 肘! 肘ぃ! 二人して反対に力込めんな、おい!」
ぎゃーすか騒ぎながら、関節を極められたスバルが食卓へ連行される。
なぜ、僕には無いのだろうかと思うが、主に危害を加えなかったのが大きいのかな。
空を飛ぶのって、風以外にも2つ極めないといけなかったですよね?
その2つが分からなくて、風だけと書いたのですが…。
知っている方居れば、教えて下さい。
そして、初めて出てきた脳内古文書、それはFAIRYTAILのブルーベガサスのヒビキが使っていた古文書です。
本来は情報を圧縮させて相手にダウンロードさせて場所とかを伝えたりするサポート系です。
脳内古文書と言っていますが、本来はPCのようなものを展開して『FAIRYTAIL』内では使っていました。それを脳内でやっているのです。
ですが、私が書いている小説で出てくる古文書という定義はウィキペディアみたいなものです。
なので、検索したら色々と出てくるのと、鑑定を合わせたらその鑑定した物の発見場所とかが出てくるのです。
それでは、また更新する時をお待ち下さいませ。