傷が多い青年のアカデミア   作:yu-way

6 / 33
個性把握テスト、一つの確信

「「「「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」

 

相澤の発言に、生徒達は静まり返った後、絶叫をあげた。

 

(うるっせぇよ!!こいつの今の感じからなんか察しろよ!!阿呆かよ!!)

 

そんな中、猛はなんとなく察していたのか、相澤の発言よりも生徒達の絶叫にイライラしていた。

 

「そんな、初日から除籍なんて……理不尽過ぎる!!」

 

「ヒーローになれば、事故や自然災害、ヴィランのような理不尽は突然やってくる。放課後にマックで駄弁りたい奴らもいるだろうが、ここはヒーロー科、我々教師は3年間、君達に受難を届け続ける。マイクの奴も言ってただろう?プルスウルトラさ、それに、生徒の如何は教師の自由……ようこそ、ここが雄英高校だ」

 

相澤のその言葉に、大半の生徒は、戦々恐々としていたが、一部の生徒は違うことを考えていた。

 

(上等だ……!!あの入試1位の奴に成績で勝って、俺が一番だって教えてやる!!)

 

(初日からたりぃなぁ……ま、そこそこでやりますか)

 

そうして、除籍をかけた個性把握テストが始まったのだった。

 

第一種目、50m走

 

「あ、一緒に走るのよろしくね!!」

 

猛の走る順番の時、一緒に走るのは全身透明な生徒だった。

 

「おぉ~……危ねぇからもう少し離れときな」

 

「え?危ない?それってどういう……」

 

「次の走者達、準備して下さい!!」

 

透明な生徒が猛の言葉の意味を聞くが、その前に自分達の走る順番が来た。

 

「位置について、よーい……ドン!!」

 

グッ、ドゴォン!!ピピッ

 

「ふぁ!?」

 

「あ、やっべ」

 

スタートの合図がなった瞬間、猛が全力で走り出すと、その衝撃で隣にいた透明な生徒は吹っ飛んでしまった。ちなみにタイムは

 

1秒22

 

だった。

 

「わりぃ、加減ミスった~」

 

「何だよ今のダッシュ……」

 

「踏み込んだ地面抉れてるぞ……」

 

「まさかこの種目で負けてしまうとは……」

 

猛は、始めの種目から一番の記録を取った。ちなみに吹っ飛んでいった生徒は計り直しをさせて貰っていた。

 

第二種目、握力

 

ギギギギ……

 

猛は握力計を握りながら、周りの生徒を観察していた。

 

(ふむふむ、あのポニーテールの女の子はいろいろ作り出せるのか、万力……アリなのか、それ……そんであっちのがたいのいいのは多分腕とか自分の身体を増やせるのか……?なかなかな記録を出してるな……だけどあいつ……緑谷っつたか、さっきから記録弱くね?)

 

バキン!!

 

「あ、やっちまった……」

 

余所見をしながらやっていたせいか、猛が握っていた握力計は握る所が外れて壊れてしまった。

 

「すんません、この場合どうなります?」

 

「紅蓮……仕方ねぇ、測定不能って事にしとけ……この握力計、1tまで測れる物なんだが……」

 

「やべえ、あいつマジでやべえ……」

 

「さっきからとんでもない記録しか出してねぇ……」

 

猛の第二種目での結果は、測定不能で終わった。

 

第三種目、立ち幅跳び

 

「どっ、せぇい!!」

 

ビュウン……

 

「うわ、またすげえ記録……あれ?」

 

「あいつ……空中に浮いてね?」

 

猛は、立ち幅跳びで飛んだと思ったら、空中で浮遊し始めた。

 

「おーい、この場合どうなんの?このまま向こうぎりぎりまで飛んで帰ってくればいい?」

 

「・・・・・・・・お前、その状態どれくらい維持出来る?」

 

「6時間以上はやったこと無い、多分もっといける」

 

「分かった、お前の記録は∞にするから戻ってこい」

 

相澤は、対応に困り記録を∞にした。

 

「記録∞て……」

 

「どうなってんの?何なんだあいつの個性……」

 

周りの生徒は、猛の個性がなんなのか分からなくなり始めていた。

 

第四種目、反復横跳び

 

ヒュッヒュッヒュッヒュッ

 

「あいつ分身してね?」

 

「増強系?だけど飛んでたよな……?」

 

まわりの生徒から見れば、猛の姿が分身しているように見えるほど早いスピードが出ていた。

 

ピピッ

 

「ふう……280回か、やっぱ調整ムズいな……足がいてぇし、あんまり速度でねぇや」

 

((((あれで!?))))

 

猛の発言に、驚愕が隠せない一同だった。

 

第五種目、ソフトボール投げ

 

猛は一番最初にやったので、ここでは見学していた。

 

(あのポニーテールの女の子、八百万って呼ばれてたが……大砲って……ヤバすぎね?万能個性過ぎるだろ)

 

そうして、他の生徒の種目を見ていると、一番最初に猛を睨んでいた男子生徒は705.9mという記録を出し、茶髪の女子生徒が∞という記録を出していた。

 

(ほぉ~、触った物を無重力状態にする……強いな、麗日って言ったな、触ればほぼ一撃ノックアウト、あっちのチンピラ……爆豪も強い、掌で爆発を起こす個性……便利だな)

 

そんなことを考えていると、今まであまりよい記録を出していない緑谷という生徒の番が来た。

 

(さて、あのもじゃもじゃ君はまだ個性を使ってねぇ……どうするのかな?というか個性使わない理由はなんだ?こういう運動系統には向かない対人用の個性とか?なら使わない理由も分かるが……だったらどうやって入試を合格したんだ?)

 

そうして、緑谷という生徒が覚悟を決めたような顔をしてソフトボールを投げるが、記録は46mだった。

 

「あ、あれ!?今確かに……!!」

 

「個性を消した、やれやれ、だからあの試験は合理的じゃない、お前のような者まで合格出来ちまうんだからな」

 

ソフトボールを投げようとした瞬間、相澤がどうやら緑谷という生徒の個性を消したようだった。

 

「個性を消す……そうか思い出した!!視ただけで他人の個性を消す、抹消ヒーロー、イレイザーヘッド!!」

 

担任の正体が分かったのか、緑谷は声を上げる。

 

(イレイザーヘッド……あぁ、アングラ系のあのヒーローね……それよりも個性を”消した”?って事は少なくとも精神系の個性じゃねぇ……じゃあなんだ?増強系なら使わねぇ理由が……ん?)

 

猛がふと校舎の陰を見ると、日本一有名なごつい金髪のヒーローが心配そうに見つめていた。

 

(オールマイト……?何でここに……ああ、そうか、そういうことね)

 

猛は、オールマイトが緑谷を気にしている事で、なんとなく事情を察した、その瞬間だった。

 

「スマーッシュ!!」

 

ビュウン!!ピピッ

 

緑谷は、二回目のソフトボール投げで、705mという記録をたたき出した。指は折れていたが、それでも立っていた。

 

「先生……まだ、動けます……!!」

 

「こいつ……!!」

 

その様子を見て、相澤も思わず口角が上がる。

 

(確定だな、やっぱり緑谷が……)

 

「コラァァァ!!訳を言え!!デクてめぇ!!」

 

その瞬間、先程まで睨み付けてきていた爆豪が緑谷に向かって掌を爆発させながら駆け寄る。

 

(馬鹿かよあいつ、全く……はあ)

 

ズガン!!ピキィン……

 

「んが!?ンだこれ……冷てぇ……!!」

 

「動けねぇだろ?馬鹿やってねぇで頭冷やせや、物理的に」

 

猛が足を踏み抜くと、爆豪をその場で凍り付かせた。

 

「て、めぇ……!!」

 

「睨むな睨むな、照れるだろうが。それにお前を助けてやったんだぞ?ヒーロー科で喧嘩なんざ即刻除籍だろうに、だろう先生?」

 

爆豪の睨み付けを軽くいなしながら、猛は相澤の方を向いて言う。

 

「確かにそうだが、勝手な真似はするな、何かあれば俺が止める、まだテスト中だし、氷溶かしてやれ」

 

「はーいはい」

 

「伸ばすな、それとはいは1回」

 

「はい」

 

パチン、パリン

 

猛が指パッチンをすると、爆豪を覆っていた氷が砕け散った。

 

「凍らせた……?マジで何なんだあいつの個性……」

 

「しかも一瞬で消えたわ、どういう原理なのかしら」

 

「増強系で発生系って事でしょうか……?」

 

「この野郎……!!」

 

「睨むなって、野良犬か?お前は」

 

「ンだとゴラァ!!」

 

「煽るな!!テストを再開するぞ」

 

そんなひと悶着もありながら、個性把握テストは再開された。

 

第六種目、持久走

 

「はっはっはっはっ、それ、ありかよ」

 

猛は、まさかの原チャリを作り出した八百万を見ながらそうぼやく、だが周りの反応は

 

((((いや、なんで原付バイクとほとんど並走してるんだ?))))

 

という、疑問だった。そして、最終的には、八百万の次に早い結果になった。

 

第七種目、長座体前屈

 

ググググ……

 

「ぐ……これは……苦手、だ」

 

「70cm……普通だな」

 

「いや、結構柔らかくね?」

 

「それでもさっきまでの記録に比べれば……」

 

この種目では、自分の個性を活かせないため、普通の記録に終わった。

 

第八種目、上体起こし

 

ヒュッヒュッヒュッヒュッ

 

「また早ぇ!?」

 

「てか押さえてる障子がキツそうだぞ!?」

 

「砂糖……お前も押さえてくれ」

 

「む、無理だろ!?早すぎだって」

 

「(うるせぇ……しかも言うほど早くねぇ)117回か……押さえてくれてありがとう」

 

「ああ、いや、別に……」

 

そうして、度々アクシデントがありながらも、無事に個性把握テストは終了したのだった。

 

 

「それじゃパパっと発表するぞ、トータルは単純に各種目の評点を合計した物だ。口でひとりひとり説明するのは時間がかかるので一括開示するぞ」

 

そして、相澤の手元の端末から、順位が出された。猛は1位で、2位が八百万、3位が轟という生徒、4位は爆豪で、緑谷は最下位だった。

 

「ちなみに除籍は嘘な」

 

「「「「・・・・・・え?」」」」

 

「君らの最大限を引き出す為の合理的虚偽」

 

「「「「はぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」」

 

相澤の言葉に、特に絶望していた緑谷は絶叫を上げる。

 

「あんなの嘘に決まってるじゃない、少し考えれば分かりますわ」

 

(どうだか、途中までは本気の目だった、だけど緑谷の能力を見て考え直した、って所か……よかったじゃないかオールマイト、緑谷が除籍じゃなくて)

 

猛は、ちらりと校舎の陰に目をやる。そこには相変わらずオールマイトが覗き見していた。

 

(緑谷出久……あいつがオールマイトの、ワン・フォー・オールの後継者か)

 

猛は一つの確信を得て、教室に戻っていった。




正直やり過ぎな気がしますが、猛の個性のコンセプトが運動系統や戦闘特化なのでこういった形にしました。ちなみに猛がワン・フォー・オールを知っている理由は後に分かります。後は漫画やアニメは緑谷視点からの話で、これでは猛の視点からの物語なので、原作の台詞がかなりカットされています。ご了承下さい。後は今回長すぎました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。