(あー……本当にくっついたんだなぁ……長かったぁ……)
体育祭が終わり二日後、猛は切奈と交際が始まったことを教室で噛み締めていた。
「来る途中にめっちゃ声かけられたよな!!」
「私もめっちゃ見られてたよ!!」
「俺なんか子供たちにいきなりドンマイコールだぜ?」
「ドンマイ」
「たった一日で注目の的になるなんて、さすが雄英だよなぁ」
ガラッ
「おはよう」
教室で談笑していた一同だったが、担任の相澤が入ってきた瞬間、一瞬で全員静かになった。
(訓練されてますなぁ、静まり方が)
「先生、包帯が外れてよかったわ」
「ばあさんが大げさなんだよ、そんなことよりヒーロー基礎学、ちょっと特別だぞ」
相澤の言葉に、一部の生徒は心中に不安が渦巻いていた。
(ヒーロー関連の法律やらなにやら、ただでさえ苦手なのに!!)
(特別!?小テストとか!?やめてくれよ~!!)
「コードネーム、ヒーロー名の考案だ」
「「「「「胸膨らむやつきたぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」
相澤の一言に、クラスの面々は先ほどとは違い全員興奮をみなぎらせていた。
「と、いうのもだ」
だが、相澤の一睨みで、再び全員静まり返るのだった。
(軍隊かここは……静かなのは嫌いじゃないが)
「先日話したプロからのドラフト指名に関係してくる、指名が本格化するのは経験を積んで即戦力として判断される2,3年から……つまり、今回来た指名は将来性に対する興味に近い、卒業までのその興味が削がれたら、一方的にキャンセルなんてのはよくある話だ」
「大人は勝手だ!!」
「ふ~ん、それじゃ指名が多い奴はそれだけ注目されてると同時に、それだけプレッシャーをかけられてるわけだな、一方的にキャンセルなってされたら、お前は期待外れだったって、もろに宣告されるわけだし」
「そういうことだ、で、その指名の集計結果がこれ」
そういって相澤は黒板にプロヒーローからの指名があったものを映し出した。結果としては
紅蓮 5680
轟 3200
爆豪 2455
常闇 300
飯田 277
上鳴 243
八百万 107
切島 55
麗日 20
瀬呂 11
という形になっていた。
「例年ではもっとばらけるんだがな、三人に注目が行った、あとはB組の取蔭も4000近く来てたらしい」
「だー!!白黒ついた!!」
「紅蓮君多いね!!さすがだよ!!」
「ま、こんなところだろうよ」
「さすがですわ、轟さん」
「ほとんど親父の話題ありきだろ」
「轟と爆豪、同じ3位だけど大分票に差があるな」
「そりゃあ表彰台で拘束されてた奴なんてビビって呼びたくないって」
「ビビってんじゃねえよプロがよ!!」
「わあ~!!指名あるよ~!!」
「うむ!!」
「緑谷、ないな!!」
「う、うん」
各々様々な反応を示している中、相澤は次の話題に移っていった。
「これを踏まえて、君たちには指名の有無に関係なく、いわゆる職場体験に行ってもらう」
相澤の言葉に、生徒一同は緩んでいた気が引き締まった。
「君たちは一足先に経験してしまったが、プロの活動を実際に体験して、より実りある訓練をしようってこった」
「それでヒーロー名か!!」
「俄然わくわくしてきたぁ!!」
「まあ仮ではあるが、適当なものは……」
「つけたら地獄を見ちゃうよ!!」
相澤の言葉にかぶせるように、ミッドナイトが教室に入ってきた。
「この時の名が!!世に認知され、そのままプロ名になってる人多いからね!!」
「「「「「ミッドナイト!!」」」」」
「ま、そういうことだ、その辺のセンスをミッドナイトさんに査定してもらう、俺はそういうの出来ん」
そう言って、相澤は寝袋に潜り込んで寝る体制になった。
「将来自分がどうなるか、名をつけることでイメージが固まり、そこに近づいていく、それが名は体を表すってことだ……オールマイトとかな」
そして、各自にホワイトボードが配られ、各々が思い描く自分のヒーロー名を書き始めていた、そんな中猛はというと、何も書かずにどうするか決めかねていた。
(ヒーロー名ねぇ……正直、俺にとってヒーローは手段でしかない、なりたい理想像……なくもないが、ぶっちゃけヒーローらしくねえし……まあ、難しく考えてないでシンプルに片付けるか)
そして、猛もボードにヒーロー名を書き始め、15分が経過したころだった。
「じゃ、そろそろできた人から発表してね!!」
ミッドナイトからみんなの前で発表するように言われるのだった。
(ええ~!?発表形式かよ!!)
(これはなかなか度胸が……!!)
「んじゃ、さっさと終わらせますか」
皆が出るのをためらっている中、猛がいの一番に前に出た。
「俺のヒーロー名はこれ、スカーレット」
「シンプル!!理由は何かあるかしら?」
「俺の個性はなんでか知らんが全部が全部赤く染まってる、んでそっからもじって俺の技名もスカーレットがほとんどつく、分かりやすいだろ」
「分かりやすい、それはとても大切なことだわ!!いい!!」
「じゃあ次は私ねー!!」
そう言って、猛の次は芦戸が壇上に立った。
「ヒーロー名、エイリアンクイーン!!」
「2!!血が強酸性のあれを目指してるの!?やめときな!!」
「ちぇ~」
「それじゃあ、次は私いいかしら」
芦戸の発表が不発に終わり、次のヒーロー名発表は蛙吹になった。
「小学生の頃から決めてたの、梅雨入りヒーロー、フロッピー」
「かわいい!!親しみやすくていいわ!!」
そして、蛙吹の発表を皮切りに、クラスメイト達はどんどん自身の考えるヒーロー名を発表していった。憧れを背負おうとするものや、シンプルに個性名と同じもの、理想をそのままにしているものを見て、猛は内心関心していた。
(意外にみんな考えてるもんだねぇ、俺とは大違いだな……爆豪はあれだったけど)
「思ってたよりずっとスムーズ!!あと残ってるのは再考の爆豪君と、飯田君と緑谷君ね」
「・・・・・・・」
いまだに発表できない二人を、猛は神妙な面持ちで見ていた。
(緑谷は不思議じゃねえ、あいつは自身の無さが言動の節々に出ているからな……だが、飯田が無発表、か……)
「・・・・・天哉で」
何か深いことを考えてそうな飯田だったが、出てきたヒーロー名は自身の名前だった。
「あら、あなたも名前なのね」
(・・・・・・飯田の奴、悩んでるな、無理もねえな)
そして、飯田の後、ついに緑谷のヒーロー名が発表された。
「ええ!?緑谷それでいいのか!?」
「うん……今まで好きじゃなかったけど、ある人に意味を変えられて……結構な衝撃で、うれしかったんだ……だから、これが僕のヒーロー名です」
緑谷の出したヒーロー名は、今まで爆豪から蔑称として呼ばれていたデクだった。
(ははっ、いいじゃん緑谷、精神性に成長が見られるよ、やっぱおもしれえな、あいつは)
「爆殺卿!!」
「ちがう、そうじゃない」
(んでこっちのネーミングセンス小学生以下は頭の中どうなってるんだ)
結局爆豪のヒーロー名は決まらないまま、その日のヒーロー基礎学は終了した。
昼休憩時、猛はいつものように屋上で食事を取っていたが、この日は切奈と柳だけでなく、拳藤も一緒に食事を取っていた。
「どうしよ猛~多すぎて決めらんないって~」
「まあ、俺たちは特別多いからな、拳藤と柳は来てたのか?指名」
「私は来なかった……見せ場なかったし……」
「私は来たよ、少しだけ」
「猛の指名見せてよ、気になる」
「いいよ、ほれ」
そう言って、猛は自身に来ている指名を3人に見せた。
「どれどれ~……うわっ、そうそうたる面々から来てるじゃん!!」
「エンデヴァー、ミルコ、ベストジーニスト、ホークス、リュウキュウ……トップ10のヒーローからそれ以外の有名なヒーローもいっぱい……」
「なんか、本当に一人だけ別格だね……なんか、これだけ離れてると悔しさ通り越して尊敬する」
「でもなぁ、逆に困るぜ、こんだけ多いとさ、実践経験が積めそうなのはミルコ、ヒーローの所作とかを習うんだったらジーニスト、速度にふるならホークス、メディアを意識するならリュウキュウ……ま、俺はメディア露出そんなにする気はねえけど、悩むねえ」
「あれ、エンデヴァーは?」
「エンデヴァーはなし、殴る自信しかない」
「「「????」」」
猛の言葉に、理解できない3人は、頭にハテナマークを浮かべたままになっていた。
「まあ、明日までには決める、お前らも慎重に選べよ、自分にとって意味ねえところに行ったらなんも経験積めずに無意味に過ごすことになるからな」
「そうだね~」
(しかし……飯田、か)
猛は、先ほどの飯田の雰囲気を思い出して、先日のニュースを思い出していた。
(ヒーロー殺し……世直しを謳って何人も殺してるクソ野郎だが……インゲニウム、再起不能になったって話だったな……飯田の奴、やらかす気じゃねえよな……)
猛がこの時感じていた不安は、すぐに現実のものになるのだった。
猛と取蔭ちゃんがくっついたので作中の呼び名が取蔭から切奈になりました。
猛が職業体験に行くところはアンケート取らせてほしいです、ちなみにエンデヴァーは現状だと猛が殴りかねないから無しです。終盤のエンデヴァーはかなり好きなんですけどね、この時はまだいろいろ決まってる時なので
職業体験先
-
ミルコ
-
ホークス
-
ベストジーニスト
-
リュウキュウ