『さあ!!休憩そこそこに、そろそろ二回戦始めようかぁ!!』
一回戦がすべて終わってから少し休憩をはさみ、二回戦が始まろうとしていた。その第一回戦、その選手である緑谷は、入り口で猛と話をしていた。
「どうだったよ緑谷、麗日は無事だったかい」
「う、うん、とりあえずは……でも」
「ふぅん、まあ頑張ったでしょ、爆豪相手に考えてた、思考を止めずに諦めねえってのは、強くなる奴にしかできねえさ、心配いらねえだろ」
「・・・・うん!!そうだね!!」
「・・・・・・んじゃま、気張れよ緑谷、今のお前の出力じゃ、フルカウルを使っても不利なのは否めない、頭を使いながら動け」
「う、うん、そそそ、そうだね」
「・・・・・・はあ、やれやれ」
バチィン!!
「いったぁ!?」
「あと緊張しすぎ、肩の力抜け、ドジるなよ」
猛は緊張している緑谷の背中を張り手ではじくと、その場を去っていった。
「やれやれ、気弱なのは問題ありだぜ緑谷……そんで?俺になんか用かよ、エンデヴァー」
「ほう、気づいていたのか」
猛の歩いて行った先に、フレイムヒーローエンデヴァーが待ち構えていた。
「そりゃあんたみたいな存在感の強い男、そうそういねえからな……んで、なんですかね」
「いやなに、素晴らしい活躍だと思ったまでよ、スピード、パワー、高温……オールマイトに匹敵する個性を持っている」
「回りくどいのは嫌いなんだ、要件がなけりゃ失礼させてもらう」
不快感をあらわにしながら、猛はその場を後にしようとした。
「まあ待て、君……卒業後、我が家に婿入りする気はないかね?」
「・・・・・ああ?」
エンデヴァーの言葉に、猛は思わず足を止めた。
「焦凍……あいつには姉がいるんだが、歳は少し離れているが、容姿は優れているほうだ、どうだろう?悪い話では……」
ズガァン!!
エンデヴァーの言葉を中断するように、猛は壁を殴り壊した、その額に青筋を立てながら。
「寝ぼけてんのか……それとも早くもボケてるか?エンデヴァー」
「貴様……!!」
猛の全身から発せられる怒りの気配に、思わずエンデヴァーは身動ぎした。
「今のは聞かなかったことにしてやる、次こんな寝ぼけたことを言ったら……メディア各所にてめえの家の実態、てめえがやった裏工作……全部バラす、分かったらその汚ねえ面見せんな、うっかり殴り殺したくなる」
そして、猛は怒りの気配を纏ったまま、その場を後にした。
(あれがNO2の実態か……聞いてたよりもひどいな、しかし俺らしくねえ……マジで手を出すとこだった……)
猛は自身の行いを恥じながら、観客席に戻ってきた。
「あ、紅蓮君どこ行ってたん?そろそろデク君と轟君の試合始まるよ!!」
「麗日か、少し緑谷の激励に……どうしてその目、潰されたか?」
いつの間にか観客席に戻ってきた麗日の顔を見て、思わず猛は突っ込みを入れた。
「ああいや、これは……」
「ま、何となくわかるけどな……さて、どうなっかね」
『さあ!!今体育祭トップクラスの成績の者がついに並び立った!!まさに両雄並び立つといったところだ!!緑谷vs轟!!スタート!!』
そして、二回戦が始まった瞬間
ピキピキピキピキ、バァン!!
瞬間、氷結と超パワーのぶつかり合い、轟の出した氷結を、緑谷の超パワーでかき消す展開になった。そこから、同じような展開が続いた。
(轟の氷結の最大火力は今のあいつじゃ弾けねえ、どの程度で攻撃してくるかも分からねえ、だからぶっ壊れるの覚悟で100%でぶっ放すしかない……正しいが、両手足合わせて指は20……いや、今のあいつの頭に足を使うことは入ってねえ、つまり指10本分でしか攻撃出来ねえ、距離を詰められなきゃジリ貧もいい所……急げよ、緑谷)
だが、緑谷の奮闘空しく、自身の指は傷ついていった。そしてついに、轟の氷結に緑谷は捕まりそうになった、が
ドォォン!!
先ほどよりもはるかに強力な一撃が、轟の氷結を打ち砕いた、その代償として、緑谷は腕を壊してしまった。
(あ~あ、こりゃもう駄目か……まあこれは想定内、仕方ねえか、俺の次の相手は……)
ドォン!!
「は?」
緑谷は、ついに自身の壊れた指で攻撃し始めた。その様子を見て、猛は思わず間抜けな声を出した。
(おいおいおい何を考えてんだ!?その指の負傷は笑えねえレベルだぞ!?武術で行う部位鍛錬とかでも、骨折はよくあるし俺もしてきた!!だけどその怪我は訳が違う!!無茶しすぎれば……!!)
ドォン!!
猛の心配をよそに、緑谷は壊れた指を酷使し始めた。だがその甲斐あってか、数発轟に重たい一撃を入れていた。だが、轟へのダメージはあまり大きくなく、逆に緑谷は傷ついていくだけだった。
(だ~もう!!あいつの馬鹿さ加減を理解しきれてなかった!!あいつマジで……!!)
「君の!!力じゃないか!!」
「・・・・・・はあ、あの馬鹿、お人好し過ぎるぜ」
緑谷の言葉を聞いて、轟の表情が変わった、それを見て、猛も思わずため息が漏れた。
(確かにそういった役目は俺じゃねえと思ったさ、だけどお前……なるほど、オールマイトが選ぶわけだよ、俺にはできねえよそういうことは)
猛は緑谷の様子を見て、オールマイトが後継者に選んだ理由を理解した。そして、そんな緑谷にあてられたのか、轟の様子も変わった。
ボォォォォォォ!!
「俺だって、ヒーローに……!!」
なんと、今まで使っていなかった左側の炎熱を使い始めた。
「マジかい……!!やりやがったよあの馬鹿が!!」
「焦凍ォォォォォォォ!!やっと己を受け入れたか!!そうだ、いいぞ!!ここからがお前の始まりだ!!俺の血を持って俺を超えてゆき……俺の野望をお前が果たせ!!」
猛が轟の変異に驚いていると、おそらく観客席にいて試合を見ていたであろうエンデヴァーが轟に激励を飛ばした。
『エンデヴァーさん今頃激励か……?親バカなのね』
そして、轟は個性の火力を上げ始めた、緑谷も迎え撃つべく、最後の気力を振り絞ろうとしているさまを見て、ついにミッドナイトと傍に控えていたセメントスが止めに入ろうとした。
「は・・・・・あっははははははは!!」
「ほえっ!?ぐ、紅蓮君どうしたん!?」
その様子を見て、猛は突然大きな笑い声をあげた。
「馬鹿だぜ緑谷!!お人好しが過ぎる!!ああ、そうか!!そういう人間かお前は!!いいねぇいいねぇ面白ぇよお前は!!最高だ、こんな馬鹿垂れ久々に見た!!楽しい生活になりそうだ!!あはははははははは!!」
猛が自身の愉悦を爆発させた時
ドゴォン!!
会場でも更なる爆発が起きた、轟の氷結によって冷やされた空気が、炎熱によって引き起こされる空気の膨張、さらには緑谷の渾身の一撃が重なり、今までより一番大きな爆発が起きた。
『なんだ今の……お前のクラス何なの……?てか勝敗は!?』
ゴォォォォォォ……
煙が晴れると、緑谷は壁に打ち付けられていて、轟のみがステージに残っていた。二回戦第一試合は、轟の勝利が決定した。
「緑谷君場外!!轟君三回戦進出!!」
「緑谷の奴、煽っておいてやられちまったよ」
「無策で煽っただけか?」
「気迫は買う」
「騎馬戦までは面白い奴だったんだがなぁ」
会場にいるヒーローたちの反応は良くなかったが、猛は変わらず面白さそうな表情で見ていた。
「くっくっく、楽しみだよ緑谷、お前が完璧に力を使えるようになるの、待ってるよ」
(((((いや、紅蓮怖すぎじゃないか!?)))))
その後、破損した会場の修復、ケガ人の搬送が終了した後、二回戦第二試合が始まろうとしていた。
『えー、いろいろありましたが、二回戦の第二試合始めようか!!超スピードを持つ男、飯田vs正直こっち応援したい、B組の刺客取蔭!!スタート!!』
『おい、問題発言してんじゃねえ』
「さて、やりますか」
「よろしくお願いします!!」
クラウチングスタートに近い構えを取る飯田に対し、取蔭は少し上体を低く構えた。
「レシプロ、バースト!!」
飯田は、自身の奥の手レシプロバーストで、取蔭に分裂される前に場外に押し出すつもりだった、だが
(な、いない!?)
一瞬、取蔭は飯田の視界から消えた、そして
ガチッ、ギュゥゥゥゥゥゥゥゥ!!
「な、が、は」
「それはさっき見せてくれたよね~、甘い、よ!!」
取蔭は飯田の視界の外から腕を掴み、足で首を掴んだ腕ごと締め上げた。それはトライアングルチョーク、柔術における三角締めだった。
『ああっと取蔭、まさかの飯田の爆速に対応!!締め技に移行した~!!』
『あれは……三角締めか、来ることが分かってて対応できたんだろう、じゃなきゃ見切れねえ』
「あ……か……」
「取蔭さん、その辺でやめてあげなさい」
「あ、オとしちゃった、降参させるつもりだったんだけど……ごめんごめん」
そうして、取蔭は意識を失った飯田を解放した。
「飯田君失神!!よって三回戦進出は、取蔭さん!!」
「すごいなあの子!!あの超スピードを対応したぞ!!」
「しかも締め技で締め落とすなんて、反応速度が半端じゃないよ!!」
「飯田も悪くなかったけどな~」
取蔭の活躍に、会場のヒーローたちは大いに盛り上がった。B組の面々も騒ぎ立てていた。
「すごいよ切奈ー!!」
「このまま優勝しちゃいノコ~!!」
「とてもbeautifulデース!!」
「やるんだ取蔭ーA組のメンツを潰してやるんだー!!あっははははははは!!」
「漢だぞ取蔭ー!!」
「いやあたしは女だわ」
そして、飯田を医務室に運んだ後、第三回戦、猛と常闇の試合が始まろうとしていた。
『盛り上がってきたぜ二回戦第三試合!!またまた圧勝するか!?紅蓮猛、対ここで食い止めるか⁉なんだかんだこいつもやばいぜ、常闇踏蔭!!スタート!!』
「押さえろ、ダークシャドウ!!」
「アイヨォ!!」
常闇は始まった瞬間、自身の個性、ダークシャドウで猛の動きを止めようとする。
「さて、悪いな常闇……瞬殺する」
対する猛はそういうと、体制をかなり低く構えた、先ほどの取蔭とは違う、どちらかといえば獲物を狙う肉食獣のような構えを取った。
ビキビキビキビキ
その構えを取った瞬間、猛の両足のふくらはぎが膨らみ始めた。
「あれって……やっば!!常闇!!ガードして危ない!!」
その様子を見て、観客席にいた取蔭は思わず声を上げて常闇に警告を言うが、それは少し遅かった。
ヒュン、ドグォ!!ボキボキボキボキ!!ドゴォン!!
「ごふぁ!!」
一閃、瞬間的に爆発的に速度を上げた紅蓮の一撃は、常闇の骨を砕き、向こう側の壁に叩きつけるほどだった。叩きつけられた常闇は、そのダメージの高さ故に吐血し意識を失った。
「あっちゃ~……遅かった」
「常闇君場外!!紅蓮君三回戦進出!!常闇君無事!?」
ミッドナイトは常闇の様子を見て、すぐに救護に向かった。
『おいおい常闇生きてんのか!?かなり吐血してんぞ!?』
「殺しちゃいねえよ、骨が砕けた感触したから、しばらくは意識戻らないと思うけど」
『おい紅蓮』
プレゼントマイクの隣で沈黙を保っていた相澤が口を開いた。
『最初にマイクが説明しただろうが、命に関わるレベルの攻撃をするな』
「分かってるよ、だから殺さねえように手加減したんでしょうが、もしマジで殺す気だったら、体貫いてるよ」
『・・・・・・それでもだ、やりすぎには注意しろ』
「はいはい、了解ですよ~」
「あれで手加減してたのか……?」
「さすがにはったりだろ……」
「いやでも、改めてやばいな紅蓮……」
(やりすぎだよ~!!骨折るくらいならやると思ってたけど、どう考えてもそれ以上のダメージあるでしょ!!猛の馬鹿!!)
会場は一時どよめいていたが、その後、常闇の生死に問題ないことが分かると、二回戦最終試合、爆豪対切島が始まった。最初は切島の硬化に苦しめられた爆豪だったが、次第に切島の個性が続かないことに気が付いた爆豪の猛攻に、切島は戦闘不能になり、爆豪の勝利に終わった。そして、運命の三回戦が始まった。
Q、この主人公の手加減とは何なのか
A、殺さないこと
やっぱ若干どころかかなりイカれてるなこの主人公……あと漫画読み返して思いましたが、最初期のエンデヴァーってやっぱりかなりやばい奴ですね……三回戦、足りない語彙で頑張ってやらねば……多分二回に分けます。