『さあさあ氷の撤去も終わったし、盛り上がっていくぜ~!!ついに始まるぞ希代の問題児対決!!準決勝第二試合、ここまで敵なし、パーフェクトで行くかぁ!?紅蓮猛!!対、言動はあれでも実力は確かだぜ!!爆豪勝己!!』
プレゼントマイクの紹介が終わり、爆豪と猛はフィールドに並び立った。
(切奈の奴、かなり体力使ってたよな~……どうせやるなら万全に近い状態のほうがいい、少し時間かけてやるか)
(今度こそ、今まで見たいな中途半端じゃねえ、完膚なきまでにぶっ潰して、俺が一番になる!!)
『そんじゃ、今度はマジで命に関わらないように気を付けてくれよな!!』
『お前のことだからな紅蓮』
「分かってるよ、しつけえな」
『んじゃ始めるぜ!!レディィィィィィィ!!スタート!!』
プレゼントマイクの号令で、爆豪と猛の試合が始まった瞬間
ボォン!!
爆豪は爆発で一気に猛との距離を詰めた。
(さっきこいつがやってた攻撃は溜めがなげえ!!さっさと距離を潰す!!)
(意外に考えて動いてるよなこいつ、俺に大技を撃たせたくないから詰めてきたか)
「死ねぇ!!」
距離を詰めた爆豪が、猛の顔に向かって爆破を当てようと右手を振りかぶってきた、が
ガシッ
「ぐっ!?」
「残念、読んでるよ」
それを読んでいた猛は振りかぶってきた右手の手首をつかんでいた。
ギリギリギリギリギリギリギリ
「ぐ、この、クソがぁ!!」
ブオン!!
「おっと、あぶねえあぶねえ」
掴んだ右手首をひねり上げていた猛だったが、それを振り払うように今度は左手で爆豪は攻撃しようとしたが、ギリギリで猛は避けた。
「待てや赤髪野郎!!」
「なあ、それ切島と被ってるから変えてくれない?あと俺常時赤いんじゃなくて個性使用時だけ赤いんだって」
「知るか馬鹿髪がぁ!!」
「ははは、泣かしたろ」
ダンッ、ヒュッ
猛は爆豪の攻撃を避けた時の勢いを殺さずに体がほぼ触れるところまで近づく。
(近けぇ!?)
「この距離の戦闘は慣れてねえだろ」
ダン、ドゴォ!!
「ごはっ!!」
猛はその距離から爆豪のみぞおちに掌底を打ち込んだ。あまりの衝撃に、爆豪は体を折りたたんでしまう、その瞬間に
ヒュッ、グシャ!!
「ぶっ!!」
下がった爆豪の顔を肘うちでかちあげた、鼻血が噴き出る爆豪だったが、爆豪もやられるだけではなかった。
チチチ、ボォン!!
「おっと!!」
「はあ、はあ、クソが!!」
肘でかち上げられた瞬間、爆豪も猛に向かって爆破するが、間一髪で後ろに避けて猛は距離を取った。
「意外とやるじゃん、ただのチンピラではねえんだね」
「だあってろクソが……!!」
『紅蓮容赦無しぃぃぃぃぃ!!連撃で爆豪鼻血を噴き出したぁぁぁぁぁぁ!!』
『攻撃から攻撃へのつなぎに全くよどみがない、あれはそう簡単には攻略出来ねえぞ』
「紅蓮君凄すぎる……かっちゃんが一方的に、しかも攻撃に全く転じれないなんて……!!」
「ま、猛は近接のプロだからね、あれくらいやるよ」
相澤とマイクの解説を聞きながら感心している緑谷と、なぜかB組の席におらず先ほどまで猛が座っていた席に取蔭が座っていた。
「そうなんだ……ところで、なんで取蔭さんはこっちにいるの?」
「いや、今B組のほうの席すごいフィーバーしてて騒がしいんだよね、休めないから猛の試合が終わるまでこっちにいるよ」
「そ、そうなんだ」
取蔭の自由ぶりを見て、猛と少し似ていると思う緑谷だった。そんな中、爆豪は猛にボコボコにされながらも頭の中をフル回転させていた。
(ちくしょう!!こいつ俺の動きに合わせて攻撃してきやがる!!一発一発も半端じゃねえ重さだ、いつまでも受けてられねえ!!しかもこいつ全然本気じゃねえ!!舐めやがって……!!)
全く攻撃が当たらず焦る爆豪だが、猛のほうもどうやって攻めるか考え始めた。
(麗日との試合を見て分かってたが、こいつ反射神経が半端じゃないな、全部の攻撃に対して一応回避行動を見せてる。耐久力も半端じゃない、でなけりゃ、最初の水月への一撃でのたうち回っていてもおかしくないんだがなぁ……切奈みたいに締め落としてもいいんだが、ためらいがない爆豪相手だと顔面吹き飛ばされる可能性がある……打撃と投げをメインに攻めるか、疲れるが属性転換使って瞬殺するか……面倒くさいな、想定してたよりはるかに)
「ま、難しく考えるのはやめよう、か!!」
ダンッ!!
「!?」
二人ともどうやって攻めるか考えていたが、猛は思考をやめ再び爆豪に肉薄した。
『紅蓮が再び近づいたぞぉぉぉぉ!!ていうか移動の速度半端じゃねえ!!どうやってんだあれ!?』
『恐らく自身を強化しているエネルギーを一瞬だけ足に集中させて瞬間的に爆発的な速度で移動しているんだろう、器用な奴だな』
(さすがイレイザー、理解が早くて助かるよ)
「なめんじゃねえ!!」
近づいてきた猛に対して、爆豪も個性を使い猛のことを吹き飛ばそうとする。
「なめちゃいねえさ」
パァン!!
「ああ!?」
だが、個性を発動させようとした爆豪の指を絡める形で手を掴んだ。
「相応に評価してる、よ!!」
グリン、ズバァン!!
「ごほッ!!」
そのままひねり上げ、掌底を爆豪のみぞおちに打ち込んだ。
「てめ、この」
ズバァン!!
「ごふっ!!」
「反撃なんざさせねえ、よ!!」
ズバァン!!
爆豪に反撃を許さぬ間で、猛は追撃を加え続ける。
『紅蓮容赦無しぃぃぃぃ!!抵抗できない爆豪に対し、容赦なく腹パンを打ち込み続けるぅぅぅぅぅぅぅ!!ていうか、なんで爆豪反撃しねえんだ!?掌掴まれてるんだぜ!?』
『反撃しないんじゃなくてできないんだろ』
『は!?どういうこと!?』
『紅蓮は爆豪の掌をただ掴んでるんじゃない、指を絡めて離れにくくしている、この状態なら爆豪が反撃しようとなにかしたら文字通り手に取るようにわかる、だから反撃されそうになった瞬間、指を軽くひねり上げることで爆豪の動きを抑制、その瞬間に腹部への打撃、ありゃ苦しいだろうな、しかも打ち込んでいる場所は水月、みぞおちだ、いつ意識を落とされても不思議じゃねえよ』
『ちょいちょい、なんで軽く指をひねるだけで反撃できねえんだよ?』
『指っつーのは手を攻撃に使う奴らにとってめちゃくちゃ重要だ、しかもその反面折れやすい、軽くひねってるだけでもかなり効くんだよ、だから動きが抑制されて反撃できなくさせられてるんだ……もっとも、口で言うのは簡単だが実際にやるには相当な鍛錬を積まねえとできねえけどな』
『うおぉぉぉぉぉぉ!!言動に反して努力マンじゃねえか!!クゥゥゥゥゥル!!』
「出来れば喋るのイレイザーだけにしてくれない?集中切れるから、さ!!」
ズバァン!!
イレイザーの解説を聞きながらも、猛は正確に爆豪のみぞおちに打撃を加えていく。
「がはっ、げほっ、て、めえ」
「つうかタフだなお前も、普通の奴ならとっくにトんでるのに……ま、それでも」
ギリギリギリギリ
「ギ、ギィィィィィィィ……!!」
「なんもさせねえけどな、下手に爆発させて外そうとしたら少なくとも指4本確実に折れるぜ」
猛は、先ほどまでよりも強く爆豪の手をひねり上げる。
「こんの、クソ、がぁ!!」
ブン!!
爆豪は捕まれていないほうの手を。大振りに振りかぶった。
「おいおい、やぶれかぶれじゃ俺には……」
ゴスッ
「いてっ」
猛は爆豪の大振りを受け止めようとしたところに、腹部に蹴りを食らった、その瞬間に
ボボボボボォン!!
「っつう!!」
「はっはー!!ざまあ見ろクソが!!」
掴まれていた手のほうを大爆発、拘束から逃れると同時に猛にダメージを与えた。
『紅蓮今大会初めてのまともな負傷-!!掌がグロイ状態になってる~!!』
「やってくれるじゃん、でけえ口叩くだけはあるね」
「ボコボコ殴りやがってなぁ、ぶっ殺す!!」
「はっ!!無理だね」
メキメキメキ……
猛が掌に個性を集中させると、爆豪の爆発でぐちゃぐちゃになっていた掌が元通りになっていく。
『うぉぉぉぉ!?まさかの自己治癒可能!?チート過ぎねえか!?』
『あいつの個性、本当になんなんだ……?謎が多すぎるぞ』
(こいつ、もう治しやがった!!半端な攻撃じゃ意味がねえ!!だが、近づけばまた掴まれる!!だったら……!!)
ボォン!!
爆豪はその場で大爆発を起こして空中に飛び上がり空中を飛び回り始めた。
『爆豪空中で爆破を繰り返しながらの移動~!!紅蓮に近づくのが嫌になったかぁ!?』
『近接戦での技術だと差がありすぎるからな、だから中距離を保ちたいんだろうよ』
「はは、考えてるな爆豪?だけどよぉ、空中だったら勝機があると思うか?」
爆豪の行動を見て猛は、常闇との戦いで見せたような、獣のような構えを取り、足にエネルギーを集中させ始めた。
ビキ、ビキビキビキビキ
「折角だ、お前の領域で戦ってやるよ」
バヒュゥン!!
そして、目にも止まらぬ速度でその場から飛び上がった。
(早ぇ!!だがその勢いじゃ方向転換は出来ねえはず!!隙ができりゃ……!!)
バンバンバン!!
「んな!?」
「おせえぞ爆豪!!」
だが、爆豪の予想とは裏腹に、猛は空中で跳ね回り、速度を保ったまま近づいてきた。そして
ヒュッ、ドゴォン!!
「ゴッ……!!」
勢いそのままに爆豪に蹴りを入れた。勢いのあまりに、爆豪は地面にめり込んだ。
『マジで容赦がねぇぇぇぇぇぇ!!紅蓮に隙は無いのかぁ!?』
「が、げほっ、ごほっ」
「マジでタフだな~、割と強めに蹴ったぜ?ちょっと自信なくすわ」
満身創痍の状態だが、まだ意識を保っている爆豪の前に猛はゆっくりと空中から降りてきた。
(ちくしょう、全身あちこちいてえ、もう長時間戦えねえ……仕方ねえ!!)
「・・・・・へえ?覚悟決めたのか」
ボロボロながらに闘志が滾っている爆豪の目を見て、猛の口角が自然と上がる。
「いいぜ、受けてやるよお前の決死の攻撃」
そういうと、猛は今までの構えを解いて仁王立ちを始めた。
『おおっと紅蓮、ここに来てどうしたんだ?構えを解いたぞ?』
『まさかあいつ・・・・・・』
「あーあ、猛の悪い癖出たわ」
「取蔭さん、どういうこと?」
猛の様子を見て呆れている取蔭に、どういうことかよくわかってない緑谷は取蔭に尋ねる。
「猛はさぁ、気分が乗りすぎてると、絶対に勝てる状況でも、絶対に一発は受けるんだよねぇ~、無駄に攻撃受けるから全身あちこち傷だらけだし、マジで直してほしい悪癖だよ」
「そ、それは怖いね……いろんな意味で」
「まあでも、それでも勝っちゃうんだろうな~、猛は」
「舐めやがって……!!最大火力で、吹き飛ばしたらぁ!!」
そうこうしている間に、息を整えた爆豪が、回転しながら空中に飛び上がった。
「来いよ!!最後のチャンスだぜ爆豪ぉ!!」
「吹き飛べやぁ!!
チチチッ、ボォォォォォォォォン!!
爆豪の決死の一撃は、フィールド全体を巻き込む大爆発を引き起こした。
『爆豪も全く容赦がねぇぇぇぇぇぇ!!これさすがに、紅蓮の奴吹っ飛んだんじゃないか!?』
『・・・・・いや、そんなことはねえみたいだ』
「嘘、だろ・・・・・・・」
「はっはー!!効いたぜ爆豪ぉ!!だが、残念だったなぁ!!」
土煙が晴れると、まともに受けたせいで、全身ズタボロに場外ギリギリまで後退していながらも、その場で仁王立ちしたままの猛が立っていた。
「いやぁ、大分いい感じだったぜぇ?ああ、全然いいじゃん、十分楽しめた……んじゃ、終わらすか」
「ッまだだ!!」
爆豪は、再度間髪入れずに大技を猛に放とうとしたが、その隙を作る猛ではなかった。
ヒュン!!
「ッ!?」
猛は後退した位置から、爆豪の懐にすさまじい速度で近づき、そして
ヒュッ、ズドン
「がっは……」
ドサッ
爆豪のみぞおちに、今までとは比べ物にならない一撃を叩きこんだ。いかにタフだった爆豪でも、失神は免れなかった。
「強くなれよ爆豪、次はもっと楽しみたいからな」
「・・・・・爆豪君失神!!よってこの勝負、紅蓮君の勝利!!」
うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!
猛の勝利宣言がなされると、再び会場に大歓声が巻き起こった。
『ついに決着ゥゥゥゥゥゥ!!紅蓮が爆豪を一蹴!!このまま無敗で優勝するのかぁ!?がんばれ取蔭ぇ!!』
『おい、問題発言するな……』
「かっちゃんが失神させられるなんて……紅蓮君、本当にすごすぎる……」
(ま、そりゃ決勝は猛とだよね~……絶対に、諦めないから)
(よぉ切奈、休憩時間は作ってやったんだ、根性見せてくれよ)
それぞれの思いを胸に、ついに決勝戦が始まる。
なんだろうなこの戦闘狂、次、なるべく早く出します。