傷が多い青年のアカデミア   作:yu-way

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荼毘と轟君の様子を見て泣いてしまう、スピナーはどうなるのやら……体育祭編、ようやく終わります、そして、ようやく二人がくっつきます(ネタバレ)


変わる二人の関係、体育祭終了

「・・・・・んぐ、いててて……」

 

「お、起きたな切奈、意外と回復早かったな」

 

「猛……ここは……」

 

「医務室だよ、ダメージが思ったより入っててな」

 

決勝戦後、猛との戦いでのダメージがすぐに抜けずに、取蔭はしばらく意識が飛んだままであり、猛はそばを離れずに取蔭の意識が戻るのを待っていた。

 

「そっか……負けちゃった、か……」

 

取蔭は現状を理解して、ベットに横になったまま涙を流し始めた。

 

「ダメだったなぁ……もうちょっと戦えると思ったんだけどなぁ……」

 

「・・・・自分を過少評価しないでくれよ、切奈」

 

そんな取蔭に、猛は普段とは違う優しい口調で話し始めた。

 

「正直、俺は少しビビったよ、ある意味爆豪や轟よりも、なんでか分かるか?」

 

「・・・・・・轟に勝ったから?」

 

「それもある、だけどそれだけじゃあねえ、一番は気迫だった」

 

「気迫?」

 

猛の言葉に、取蔭は思わず聞き返した。

 

「そう、お前の眼の中で燃えてた勝ちにこだわる執念、覚悟、そういった気迫が……ある意味じゃ轟や爆豪を超えてた、その気迫に少しビビった……と、同時にうれしかった」

 

そういう猛の顔は、先ほどの戦いで見せていた獰猛な笑みではなく、慈しむような笑みを浮かべていた。

 

「俺と同じくらい負けん気強い奴はそうそういねえからなぁ……お前が俺と同じものを持ってるのは、すげえうれしかったよ、だからちょっとやりすぎちまったけどな」

 

「・・・・・・あはは、そっか、なら……もうちょっと頑張ろうかな」

 

そういう取蔭はもう涙を流してなく、いつものような笑顔を浮かべていた。

 

「次は勝ちたいからね、猛にも」

 

「その調子で頑張ってくれると嬉しいな……んで、覚えてるか?体育祭が終わったら話があるって」

 

「え?う、うん」

 

先ほどとはまた雰囲気が変わり、猛の鋭い視線に、取蔭は思わず身動ぎした。

 

「ふうー……わり、少し緊張してる……昔、俺が個性把握診断で無個性って診断された後、覚えてるか?」

 

「・・・・・・・うん」

 

「両親は俺に愛情を注がなくなった、別に虐待とかはなかったが、妹との扱いの差は分かりやすかったよな、周りの人間はちょうどいいサンドバックでも見つけたように俺に対してずいぶん攻撃的になった……だけど、小2の頃に遅咲きで個性が発現し、それが超戦闘系個性と分かったらまた一転、両親は俺に愛情を向け始めて、周りは俺からの報復を恐れておべっか使ってよ……がきんちょながらに思ったよ、人間てこんなものなんだなってな」

 

「・・・・・・・・・」

 

猛の話を聞いて、取蔭は悲しむような表情を見せた。

 

「まあ、それでも別に良かったさ、他人にそこまで期待せずに生きていけばいい、そう思ってたからな……だけどさ、お前は違ったよな、切奈」

 

猛の言葉に、切奈はまた驚いた表情になる。

 

「お前だけは変わらずに接してくれた、個性があろうが無かろうがお前はいつでも離れないでいてくれた、そんなお前が……すげえ好きだよ」

 

「あ・・・・え・・・・?」

 

猛の言葉を聞いて、取蔭の表情は赤みを帯びていった。

 

「いろいろ長くなったけど、俺が言いたいことは……お前が好きだ、切奈、俺と付き合ってほしい」

 

「な・・・・は・・・・」

 

「答えは今すぐじゃなくていい、ただ、俺はお前のことをそういう目で見てるから……そんだけ忘れないでくれ」

 

それだけ言って、猛は席を立ち、医務室から出ていこうとした。

 

「ま、待って!!」

 

だが、立ち去ろうとする猛の手を、取蔭は掴んで止めた。

 

「あ、あのさ、私もさ、勝てたら猛に話したいことがあるって言ったの覚えてる?」

 

「ああ、覚えてるけど……」

 

「あ、あのね、本当は勝ったら言う気だったんだけど……えっと……」

 

出ていこうとする猛を止めた取蔭だったが、羞恥からか言葉に詰まっていた。

 

「私さ、結構昔からヒーローになりたいって言ってたじゃん?」

 

「そうだったな、まあ今時普通な気がするが」

 

「でもさ……私も結構、否定されてたよね……」

 

切奈の表情は、少し暗いものになった。

 

「私の個性はさ、ぶっちゃけそんなに強くないし、私自身もそんな強いわけじゃなかったからさ、みんなに笑われてたけどさ……猛は、否定しないでくれたよね、それどころか、私に戦い方を教えてくれた、ずっと……隣にいてくれた」

 

「・・・・・・・え、まじ、か……?」

 

取蔭の話を聞いて、猛は驚愕の表情を隠せないでいた。

 

「私は……なんだかんだ言いつつも、そんな優しい猛が、大好きです」

 

「・・・・・・・あ、は、あははは」

 

表情を赤らめた取蔭から発せられた言葉に、少しの間気の抜けた表情をさらしていた猛だったが、少し経ってから笑い始めた。

 

「な、なんだよ、これ、お互い考えてたこと同じだったわけ……?俺ってこんなに察し悪かったっけ……?だせえ、はずっ、何をしてるんだよ俺は……!!」

 

「ふ、ふふ、あっはは、本当にね!!」

 

「ていうか、お前、好きな奴とルームシェアするか⁉俺全く男として見られてねえのかと思ったわ!!」

 

「だ、だって、こうでもしないと女として意識してもらえないと思ったし……」

 

「え、ええ~……何やってんだよ、俺は」

 

あまりの羞恥に、猛はその場にうずくまった。そんな猛に、取蔭はベットから起き上がり、猛に抱き着いた。

 

「猛、ありがとう、私も大好きです」

 

「・・・・・・俺も、切奈が好きだ」

 

だが、切奈の言葉に、猛も取蔭の事を抱き返した。

 

「すげえ……不安だった、フラれたらどうしようかと思ってた」

 

「私も……でも、結局似た者同士だったね、私たち」

 

「そうだな……あ~、こんなに緊張したの何年ぶりだよ、襲撃を受けた時よりも緊張してたわ」

 

「あっはは、おおげさ」

 

コンコン

 

「うぇあ!?」

 

ベシッ

 

二人で抱き合いながら笑いあっていたが、不意の訪問者に取蔭は我に返り猛を地面に叩きつけた。

 

「ぶぇあ」

 

「は、はいどうぞ!!」

 

ガチャッ

 

「なんだい、とっくに起きてるじゃないかい、傷の具合はどうさね」

 

そこには、雄英高校のかかりつけ医、リカバリーガールがいた。

 

「あ、はい、問題ないです……」

 

「そうかい、それなら早く行きな、そろそろ表彰式が始まるよ」

 

「わ、分かりました~……猛先に行くね~……」

 

そういうと、取蔭はそそくさと医務室から退室していった。

 

「あんたは何床に寝てるんだい、あんたも何か後遺症でもあるのかい」

 

「・・・・・・リカバリーガール、あんたじゃなかったらマジで殴り飛ばしてたよ本当……何でもないので俺も退室しま~す」

 

そういって、猛も取蔭の後を追って医務室を退室した。

 

「・・・・・やれやれ、若いっていうのはいいね」

 

そんな二人を見たリカバリーガールは、二人にどういうことがあったのか、その経験の深さから気づくのであった。

 

 

 

 

「それではこれより!!表彰式を開始したいと思います!!」

 

すべての行程が終わり、ついに雄英体育祭表彰式が始まろうとしていた、だが、1位や2位よりも目立つ輩が、お立ち台で拘束されていた。

 

「なにあれ……」

 

「起きてからずっとあの調子なんだってよ……しまんねえよなぁ、全く」

 

ガチャンガチャンガチャン!!

 

「んぐぐぐぐぐぐ~!!」

 

そこには、轟と同率3位の爆豪が、全身ガチガチに拘束されていた。

 

「なんで爆豪はこんなにしっかり拘束されてるの……」

 

「多分、俺が最後まで手加減してたのが分かって怒り狂ってるんでしょ、プライド高すぎだぜ」

 

「もがががががががー!!」

 

「なんて言ってるんだよお前は」

 

「もはや悪鬼羅刹」

 

爆豪の拘束はそのまま解かれることなく、ミッドナイトによって表彰式が進行し始めた。

 

「はいみんな静かに!!メダル授与の時間よ!!今年メダルを授与するのはこの人!!」

 

「はーっはっはっは!!私が、メダルを持って「我らがヒーロー、オールマイトォォォォォォォォ!!」来たぁ!!」

 

「あんた本当にタイミングの悪い男だな、しまらねえ」

 

「ま、まあまあ」

 

ミッドナイトの号令とオールマイトの決め台詞がかぶってしまい、わなわなと震えるオールマイトを見ながら、猛は辛辣な言葉を投げかけていた。

 

「ご、ごほん!!轟少年、3位おめでとう。途中で炎を使っていたのは、訳があるのかな」

 

オールマイトが気を取り直して、轟に銅メダルをかけながら心境の変化を問いかける。

 

「・・・・・緑谷との戦いできっかけをもらって、自分もまだよくわかってないんです、でも……紅蓮に言われたこととか、ヒーローになるっていうことが、少しわかった気がします、だけど、俺だけが吹っ切れるだけじゃダメなんだ、清算しなきゃいけないものがまだある、それを清算しようと思ってます」

 

「・・・・・・以前と表情が全く違う、深くは聞くまいよ、今の君ならきっと清算できる」

 

そういうと、オールマイトは轟にあつい抱擁をした。

 

「さて、爆豪少年、っとこれはあんまりだな」

 

そういうと、オールマイトは爆豪の口枷を外した。

 

「惜しかったな!!だが決して悪くなかった、今回は駄目でも次は……」

 

「オールマイトォ……こんな順位、何の意味もねえんだよぉ!!赤髪野郎には手加減されまくってて、ろくに抵抗も出来ずによぉ!!こんな意味のねえ順位!!もらっても価値はねえんだよ!!」

 

「(顔すっげ……)まあそう言うな、ならなおさらメダルは貰っておけよ、自身の傷として、忘れぬようにな!!」

 

「いらねえって言ってんだろ!!」

 

オールマイトが爆豪の首にメダルをかけようとしていたが、爆豪が抵抗していると、結局メダルは爆豪の口にかけられていた。

 

「さて!!取蔭少女、準優勝おめでとう!!」

 

そして、ついにトップ2のメダル授与に移った。

 

「君の奮闘は本当に素晴らしかった!!どんな状況でもあきらめずに進む心、これからも無くさずに勇往邁進してほしい!!」

 

「ありがとうございます、私も次は一番上に立てるよう努力していきます」

 

「うむ!!そのいきだ!!そして……紅蓮少年!!優勝おめでとう!!」

 

「うぃーっす」

 

取蔭へのメダル授与が終わった後、猛への金メダル授与が始まった。

 

「伏線回収見事だった、君はやはり素晴らしいものを持っているな!!」

 

「そりゃどうも、まあ俺が勝つってのは俺が一番わかってたから、意外でもなんでもないけどな」

 

「ははははは!!君には敵わないな!!だが油断しては駄目だ、今回は君がここに立っているが、次は分からないかもしれんぞ?」

 

「はっ、そりゃあ楽しみだぜ、俺に勝てる奴がいるならぜひ手合わせしたいね」

 

そして、全員のメダル授与が終わり、オールマイトが全体の講評を始めた。

 

「さあ!!今回は彼らだったが、この場にいる全員がここに立つ可能性があった!!ご覧いただいた通り、競い合い、高め合い!!さらに先へと進んでいくその姿、次代のヒーローは確実にその芽を伸ばしている!!てな感じで、最後に一言!!」

 

そして、オールマイトは表彰式の最後を締めようとしているのを見て、皆はあの言葉を言おうとした。

 

「「「「「プルス!!ウルト「お疲れさまでしたァ!!」ラァ!!」」」」」

 

「本当に締まんねえなこの金髪のおっさん」

 

「あはは……よかった、ね」

 

ギュッ

 

会場からオールマイトへの苦情が飛んでいる中、切奈は猛の手を皆が見えないように握った。

 

「・・・・・・・・ま、そうだな、よかったよ」

 

猛は切奈の表情を見ながら、ゆっくりと手を握り返すのだった。




よくよく考えたら取蔭ちゃんこんな乙女な性格じゃなくねえ?まあいいか、こういうのも悪くないと思いたいですね……次回はしばらくお待ちください。そう遠からず出したいと思ってるので。
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