今回で那田蜘蛛山は、終了です。
「おい何してるんだ?」
「供養です。この鬼何か可愛そうな気がしたので……」
累との死闘を終えた菫は、唯一残った着物を元に小さなお墓を作っていた。
ーー鬼もかつては人。
そう教えられたからこそ『この鬼は元々どんな人だったのだろう』と考えてしまう。
累からは、何処か後悔している様な感じがしたからこそこうして供養している。
「さてと……ところでそれはなんだ?」
宇髄が禰豆子を指差す。今まで人を襲っていないとはいえ禰豆子は、鬼。鬼殺隊からすれば滅するべき存在だ。
「あの……何時でも殺せたのに何で殺さなかったんですか?」
戦闘を終えてからそれなりの時間が経っている。やろうと思えば何時でもできたのに殺さなさった。
「あの戦いを見てたが、そいつは血まみれのお前を襲わなかった。何か他の鬼とは違う気がしてな」
先程の戦いは宇髄の言う通り、鬼との共闘を含め普通の鬼ならありえない戦闘だった。
どうやらそれが宇髄に『禰豆子の様子がおかしい』という意識を芽生えさせた様だ。
「取り敢えずそいつは本部に連れて行く。調べれば鬼への……」
ーー殺気。
かなり強い。それを感じ取った二人は臨戦態勢を取る。それと同時に物凄い速さで何かがかけてくる。人だ。蝶の翅のような羽織をした人が禰豆子にむかって刃を振るう。
「させるかよ!!」
それを軽々と防ぐ宇髄。防がれたその人物は、少し驚きながらも顔に笑顔を浮かべる。
「宇髄さんあなたが庇ったのは鬼ですよ?」
「んな事はど派手に知ってらぁ。胡蝶、こいつは少し様子が違う。本部に連れて帰るぞ」
(あれこの人…)
何処かで見たことある様な気がする。でもどこで?
「おい!!」
胡蝶の様子を観察していた菫に宇髄が声をかける。
「見てないものを信じるのには限界がある。ここは俺が引き受けるからそいつ連れて逃げろ!!」
そう言って胡蝶に攻撃を仕掛ける宇髄。
「宇髄さん。あなたがやってる事は、立派な隊律違反ですよ」
「俺は鬼殺隊にとって有利になる様に動く」
「それなら腹を切る覚悟はあるんですね」
「腹の一つや二つ、ど派手に切ってやるよ!!」
胡蝶を宇髄に任せ菫は、禰豆子と共に炭治郎の所へと向かっていた。恐らく炭治郎の近くに禰豆子の入っていた箱が転がっている筈。逃げるにしてもその箱が無ければ日中の行動が制限されてしまう。
「見つけた!!」
炭治郎を、とまでは行かなかったが箱を見つけた菫。その箱を回収しようとした瞬間何かが木の上から飛んでくる。
鬼殺隊の隊士、それも刀を構えている。
すぐに禰豆子を庇うようにその攻撃を受けとめる菫。
「……何で邪魔をするの?」
「仲間だから……って君確か……」
菫の受けた最終選別で無傷だった少女。それが目の前に立っている。
「……ねぇ同期のよしみで見逃してくれないかな?」
その少女は、菫の言葉ににっこり微笑むと懐から何かを取り出し投げる。それを受け止めるとそのまま斬りかかってくる。
「やっぱりだめだよね!!」
その少女の攻撃をいなしながらもどうにか隙を探す。
この少女はかなり強い。戦闘経験も身体能力も菫より遥かに高い。
ーーそれならば。
刀を捨て、向かっていく菫。その動作に驚愕する少女を殴り飛ばし持っていた刀を奪う。
「これで形勢逆転だね」
これで少女が禰豆子を殺す方法はなくなった。今の内に禰豆子を逃がそうとする菫。だが少女も刀を奪い返そうと襲いかかってくる。
何処かの屋敷。燃え盛る炎の中に立つ一人の男。その前に次々と集まる隊士。
刀を奪い返されないように必死になる菫の頭にぼんやりとそんな光景が浮かぶ。
それと同時に咳き込み吐血する菫。
頭痛と吐き気、目眩、全身を激しい痛みが襲い地面に倒れ込む。
「え?!」
少女は、突然の事に警戒しながらも菫に近付き様子を確認する。
ーー意識がない。
「まっいっか私には関係ないもの」
意識のない菫から刀を奪い返すとそのまま禰豆子に向かって刀を振るう。
『カァー伝令!!伝令!!竈門炭治郎ト鬼ノ禰豆子ヲ拘束!!本部ニツレカエレ!!』
少女の刀が禰豆子に当たる瞬間、鎹鴉が叫びだす。
『竈門炭治郎!!市松模様ノ羽織!!額ニ傷アリ!!竹ヲ咥エタ少女ノ鬼禰豆子!!』
それを聞いた少女は、すぐに刀をしまい目の前の禰豆子と菫をよく観察する。二人共鎹鴉の情報と一致している事を確認した少女は、すぐに駆けつけてきた数人の人達と共に二人を拘束し始めた。
何処かの森
「死んじゃったんだね?累」
黒い服を着た一つの影がまるで悲しむ様な表情で空を見上げていた。
「さてと、そろそろ魘夢と合流しないと……」
そう言ってゆっくりと歩き始めるその影は、数歩歩くと同時に突然現れた襖の奥へと消えていった。
大正こそこそ裏話
地の文でのキャラの呼び方は、状況と僕の呼び方に依存しています。
基本的には僕の呼び方で書いてますが、今回のしのぶやカナヲのように名字だけしか出ない、そもそも名前が出てない場合は、『少女』や『彼女』、『名字』でよんでます。