この悲運の主人公に救済を!   作:第22SAS連隊隊員

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今回は日常回。
カズマの姑息さや乱暴な面が、原作に比べて過剰になってないかちょっと不安です……。


Episode2 「B」EAST NATURE

「はぁ……はぁ……」

 

壁に手を付きながら千翼はうずくまった。荒く吐かれた息は白い靄となって溶けて消えてゆく。

 

――ああ、どうして。

 

自分はどうあがいても、人食いの化け物でしかないのか。

 

 

 

この世界に降り立ってから三日が過ぎた。

カズマと分かれてから適当な安宿を探してそこに宿泊し、次の日も金を稼ぐためにギルドを訪れたが、あいにく千翼がこなせそうな仕事は一つもなかった。

暇つぶしがてらアクセルの町を散策して二日目は終わり。三日目を迎えてとうとう千翼が恐れていた、恐れていたが故に考えないようにしていたことが現実となる。

 

「ぁ……ぅ……」

 

口から呻き声が漏れる。無意識に視線が動いた、そこには大通りを行き交う人々の姿が。

季節は冬、誰もが厚着をしており肌の露出は殆ど無い。だからこそ、その下に隠されている血の通った人肌の暖かい肉を想像してしまう。

どれだけ食べようが、どれだけ飲もうが、この飢えは決して満たされない。

泣き叫びたくなるほどの苦痛に己の内なる獣が囁く。食らってしまえばこの苦痛から解放されると。

ああ、そうだ。ここで本能に身を委ねてしまえば――

 

「君、大丈夫か?」

 

理性が本能に押し流される寸前、誰かが近づいてきた。

声のする方になんとか顔を向けると、青い全身鎧を着た金髪の男が心配そうな顔で千翼の傍にかがんでいる。その後ろには同じく心配顔の、男の仲間らしき二人の女性がいた。

 

「どこか怪我をしているのか? それとも具合が悪いのか?」

 

「ポーション持ってるけど、良かったら使う?」

 

女性の一人が袋から何かを取り出そうと手を入れた。しかし、目的の物が中々見つからないのかしきりに袋を漁る。

その女性の――女性の腕の動きは千翼の目にとてつもなく蠱惑的なものに映った。

血色が良く、シミ一つ無い引き締まった腕は、今の千翼にとって極上の肉にも勝る食物である。

無意識の内に涎が口の端から零れ落ちた。

 

「大丈夫だ、すぐに医者を……」

 

金髪の男が千翼に触れようと手を伸ばし――

 

「う、うわあああぁぁぁ!!」

 

その手を払い除けて、逃げるように駆け出した。

 

「あ、君!」

 

男の声も無視して千翼はアクセルの町をひた走る。目的地などない。

己の内で今にも暴れ出しそうな獣を少しでも押さえつけるためには、こうするしかなかった。

一体どれだけ走っただろう。肩で息をし、壁に手を付きながらおぼつかない足取りで歩く。

極度の飢餓感に加え、脳に酸素が行き渡らないせいで意識が朦朧とする。

あてもなくひたすら壁伝いに歩き続け、とうとう限界がやってきた。

 

「ぁ……」

 

掠れた声を漏らし、千翼は気を失った。冷たい石畳の上に倒れ、ピクリとも動かない。

通行人達はそんな千翼に気が付かないのか、はたまた厄介ごとに関わるのを避けるためか誰も近づこうとしない。

少年の体から徐々に体温が失われ、顔から血の気が失せ始めたとき、すぐ傍でドアが開いた。

中から現れた人物は倒れている千翼を見つけると。

 

「だ、大丈夫ですかー!?」

 

女性の叫び声が響いた。

 

 

 

意識が戻ってくると、全身が柔らかく暖かい物で包まれている。ゆっくりと瞼を開けると、モザイクでぼやけた世界が見えた。

時間と共に焦点が定まり、木造の天井が見えてくる。

体の具合を確かめつつ千翼は上半身を慎重に起こすと、ここがどこなのか確かめるために、辺りを見回す。

ベッドのすぐ傍にはカーテンが閉められた窓があり、表の雑踏の音がくぐもって聞こえる。

次に目に付いたのが化粧品が置かれた鏡台、その隣には本が何冊も積まれた文机。

何に使うのかよくわからない物が上に置かれた小さなタンス。壁にはフード付きの大きな黒のローブが掛けられていた。

 

「あ、目が覚めましたか?」

 

一通り見たところでドアが開き、この部屋の主が現れた。

緩やかなウェーブのかかった茶髪を揺らしながら、深い紫色のローブを着た女性が近づいてくる。

女性は千翼の顔色を確かめると、安堵したように小さく息を吐いた。

 

「本当にびっくりしちゃいました。外から物音が聞こえたから何だろうと思ってドアを開けたら、貴方が倒れていたんですから」

 

「あの、ここは……」

 

「ここは私が経営するお店ですよ」

 

女性は微笑みながら答える。

 

「自己紹介がまだでしたね、私はウィズ。このマジックアイテム店を経営しています」

 

「千翼です」

 

「チヒロさん、気分は悪くないですか?」

 

「……まだ、頭が少しふらつきます」

 

そう言いながら手で頭を押さえる。そして、ウィズに気付かれないように、自分の頭を握り潰しそうなほど力を入れた。

こうでもしないと食人衝動が抑えられそうにない。少しでも気を緩めれば、すぐ傍にある窓から表に飛び出して手当たり次第に人を襲ってしまいそうだった。

 

「だ、大丈夫ですか? あ、そうだ!」

 

ウィズが両手を合わせ、何かを思い出したのか「ちょっと待っててくださいね」と言って部屋を出て行った。

しばらくしてから紙袋、スプーンの入ったコップ、水差しが乗せられたお盆を持って戻ってきた。

ベッド脇の小さな机にお盆を乗せると、紙袋からひとさじ分の白い粉をコップに入れ、次いで水差しを傾ける。七割ほど注いだところで水差しを置き、スプーンでよくかき混ぜる。

粉が全て溶けたところで、コップを千翼に差し出した。

 

「はい、どうぞ」

 

「これは?」

 

「今日、入荷したばかりの新商品です。これをコップ一杯分飲むだけで、一日に必要な栄養の殆どを摂れちゃうという優れものでして、それだけでなく、ちょっとした体調不良にも効果があるんですよ! 忙しい冒険者の人たちにきっと売れますよ!」

 

目を輝かせながらウィズはコップの中身を説明した。

要するにこれは栄養剤の粉末を溶かしたものだろう。固形物は食べられないが、飲料ならば口にすることが出来る千翼にとって、これは実にありがたい物であった。

礼を言ってからコップを傾け、それを飲もうと喉を鳴らし、

 

「!?」

 

思わず吐き出しそうになった。

千翼は今、ウィズのベッドに腰掛けている。その上に口に含んだ物をぶちまけるという事態だけは絶対に避けねばならない。

今し方飲んだ物は味もへったくれもなかった。強いて言うならば水ゼリーだろうか。

しかし、ゼリーというには固まりきっておらず、かといって液体にしては妙な舌触りがある。いうなれば水ゼリーの出来損ないモドキ。

ゼリーでも無ければ液体でもない、オマケに味もない。飲食物なのか怪しいものを千翼の本能は明確に拒絶していた。

そんな本能を意志の力で捻じ伏せ、すんでのところで口から吐き出しそうになった物を押し止めると、喉を大きく鳴らし一気に呑み込む。

乾いた五臓六腑に染み渡るような感覚と共に、なぜか飢餓感が少しだけ収まる。

 

「おかわりが必要でしたら遠慮無く言ってくださいね」

 

ニコニコと笑うウィズに曖昧な笑みを返す。それよりも今の千翼にとっては重要なことがあった。

もしかしたらこの粉は、ある意味で自分の命を繋ぎ止めてくれるかもしれない。

正直言って二度と飲みたくない代物だが、背に腹はかえられない。いずれ人を襲ってしまうくらいなら、これを飲んで飢えを凌ぐ方が遙かにマシだった。

 

「あの、ウィズさん。それなんですけど」

 

「どうかしましたか?」

 

「一週間分、売ってください」

 

一瞬の間を置いて、店主の顔が明るくなる。

 

「ほ、本当ですか? 本当に一週間分も買ってくれるんですか!?」

 

ウィズは千翼に何度も礼を言った。

その後、動けるようになったからと言ってベッドを出ようとする千翼と、まだ動いてはいけないと言うウィズの押し問答があったが、なんとか彼女を宥めて千翼はベッドから出ることが出来た。

部屋を出るとその先は店内になっており。見たこともない道具や様々な色の液体が入った瓶、不思議な模様が描かれた本など色々な物が陳列されている。

 

「それでは一週間分ですね」

 

ウィズは店内からお盆に乗っていた物と同じ紙袋を手に取ると、カウンターへと回る。彼女が値段を伝えると、千翼は懐から財布を取り出して代金を支払った。

 

「はい、確かに。それでは袋詰めするので少々お待ちください」

 

ウィズはカウンターの下から大きめの紙袋を取り出すと、千翼が購入した商品をその中に入れる。

食人衝動が落ち着いて冷静さを取り戻したところで、千翼はある違和感に気が付いた。

その違和感の元は、上機嫌に鼻唄を歌いながら紙袋の口を丁寧に折っている人物。

ウィズからは「食欲」を感じなかった。

気を失う前は目に付く人全てに食欲を感じていたのに、彼女に対してはそれが気のせいだったと思えるほどに消え失せている。こんな経験はこれで二度目だった。

一度目は生前に出会った、死から蘇った少女「イユ」だ。

彼女はアマゾン化した父親に喰い殺された。その死体は野座間製薬が回収し、アマゾン細胞の実験台として使われ彼女は生ける屍として蘇った。

だとすればもしかすると彼女も――

 

「あの、ウィズさん……」

 

「はい?」

 

「その……一つ聞きたいことが……すごく変なことなんですけど……」

 

「はい、私が答えられることなら何でも聞いてください」

 

そういってウィズは微笑む。見れば誰もが安堵を覚えてしまうような、慈愛に満ちた笑みだ。

見れば見るほど、感情など欠片も見せなかった出会った頃のイユとは正反対である。

だが、なぜ彼女からはイユと同じく食欲を感じないのか。千翼はどうしてもその答えが知りたかった。

 

「ウィズさんって……」

 

千翼は息を吸い込み、意を決して尋ねた。

 

「一度、死んでいるんですか?」

 

その言葉に、紙袋に封をしようとしていた店主の動きが止まる。

次いで陶器のような白い頬を一筋の汗が伝った。

奇妙な静寂が店内を満たし――

 

「ど、どうして私がリッチーだってわかったんですかああぁぁ!?」「覚悟しなさいクソアンデッド! 今度こそ浄化してやる!!」「なにやっとんじゃ!」

 

ウィズに襲いかかろうと店内に乱入してきた青髪の少女を、茶髪の少年は持っていた短剣の柄で容赦なく頭を叩いた。

ゴスッ、と鈍い音が響き、嫌な声を漏らして少女は頭を抑えながらうずくまる。

少女に制裁を下した少年、カズマが短剣を腰の鞘に収めると、千翼が目が合った。

 

「「あ」」

 

お互い全く同じ声を出して、一拍の間が空く。

 

「よ、よぉ千翼。俺だよ、和真。覚えてる?」

 

「あ、ああ。あの時はありがとう」

 

お互い何を話したらいいのか分からず、どこかぎこちない様子で、一先ずは再会の挨拶を交わす。

すると、殴られたダメージから回復した青髪の少女、アクアが勢いよく立ち上がり。ウィズに向かって指を差す。

 

「チヒロ、こんな腐れアンデッドと関わっちゃダメよ! こいつと一緒にいたら貴方まで腐っちゃうわよ!!」

 

「ひ、ひどい! 何もそこまで言わなくても……」

 

「ややこしいことになるからお前はちょっと黙れ!!」

 

そう言ってカズマはアクアの後頭部を思いっきり引っ叩く。軽快な響いた。

 

「いったーい! カズマさんがまたぶった!! 罰当たり! 引きニート!」

 

「うっさい駄女神!!」

 

「あ、あの……」

 

二人が乱入してからあっという間に置いてけぼりにされた千翼は、なんとか話しかける。

 

「さっきからリッチーだのアンデッドだの……よく分からないけど、ウィズさんってやっぱり普通の人間じゃないの?」

 

「あ……」

 

それを聞いたカズマは両手で頭を抱えた。

件のウィズはオロオロしており、そんな彼女をアクアは親の仇でも見るような目で睨んでいる。

やがてカズマは観念したかのように頭を上げた。

 

「わかった。全部話すよ」

 

そこから先は千翼にとって驚きの連続だった。

ウィズは元は人間であり、今はリッチーというアンデッドであること。

魔王から結界の維持のために幹部を任されていること。

とはいえ殆ど名ばかり幹部であり、ウィズも人に危害を加えるつもりはないこと。

食欲を感じなかった理由に千翼が内心納得していると、カズマは千翼に向かって両手を合わせ頭を下げる。

 

「なぁ、千翼。頼む! このことは黙っててくれ! 代わりに俺たちの屋敷に住まないか? 好きな部屋を使ってくれて構わないし、掃除も洗濯もしなくていい。どうだ?」

 

その申し出に、千翼は迷っていた。カズマの提案はとてつもなく魅力的な物だ。

今は初日に稼いだ金があるが、それでいつまで暮らせるかは分からない。

クエストをこなそうにも、二日目にギルドのルナから聞いた話では、冬場は仕事が殆ど無く。あったとしても内職か近所の手伝いのような極めて報酬が安い物か、非常に危険な代わりに高額の報酬が得られるモンスターの討伐ぐらいしかないらしい。

アマゾンを狩ることで金を稼いできた千翼は、当然ながら前者の仕事の経験は皆無であり、仮にこなせたとしても下手をすればその日暮らしすら怪しい。

かといって後者の仕事は、そもそもモンスターについてよく知らないため、余りにもリスクが高すぎる。挑んだはいい物の、返り討ちに遭って二度目の死を迎える。などということだけは避けたかった。

しかし、提案を受けるとしても、自分は食人衝動という抗いがたい本能を持っている。

この店で飢餓感を抑える手段を手に入れた物の、いつか彼らを襲ってしまうのではないか。

気を失う前は辛うじて理性を保てたが、いつも本能を抑えられるとは限らない。

迷いに迷った挙げ句、千翼が出した答えは――

 

「……うん、いいよ」

 

「ほ、本当か!?」

 

自分のお願いを聞いてくれたことに、カズマは何度も感謝を述べた。

とは言う物の、カズマがウィズを庇った本当の理由は。結界を維持することで魔王討伐の手柄を他者に取られないようにし、自分が魔王を倒せるほど強くなるまでの時間稼ぎが目的なのだが。

当然ながら、千翼はそんな姑息な理由など知る由も無かった。

 

「そういえば、カズマさん今日は何かご用があって来たんですか?」

 

「初めて店に来たときアクアに浄化されそうになっただろ? あれからこいつが隠れてちょっかい出してないか心配になってさ」

 

「え、ええと。だ、大丈夫です。とりあえず()()()()()()()()()()()されていませんから」

 

明らかに何かされている様子のウィズを見て、カズマは隣に立つ容疑者を睨んだ。当の本人はそっぽを向いて黙秘を貫いている。アクアの頭に拳骨が炸裂した。

あんた一体どっちの味方なのよ! という彼女の抗議をカズマは聞き流す。

一先ず落ち着いたところで、ウィズが不思議そうな顔で千翼に尋ねた。

 

「それにしてもチヒロさん、なんで私がリッチーだってわかったんですか?」

 

「え、千翼ってウィズがリッチーだって見破ったの?」

 

少しだけ視線を彷徨わせてから、千翼は躊躇いがちに言葉を紡ぐ。

 

「なんとなく……この人は人間じゃ無いなって感じがしたから」

 

「そ、そんなことがわかっちゃうんですか……」

 

小さな悲鳴を漏らしてウィズがおののく。

それを聞いた少年と女神の目が怪しく光っていた。

ウィズの無事を確認したカズマは、千翼に屋敷の場所を伝えるとアクアと共に店を後にする。

通りに出た二人はしばらく歩き、店から十分離れたところで立ち止まった。

 

「ねぇ、カズマさん……」

 

「ウィズの正体を一目で見抜くなんて、相当なチート能力を持っているに違いない。引き込めて本当に良かったぜ……」

 

そう言って、二人そろって邪悪な笑みを浮かべた。

 

 

◆◆◆

 

 

「ありがとうございましたー」

 

ウィズの店を出た後、もう一つ必要な買い物を終えた千翼は、町の外に向かって歩く。目的地は郊外にあるというカズマ達が住む屋敷だ。

時刻はすでに夕暮れを回っており、通りは買い物客や家路につく人間で溢れていた。

――ああ、自分はなんて欲深いのだろう。

行き交う人々を眺めながら、胸中で独りごちる

飢えを満たせる手段を得た次は、人の温もりが欲しくなってしまい、誘いを受けてしまった。

誰かの隣に居たい。誰かが隣に居て欲しい。

内なる獣(食人衝動)を抑えるために人から離れようとしても、人としての本能は温もりを求めてしまう。

読み書きも会話も問題は無い。今のところ出会ったのは親切な人ばかりだ。

しかし、顔立ちの違う人間が自分の知らない単語で、楽しげに会話する様を見ていると途端に疎外感を感じてしまう。

本来であれば、この世界にとって異物でしかない自分には、居場所など無いことを思い出してしまう。

 

「佐藤、和真……」

 

そんな自分に誘いをかけてくれた少年の名を呟く。

右も左も分からず、挙げ句の果てに一文無しで困り果てていた時に助けてくれた少年。

自分と同じ彫りの浅い顔立ちに、聞き慣れた日本の人名。彼と出会ったときは、心の底から何ともいえない安心感が湧き上がっていた。

カズマの目には、生前の親友である長瀬と同じ邪な光が見えたが、それでも構わない。

誰かに利用されるのは慣れているし、それよりも人の温もりが欲しかった。

やがて町の外に出た千翼は、カズマから教えてもらった方角に歩き出す。彼が言うにはこの先の丘に、自分たちが住んでいる屋敷があるらしい。

歩いている内に日は沈み、夜の帳が降りてくる。丘の上に明かりが、目的地が見えてきた。

屋敷にたどり着いた千翼は、しばしその大きさに圧倒された後、どこか緊張した面持ちでドアをノックする。

中から返事がして、扉が開けられた。

 

「お、待ってたぞ」

 

出てきたのはカズマだった。その後ろには千翼が来ることを聞いたのか、アクア、めぐみん、ダクネスもいる。

 

「いらっしゃい!」

 

「私たちの屋敷にようこそ」

 

「歓迎しよう」

 

三人からの歓迎の挨拶を受け、千翼は軽く頭を下げた。

 

「おじゃまします」

 

どこか遠慮気味に屋敷に入ろうとした千翼に、幼い少女が待ったをかける。

 

「違いますよ」

 

めぐみんが舌を鳴らしながら人差し指を左右に振った。

 

「今日からここは、貴方の家でもあるんですから」

 

「そうそう!」

 

「遠慮はいらないぞ」

 

「だからこういうときは……」

 

カズマに促され、千翼はほんの少しだけ笑って。

 

「ただいま」

 

『おかえり!』

 

この日、カズマ達が暮らす屋敷に住人が一人増えた。

 

 

 




というわけで、カズマ達と合流を果たしました。
ここから彼らと絆を深めていく……そんな物語を書こうと思っています。
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