鬼滅の刃〜炭次郎の姉弟子〜   作:ハマT

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多分次回で那田蜘蛛山は終了します。


第11話想い繋ぐ

「お前こいつの知り合い?」

 

「姉弟子だよ!!」

 

そう言って菫は、目の前の少年ーー累に斬りかかる。それをかわすとそのまま糸を伸ばして攻撃してくる。

 

『水の呼吸拾ノ型・生生流転』

 

その糸を断ち切る菫。生生流転は回転毎に威力が上がる技。同じ師を仰いだ炭次郎も使えるが菫のものは、それよりも精度が高い。これなら累の誇る最高硬度の糸も断ち切れる筈だった。

 

「運が悪いね」

 

ーー嫌な予感がして技を止める菫。無理やり止めた影響からバランスを崩し尻もちをつく。その直後菫の目の前を糸が、かすめていく。直撃は免れたものの、額の皮がめくれそこから血が流れ始める。

 

「そこの坊やが同じ技を使ったからね。対処も簡単だよ!!」

 

再び糸の攻撃が飛んでくる。それをかわし接近を試みるも激しい攻撃の雨に全く近づけない。

 

『空ノ流参ノ型・秋空』

 

真空波を飛ばして攻撃するもそれも糸の壁によって防がれる。

 

(今だ!!)

 

『空ノ流壱ノ型・春風』

 

一度攻撃から防御に転じた隙を狙い一気に接近する。その一撃は累の体を掠めるも頸には届かない。

 

『血鬼術・刻糸輪転』

 

『水の呼吸捌ノ型改・滝壺・転』

 

その隙をつく累の糸を斬り一度距離を取る菫。

ーー強い。今まで戦った鬼の誰よりも

だが累も接近させないように必死になっている様に見える。

 

かつて真菰から伝授された力の掛け方。それが偶然にも累の最高硬度の糸を断ち切る手段となっていた。累はその状態から『菫が自身の頸を落とせる』と言う事を見抜き相手の射程に入らない様に戦っていた。

 

 

そしてそれは同時に菫本人にもその事を気付かせるきっかけとなった。

 

 

「こりゃひでぇな」

 

宇髄は、しのぶと共に那田蜘蛛山の惨状を見ながら進んでいた。殆どの隊士は息絶え、生き残っている者もその多くが重症だ。

 

「胡蝶、隠の手当て間に合いそうか?」

 

「余程の事が無ければ……それでどうします?」

 

「二手に分かれる。俺はこっちから鬼を探す。ど派手にな」

 

 

「出ておいでよ」

 

累から身を隠すように茂みから様子を伺う菫。戦闘は、累が優勢。菫は、先程の一撃以外全く接近できないでいた。一度使った秋空も揺動としては使えない。

ーー何か隙を作らないと。

必死に考える菫だが嫌な予感がしてすぐにその場から離れる。その直後さっきまでいた場所に木が倒れてくる。

累が糸で木を切り倒してきたのだ。

 

「そこにいたんだ」

 

『空ノ流壱ノ型・春風・突』

 

一点突破で突っ切る。菫の判断はそれだった。だがそれも糸で作られた壁に阻まれる。

 

(駄目だボク一人だと……)

 

隙を作らないと接近できない。だが隙を作るためには一人では駄目だ。せめてあと一人……。いやいる。少し離れた所に倒れているが炭次郎。その腕には禰豆子が抱かれている。一人より二人、二人より三人。

 

『水の呼吸捌ノ型・滝壺』

 

刀を地面に叩きつけ土煙を起こす菫。累の視界を奪いその間に炭次郎の元に駆け寄る。

 

「目眩ましのつもり?」

 

『血鬼術・殺目籠』

 

糸が籠の様に菫を取り囲む。糸を切ることはできるが突破する前に体を刻まれる。

己に迫る死を覚悟した瞬間、突然糸が炎に包まれ燃える。その目の前にいたのは禰豆子だ。

 

「禰豆子?!」

 

菫の呼びかけに近づいてくる禰豆子。どうやら糸を燃やして菫を助けたのは禰豆子の様だ。よく見るとその手には、市松模様の羽織と折れた刀をがある。

 

 

『その着物ってそんなに大事なんだ』

 

『うん。ボクのこの着物って歴代の当主が受け継いできた物なんだ。これを着てるとね皆の想いが伝わってくるっていうかなんというか……』

 

 

鱗滝の所にいた時、炭次郎とそんな話をした事がある。どうやら禰豆子は、寝ながらその話を聞いていて『炭次郎の想いも背負って』と羽織と刀を持ってきた様だ。

 

「ありがと」

 

禰豆子から受け取った羽織を身に纏い自分の刀と折れた刀を保つ菫。

 

「禰豆子援護よろしくね!!」

 

『空ノ流壱ノ型・春風』

 

「一人増えたからって何だ!!」

 

すぐに糸を出して菫を攻撃する累。それを禰豆子が爪で防ぐ。

 

「一人じゃない!!ボクと炭次郎と禰豆子……いやお前が殺した皆の想いがここにあるんだ!!」

 

一本、また一本と菫の刀が累の糸を断ち切っていく。最高硬度の糸も通用しない。

 

(まだだ……まだ硬くできる!!)

 

『血鬼術・黙糸轆』

 

赤黒い糸が真っ黒に染まり菫に向かっていく。

 

『水の呼吸拾ノ型改・生生舞い』

 

それを生生流転と流流舞いを合わせた技で断ち切る菫。

 

 

累の真っ黒な糸。それは追い詰められた累が使った、累にとっての最高硬度の糸だった。その硬さは、鉄をも簡単に切り裂く。菫は、その事を直感的に感じ技を使った。

もし使って無ければ累の糸は、菫の刀を切り菫の体を刻んでいた。

 

 

(何故だ!!この糸は僕の頸より硬いのに!!)

 

糸を切り近づいてくる二人。距離を離そうとするもすぐ背中には、木があり後ろに飛べない。

追い詰められた累の体を禰豆子の爪が切り裂く。

だが浅い。

すぐに禰豆子を蹴り飛ばすも、菫はもう目の前。

 

「これで終わりだァァァ!!」

 

ついに累の頸に刀を当てる菫。このままいけば頸を落とせる。そう思った瞬間、ぼんやりと累の糸が累の首を切る光景が目に浮かぶ。

その光景を信じた菫は、片方の手で累の頸を押さえつけられる。

 

(こいつ!!)

 

頸を押されられた累。先程の炭治郎の時は、頸を切られる前に先に自ら切ることで刀に切られるのを阻止した。

だが今回はそれができない。

仮に今、糸で頸を切っても後から刀に切られる。

ーーそれならば

 

(頸を外せないなら自分ごとコイツを刻んでんでやる!!)

 

『血鬼術・殺目籠』

 

糸を展開する累。だがその糸は展開すると同時にばらける。

 

「ど派手にいけ!!」

 

派手な男が累の糸を断ち切る。完全に最後の手段さえ絶たれた累。その頸を菫に落とされるまでに数秒とかからなかった。

 

 

 

 




大正こそこそ裏話

実は累との戦いは当初、『炭治郎のフリをした菫と菫のフリをした禰豆子の撹乱作戦』で決着を付ける予定でした。その為には一度累から逃げる必要がありましたが、これ無理だな、と言う判断で今回の形に変更しました。
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