アサルトリリィ 欲望の王   作:ユーリア・エドモンズ

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ミリアム「アサルトリリィ 欲望の王。前回の3つ出来事……」

二水「1つ。梨璃さんと映司さんは、結梨ちゃんを連れて逃亡……」

夢結「2つ。ヒュージが襲来……映司と結梨が2人で倒す……」

雨嘉「そして3つ。2人はヒュージの爆発に巻き込まれ、消息不明になる……」


第10話 映司と結梨と差し伸べる手

ヒュージとの戦いから数日、百合ヶ丘の生徒たちは映司と結梨の墓の前に居た。

 

壱「どうして梨璃が罰を受けないといけないんですか?」

 

亜羅椰「結梨が人だって認められたなら、梨璃のしたことだってお咎めなしって事じゃありません?」

 

アールヴヘイムが食堂で話していた。

 

天葉「命令は命令。例えそれが間違いから出たものだとしても、撤回されるまでは有効よ」

 

依奈「命令を守ったり守らなかったりでは、仲間を危険に晒すことにもなるでしょう」

 

壱「そんなの分かってます!けど、リリィには臨機応変な状況判断も認められているはずです」

 

天葉「そうね。でもそれは百合ヶ丘での話。外にはそれを快く思わない人たちも居るのよ」

 

依奈「百合ヶ丘には、例え形式上でも梨璃さんを罰する必要があるの」

 

亜羅椰「バッカバカしい」

 

樟美「梨璃さん可哀想……」

 

壱「それじゃあ……まるで、見せしめですよ……」

 

梨璃は地下室で謹慎を受けていた。

 

梨璃「……」

 

部屋のドアが開いた。

 

夢結「梨璃」

 

梨璃「夢結様、どうして……誰とも会えないって……」

 

夢結「シュッツエンゲルの特権ね。といっても、ほんの10分程度だけど……どうかしら?具合は」

 

梨璃「わからないです……」

 

夢結「そうね。バカな質問だったわ」

 

梨璃「いえ……」

 

梨璃の隣に夢結が座った。

 

夢結「髪がボサボサね。こんな時でも、身嗜みは大切よ……梨璃、貴方髪飾りは?」

 

梨璃「え?ああ、そうですね……」

 

梨璃はヒュージの光弾に当たり海に落ちた時に、髪飾りを落としてしまった。

 

梨璃「無くなっちゃったんですね……」

 

梨璃はメダルを見て、そう言った。

 

 

とある離島では。

 

結梨「どうして……助けたの?」

 

映司「決まってんだろ、お前が俺たちと一緒に居たいって言ったからだ」

 

映司と結梨は爆発には巻き込まれず、体力を回復するために休んでいた。

 

結梨「それだけ?」

 

映司「手が届くのに手を伸ばさなかったら死ぬほど後悔する……それを知ってるから……」

 

結梨「……」

 

映司「だから……俺はお前に何度でも言うぞ……帰ろう結梨、梨璃たちの元へ」

 

映司は結梨に手を差し出した。

 

結梨「……うん!」

 

結梨は映司の手を取った。

 

結梨「私を助けたあのコンボは?」

 

映司「スーパータトバだな」

 

爆発寸前。

 

映司「結梨ーー!!」

 

スーパータトバコンボのメダルを3枚、ドライバーにセットし、ドライバーを傾かせオースキャナーでスキャンした。

 

「スーパー、スーパー、スーパー!」

「スーパータカ!」「スーパートラ!」「スーパーバッタ!」

「スーパータトバ、タ・ト・バ!」

「スーパー!」

 

映司はスーパータトバコンボにチェンジし、時間停止の能力を使い結梨を救った。

 

映司「実際、縮地とフェイズトランセンデンスが無かったら、助けられるかは怪しかったんだけどな」

 

結梨「それでも、助けてくれるんでしょ?」

 

映司「当たり前だろ」

 

結梨「これからどうする?」

 

映司「俺の体力が回復するまで、ここに居るよ」

 

結梨「わかった」

 

その頃……一柳隊は……

 

楓「髪飾り?あの四つ葉のクローバーのですか?」

 

二水「そういえばなくなってたかも」

 

鶴紗「夢結様、それを探すつもりか?」

 

夢結「ええ」

 

ミリアム「とはいえ、ひとりじゃ無理じゃろうな」

 

楓「まさか浜辺で無くした髪飾りを探す話とは、思いもよりませんでしたわ……」

 

夢結「頼れと言ったのは、楓さんでしょう……今の梨璃は、心に固い殻を作ってしまっているわ。後悔や悲しみをその内側に押し込め続ければ、いつかは自分で自分を呪うようになるでしょう……」

 

楓「まるで、誰かさんのようですわね」

 

夢結「梨璃には、そんな風になってもらいたくないの」

 

神琳「髪飾りを見つければ、梨璃さんが立ち直ると?」

 

夢結「……」

 

楓「あーもう!わかりましたわ!やりゃあ良いんでしょう!」

 

神琳「奇跡は自らの手で起こすものです。普通の人なら無理だとしても、私たちにはレアスキルがあります」

 

鶴紗「探し物に便利なレアスキルなんてあったか?」

 

神琳「レアスキルは、組み合わせる事で無限の可能性を引き出せます。特に私のテスタメントは、増幅系のレアスキルですから、それで知覚系のレアスキルを強化して」

 

二水「そっか!私の鷹の目を強化してもらえばいいんですね!」

 

楓「あら。私のレジスタだって知覚系ですわよ」

 

ミリアム「ならば、ワシはフェイズトランセンデンスでマギの供給か。雨嘉と鶴紗は何じゃったっけ?」

 

雨嘉「私のは天の秤目。ナノレベルで対象の位置を把握できる」

 

鶴紗「ファンタズム。未来予知みたいなもん」

 

神琳「知覚系が多いのは幸いね。ええと、夢結様は……あ!」

 

夢結「私のルナティックトランサーなんて、どうせバカみたいに暴れるだけで……」

 

夢結は項垂れていた。

 

梅「気にすんな!私の縮地だって、ここじゃ役に立たないから……」

 

髪飾り探し1日目

 

神琳「テスタメント、参ります!」

 

神琳はテスタメントを発動した。

 

二水「た、鷹の目!」

 

二水も神琳に続き鷹の目を発動した。

 

ミリアム「フェイズトランセンデンス!受け取れ!わしのマギ!」

 

ミリアムがフェイズトランセンデンスを発動し、テスタメント同様、二水の鷹の目を強化した。

 

二水「し……視界が広がって……色々見えます!見えすぎます〜〜!」

 

二水の視界が広がりすぎて、二水は倒れ、ミリアムもマギ切れで倒れた。

 

神琳「二水さんに負担が掛かり過ぎましたね……失敗ですが、良いデータが取れたので、今日のところはよしとしましょう」

 

ミリアム「よ……よかないわ……」

 

楓「前途多難ですわ……」

 

夢結「……」

 

髪飾り探し1日目が終了した。

 

 

そして映司と結梨は……

 

結梨「映司、お腹空いた」

 

映司「ここからだと……甲州が近いのか……結梨、少し我慢できるか?」

 

結梨「うん!」

 

映司と結梨は島から離れ、甲州に向かった。

 

映司「到着っと……」

 

結梨「ここは?」

 

映司「俺の家」

 

映司は家の鍵を開けた。

 

映司「何か作るから、座って待っててくれ」

 

結梨は頷いた。

 

映司「何作るかな……」

 

映司は料理を始めた。

 

結梨「何作ってるの?」

 

結梨が顔出して映司に聞いた。

 

映司「炒飯だ」

 

結梨「美味しそう…」

 

映司「よし……完成だ」

 

映司は炒飯を皿に盛り、テーブルに置いた。

 

映司「いいぞ、結梨」

 

結梨「いただきます!」

 

結梨は炒飯を食べ始めた。

 

結梨「映司!これ美味しい!」

 

映司「久しぶりだったから心配だったけど美味しいなら良かった」

 

その頃梨璃は……

 

結梨「ジーーー」

 

結梨は梨璃の髪飾りを見ていた。

 

梨璃「ん?」

 

映司「どうしたんだ?」

 

結梨「梨璃のそれ、綺麗」

 

梨璃「これ?四つ葉のクローバー。よくあるアクセサリーだよ」

 

結梨「いいなぁ〜」

 

梨璃「ここに来る時、お父さんに買って貰った物だから。じゃあ今度、私が非番の日にお買い物に行こうよ!何かプレゼントしてあげる」

 

結梨「本当!?じゃあこれから行く!? 」

 

梨璃「あはは。すぐには無理だよ」

 

映司「なるべく早く行けるようにしないとな」

 

梨璃「うん!」

 

治療室での会話を思い出していた。

 

梨璃「何も……してあげられなかった……何も……返せてあげられなかった……」

 

梨璃はメダルを見て呟いた。

 

 

一柳隊の髪飾り探しは既に6日目に入った。

 

夢結は海を眺めていた。

 

そして7日目……梨璃の謹慎が解除される日になった。

 

夢結「……」

 

海岸には百合ヶ丘の全生徒が居た。

 

夢結「ありがとう……恩に着るわ……」

 

天葉「恩に着るって、いつの人よ?」

 

夢結「ごめんなさい……こんな時、どう言えばいいかわからなくて……」

 

天葉「仲間を失ったのは、私たちも一緒よ。だったらせめて、落ち込んでいる梨璃の為にも何とかしたいと思うのは自然なことでしょ?」

 

楓「ゔぇっくし!」

 

雨嘉「うわっ!?……居ないと思ったら先に来てたんだ……」

 

神琳「大丈夫です?」

 

楓「いえ……お構いなく……」

 

天葉「レアスキルを合成させるなら、接触式の方が非接触式よりも効率が良いわ。とは言え、こんなに大勢でやった事はないけど……今よ!」

 

ミリアム&亜羅椰「必殺!フェイズトランセンデンス!」

 

フェイズトランセンデンスを発動させ、海の中に光るものを見つけた。

 

全生徒「あったー!」

 

楓が梅に乗った。

 

楓「あそこです!梅様!」

 

梅「なんだ!?」

 

楓「レアスキル!縮地ですわ!ハイヨー!」

 

梅「お、おう!」

 

梅は縮地を発動させ、光ってる方へ向かった。

 

鶴紗「なんだ……?」

 

楓「もう少しですわー!」

 

梅「行っけー!楓ー!」

 

梅は楓を投げ、楓は海の中に飛び込み、梨璃の髪飾りを掴んだ。

 

楓「ありましたわぁぁー!」

 

海岸では

 

楓&梅「ゔぇっくし!」

 

謹慎が解除された梨璃が部屋から出た。

 

夢結「ごきげんよう?梨璃」

 

梨璃「夢結様……皆さん……」

 

楓「梨璃さん。さぁ、これを」

 

楓は梨璃に髪飾りを渡した。

 

梨璃「これ……」

 

梨璃は髪飾りを眺めていた。

 

楓「さぁさぁ。いつまでもご覧になってないで、さっさとお付けになって」

 

梨璃「……これ、どこに売ってたんですか?」

 

楓「え!?」

 

梨璃「私の無くしてたのとそっくり……」

 

二水「そっくり!?」

 

雨嘉「同じ物じゃ……?」

 

梨璃「私のは四つ葉の1枚に罅が入ってたの。でもこれには無いし……」

 

楓「オホ、オホホホ……それはリサーチ不足……」

 

夢結「どう言うことかしら?楓さん」

 

楓「え!?いやですわ夢結様。そんな怖い顔して……オホホホ……」

 

楓が、黒焦げになった髪飾りを出した。

 

夢結「これは……?」

 

梨璃「これ……これ、私のです!」

 

二水「梨璃さんの髪飾りが2つ?」

 

汐里「新しいのは、楓さんがご自分で作ったんです」

 

二水「汐里さん!?」

 

梅「どういうことだ?」

 

楓「……本物は2日目だか3日目だかに、浜辺に見つけていましたの。だけど、例え見つかっても、これだと余計梨璃さんを悲しませるだけだと……」

 

神琳「では、今日の昼間見付けたのは……」

 

楓「あんな大掛かりに探されては、流石に本物の在り処がバレてしまいますわ。早起きして本物を仕込んで置いたんですの」

 

ミリアム「わしらまで謀ったとは……」

 

楓「で、私が最初にそれを手にして、昨夜出来たばかりの偽物と摩り替えたと言う寸法ですわ」

 

雨嘉「楓が、そんな手の込んだ事を……!」

 

楓がその場に座り込んだ。

 

楓「えぇえ!梨璃さんや皆さんを欺いたのは紛れもない事実ですわ!煮るなり焼くなり好きになさって下さいまし!バレたらバレたで、私ひとりが全ての攻めを追えば済むことですもの!」

 

壱「思いっきり汐里を巻き込んでるし」

 

汐里「いえ。私は工作室をお貸ししただけで、何をなさっていたかは、ここで知りました」

 

梨璃「……」

 

梅「楓……」

 

楓「な、何ですの……?」

 

梅「お前、良い奴だな!」

 

汐里「うんうん!」

 

楓「え!?」

 

梨璃が楓を抱きしめた。

 

梨璃「ありがとう……楓さん」

 

楓を「ど、どういたしまして……」

 

梨璃「それに、皆さんも。楓さんの言う通りかも……この髪飾りだけだったら、私、辛い事しか思い出せないかも知れない……だけど、こっちのもあれば、皆の気持ちを感じて嬉しい気持ちになれるから。私には、どっちも本物です」

 

楓「は、はぁ・・・それはあれですわね!狙い通りって奴ですわね・・・!あはははは・・・」

 

夢結「お立ちなさい、私からもお礼を言うわ。ありがとう。楓さん」

 

楓「そんな!私は梨璃さんの為にしたんです。夢結様にまでお礼を言われる筋合いはございませんわ」

 

夢結「シュッツエンゲルとして、姉として言っているの」

 

楓「あ〜それはあれですわね。梨璃さんは私のものよ。渡さないわっと言う私への牽制ですわね?」

 

夢結「ええ。その通りね」

 

楓「あー!認めましたわね!?」

 

鶴紗「もう止めとけ。お前はよく戦った」

 

生徒たちはこのやり取りを見て笑った。

 

梨璃「あはは……あ、あれ?」

 

夢結「ん?」

 

梨璃「どうしたんだろう……嬉しいのに……なんで……?う、うぅ……うああああ!」

 

夢結「お泣きなさい。梨璃。今のあなたに必要なのは、何でもいい。自分の気持ちを表に現す事よ」

 

梨璃「私……!守れなかったんです……!結梨ちゃんを……!私が……!ちゃんとしなくちゃいけなかったのに……!映司くんにも……!何も……返せてなかったのに!……いつも支えられて……!守られてるだけだった……!」

 

夢結は梨璃を抱きしめた。

 

夢結「梨璃。あなたはできるだけの事をしたわ。あれは、誰にも防げなかった……」

 

梨璃「……うわああああああ!」

 

そして夜……

 

結梨「映司。私、梨璃に早く会いたい」

 

映司「……明日準備して、明後日行こうか?」

 

結梨「うん!」

 

翌日……梨璃と夢結は映司と結梨の墓の前に居た。

 

梨璃「ふぅ……やっと来る事ができました……あの……」

 

夢結「?」

 

梨璃「美鈴様にも、ご挨拶しませんか?」

 

夢結「……そうね」

 

梨璃「お姉様は、美鈴様の事をどうやって乗り越えたんですか?」

 

夢結「さぁ……でも、起きてしまった事は時間を掛けて受け入れるしかないわ。もう起きてしまって、どうしようもない事は……」

 

梨璃「私はまだまだ掛かりそうです」

 

夢結「それで良いのよ。人の死の最も残酷なことは、その人に纏わる一切の物が断ち切られてしまうことよ。その思いも、願いも、凡ゆる感情も、永遠に宙に浮いたまま時を止めてしまう。残された者は、そのことにただ、戸惑うことしかできない……」

 

???「上出来だ」

 

夢結「!?」

 

美鈴の幻影が現れた。

 

美鈴「大切なシルトを不安にさせちゃいけない」

 

夢結「例え幽霊であっても、本人とまた気持ちを交わす事ができるなら、それは救いと言えるかも知れないわね」

 

梨璃「?」

 

夢結「だけど……貴方は?」

 

工廠科

 

百由「あれだけのマギを使っても見つかったのは、梨璃さんの髪飾りだけ……ふたりは生きている……?」

 

そして映司と結梨は……

 

映司「準備できたか?」

 

結梨は頷いた。

 

映司「なら、行くか!……変身!」

 

「タカ!」「クジャク!」「コンドル!」

「タ~ジャ~ドル~!」

 

映司「結梨。しっかり捕まってろよ?」

 

結梨「うん!」

 

映司は甲州から百合ヶ丘に向けて飛んだ。

 

 




美鈴「ふ〜ん。君が梨璃か、初めまして」

結梨「梨璃ー!」

映司「ただいま……梨璃」
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