鬼滅の刃〜炭次郎の姉弟子〜   作:ハマT

9 / 13

一戸桜CV近藤玲奈

今回から那田蜘蛛山です。
多分2、3話で終わりそう……


那田蜘蛛山
第9話那田蜘蛛山


 

一人は寂しい。それは鬼も人も同じだったのかも知れない。

ーー雪影の書第一項十二節より抜粋

 

 

菫が那田蜘蛛山の麓にたどり着いたのは、日没近くの夕暮れ頃だった。既に何人かの隊士が集まっていた。どうやらここにいる皆で入山するようだ。

 

(これバレるよね?)

 

何人かの隊士はこれからの任務に向けて刀の手入れをしている。その刀身に日の光が反射している。もしこれを見られたら、鬼にここに人が集まっている事が伝わってしまう。

罠でも張られてたら死ぬのはこっちだ。そう判断した菫は、一人その集団から離れていく。

 

「あの……」

 

「どこに行くんだ?」

 

いや二人程ついてきていた。サラサラのキューティクルヘアーの青年と、焦げ茶の髪をした少女だ。

 

「あの場所にいても餌になるだけだしね。ボクは別の場所から山に入ろうかなぁって」

 

「そうだったんだ……あ、私一戸桜っていいます」

 

「俺は村田だ。良ければこの三人で一緒に山に入らないか?」

 

 

「この山にいるのってどんな鬼なのかな?」

 

日没と同時に山に入った三人。鬼の気配を探りながら進むも鬼の気配を全く感じないでいた。どうやら最初の場所の隊士達の方に向かったようだ。

 

「戦いやすい地形を探しながら、最初の皆の方に向かおう。既に戦闘が始まっているならこっそり鬼の力を見られるし、もしバレなら見つけた場所まで誘導すればいいし」

 

菫の提案に少し引く二人。菫はサラッと他の仲間を囮にすると言った。一人集団から離れた事も含め、協調性がないように見える。でも山に入る前に話した限りだとそんな一面は見られなかった。

 

「菫ちゃんってさ、何で鬼殺隊に入ったの?」

 

「ボク?誰かを守る背中に憧れたからかな。桜は?」

 

「私は……」

 

ーーギギ

 

桜が話そうとした瞬間、変な音が聞こえた。それに合わせるように三人共警戒態勢に入る。

 

「気配は?!」

 

「……異臭がするだけで何も」

 

ーーガサリ

 

茂みが揺れ一人の人影が出てくる。鬼殺隊の隊士だ。全身ボロボロ、どうやら戦闘を終えた後のようだ。

 

「……助けて……くれ……」

 

「大丈夫ですか?!」

 

すぐに桜がその隊士に駆け寄り傷の手当てをしようとする。

 

「駄目だ!!その人に近づいたら!!」

 

菫が叫ぶと同時に村田が駆け出す。どうやら村田もその隊士の様子の可笑しさに気付いたようだ。

間一髪でその隊士の攻撃を受け止める村田。それを合図に周りから何人もの隊士が菫達に斬りかかってくる。

 

「おいやめろ!!俺達は味方だ!!」

 

「駄目です村田さん!!皆操られています!!」

 

鬼殺隊同士の戦闘は、隊立違反。そんな事はみんな知っている。それなのに攻撃してくるのは、操られている事以外考えられない。皆ボロボロなのも操られて同士討ちさせられたからだろう。

 

「酷い……皆まだ生きてるのに……」

 

桜の言う通り皆まだ死んでいない。操られているとはいえ、仲間を手に掛ければ心に大きな傷を残す事になる。

 

「一旦離脱しよう!!このまま戦ってボク達も操られたら元も子もないよ!!」

 

菫の提案に頷きその場を離れる二人。それに菫も続こうとするも他の隊士が妨害してくる。

 

「菫ちゃん!!」

 

「行ってふたりとも!!ボクは大丈夫だから!!」

 

そう言って二人と違う方向に移動する菫。それを何人かの隊士が追いかける。

桜達の方に行った隊士との割合は、9:1。操っている鬼は菫の方が脅威だと判断してこっちに人数を割いたようだ。

それは菫にとっても好都合。誰か一人でも生き残れば救援を要請できる。

相手の攻撃を迎撃し奥へ奥へと逃げる菫。二人が逃げる時間を稼ぐ。その為に、ひたすら奥へ皆を引きつける。

だがその足は途中で止まる。崖だ。かなり高い。移動しようにも隊士に囲まれ逃げ場は無い。

 

(やるしか無いよね…)

 

仲間と戦う覚悟を決めた瞬間、下から何かの音がした。

 

(この音もしかして!!)

 

音の正体が確かなら下にあるのはーー

確信はない。もし違ったら……。でも本能が飛び降りろと訴えてくる。

 

「ええい!!」

 

本能を信じで崖から飛び降りる菫。その姿は、完全に闇に飲まれ消えていった。

 

 

何処かの屋敷

 

「よく戻ってきたね。那田蜘蛛山の状況はかな。厳しいようだね。もしかしたら十二鬼月がいるのかも知れない。柱を行かせる必要がある。天元、しのぶ」

 

「「御意」」

 

「鬼も人も仲良くすればいいのに……そう思いませんか?」

 

「それは派手に無理だな。鬼は人を食らう。それを止めないとな」

 

 

同じ頃那田蜘蛛山の麓。花札の様な耳飾りを着けた隊士が、猪の被り物をした隊士と金髪の隊士と共に山を見上げていた。三人でしばらく話した後、金髪の隊士以外の二人は山の中へと歩を進めていった。





大正こそこそ話

菫は本能に従うほど物事がいい結果に転びます。最初にみんなの場所から離れたのも本能が呼びかけたからです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。