この悲運の主人公に救済を!   作:第22SAS連隊隊員

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書いている内にとんでもない容量になりました。どうしてこうなった。


Episode10 「J」ABBER DEVIL

ダクネスがアルダープの元へ向かい、今日で三日目の朝を迎えた。

広間では千翼がソファに座って本を読み、その隣でめぐみんがマグカップに入ったココアに息を吹きかけ冷ましている。暖炉前の特等席では、カズマとアクアがいつもの小競り合いを繰り広げていた。

 

「誰か! 誰か居ないか!」

 

朝の穏やかな時間に似つかわしくない、焦った声が屋敷に響く。一体何事だ。と住人達が部屋の出入り口を見やると、勢いよく扉が開かれた。

 

「ここに居たか。みんな、大変なんだ!」

 

「……えっと、どちら様ですか?」

 

広間にいきなり入ってきた人物――長い金髪を三つ編みにして前に垂らし、細やかな刺繍が入った純白のドレスを着た女性を見て、カズマが疑問交じりに尋ねる。

 

「んんっ! たった三日で他人行儀な扱い……じゃなくて、私だ! ダクネスだ!」

 

カズマの言葉に身を悶えさせると、謎の美女は気を取り直して自らの名前を名乗った。

この三日間、カズマ達が安否を心配していた仲間(ダクネス)だと言う美女に、一同が押し黙る。

 

『ええーっ!?』

 

そして、たっぷりと間を取ってから叫んだ。

 

「お前……本当にダクネスなのか?」

 

「全然分からなかった……」

 

男二人は普段の鎧姿からかけ離れた服装に戸惑い、

 

「ダクネス、とっても綺麗よ!」

 

「鎧姿も様になってましたが、ドレス姿はそれ以上に似合ってますよ!」

 

女二人は彼女の美麗な姿を賞賛していた。

 

「あ、ありがとう……って、そうじゃなくて! 大変だ、大変なんだ!」

 

アクアとめぐみんの言葉に、頬を赤らめながらダクネスは感謝を述べるが、危うく雰囲気に流されそうになったところで踏み止まった。

 

「このままでは結婚させられてしまう!」

 

そしてダクネスはアルダープの元に行っていた数日間に、何があったかを話し始めた。

流石のアルダープも、大貴族の令嬢であるダクネスに直接手出しをすることは出来ず。特に何もされてはいなかった。

その代わり、彼女が条件として出した『何でも一つだけ言うことを聞く』という約束に対し、アルダープは自分の息子との見合いをダクネスに勧めてきたという。

この見合いに娘の冒険者家業を辞めさせたいダクネスの父は大いに喜び、今も着々と見合いの話が進んでいる。

 

「いつもなら見合い話は遠慮無く断っているのだが、今回は父も相手を気に入っているし、見合い相手は領主であるアルダープの息子。下手に断ると家名に傷が付くから私も強く出ることができないんだ……」

 

「で、これがその見合い相手の息子さんなのね」

 

「すごい爽やかな好青年じゃないですか」

 

「何このイケメン、なんかムカつく」

 

「あの領主の息子とは思えないな……」

 

ダクネスから渡された見合い相手――アルダープの息子であるアレクセイ・バーネス・バルターの写真を見て、カズマ達は感想を述べた。

 

「実際、父親と違ってそれは領民思いな男でな。積極的に人々の意見を聞いたり、困っている人に配給を行ったり、時には過ぎた振る舞いをする父を諫めたりと。絵に描いたような聖人君子だ」

 

「なんだよ、超優良物件じゃねぇか」

 

「どこがだ! いいか、そもそも私が結婚相手に求めるのは、まず必須条件として一年中はつじょ――」

 

「うん、止めてくれ。その先は大体予想が付くから」

 

余り人前で言うべきで無いことを口にしようとしたダクネスを、げんなりした顔でカズマは止めた。

 

「んで、肝心の見合いだが――その話、受けようぜ」

 

「カズマ、話を聞いていたのか!? 私はこの見合いをどうやって断ればいいか相談を――」

 

「だから、そのために見合いを受けるんだよ」

 

そう言って、カズマはニヤリと笑った。

ダクネスの見合いを無かったことにするために、こちらからではなく相手から断らせる。それがカズマの考えた作戦であった。

一先ず見合いを受け、相手と行動を共にする。その中でダクネスの残念な部分をこれでもかと見せつければ、幻滅した見合い相手が自ら断ってくるであろう。

こうすれば「相手の方から断った」という事実があるため、ダスティネスの家名に傷も付かず、娘の行動を見た父親も次の見合い話は慎重にならざるを得ないという、まさしくうってつけな作戦であった。

 

「完璧だ! 完璧すぎるぞカズマ!!」

 

「ふっ、もっと褒めてくれ」

 

ダクネスが尊敬と感謝の眼差しを向け、カズマは髪を掻き上げると自慢げに胸を張った。

 

「それは良い案ですね! 面白そうだから是非とも一緒に行きたかったのですが、私はゆんゆんとの約束が……」

 

「俺も遠慮しておくよ、こういうのは向いてないだろうし。クエストでもこなしてくる」

 

残念そうな顔をするめぐみんと、申し訳なさそうな表情の千翼はそう言った。

 

「そっか。それじゃあ、俺とアクアがダクネスのサポートに付こう」

 

「ね、ね。ダクネスの家って高級なお菓子やお酒って置いてあるの?」

 

「遊びに行くんじゃ無いぞ」

 

アクアの頭を軽く叩き、カズマが窘める。

こうして、五人は各々の予定にしたがって解散した。

 

 

◆◆◆

 

 

その日の夕方、妙に疲れた顔をしているカズマがソファで横になり。広間では残る四人が静かに過ごしていた。

直に空が暗くなり、夕飯の時間が近づいてくる頃、扉が勢いよく開けられる音が屋敷に響く。

 

「サトウカズマアアアァァァ!! 今度という今度は言い訳させんぞおおおぉぉぉ!!」

 

次いで窓ガラスが震えるほどの怒声が放たれ、何者かが凄まじい速さで階段を駆け上がる。次の瞬間、扉が壊れる程の勢いで開けられた。

 

「サトウカズマ! やはり貴様の仕業か!!」

 

憤怒の形相のセナが広間に飛び込んできた。そのままカズマに凄まじい剣幕で詰め寄る。

 

「ちょ、ちょっと待った! 一体何なんだ、状況を説明してくれ!」

 

「とぼけるな、町の近くにあるキールダンジョンだ! あそこから奇妙なモンスターが発生しているとの報告を受けた。貴様の仕業だな!!」

 

「待ってくれ! 確かに最近あのダンジョンに潜ったのは間違いない。でも、探索をしただけで本当に何もしてないぞ!」

 

「……本当だな? 本当に心当たりは無いとエリス様に誓えるか?」

 

「無い! 本当に全く無い! お前らも無いよな?」

 

助けを求めるようにカズマが仲間に同意を求める。千翼は首を傾げ、残る三人は首を横に振った。

その様子を見て、どこか疑わしい顔をしつつもセナは一先ず落ち着く。

 

「わかりました。今は貴方たちの言葉を信じるとしましょう」

 

冷静さを取り戻して疲れが一気に出てきたのか、セナは大きく息を吐いた。

 

「本来であれば貴方たちも調査に協力して欲しいのですが、今はそれどころでは無いでしょう。私はこれから冒険者ギルドに協力を要請してきます。もし、気が変わって協力してくれるというのなら、何時でも待っています」

 

それでは。と一礼してセナは屋敷を出て行った。扉が閉まる音が聞こえると、思い出したかのようにカズマは大きく呼吸する。

 

「……っはぁー! 本当に何なんだよ全く。一応聞くけど、千翼はともかくお前達本当に心当たりは無いんだよな?」

 

「ありません。爆裂魔法絡みのことならともかく、全く心当たりはありません」

 

「私はそもそも、ここ数日はアルダープの所に居たから何もできないぞ」

 

「まぁ、そうだよな……で」

 

二人の言葉に頷きつつ、カズマは残る一人に鋭い視線を向けた。

 

「……アクア、本当の本当に何もしてないんだな?」

 

カズマの疑惑に、アクアは眉間に皺を寄せた。

 

「まー失礼しちゃう! 何で私だけそんなに疑われなくちゃいけないのよ。気分最悪なんですけど!」

 

「え、本当に今回はお前じゃないのか?」

 

「知らないわよ! そもそも私はあれ以来、キールダンジョンには潜ってないわ」

 

頬を膨らませ、アクアは不機嫌そうにそっぽを向いた。

 

「そうなのか。いや、疑ってすまなかった。ここのところ災難続きでイライラしてて……」

 

もしアクアの仕業なら、問い詰めた時点で動揺を見せるか、あからさまに怪しい挙動をするはずだ。そう思って確認をしたカズマであったが、彼女の反応はいつも通りで特に不審な動きは見せなかった。

殊更疑ったことを謝罪するが、次の彼女の言葉でそれは即座に無意味なものとなった。

 

「寧ろあのダンジョンに関しては感謝して欲しいくらいよ。あのダンジョンの主であるリッチーを浄化した際に作った魔法陣は、そりゃあもう本気を出して作ったんだから。今でも残っているだろうし、あのダンジョンに邪悪な存在は近寄ることすら……」

 

最後まで言い終わらぬうちに、カズマはアクアの頭をガッチリと掴んだ。

 

「へぇー、じゃあつまりなんだ。あのダンジョンの奥には、お前が作った魔法陣が今でもしっかり残っていると?」

 

「そ、そうよ。ところでカズマ、笑顔がすっごく恐いんですけど。というか私の頭を掴んでいる手に少しずつ力が、いた、いたたたた! 中身が出ちゃう!!」

 

カズマの手をバシバシと叩いてアクアは藻掻くが、無意味な抵抗であった。彼女がギブアップしたところでようやくカズマは手を離し、アクアは痛む頭を擦る。

 

「こうしちゃ居られない。すぐにでも魔法陣を消しにいかないと余計な誤解を招く! お前はもちろん来るよな?」

 

「い、行くわよ! 行けばいいんでしょ!」

 

 

◆◆◆

 

 

背中に弓と矢筒を背負い、掃除道具を携えたカズマを先頭に、五人は夜道を歩いていた。一刻も早くアクアが作った魔法陣をセナが見つける前に消さなければ、カズマへ更にあらぬ疑いが掛けられることとなる。

ただでさえ無実を証明する方法が見つからなくて困っているというのに、これではカズマの立場は更に悪化する一方である。

 

「なぁ、カズマ。キールダンジョンってなんだ?」

 

「アクセルの近くにあるダンジョンだよ。詳細は長くなるからは省くけど、その昔キールって大魔術師とお姫様が駆け落ちして、追っ手を返り討ちにするためにキールが作ったダンジョンさ。ほら、ちょうど見えてきた」

 

その質問に答えつつカズマが指を差す。その先には大きな洞窟があった。そして、その中から小さなが何かが絶え間なく出てきている。

 

「何かいるみたいね……」

 

「このままだと鉢合わせだな。みんな、茂みに隠れてダンジョンに近付くぞ」

 

五人は脇道の茂みに素早く隠れて出来る限り背を低くし、音を立てないようにしながらダンジョンに近付く。出入り口前の様子がよく見える距離まで近付くと、カズマ達は木陰に隠れながら少しだけ顔を出した。

 

「なんだあれ……」

 

ダンジョンから仮面を着けた人形が、列をなしてゾロゾロと現れていた。背丈は人の膝ほどで、一糸乱れぬ隊列と歩調でどこかへと向かっている。

 

「あれが検察官が言っていた奇妙なモンスターでしょうね」

 

「本当に変わっているな、あんなモンスター見たことがないぞ」

 

めぐみんとダクネスが物珍しそうに呟く。一体どれほどの数がいるのか、こうしている間にも次から次へと人形が姿を現す。

 

「あら、サトウさん。なぜこんなところに?」

 

後ろから名前を呼ばれたカズマが振り返り、続いて千翼達も後ろを向く。そこにはセナと、頑丈そうな鎧や盾を装備した冒険者達がいた。

 

「もしかして、手伝ってくれるのですか?」

 

ギクリ、とカズマは肩を震わせる。

 

「え、ええ。俺も色々と考えたのですが、やはり一人の冒険者として今回の件は見過ごせなくて。こんな時こそ俺たちのような人間の出番だろうと」

 

「……まぁ、今はそういうことにしておきましょう。協力には素直に感謝します」

 

明らかな疑いの眼差しをカズマに向けつつも、セナは特に追求はせず感謝の印として頭を下げる。てっきりここに居る理由を根掘り葉掘り聞かれると思っていたカズマ達は、彼女の意外な反応に呆気に取られた。

 

「ええと、とにかく。あの人形が奇妙なモンスターで間違いないんだな?」

 

「はい。数日前から突然現れまして。恐らく自然発生したものではなく、何者かが召喚しているのでは、と考えています」

 

人形は途切れることなくダンジョンから出てきている。確かにこの数は自然発生にしては余りにも多過ぎだ。

と、人形をじっと見詰めていたアクアの眉間の皺がどんどん深くなり、それに合わせて表情も険しくなる。

 

「なんでかしら……あの人形を見てると妙に腹が立つというか……石投げてやる!」

 

「あ、ダメです!」

 

セナの制止も間に合わず、アクアは足下に落ちていた石を拾うと、それを人形目掛けて思い切り投げ付けようとした。すると、人形の一体がアクアの方を向き、凄まじい勢いで走ってくる。

 

「ヤバい! みんな逃げろ!」

 

アクアを残して全員が四方八方に逃げた。一人反応が遅れたアクアは、周りをキョロキョロ見回して立ち尽くす。そんな彼女の脚に人形が抱きついた。

 

「あら、抱き付くなんて意外と可愛いじゃないの。それによく見ると愛嬌があるわね」

 

「アクアさん! 今すぐそれを引き剥がして!」

 

セナが大慌てで叫ぶが、対するアクアは肩を竦めた。

 

「何言ってるのよ、こんなに愛くるしいって、あれ? なんかだんだん熱くなってきあちちちちち! 熱い熱い!!」

 

抱き付いた人形から煙が上がり、辺りに何かが焼ける音と臭いが広がる。次の瞬間、人形が爆発した。辺り一面に爆風を撒き散らし、砂埃や小石を巻き上げる。

 

「アクア!」

 

カズマの悲鳴にも似た叫びが夜空に木霊した。肝心のアクアの姿は、爆煙で隠れて何も見えない。

爆煙が晴れた時、そこにあったのはクレーターの中央で蹲るように倒れたアクアの姿であった。

 

「何よこれ! なんで爆発するのよ!!」

 

しかし、彼女は即座に起き上がって叫んだ。全身が煤だらけだが、特に怪我をしている様子は無い。

 

「これがこのモンスターの厄介な性質でして、僅かでもダメージを受けたり、近くに動く物がいると抱き付いて自爆するんです。しっかりと防御を固めていれば耐えられないことはありませんので、幸いにも犠牲者は出ていません。ですが、とにかく数が多くて調査を進めることができず困っています」

 

「あれ全部が爆弾なのか……」

 

「いや、ヤバすぎだろ」

 

千翼とカズマは改めて洞窟から出てくる人形の群れを見た。初見はただの人形だと思っていたが、今は絶対に近付きたくない恐怖の存在に見えた。

 

「面倒くさいですね。爆裂魔法で入り口を塞ぎましょう! これでダンジョンに入らずとも全て解決です!」

 

「だ、ダメです! もしかしたらあれを召喚している犯人はテレポートが使えるかも知れません! もし逃がしてしまったら一大事です!」

 

意気揚々とめぐみんは杖を掲げ、お得意の爆裂魔法の詠唱を始めるが、セナが慌てて中止させた。不満そうな顔をしつつも、めぐみんはしぶしぶ杖を下ろした。その影で、カズマは残念そうに小さく舌打ちする。

ほっと胸を撫で下ろすと、セナはポケットから奇妙な紋様が描かれた二枚の札を取り出す。

 

「これは強力な封印の魔法が込められた札です。召喚陣の中には自動的に召喚を続けるタイプの物もありますが、これを貼れば即座に封印することができます。万が一を考えて予備も渡しておきますね」

 

札を受け取ったカズマは、それを落とさないようにズボンのポケットに入れる。札の存在を確かめるように上からポケットをパンパンと叩き、困り顔で人形達を見た。

 

「あとの問題はあれだな……って、何やってんだダクネス!!」

 

見ると、ダクネスが人形に向かって真っ直ぐ歩いていた。当然ながら人形が反応し、先ほどのアクアと同じように脚にしがみ付く。次の瞬間、人形が爆発してダクネスの姿が見えなくなった。

誰も彼もが息を飲んで爆煙を見守っていると、風が吹いて煙を吹き飛ばした。そこにはあちこちに煤を付けたダクネスが、何事もなかったかのように立っていた。

 

「ふむ、問題なし。これならいけるな」

 

爆発のことなど気にせず自分の体の具合を確かめると、ダクネスは振り返った。

 

「カズマ、先頭は任せろ。私の本気を見せてやる」

 

自信満々で彼女はそう言った。

 

 

 

 

 

「ふはははは! この程度か、ドンドンこい!」

 

ダンジョンの先頭を歩くダクネス目掛けて、人形が次々と襲ってくる。ダクネスは手に持つ大剣を右に左に振るうと、人形はあっさりと切り裂かれ爆発した。

至近距離で爆発を受けたにも関わらず、ダクネスはお構いなしにドンドン前に進んでゆく。

 

「すげー、ダクネスがまともに聖騎士(クルセイダー)やってる」

 

「頼もしい限りだね」

 

その後ろ。彼女から少し離れた場所で、カズマと千翼は高笑いする仲間の聖騎士(クルセイダー)の活躍を眺めていた。

ダクネスが戦闘に集中できるよう、カズマは持ってきたデッキブラシの先端にランタンを引っかけ、それをダクネスの頭上に掲げている。

暗闇の向こうから新手の人形が姿を現すが、それらは全て大剣で斬り裂かれ爆散した。

 

「いやはや、まさか聖騎士(クルセイダー)が居るなんて」

 

「これで騒動の犯人を捕まえられるな!」

 

カズマ達の更に後ろでは、守りを固めた冒険者達が余裕の表情で会話をしていた。

――まずい、このままじゃ。

カズマは人知れず冷や汗を流した。

もし、彼らと共にダンジョンの最深部に辿り着いてしまったら。そこにあるアクアが作った魔法陣の存在がセナに知られてしまう。そうなったら最後、ただでさえ自分を疑っているセナは、その疑惑を確信に変えるだろう。それだけは何が何でも避けなければならない。しかし、そのためにはどうすればいいのか、カズマは思い付かなかった。

 

「つまらん! なんならこっちから行くぞ!」

 

そんなことは露知らず、作業的に人形を斬っていたダクネスは気持ちが高揚していたのも相まって、突然走り出した。

――チャンスだ!

そして、カズマはこの好機を逃さなかった。

 

「千翼、俺たちも走るぞ!」

 

「え、でも!」

 

千翼が戸惑っていると、後ろから冒険者達の悲鳴が響く。

 

「う、うわあああ! モンスターが!」

 

「こっちくるな!」

 

壁役のダクネスが一人突っ走ってしまい、横道から現れた人形の群れは、後ろを歩いていた冒険者達に襲いかかっていた。

抱き付いてきた人形を必死に引き剥がそうとするが、間に合わずに次々と爆発する。

 

「あいつら防具はしっかりと着込んでいるから、そう簡単に死にはしない。申し訳ないが魔法陣が最優先だ、ほら行くぞ!」

 

千翼の背中を叩いて、カズマは急いでダクネスの後を追った。悲鳴を上げながら人形と戦う冒険者達を一瞥し、千翼は申し訳なく思いつつ、心の中で謝罪してから走り出した。

 

 

 

 

 

後ろのことなど気にもかけずに突っ走ったダクネスを必死に追いかけ、いつの間にかカズマと千翼はダンジョンの最深部に辿り着いていた。まずは上がりきった息を整え、何故か立ち止まっているダクネスに近付く。

 

「おい、ダクネス。立ち止まってどうしたんだ?」

 

「カズマ、あれを見ろ」

 

ダクネスは大剣で前方を指した。千翼とカズマがその先を見ると、そこには口元の開いた仮面を着けた黒のタキシード姿の男が、胡座を掻いて地面に座っていた。白手袋を嵌めた両手で地面の土をかき集めると、それを丁寧に捏ねる。次に形を整えると、ここまでの道中で嫌というほど見てきた人形があっというまに出来上がった。

 

「どう見てもあいつが元凶だよね」

 

「まぁ、今まさに人形を作ってるしな」

 

仮面の男はカズマ達の存在に気付かないのか、一心不乱に人形の細かい部分の微調整をしている。

ダクネスが鎧を鳴らしながら男に近付き、手に持つ大剣の切っ先を突き付けた。

 

「貴様、ここで何をしている」

 

ここでようやく仮面の男はダクネスの存在に気が付いたらしく、人形を作る手を止め、目の前の女騎士を見上げた。

 

「おや、人間が何故こんな奥まで?」

 

「そんなことはどうでもいい。貴様がその人形を作っているのだな? おかげで外が大騒ぎになっているぞ。ここで成敗してくれる!」

 

「外? ということはダンジョン内の掃除は終わったと言うことか、じゃあ次は……」

 

ダクネスを無視して、仮面の男はブツブツと独り言を呟く。自分の存在を無視されたのが癇に障ったか、ダクネスの片眉が震えた。

 

「ふざけた真似を。覚悟しろ!」

 

「まぁ待て、最近腹筋の割れ目がより鮮明になってきたことを気にしている女よ。理由も聞かずに斬り掛かるとはさすがにどうかと思うぞ」

 

仮面の男の言葉に、ダクネスが盛大に吹き出した。

 

「だだ、誰が腹筋を気にしている女だ!」

 

顔を真っ赤にしながら、ダクネスが大声で怒鳴る。

 

「お前が人形を作っているのは間違いないとして、アンタはどこの誰で、何の目的でこんなことをしているんだ?」

 

叫び続けているダクネスを無視して、カズマが質問した。その様子に男は感心したように何度も頷く。

 

「ほう、ギルドの受付嬢かいっそのこと店員で夢を見るのもありかなと考えている男よ。汝は話が分かるようだな」

 

男の言ったことが理解できないダクネスと千翼は首を傾げ、カズマは慌てて「あいつの言葉に耳を貸すな」と誤魔化した。

仮面の男は手元の人形を崩し、土に戻してから立ち上がった。服に付いた土埃を払い落とすと改めてカズマ達を見やる。かなり大柄な体格で、自然と三人を見下ろす形になった。

 

「聞かれたならば名乗るのが礼儀というもの。聞け、我が名はバニル! 悪魔達を率いる地獄の公爵にして、魔王軍幹部が一将! 全てを見通す眼を持つ大悪魔なり!」

 

「魔王軍幹部だと!」

 

「ま、マジかよ!」

 

「っ!」

 

魔王軍幹部という想定外の敵の出現に、カズマ達は反射的に身構えた。ダクネスは大剣を構え直し、千翼はベルトにインジェクターをセット、カズマは弓を手に取り素早く矢を番える。

相手がいつ動いても対処できるよう、三人は片時も眼前の悪魔から目を離さなかった。

 

「貴様が魔王軍の幹部と聞いて、なおさら退くわけにはいかなくなった。刺し違えてでも貴様を討つ!」

 

「ほほう、飽くまで戦いを挑むか鎧娘よ。我輩は魔王からの頼みで、とある調査と私用でこの地を訪れただけであって、汝らとやり合うつもりは毛頭も無いのだが」

 

「っ! ダクネス、ちょっと待て!」

 

バニルの『戦う気は無い』という言葉にカズマは反応し、今にも斬り掛かりそうなダクネスを止める。当の本人は納得いかない顔でカズマを睨むが、構えていた剣を一先ず下ろした。

 

「じゃあ、つまりなんだ。アンタは魔王に頼まれて調査に来ただけで、別に侵略しにきた訳じゃないんだな?」

 

「その通りだ、魔道士の娘か鎧娘の下着、どちらを拝借しようか毎晩悩んでいる男よ。我輩の目的は幹部であるベルディアを誰が倒したかの調査。そして、やる気がひたすら空回りして、商才の欠片も無い能なしリッチーに用事があってやってきたのだ」

 

「な、なんでそれを知ってんだよ! ダクネス、顔を赤らめながら不満そうな顔を向けるな! それと千翼、その顔はマジで止めてくれ……反省してるから……」

 

ダクネスと千翼、それぞれから意味深な眼差しを向けられたカズマは、勘弁してくれと言わんばかりに顔を覆った。

 

「言っただろう、我輩は全てを見通す悪魔。その者の現在はもちろんのこと、過去も未来も、何もかも我輩は全てお見通しだ。隠し事など無意味だと理解するのだな」

 

「俺、こいつすっげぇ嫌いだ……」

 

「うむ、実に美味な悪感情だ、感謝するぞ。ちなみに我輩のような悪魔は、食事として人間の悪感情を頂いている。つまり人間を殺すこと、それは即ち金の卵を産む鶏を締めるようなものだ。故に我輩は人間を絶対に殺さないと決めている」

 

「どうでもいい情報ありがとさん」

 

憎たらしげにバニルを睨みながら、カズマは吐き捨てるように言った。

 

「そのリッチーって……もしかしてウィズさんのことか?」

 

「如何にも。我輩はとある壮大な、生涯をかけて追い求める夢を実現させるために金が必要でな。それを稼ぐために、古い友人であるポンコツリッチーの店でしばらく働こうと思ってやってきたのだ」

 

千翼の質問にバニルは答え、次いで両手を広げて天井を仰ぎながらそう言った。

 

「生涯をかけて実現させたい悪魔の壮大な夢って、嫌な予感しかしないぞ……」

 

「ふっ、こんな時でも鎧娘と約束した『ものすごいこと』に何を要求してやろうか悩んでいる男よ。その程度の脳味噌しか持たぬ貴様には、我輩の高邁(こうまい)な夢は到底理解できまい」

 

「それはいま関係ないだろ! 期待に満ちた眼差しでハァハァするなダクネス! 千翼、お願いだ。引かないでくれ。あの時は状況的にそう言うしかなかっただけで……」

 

眉間に皺を寄せながら、千翼はカズマから一歩距離を取った。

 

「それで、汝らは戦う気があるのか? 我輩としては面倒を避けたいのだが」

 

「俺たちの目的は奥の部屋にある魔法陣を消すことだからな。アンタがこれ以上の人形作りを止めて、戦う気が無いって言うなら、さっさと用事を済ませて帰るよ」

 

「ほう、あの忌々しい魔法陣を消すことが目的とな? あれは人間にとっては良いこと尽くめの代物、何故それを消す?」

 

「こっちもこっちで、色々と事情があるんだよ」

 

さっさと目的を果たして帰りたい一心のカズマは、面倒くさそうな顔をしながらそう言った。しかし、その態度が逆にバニルの好奇心を刺激してしまったらしく、大悪魔は口をニヤリと曲げる。

 

「なるほど、色々と込み入った事情があるのか。では、汝の過去をちょっと拝見……」

 

「あ、止めろ! 勝手に覗くな!」

 

バニルは手で庇を作り、それを額に当ててカズマを見詰める。勝手に自分の事情を覗き見られたカズマは、両手を顔の前でぶんぶんと振り回した。

 

「ふむ……ほうほう……ククク……フハハハハハ!!」

 

どうやらカズマがここ来た理由を全て見たらしく、バニルは両手を広げ、体を仰け反らせながら狂ったように笑う。

 

「なるほどなるほど、そういうことか! そして、この魔法陣を作ったのはあの駄女神か! 我輩の夢を邪魔したことを後悔させてくれるわ!!」

 

目を赤く光らせながらバニルは両手の拳を握る。どうやら駄女神(アクア)が作った魔法陣が余程邪魔だったらしく、先程までとは打って変わってその声は怒りに震えていた。

 

「アクアのところへ向かうつもりか? そうはさせんぞ!」

 

ダクネスが勇ましく叫び、バニルは不気味な笑い声を口から漏らす。

 

「クックック、超強いと評判の我輩を食い止めるつもりか? だが安心しろ、先程も言ったとおり人間は絶対に殺さないのが我輩のポリシーだ」

 

「舐めるな!」

 

ダクネスが気迫と共に飛びかかり、大剣を振った。白銀の刃は悪魔の首目掛けて迫り、触れる寸前にバニルは微かに仰け反った。切っ先が喉元を掠める。

 

「ほらほら、もっとよく狙わないと!」

 

バニルは自分の首を指差しながら挑発する。

 

「アマゾン!」

 

インジェクターのピストンを叩き、千翼はアマゾンネオに姿を変えた。再度インジェクターを叩いてブレードを展開し、バニルに突撃する。

 

「ハッ!」

 

「おおっと、今のは危なかったぞ!」

 

猛烈な速さで繰り出されたブレードの突きを、バニルは腰を横にずらすことで回避した。

千翼とダクネスは一旦飛び退いてバニルから距離を取る。横目で互いを見ると小さく頷き、今度は二人同時に斬り掛かった。

 

「フハハハ、無駄なことを!」

 

絶え間なく繰り出される二人の斬撃を、バニルは紙一重で次々と躱していた。

首を捻り、体を仰け反らせ、時には関節をあり得ない方向に曲げる。まるで宙を漂う羽毛のように軽やかに、鮮やかに二人の猛攻を易々と避け続ける。

――まだだ、まだ撃つな。

矢を番えたまま、カズマはじっとチャンスを窺っていた。今、矢を放ったら二人を誤射してしまう恐れがある。それに適当に矢を放ったところで、あの悪魔には掠りもしないだろう。

自分の為すべきことは敵を倒すことではなく、二人の援護をすること。そう言い聞かせて姿勢を保ち続ける。

そして、好機はついに訪れた。

千翼とダクネスはもう一度飛び退いてバニルから距離を取った。バニルとカズマの間に一直線の空間が生まれ、ついに射線が通った。カズマは大きく息を吸い込む。

 

「おい、バニル! こっちを見やがれ!」

 

「なんだ?」

 

いきなり自分の名前を呼ばれ、バニルは思わずそちらを向いた。そこには弓を引き絞るカズマの姿が。

 

「狙撃っ!」

 

右手が離され、弦が勢いよく元に戻る。それに合わせて番えられていた矢が押し出された。

『狙撃スキル』の効果により、カズマの幸運が矢に作用する。放たれた矢は()()()()()真っ直ぐバニルに向かっていた。猛烈な回転を伴って、カズマの一撃が飛翔する。

悪魔の仮面に矢が直撃した。よほど硬い材質なのか金属音を立てて矢は弾かれ、そのまま地面に落ちた。

 

「ぐはっ! この、よくも我輩の仮面に……!」

 

「もらったぞ!」

 

仮面に矢が当たり、その衝撃で一瞬だがバニルが硬直する。その僅かな時間は戦闘時に於いて余りにも致命的だった。

動きが止まった瞬間を逃さず、ダクネスとネオ(千翼)は左右からバニルを切り裂いた。血は一滴も流れなかったが、大柄な悪魔の体が横に三分割される。

上半身、腹、下半身が地面に落ち、バニルは自分の身に起きたことが信じられないのか、戸惑いながら驚愕する。

 

「バカな……我輩が、この程度の輩に……こんなことが……」

 

カズマ達の見ている前でバニルの体はあっという間に土塊に変わり、崩れ落ちてダンジョンの一部と化した。後には仮面だけが残される。

 

「……」

 

「……」

 

「今の反応からして……やった……よな?」

 

不用意なことを言わないように、慎重にカズマが口を開く。十秒ほどの時間が経過したが、何も起こらなかった。三人が一斉に息を吐く。

 

「終わったな……」

 

「倒せて良かった……」

 

「はぁー! マジでどうなるかと思ったぜ」

 

魔王軍幹部を撃破し、緊張から解放されたカズマ達はようやく肩の力を抜いた。

ダクネスは構えていた大剣を下ろし、千翼はインジェクターを引き抜いて元の姿に戻る。カズマは弓を背負うと、ダンジョンの奥――アクアが作った魔法陣が設置されている部屋を見た。

 

「さて、それじゃあ魔法陣をちゃっちゃと……」

 

「フフフ……ハーッハッハッハッ!」

 

突然、笑い声が響き渡り、三人は即座に身構える。声の主を探して辺りにくまなく視線を走らせるが、姿は見当たらない。

 

「まさか不意打ちを食らうとはな。流石に汝らを甘く見ていたようだ」

 

地面に落ちた仮面がカタカタと震えると、その下にあった土を吸い上げ人の形を取る。次の瞬間には、タキシードを着た大柄な男がそこに立っていた。

 

「嘘だろ、こいつ不死身かよ!?」

 

「我輩があの程度でやられると思った? 残念でした! 本体はこの仮面だから、これをどうにかしない限り我輩は何度でも蘇るぞ!」

 

「クッソ、まじでうぜぇ……」

 

悪感情の提供感謝するぞ。と言いながら、バニルは何故かダクネスを見詰めていた。何かを思いついたのか、露出した口元を歪める。

 

「このまま汝らが疲れるまでやり合ってもよいのだが、それでは余りに芸がない。そこで、我輩は面白いことを思いついた!」

 

言いながらバニルは仮面に手をかける。

 

「そこの女! 汝の体、貰い受けるぞ!」

 

そして、仮面をダクネス目掛けて素早く投げた。

 

「「ダクネス!」」

 

カズマと千翼、二人が声をかけた時は既に遅く、彼女の顔には白黒の仮面が貼り付けられていた。バニルの体が土塊に戻り、崩れ落ちる。

ダクネスは両手を垂らしたまま俯き、微動だにしない。カズマと千翼が息を呑んで様子を窺っていると、女騎士はゆっくりと仮面を着けた顔を上げ、口元に怪しい笑みを作る。

 

「フハハハハ! 乗っ取りかんりょ(おお、こ、これは!)さぁ、大切な仲間を相手に(敵に体を乗っ取られ、止むなく味方と刃を交えるというシチュエーション!)汝らはこの女を犠牲に(死ぬまでに味わいたいプレイがこんなところで叶うなんて!)やかましい!!」

 

バニルと体を乗っ取られているはずのダクネスが交互に喋る。自分の台詞を一々遮るダクネスに、業を煮やしたバニルが叫んだ。

 

「クソッ、どういうことだ。なぜ支配が(カズマ、チヒロ。私に構うな!)普通ならば一瞬で(私の犠牲でこの悪魔を討てるならば本望だ! やれ!)一体どうなって(くぅぅぅ……この台詞を一度言ってみたかった!)やかましいと言っておろうが!!」

 

端から見ればダクネスが自分自身と言い争いをしているという、何とも言えない光景にカズマと千翼は戸惑っていた。どうしたらいいか分からず、どうすることも出来ずに二人は只々立ち尽くす。

やがて、カズマは当初の目的を思い出し、足下の掃除道具を拾い上げる。

 

「千翼、あれは大丈夫そうだし、ほっといて魔法陣を消そうぜ」

 

「あー……うん」

 

一先ずバニルの動きを封じることには成功したので、二人は魔法陣の消去に取りかかることにした。

奥の部屋に入ると、件の魔法陣が煌々と光を放ち部屋を照らしている。カズマと千翼は手分けして掃除を行い、跡形もなく綺麗に消したことを確認してから部屋を出た。

 

「ええい、往生際がわる(クッ、たとえ体を好きに出来ても、心まで好きに出来ると思うな!)もうこの際だからハッキリと言うぞ。貴様この状況を楽しんで(ば、バカなことを言うな! 大ピンチで焦っているぞ!)だったらさっきから溢れんばかりに湧き出るこの喜びの感情はなんだ!! 隠せると思うたか!!」

 

部屋から二人が出ると、心なしか先ほどよりも色々な意味で状況は悪化していた。

 

「うわぁ……」

 

まさに混沌としか言い様のない状況に、カズマは思わず心の声が漏れた。千翼も同感だったらしく、二人揃って顔を歪める。

と、何かを思い出したのか。カズマはズボンのポケットに手を突っ込みながら、未だに言い争いを続けるダクネス(バニル)に近付く。彼女の傍までやってくると、ポケットから手を出して何かを仮面に貼り付けた。

 

「ほい」

 

「ん? 貴様何を貼り付け……なんだこれは、触れない」

 

カズマが手をどかすと、悪魔の仮面にはお札が――セナから受け取った、封印の魔法が込められたお札が貼られていた。

ダクネス(バニル)がそれを剥がそうとするが、触れる度に小さな火花が散って指先を弾く。

 

「それは封印のお札だ。もしかしたらと思ったけど大当たりみたいだな」

 

「何!? クッ! この体から抜け出せない! よくもやって(カズマ、でかしたぞ! これでバニルは逃げられない!)」

 

ダクネスの体にバニルを閉じ込めることに成功し、カズマは小さく笑みを浮かべる。自分を嵌めた少年に、ダクネス(バニル)は歯ぎしりしながら睨み付けた。

 

「おおっと、我輩としたことが大切なことを言い忘れていた。支配に抵抗すればするほど、この女の体に激痛がはし(くううぅぅ、先程から絶え間なく感じているこの痛み。堪らん!) 貴様には恥じらいという物がないのか!! それから喜ぶな!!」

 

もはや呆れ果てたカズマは盛大に溜息を吐いた。そして千翼は、焦るどころか寧ろ喜んでいるダクネスに引き攣った笑みを浮かべている。

 

「とりあえず、地上に戻るぞ。アクアならきっと何とかしてくれるはずだ」

 

「(いや、私はこのままで一向に構わんのだが)」

 

『……』

 

ダクネスは隠すことなくハッキリと本心を口にする。

聞かなかったことにしよう。ダクネスを除いた三人は、全く同じことを考えた。

 

 

 

 

 

それからカズマ達は、ダクネスに封じ込めたバニルを今度こそ倒すため、地上を目指して来た道を引き返していた。

あれでも一応は女神であるアクアなら、きっと何とかしてくれるだろう。期待と不安を半分ずつ胸に抱きながら、カズマは走り続ける。

途中で人形達に襲われていた冒険者の集団とすれ違った。どうやら人形は全ていなくなったらしく、応急処置を施したり、歩けない者に肩を貸すなどして助け合っていた。

 

「あれ、さっきの聖騎士(クルセイダー)の姉ちゃんじゃねぇか」

 

「なんであんな変な仮面着けてんだ?」

 

カズマ達は走る速度を上げた。ダンジョンの奥で何があったのか、正直言って説明するのが余りにも面倒くさかったからだ。

誰かに話しかけられるが、聞こえないふりをして通り過ぎる。この問題を解決すべく、一刻も早く地上に戻りたかった。

やがて、通路の先に月明かりで照らされた外の景色が見えてくる。あとはアクアに任せれば今回の件は全て解決だ。そう思った時であった。

ダクネス(バニル)の口元が笑みを作ると、出入り口に向かっていきなり全速力で走り出す。

 

「フハハハハ! バカめ、我輩が人間如きに手こずると思ったか!(あ、ああ……私の意識が……これが堕とされる快感……)少しは自重しろ!!」

 

「しまった! あいつ手加減してたのか!」

 

カズマと千翼が急いでその後を追うが、差はドンドンと開くばかり。

 

「さぁて、何も知らないあの駄女神め。仲間からいきなり攻撃されたらどんな顔をするのか、実に楽しみだ!!(こ、このままでは……)」

 

ついにダクネス(バニル)は地上に躍り出た。月明かりに悪魔の仮面が照らされる。

 

「さぁ、覚悟しろ駄女神! 我輩の恐ろしさをたっぷり(アクア……逃げてくれ……)」

 

「セイクリッド・エクソシズム!」

 

「ぎゃあああああ!!(ぎゃあああああ!!)」

 

地上に飛び出したダクネス(バニル)が闇夜を照らす白い炎に包まれた。月と星が浮かぶ夜空に二つの悲鳴が響き渡る。

 

「ダンジョンからいや~な臭いがしたから魔法を撃ったけど、大当たりね。ほんと、悪魔の臭いって鼻が曲がりそうだわ」

 

魔法を放った当の本人、アクアは鼻をつまみながら、臭いを散らすように手を扇ぐ。

遅れてダンジョンから出てきたカズマと千翼は、地面に倒れる仲間の姿を見て目を見開いた。

 

「何やってんだ! ダクネスが巻き添えになってるだろうが!!」

 

「大丈夫よ。浄化魔法は人間に一切効果がないから」

 

「(あ、本当だ。なんともない)」

 

アクアの言うとおり、人間であるダクネスの体は特に異常はなかった。しかし、悪魔であるバニルは今の一撃で相当なダメージを受けたらしく、仮面のあちこちがヒビ割れ、薄く煙が立ち昇っていた。

ダンジョンから出てくるなり問答無用で魔法を放った女神に、ダクネス(バニル)は拳を震わせながら怒りを露わにする。

 

「おのれ駄女神。出会い頭にいきなり魔法をぶち込んでくるとは随分な挨拶だな!!(と、ところでアクア。さっきの臭いというのはもちろんバニルのことであって、私のことではないよな!?)許さん、絶対にゆるさ(私とて騎士である前に一人の女だ。身嗜みには人一倍気を遣って)少しは黙らぬかあああぁぁぁ!!!」

 

とうとう悪魔の堪忍袋の緒が切れ、ダクネス(バニル)は天高く咆えた。肺の中の空気が一つ残らず全て吐き出され、雄叫びが木霊する。

女騎士は肩を上下させながら貪るように息を吸い、ある程度息が整ったところでアクアを睨む。

 

「さて、悪名高きアクシズ教の女神よ。自己紹介がまだだったな。我が名はバニル! 魔王軍幹部が一将にして、全てを見通す眼を持つ大悪魔なり!!」

 

「ま、魔王軍幹部ですって!?」

 

「か、カズマ! なんでダクネスが!?」

 

「二人とも下がってろ! あいつはマジでやばい!」

 

セナとめぐみんを庇うように、カズマと千翼は彼女達の前に並び、バニルと向き合って身構えた。

 

「カズマ、これは一体どういうことですか!? なんでダクネスが幹部などと……」

 

「人形を作っていたのはあの仮面の悪魔で、そいつがダクネスの体を乗っ取って操っているんだ!」

 

「カズマが封印の札を貼ったから、あいつはダクネスから離れることができない。でも、仮面が本体だからそれを何とかしないと倒せないんだ!」

 

「だ、ダスティネス家のご令嬢の中に!? サトウさん! 貴方は自分が何をしでかしたか理解しているんですか!?」

 

でも、本人は結構喜んでるぞ。危うく口から漏れそうになった言葉を、二人は何とか飲み込んだ。

 

「雑談は終わったか? そこの男が言ったとおり、この女は我輩が支配している。下手なことをしようものなら大変なことになるぞ! ま、汝らはともかく。下品で野蛮で、オマケに頭も足りないアクシズ教の女神にどうにか出来るとは思わんがな。(あ、アクア。今のはバニルの言葉だぞ!)」

 

下品で野蛮、オマケに頭も足りない。という言葉に反応し、アクアの片眉が跳ね上がった。両手を突き出すと息を吸い込み、大声で魔法を唱えた。

 

「セイクリッド・クリエイトウォーター!!」

 

アクアの手から大量の水が勢いよく放たれ、一直線にダクネス(バニル)へと向かう。

 

「がぼぼぼぼぼ!!(がぼぼぼぼぼ!!)」

 

高圧の水が直撃し、ダクネス(バニル)の姿を隠した。水しぶきが空高く舞い上がり、月明かりに照らされた水滴が夜空に虹を架ける。

 

「バカ! ダクネスが溺れ死ぬだろ!!」

 

「おっと、いけないけない」

 

カズマの慌てた声を聞いて、アクアは素直に放水を止めた。濁流の中からずぶ濡れになった聖騎士が姿を現す。

 

「え、ええいこの駄女神が……調子に乗りおって……!」

 

ダクネス(バニル)は歯を食いしばり、自分を水責めにしたアクアを睨む。その時であった。

勢いよく水をかけられ、濡れて粘着力が落ちたのか。仮面に貼り付けられていたお札が剥がれ落ちた。湿った音を立てて札が地面に落ちる。

 

『あ』

 

その一部始終を見ていた者は、全員が口を開いて同じ音を発した。

ダクネス(バニル)はしばし自分の足下に落ちたお札を眺め、仮面をペタペタと触るとニヤリと笑った。

 

「フハハハハ!! さすがは駄女神! こともあろうに厄介な札を剥がしてくれるとはな、感謝するぞ!!」

 

嬉しくて堪らないといった様子で、バニルは感謝を述べた。

 

「そうとくればこんな体とは(こ、こんな体とはなんだ!)オサラバするのみ! そして次の我輩の傀儡となるのは……」

 

バニルはめぐみんを見た。いきなり視線を向けられてめぐみんが震える。

 

「爆裂狂いの紅魔族の娘……その魔法は魅力的だが、一発屋というのはどうにも頂けない」

 

一発屋、と言われてめぐみんの眉間に皺が寄る。爆裂魔法の詠唱を始めようとしたが、仲間達から慌てて止められた。

バニルは次にアクアを見る。

 

「アクシズ教の女神……うむ、論外中の論外。あんな奴の体を乗っ取るくらいなら、それこそ退屈な一生を送り続ける方がマシなのである」

 

アクアが無言で再び両手を構えた。何かを唱えようとしたが、カズマが彼女の頭を殴って無理矢理止めさせる。

その次にバニルはカズマを見た。

 

「うーむ……平均を遥かに下回る身体能力……唯一の取り柄は運の良さだけ……使えんな」

 

「運しか取り柄が無くて悪かったな!」

 

カズマの叫びを無視して、仮面の悪魔は次に千翼を見る。

 

「……まぁ、別にいいか」

 

ものすごく何か言いたそうにしている千翼のことなどお構いなしに、バニルはこの場にいる最後の人物――セナに視線を移すと、無言で彼女を見詰める。

悪魔に見詰められたセナは、小さな悲鳴を上げると自分の体を抱きしめた。

 

「検察官……そこの男は係争中……なるほど、これは面白そうだ。決めた、次の操り人形は……そこの眼鏡の女、貴様だ!!」

 

「え、わ、私!?」

 

バニルから指名されたセナは、自分を指差し面食らう。こうしている間にもダクネス(バニル)は仮面に手をかけた。

 

「さぁ、大人しく我輩の操り人形になるがよい!!」

 

そして、仮面を勢いよく投げ付ける。

投げられた仮面は真っ直ぐセナに向かい――突き出されたカズマの手の平にぶつかった。

パァンと乾いた音が鳴り、一拍の間を置いて仮面が地面に落ちる。

 

「これは……う、動けん! というか体が作れん! どうなっている!?」

 

「まさに手も足も出ない、ってか?」

 

カズマはしゃがみ込んで、地面の上で喚き散らす仮面(バニル)に向かって得意げに言った。

 

「ハッ……まさか!」

 

「万が一に備えて予備は持っておく。備えあれば憂いなしってね」

 

言いながらカズマは仮面(バニル)の額部分――予備の札が貼られた箇所を指先でつついた。

 

「……フッ。まさか、このような形で最期を迎えるとはな……」

 

「お、とうとう観念したか。意外に素直じゃないか。それじゃあ遠慮なく止め刺させてもらおうかね」

 

言いながらカズマは腰の剣を引き抜き、両手でそれをしっかりと握る。

 

「……汝よ、せめて最後に我輩の壮大な夢を聞いてはくれぬか?」

 

「……まぁ、遺言くらいは聞いてやるよ」

 

感謝するぞ。と言い、バニルは自身が追い求める『壮大な夢』をゆっくりと、そして穏やかな口調で語り始める。

 

「我輩の夢……それは至高の悪感情を味わって滅びること……。もはや自分でも覚えておらぬほどに、我輩はそれはそれは永い時を生きてきた。そして……生きることに飽き飽きしたのだ」

 

自分の生涯を振り返っているのか、感慨深げな声で懐かしむようにバニルは語り続ける。

 

「至高の悪感情を得るために我輩は考えた。まず自分専用のダンジョンを作って、道中に手強い魔物、凶悪な罠を配置し、最深部にはとてつもないお宝が眠っているという噂を流す。当然ながら、それを聞きつけた冒険者が次々とダンジョンにやってくるだろう」

 

月明かりの下、心臓の鼓動が聞こえそうな程の静寂の中で語られる悪魔の『夢』に、誰もが聞き入っていた。

 

「傷付き、それでも前に進み続ける冒険者達。やがて最深部で待ち構える我輩と相見え、死闘を繰り広げる。その果てに我輩は打ち倒され、最後にこう言うのだ。『見事だ、悪魔を倒した勇者よ。さぁ、その奥に眠る宝を受け取れ。我輩を倒した証を……』とな。そして、奥にある宝箱を開けると――」

 

「開けると……?」

 

ごくりと唾を飲み込んで、カズマは尋ねる。一刻も早くその先が聞きたかった。

 

「そこには『スカ』と書かれた紙切れが一枚だけ入っているのだ。そして自分たちの苦労が無駄に終わった冒険者達の至高の悪感情、それを味わいながら我輩は滅びたい……」

 

自身の『夢』を語り終え満足したのか、仮面から長い溜息のような音が聞こえる。

 

「これが、我輩が追い求める夢だ」

 

「うん、やっぱりお前は倒した方が世の中の為だわ」

 

余りにも悪辣すぎるバニルの夢を聞いていたカズマは、これ以上無いほど嫌悪の感情を剥き出しにしていた。

 

「さぁ、悪魔を出し抜いた人の子よ。止めを刺せ。そして、我輩の命を以て汝の無実を証明するが良い」

 

カズマは剣を両手で改めて握り、頭上で振りかぶった。

 

「じゃあな、バニル」

 

息を大きく吸い込む。

 

「お前とは、二度と会いたくないな」

 

剣が勢いよく振り下ろされた。

 

 

◆◆◆

 

 

バニルとの戦いから一週間後。アクセルの冒険者ギルドには、大勢の人が集まっていた。

 

「サトウカズマ殿、この度は貴方にあらぬ嫌疑を掛けたことを深くお詫び申し上げます。そして、貴方の活躍により魔王軍幹部であるバニルは討伐されました。その活躍をここに讃えます」

 

頭を深々と下げたセナは、目の前に立つカズマに謝罪の言葉を述べる。検察官である彼女の目の前でバニルを倒したことにより、カズマに掛けられていた魔王軍関係者の疑いが晴れたのだ。

気にしてませんよ。と言いながらカズマは小さく手を振る。何故かその顔は期待に満ちており、視線はセナの隣に向けられている。

 

「デストロイヤー撃破とバニル討伐の報奨金。そこから町の修繕費とアルダープ殿の屋敷の弁償代を差し引いた分、四千万エリスが渡されます」

 

セナの隣に控えていた騎士が、抱えていた大きな袋をカズマに渡す。ずっしりとした重さにカズマは思わずよろけた。

 

「改めて、サトウカズマさん。魔王軍幹部の討伐、おめでとうございます!」

 

感謝の言葉を述べ、セナは拍手をカズマに送った。それに続いて周りのギルド職員や冒険者達も盛大な拍手を送る。

 

「やったわねカズマ!」

 

「幹部を二人も討伐だなんて、凄すぎます!」

 

「カズマ、見事だぞ!」

 

「おめでとう、カズマ!」

 

仲間達からの祝福、周りの冒険者達からの拍手と指笛、野次が雨霰と少年に降り注ぐ。当の本人は照れ臭そうな顔をしながら頭を掻いた。

 

 

◆◆◆

 

 

「別に付いてこなくてもよかったのに……」

 

「一人だと話しづらいし、気まずいだろ? それにちょうど粉末も切らしてたからさ」

 

受け取った賞金を一先ず仲間に預け、ギルドを後にしたカズマとある場所へ向かっていた。本人は一人で行くつもりだったが、千翼が「自分も付いていく」と言ったため、二人揃って行くことになった。

やがて二人の目の前には道具店――やる気だけは人一倍あるリッチーの店主が営む、魔法道具店が今日も店を開いていた。

 

「……」

 

「カズマ、いざとなったら俺がフォローするよ」

 

これから店主であるウィズに、カズマは昨晩起きたこと、彼女の古い友人であるバニルを手に掛けたことを伝えなければならない。

状況が状況だったとはいえ、あの悪魔を殺したという事実は変わらない。そして、例え敵であったとしてもウィズにとっては友人。彼の身に起きたことを伝えるのが手を掛けた者の務めだろう。

息を吸い込み、意を決してカズマは店の扉を開けた。

 

「よぉ、ウィズ。今日はちょっと話が……」

 

そして店内には、いつもの柔らかな雰囲気を纏った店主の姿――の代わりに、ピンク色のエプロンを着け、仮面を被った大柄なタキシード姿の男が。

 

『え?』

 

二人揃って口から間抜けな声が漏れる。店の掃除をしていたのか、羽箒を持った男はニヤッと笑う。

 

「へいらっしゃい! ここに来るまでポンコツ店主にどうやって話を切り出そうか迷っていた男よ。残念でした、我輩は夢を叶えるまで決して滅びぬ!」

 

腰に手を当て、男は仰け反りながら高笑いした。

 

「あ、カズマさん、チヒロさん。いらっしゃいませ! こちら私の友人のバニルさんです。話は聞きましたけど、もうお知り合いなんですね!」

 

「という訳で、魔王軍幹部改め、店員のバニルである! 今後ともよろしく」

 

ウィズはいつも通りの明るい様子で新人店員(バニル)を紹介した。当の二人は、死んだはずの悪魔が目の前にいきなり現れた。という事実に頭の処理が追いつかず硬直している。

 

「あ、そうそう。バニルさんはもう魔王軍幹部じゃありませんから、心配はいりませんよ。それに、前々から幹部の仕事を面倒くさいからって辞めたがっていましたし」

 

「汝よ、貴様のおかげで堂々と魔王軍幹部を辞めることが出来た。そのことについては大いに感謝しているぞ」

 

「いや……ちょっと待て。確かにお前は倒したはずじゃ……。冒険者カードの討伐記録にもハッキリと……」

 

カズマの言葉を肯定するように、千翼が何度も首を縦に振る。

ああ、そのことか。と当のバニルは大したことではないといった様子で、仮面の額の部分を指差した。そこにはローマ数字でⅡと書かれている。

 

「前の我輩は間違いなく死んだ。そして、二人目……いや二代目か? まぁ、どっちでもよいか。ともかく、我輩は蘇ったのである!」

 

何とも大雑把かつ適当すぎる説明に、カズマは耐えきれず崩れ落ちた。

 

「ちくしょう……俺の決意と覚悟を返しやがれ……。やっぱりお前嫌いだ……」

 

「うーむ、なんとも美味な悪感情。汝と知り合えて本当に良かったぞ。これからも我輩の飢えと渇きを癒やしてほしい」

 

呻き声を漏らすカズマを容赦なくバニルは嘲笑う。その様子を千翼とウィズは曖昧な笑みを浮かべながら見ていた。

 

「ところで、話は変わるが汝ら二人に相談がある。我輩は汝らの持つ知識に非常に興味がある。お互いが手を組めば大きな利益を上げられること間違いなし! どうだ、我輩と契約せぬか?」

 

悪魔は口元で笑みを作り、カズマと千翼にそう囁いた。

 




というわけで、バニル登場回でした。
次回は水の都アルカンレティアへ、物語も後半へ突入します。
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