第1話 カレが護りたいモノ
映司を除いた一柳隊は甲州に外征していた。
夢結「梨璃……そんな悲しい顔を、しないで……私が、必ず助ける……貴方は、何も……心配しなくて……いいから……」
夢結は倒れた。
梨璃「お姉様!?」
梅「夢結!しっかりしろ!」
楓「いけませんわ!早く夢結様を!」
梨璃「お姉様、目を開けてください!お姉様!」
数日前……
梨璃「わわっ!」
梅「あははっ。そんなノロノロしてると梅がぜーんぶやっつけちゃうぞ!」
梅はヒュージを撃破する。
梨璃「す、すいません。梅様!」
夢結「二水さん。ケイブの位置は?」
二水「は、はい!」
二水は鷹の目を発動。
二水「……ありました!2時の方向、瓦礫で埋もれた建物の向こう側です!」
ミリアム「でかしたぞ二水!しかし数こそ多いが、小型のヒュージばっかりじゃのう?」
楓「おおかた、まだケイブが広がりきっていないのでしょう。この程度ならお茶の子さいさいですわ。」
雨嘉「お茶の子って、どういう意味……?」
神琳「お茶の子は茶菓子のことですが、私は『さいさい』のほうが気になりますね。」
楓「ちょっとそこっ!?変に言葉尻を拾わなくても結構でしてよ!?」
鶴紗「まったく、戦闘中によく喋る……」
夢結「鶴紗さんの言うとおりよ。今はケイブを潰すことだけに集中しましょう。」
神琳「そうですね……ミリアムさん、お願いできますか?」
ミリアム「おう、任せておけい!わしのレアスキル、フェイズトランセンデンスで周囲の敵を蹴散らしてくれる!」
梨璃「ミリアムさんを主軸に、ケイブまでの距離を一気に詰めて破壊、ですね!」
夢結「ええ。速攻でケイブを破壊し、ヒュージの発生を止める。これは時間との勝負よ。梨璃、号令をかけて。」
梨璃「へっ?ごうれい?」
夢結「一柳隊のリーダーは貴方でしょう。」
雨嘉「作戦開始の合図、だよ。梨璃。
」
梨璃「あ、そっか!」
映司「結梨、ミリアムがフェイズトランセンデンスを使ったら、ミリアムのサポートをしてくれ。」
結梨「わかった。」
梨璃「そ、それじゃあ、皆さん……えっと……、一生懸命頑張りましょう!」
鶴紗「……それが号令?」
梅「了解したぞ。」
ミリアム「わしに任せろ!」
神琳「はい♪」
二水「梨璃さんかっこいいですぅ〜!」
楓「ふふっ、リーダーシップを発揮する梨璃さんも、かわいらしいですわ。」
梨璃「あはは……なんかこそばゆいですけど。気を取り直していきますね。一柳隊、作戦開始!」
ミリアムがフェイズトランセンデンスを発動して、ヒュージを撃破していく。
ミリアム「うははっ!わしのお通りじゃ〜!」
楓「ケイブなんてどこにもありませんけど……本当にこっちであってますの?」
二水「あっ!ミリアムさん行き過ぎです!ケイブはもう少し手前、ちょうど梨璃さんのいるあたりです!」
楓「なんですって!?」
雨嘉「けほっ、けほ……砂埃が……」
ミリアム「よーしわかったのじゃ!今すぐそっちに向か▽□%✕◎#……すまん、時間切れじゃ……あとは任せたぁ〜……!」
ミリアムがマギ切れで倒れた。
映司「梨璃!近くにケイブがないか探せ!結梨はミリアムの救護!楓は結梨の援護をしてくれ!」
結梨「うん!」
楓「まったく仕方のない……!」
梨璃「でも、どうやってケイブを探せば……?」
夢結「周囲の空間が歪んで見えるはずよ。それを目印にして!ただし見つけても……」
梨璃「わかりました、お姉様!」
梨璃は走り出した。
梨璃「ええと、空間の歪み、空間の歪み……」
梨璃はケイブを見つけた。
梨璃「あっ、あった!ケイブ……!ケイブ、発見しました!皆のためにも早く壊さないと……!」
梨璃はケイブを破壊した。
夢結「よくやったわ。梨……梨璃っ!後ろ!」
梨璃「えっ……?」
梨璃の後ろにラージ級のヒュージが現れた。
梨璃「きゃあ!?」
夢結「……梨璃!?」
映司と梅が縮地を発動し、ヒュージに攻撃する。
映司「大丈夫か!?梨璃!」
梨璃「え、映司くん、梅様……ありがとうございます……ッ……!」
梅「一撃もらっちゃったみたいだな……痛むか?」
梨璃「へ、平気ですっ!それより……」
梅「ああ。……あのヒュージ、全然気配がなかった。このあたりじゃ見たことのないタイプだ。」
映司「梅様……梨璃のことお願いします。あのヒュージは俺が……」
映司はゼロワンドライバーを外し、オーズドライバーを巻いて、プトティラのメダルセットし、オースキャナーでスキャンした。
「プテラ!」「トリケラ!」「ティラノ!」
「プ・ト・ティラーノ、ザウルース!」
映司「ぶっ潰す!」
映司はヒュージの背後に回り込みメダガブリューで攻撃をする。
夢結「……どきなさい。」
夢結は目の前のヒュージを撃破した。
夢結「……梨璃っ!」
梨璃「お姉様……」
映司「これで終わらせる!」
映司はオースキャナーに手を取った。
映司「っ!?」
ヒュージが逃げた。
映司「アイツを探せ。」
映司はタカカンドロイドに指示を出して、メダガブリューにセルメダルを入れた。
「ガブッ!」
「ゴックン!」
映司はメダガブリューのモードをバズーカモードにした。
「プ・ト・ティラーノ・ヒッサ~ツ!」
映司はセルメダルのエネルギーを凝縮した強力な破壊光線を残ったヒュージ達に放った。
梅「映司は相当キレてるぞ。」
雨嘉「プトティラになってるの久しぶりに見た……」
映司は変身を解いた。
夢結「百合ヶ丘に戻りましょう。」
一柳隊は百合ヶ丘へ戻った。
梨璃「わ……皆、検査が終わるまで待っててくれたの?」
梨璃が検査室から出ると一柳隊が居た。
楓「当然ですわ!私、心配で心配で……」
梨璃「あはは……ありがとう楓さん。ただのかすり傷で検査までしてもらっちゃって、なんだか申し訳ないなぁ。」
梅「たしかに傷は軽いみたいだけど、そんな甘くみないほうがいいぞ。ヒュージにもいろんなやつがいるんだ。」
雨嘉「梨璃を襲ったヒュージ、あんまり見ないタイプだったんでしょ?ちゃんと調べてもらわないと。」
楓「その通りですわ。たとえ小さなものであっても、未知の敵から負わされた傷ですもの!検査を念入りにしておくのは必要なことですわ。そう、だからこそ今日はお風呂でしっかりと……!」
二水「楓さんって、真面目に心配しているのかふざけてるのかどっちなんです?」
楓「私はっ!いつでもっ!大真面目ですわっ!」
鶴紗「力説されると逆に怖いな……」
梨璃「ところで、映司くんとお姉様は?」
神琳「夢結様でしたら、百由様と一緒に検査の結果を確認中ですよ。」
梨璃「お姉様まで……」
結梨「映司も一緒のはずだよ。」
梨璃「映司くんも?」
神琳「それだけ心配なのでしょうね。ふふっ、ちょっと羨ましいわ。」
雨嘉「……神琳が怪我をしたら……きっと私もそうするよ。」
神琳「雨嘉さん……」
夢結と百由が入ってきた。
百由「はいは〜い、おっまたせ〜っ!検査は終了!お疲れ〜!」
ミリアム「百由様っ!?その感じは、梨璃に問題ないということかのう?」
百由「う〜ん、そう言いたいトコなんだけど。ちょっと困ったことになっちゃってるみたいで。」
ミリアム「困ったことじゃと?」
雨嘉「もしかして……梨璃に何か異常があったんですか?」
百由「そ、そう……ねぇ〜。異常……といえば異常かなー?うん、どうしようもなく異常だわね〜……コレは。」
夢結「……」
ミリアム「なんじゃ?百由様にしては歯切れが悪いの。」
楓「ああもう、焦らさないでくださいまし!」
百由「検査の結果、梨璃さんのマギの性質が変わり始めているの。あの特型ヒュージが梨璃さんに与えた『負のマギ』の影響でね。」
二水「負のマギ……一部のレアスキルを使用したときの反動で、リリィの中に溜まっていくものですね?」
梨璃「それってよくないんですか?自分としては、あれから何ともありませんけど……」
百由「少しだけなら問題はないのよ?治療法もなくはないから、負のマギが増えちゃうようなレアスキルも普通に使われているわけだし。ただそれって、溜まりすぎるとヤバイやつなの。梨璃さんは特型ヒュージの攻撃によってマギが汚染されて、もともと持っていたマギが負のマギに変質し始めているみたい。簡単に言うと、特殊な増え方をする負のマギだから従来の治療ではあまり効果がない、ってことなのよね。」
神琳「『従来の治療では』、ということは他に治療法があるんでしょうか?」
百由「う、うーん……それなんだけどぉ……」
梨璃「あの……、なにか?」
夢結「……治療法はあるわ。そうでしょ、百由。」
百由「あ〜……そう、ね。うんうん、そうだったそうだった!」
神琳「……?」
楓「はぁ……よかったですわ。今にも心臓が破裂するかと思いました。」
百由「あはは、ごめんごめん。で、治療法なんだけど……梨璃さんが誰か他のリリィと手を繋げばいいの。ほんのそれだけ。」
鶴紗「……は?」
梨璃「私が誰かと、手を繋ぐだけ……?」
ミリアム「ふむ、なるほど。『マギ交感』か。」
百由「さすがぐろっぴ。話が早いわね〜」
雨嘉「えっと……どういうこと……?」
ミリアム「リリィのマギは、CHARMを使ってお互いに受け渡しができるじゃろ?」
雨嘉「うん。ノインヴェルト戦術もそのひとつだよね。」
ミリアム「実はそれと同じことがCHARMを通さずともできるのじゃ。ただ手を繋ぐような、簡単な方法でもな。」
百由「それが『マギ交感』。他人の錬成したマギが外から入ってくることで、体の中の負のマギが中和されて消えちゃうってことね。」
鶴紗「ずいぶんとお手軽なんだね。」
百由「結構大変なのよ〜?治療が終わるまでは1日の大部分をずっと手を繋いで過ごさなくちゃいけないし。」
楓「梨璃さんと、ずっとてを……私がやらせていただきますわ!梨璃さんを汚す負のマギなど、たちどころに打ち消して見せます!」
ミリアム「まあ、名乗り出るとは思ったがの。」
楓「さあ梨璃さん、さっそくお手を……」
楓が梨璃と手を繋ごうとしたが……
夢結「待ちなさい、楓さん。」
夢結が止めた。
楓「え。」
夢結「私がやるわ。シュッツエンゲルとして、梨璃の面倒は私が見ます。」
梨璃「お、お姉様がっ!?」
楓「ゆ、夢結様はクラスも学年も別ではありませんの。それでは講義も受けづらいですし、寮の部屋だって……」
夢結「私が1年生の講義に出席すればいいのでしょう。寮もルームメイトにしばらく部屋を空けてもらうわ。」
楓「で、ですが……!それでは……!」
夢結「治療が関わっているのだから。マギの相性がいい者同士のほうがいいはずよ。私は梨璃と何度もマギを交換した実績があります。」
楓「ぐぬぬ……!夢結様らしい理路整然とした理屈ですわ……!」
ミリアム「気持ちはわかるが、ここは退くべきじゃの。夢結様の目を見てみぃ、ちっとも笑っとらんぞい。」
楓「……わ、わかりましたわ。ひとまず梨璃さんを夢結様にお預けいたします。でも、私のアジールたるお風呂くらいは……」
百由「あ、治療中に別のマギが混じっちゃうのはよくないから、梨璃さんが治るまで、楓さんは過度なスキンシップは遠慮してね?」
楓「えっ!?」
夢結「梨璃を助けるためなの。我慢して。」
梨璃「そんな、大げさな……」
楓「むむむ……わかりました。これも惚れた弱みです……」
夢結「……あとのことは頼んだわ。」
楓「え、と……夢結様……?」
梨璃「ありがとう。ごめんね楓さん。」
楓「い、いいえ。いいんですのよ!梨璃さんはなぁにんも心配せず、治療に専念してくださいまし。」
ミリアム「ともあれ、これでなんとかなりそうじゃの。ただ手を繋げばいいんじゃから。ほれ、早速。」
梨璃「お、お姉様。よろしくお願いします!」
夢結「ええ、よろしく。」
2人は手を繋いだ。
梨璃「お姉様、百由様、映司くんは?」
夢結「百由が知ってるんじゃないかしら?」
百由「映司は、なんかすることがあるって言って検査結果を見たら出ていったわよ〜……梨璃さんと手を繋ぐのは本当は映司がいいんだけどね。」
数分前……
映司「百由様、梨璃と夢結姉のことお願いします。」
百由「いきなりどうしたのよ?」
映司「特型ヒュージは甲州にいるってコイツが。」
映司は頭に乗っているタカカンドロイドを指す。
百由「このことは夢結には?」
映司「言ったら止められてます。」
百由「でも1日じゃないわよね?」
映司「理事長代行に直接伝えたんで……バレた時は、そのまま伝えてください。」
百由「夢結に怒られても知らないわよ?」
映司「夢結姉は俺と同罪でしょ?」
百由「まぁ……そうね。」
映司「何かあったらそれで連絡してください。」
百由「ええ、わかったわ。気をつけてね?」
映司「はい、戻ってきたら何か甘いもの作りますね。」
映司は百合ヶ丘から出て、プトティラに変身して、エクスターナルフィンを展開して甲州に向けて飛んだ。
映司君キレてプトティラになるし、1人で甲州行っちゃうし……梨璃ちゃんに怒られそう。