ナツキ・スバルとエトワールとの邂逅   作:闇の翼

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国の事情 あの子の事情

デザートのリンガを食べながら話は進む。

 

 

 

ロズワール「本当に不思議だぁね、君達は。ルグニカ王国のロズワール・L・メイザースの邸宅まできていて、事情を知らないんだから。よく、王国の入国審査を通ってこれたもんだね?」

 

 

 

 

 

 

 

スバル「まぁ、ある意味、密入国みたいなもんだからな……」

 

 

気づいたら王都の真ん中にいました…だからな。

 

 

『審査受けてないからなぁ…。ロズワール卿、少し良いかな?』

 

 

 

ロズワール「んー?なぁにかねぇ?」

 

 

 

 

 

『ロズワール卿はさ、異世界とか別世界とか信じる?』

 

 

 

ロズワール「――パラレルとかそういうのかぁい?」

 

 

 

スバルから何を話すんだという視線を感じるが、ウィンクで誤魔化す。

 

 

 

 

 

『それを知っているのなら話は早い。僕とスバルはその別世界から来たんだ。だから、少し常識が違ってたりするんだよ、この国の事情も知らなくてさ…。なぜこの世界に飛ばされたか分からないんだけど、縁が合ってロズワール卿やエミリアと知り合えたのが良かったよ…』

 

 

 

ベアトリス「……そんな世界があるというのかしら」

 

 

 

『ああ、あるよ。例えば、あの時こうやれば良かったのもう1つの選択を取った世界とかね、色々あるよ』

 

 

 

 

 

本来ならば、転生者というのも明かした方が良いんだろうけど、少し常識とかが違うというのを伝えといたら、わかりやすいだろう。

 

 

 

ロズワール「うぅむ、興味深いねぇ」

 

 

 

『興味がございますなら、また別途の機会にでも話しますけど。――常識とかが違ってたりするからご教授お願い致します』

 

 

 

 

 

 

 

エミリア「って事はこの国の事何も分からない?」

 

 

 

『ああ』 

 

 

 

エミリア「だったら簡単に説明するね、今のルグニカは戒厳令が敷かれた状態なの。特に他国との出入国に関しては厳密な状態よ」

 

 

 

 

 

スバル「戒厳令……穏やかじゃない響きだな」

 

 

 

 

ロズワール「あはぁ、穏当とはいえないねぇ。――なにせ、今のルグニカ王国には『王が不在』なもんだからねぇ」

 

 

 

 

『王が不在。ならその子孫たちは?普通ならそこに、王位継承いくだろ?』

 

 

スバル「ああ、エトの言う通りだが、俺ら知って大丈夫?」

 

 

 

普通ならば王が不在となれば国民には知られてなさそうなのだが…。

 

 

 

 

ロズワール「心配、御無用だぁよ! すでに市井にまで知れ渡った厳然たる事実だよん」

 

 

 

 

スバル「さよけ。いや、危うく秘密を知られたからには生かして帰さん展開かと」

 

 

 

『知られたらあかん内容じゃ無かったのか、安心した』

 

 

 

エミリア「こっちからばらしておいてそれじゃ浮かばれないわね。……ともかく、そんな状態だから国を挙げてピリピリしてるのよ」

 

 

 

 

ロズワール「戒厳令もその一環だねぇ。王不在のこの状況で、他国に火種を持ち込むことも、あるいはその逆も望ましくないってぇこぉと」

 

 

…なるほど。

 

王不在、というのは王国という国の行政的には致命的だろう。

 

病没かそれ以外か、理由がなんであれ突然の王の『死』に国が揺れている。

 

 

スバル「でも、王が不在で、子孫たちも居ないんだろ?それってどうやって決めるのよ」

 

 

 

ロズワール「通年なら子供に王位継承が移る。だぁけど、事の起こりは半年前までさかのぼっちゃう。王が御隠れになった同時期に、城内で蔓延した流行病の話にねぇ」

 

 

『流行病…?』

 

 

 

 

特定の血族に発症する伝染病、と発表されたとロズワールは語る。

それにより、王城で暮らしていた王とその子孫は根絶やしにされたのだと。

 

 

『本気で王族が居ないんだな、不在になってからの国の方針?とかは誰かしているんだ?代わりとなるものも居ないんじゃ国民死ぬぞ』

 

 

スバル「じゃ、本気で王様不在じゃねぇか。そうなると国ってどうなるんだ? 王様の血筋いないし、民意優先で総理大臣選出するのか?」

 

 

 

 

 

 

 

ロズワール「代わりの者は居るよ。今の国の運営は賢人会によって行われてるよん。いずれも王国史に名を残す、名家の方々の寄り合いだ。国の政治自体に関しての影響はそこまでじゃぁない」

 

 

 

 

 

 

 

そこで一度間を置き、「しかし」と息を継いでロズワールは表情を引き締め、

 

 

 

 

 

 

 

ロズワール「――王不在の王国など、あってはならない」

 

 

 

 

 

スバル「そりゃそーだ」

 

『その通りだな』

 

 

どんな、軍団や国で合っても頭の存在したい組織などいない。

 

日本だって総理大臣や、教育委員会会長とかがある。

たとえそれが責任取る形で辞任していっても、すぐに代わりの者が担当している。

 

 

 

 

スバル「なら、王不在の王国は新たに王を選ばなきゃならない。でも血族はほぼ壊滅。なら国の誰もが納得いくような形で、王様を選び出さにゃならんと」

 

 

『ああ、なんとかして国民達が納得いく方法で王様を選ばないと国民の暴動起きる可能性あるからねぇ』

 

 

 

 

エミリア「――事情が分からないなりに、そうやって頭が回るんだから。まさに賢い愚者って感じなのよね。スバル達は」

 

 

 

スバル「そう褒めんなよ。褒められ慣れてねぇからすぐ好きになんぞ」

 

『褒め言葉ありがと、エミリア。知らないなりに知識とかはあるからね、僕は』

 

 

 

照れ隠しにスバルはそう言い捨て、エミリアから顔を背ける。

 

…初々しいな。

 

『――だが、今の話を聞いて1つ。僕達の状況怪しすぎるね。』

 

 

スバル「ああ、王国は王不在かつ、王選出のどたばたで混乱中。他国との関係も縮小中のプチ鎖国状態。だってのに現れる謎の異国人俺――俺達超怪しいな!!」

 

 

 

 

 

ロズワール「さぁらに付け加えちゃうと、エミリア様に接触してメイザース家とも関わり合いを持ったわけだしねぇ。気が早ければそれだけで……」

 

 

 

 

 

ロズワールが目を瞑り、首に手刀を当ててギロチンアピール。

 

 

 

そんな仕草を横目で見て冷や汗。

 

『――まさか、ロズワール卿って賢人会と関わりあったりする?』

 

 

 

メイザース家とエミリーと関わった事により何か巻き込まれたりするのだろうか…。

 

 

 

 

スバル「……ふ、不敬のお詫びにせめて小指……小指を収めることで許していただければ」

 

 

僕の発言で最悪な事を想像したスバルが懇願する。

 

 

 

 

ロズワール「恐い想像に走ってる君に朗報だ。安心するといいよぉ? 私は賢人会の構成員じゃぁないし、さしあたって王国の玉座に関わる立場じゃないかぁら。――ねぇ、エミリア様」

 

テーブルの上に小指を差し出すスバルを、ロズワールが笑い飛ばす。

 

彼はそのまま同意をエミリアに求め、彼女はそれに対して渋い顔の沈黙で応じた。

スバルはその違和感に気づいて言葉にする。

 

 

 

 

スバル「さっきから気になってたんだが……屋敷の主が、エミリアたんを様付けで呼ぶ?」

 

 

 

 

そう、最初から気になっていたのだ。

領主とあろうお方がエミリーのことを様呼びしていた事に。

 

 

 

 

 

 

ロズワール「当然のことだよ? 自分より、地位の高い方を敬称で呼ぶのはねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

ロズワールは意地悪く微笑み、机の上で手を組んでそう告げる。

 

 

『なるほど、ロズワール卿よりも上の立場…』

 

 

ロズワールよりも立場が上なエミリア。

 

 

 

 

エミリア「…騙そうとか、そういうこと考えてたわけじゃないからね」

 

 

 

 

 

 

 

スバル「――えっと、エミリアたんてばつまり」

 

 

 

まだ懲りずに「たん付け」するスバル。

そんな現実を否定したがる彼にトドメを刺すように、エミリアが言い放つ。

 

 

 

 

エミリア「今の私の肩書きは、ルグニカ王国第四十二代目の『王候補』のひとり。そこのロズワール辺境伯の後ろ盾で、ね」

 

 

 

 

 

悲報。

 

スバルの好きな人は女王様候補でした。

 

 

 

 

 

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