鬼滅の刃〜炭次郎の姉弟子〜   作:ハマT

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今回登場する鬼CV山寺宏一

本来なら一話で終わらせる予定の賭博編。その2話目です。


第6話欠片の鬼

丁半と言う博打がある。2つの賽子を振り、その出た目の和が奇数か、偶数かを当てるというものだ。確率は半々。傍から見れば簡単なものかも知れない。

 

「ピンゾロの丁!!」

 

だが近くに鬼がいるこの状況で菫は、かなりギリギリの戦いを繰り広げていた。鬼を探しながら丁半を予測する。2つの事を菫は同時に行っていた。

3度目の予測を当て少し安堵の息を突くも、すぐに鬼探しへと意識を集中させる。

怪しいのは、洋服を着た男だ。辺りの皆は、和服だがその男だけは洋服。かなり目立っている。だがその男からは鬼の気配はしない。

恐らく、ここにいる鬼はかなり賢い。そうで無ければ菫に入った指令もハッキリとしたもののはずだ。

 

(簡単には出てこないよね……)

 

「ドッチモ、ドッチモ!!」

 

中盆が賽子を振り皆の予測の募集が始まる。菫も慌てて予測を出そうとした瞬間だった。

 

ーーカラン

 

かすかに賽子を隠しているツボの中からそんな音が聞こえた。

突っ掛かりが悪く賽子が動いた?

いや突っ掛かりがないようにかなり念入りに振っていた。まさかと思いツボに意識を向けてみると、微かに鬼の気配がする。

 

 

『鬼の中には異能を使う者もいる』

 

 

かつて鱗滝からそう言われた事がある。炎を操る鬼や風を操る鬼。もしかしたらーー

その可能性に気付いた菫はツボ、正確にはその中の賽子に向かって手を伸ばす。その勢いで賽子を掴むと出口に向かって走り始める。

鬼は陽光の下では活動できない。ここは蝋燭の灯りのみが照らしている為、分かりづらいが実際の時刻は昼。外にさえ出られれば日輪刀が無くても鬼を倒せる。

事情を知らない他の参加者が菫から賽子を取り戻そうと掴みかかってくるも、鬼と戦うために鍛えた菫にかなう筈もなく、あっさりとかわされる。

 

「痛っ?!」

 

出口まで、後一歩のところで賽子を握っていた手に、鋭い痛みが走る。それにより手から離れた賽子が空中で動きを止めると、その形が歪み始める。

 

「やっぱり……賽子に擬態してんだね!!」

 

「参考までに何故分かったか聞いておこう」

 

「賽の目の調整は場合を考えないとね」

 

黒髪で背丈は170くらいの痩せ型の鬼だ。他の参加者達は、突然賽子が鬼になったことに驚いている。

 

「皆逃げて!!コイツは……人食いだよ!!」

 

菫の言葉と目の前の状況、もはや疑う余地はない。皆蜘蛛の子を散らすように逃げて始める。その混乱の中、人の隙間をくぐり景品の中にある日輪刀に手を伸ばす。日輪刀を手に取り、目の前に持ってこようとして気付く。一人だけいた洋服の男。その男が菫の日輪刀を握っていた。

 

「逃げないんですか?」

 

「自らの刀を手放す鬼狩りがいるとは……面白い」

 

「それボクのなんですけど」

 

「一度手放したのであろう?ならばこれは私が貰っても問題無いはずだ」

 

ーーコイツは鬼や鬼殺隊の事を知っている。

周りには刀よりも高価な物もある。混乱に生じて盗みを働くつもりならそちらを狙えばいい。なのに真っ先に刀を手に取った。

 

「あなたはどっちなんですか?」

 

「心の中では分かっているのでは無いのか?」

 

「姉ちゃんから離れろ!!」

 

二人の会話に割って入るように男の後ろから、棒のようなものを持った凪が走り込んでくる。

 

「ダメ!!逃げて!!」

 

その姿を見て男がニヤリと笑う。

ーーこの男は危険だ。凪を守らないと

幸いにも男が握っているのは鞘だけ。すぐに持ち手を握り刀を引き抜くと、その凪を庇うように間に割ってはいる。それと同時に背中に鋭い痛みが走る。見なくても分かる。男が攻撃して来た。

 

「……姉ちゃん」

 

「凪……お願いがあるんだ。外に行ってマツリっていう喋る烏を探して。ボクの名前を言えば伝わるはずだから」

 

凪を外に逃がそうとする菫。その背中に付けた傷を見ながら男は僅かながらに驚いていた。

自分に攻撃をして来た凪を鬼にしようと攻撃した。それを菫が守るために変わりに受けた。それでも鬼にするという効力は残っていた。にも関わらず菫は鬼になっていない。

 

(鬼への抗体持ちか……それもかなり強い)

 

人によっては鬼に対しての抗体を持つ者がいる。普通は、異能ーー正確には血鬼術という、が効きやすいかどうかだが、まさか鬼にならない程強い抗体の持ち主が

いるとは。

 

「その鬼狩りを生け捕りにしろ。成功すれば十二鬼月にしてやる」

 

ーーべベン

そう告げると何処からか、琵琶の音が辺りに鳴り響き襖が現れる。

 

「焉集の為にもな」

 

その言葉とともに襖の奥へと消えていく男。

 

ーーべベン

二度目の琵琶の音。それと同時に消え去る襖。その場に残されたのは菫と鬼の二人だけだった。





大正こそこそ裏話

この物語は、元々は『紺野木綿季転生録』というSAOの
ユウキが死後、鬼滅の刃の世界に転生するという物語でした。
しかし、ストーリーの流れを考えていく際にユウキを使うのが難しい設定が出来た為今の形になりました。
菫という名前も変更時に適当に決めた名前です。
まさか物語の根本に関わる名前になるなんて……
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